これも台風のせいだ。(暴論)
僕達は食堂で、それぞれ好きなものを取って席に着いた。ちなみに、僕は数種類のパンで、ランはマフィンを注文した。
「ここでもうわさされてるね。」
「当たり前だろ。グランドスラム達成者が誕生するかも知れないからな。朝のニュースや新聞でも来年の王竜星武祭に参加するかどうかやってたぞ。」
ランはそう言うと、新聞のニュース欄のウィンドウを僕に見せてきた。
「うわっ。本当だ。」
「おまえはもう少し、今の自分のことを理解したほうがいいんじゃないか。」
ランは少々呆れながら、マフィンを口に頬張った。
「でもグランドスラムも夢じゃないかもな。だって昨年の鳳凰星武祭でのあの願いがあるしな。」
ランがそう言うと、後ろから声をかけられた。
「二人とも。僕達と相席してもまわないかな。」
「「あ…アーネストさん。」」
二人に声をかけたのはガラードワースの生徒会長であり、序列1位で今期のチームランスロットを優勝に導いたアーネスト・フェアクロフさんだった。その後ろには、同じくチームランスロットのレティシアさんとケヴィンさんとライオネルさんがついていた。
「かまいませんか。スバル。」
「ええ、大丈夫ですよ。」
レティシアさんにたずねられたので、僕は快く承諾した。
「ありがとうございます。スバル。」
「邪魔するぜ。スバル。」
「失礼するぞ。スバル。」
こういうわけで、アーネストさんらと相席をすることになったが、この面子はなかなかやばいと思う。なぜなら、ここの全員が星武祭の優勝者だからである。ガラードワースの首脳会談といっても過言ではない。
周りの生徒が緊迫した空気で僕らを見てるし。
「ところで、チームランスロットのみなさんは星武祭の願いを決めたんですか?」
ランがたずねてみると、
「私とケヴィンとライオネルは自分達の家のために使わせてもらいますわ。」
なるほど、そうか。ガラードワース学院は欧州の名家が多く、家の発展のために星脈世代の息子や娘を利用して、星武祭の願いを使うことは少なくない。そのためガラードワースの星武祭優勝者は私利私欲に願いを使うことはあまりない。
レティシアさん達ははじめて星武祭で優勝したことから、おそらくそのようにしたのだろう。
「アーネストさんはどうですか?」
「僕かい?そうだね、星武祭の優勝は2回目だから、前回の願いは家のために使ったし、家からは自由にしていいと言ってたよ。」
「そうなんですか。」
「ただ、僕としては前回のスバルくんの願いを見習いたいかな。」
アーネストさんがそう言うと、みんなが僕の方を向いてきた。
「スバルの願いを見習うなんて、アーネストもたいがいにしてほしいですわ。」
「でも、スバルの前例があるからアーニーの願いは軽くパスすると思うぜ。」
レティシアさんは少々呆れ、ケヴィンさんは冗談っぽく笑っていた。
「ケヴィン、笑い事じゃありませんわ。スバルの願いとアーネストの願いで、慣習化したらどうしますの。
なんたってスバルの願いは………」
「星武祭の参加回数を増やしてもらう星武憲章(ステラ・カルタ)に反しかねない願いでしたのよ。」
そう、僕の鳳凰星武祭の優勝時の願いは星武憲章の星武祭の参加回数を増やしてもらうことだった。
当初、僕の人生を変えてくれたダイバーシティのために恩返しをしようと今後のアスタリスクでの活動も含め、この願いにした。
最初は参加回数を無制限にしようとしたが、レティシアさんらに説教され、また統合企業財体側も許してもらえず、妥協して3回から5回にしてもらった。
ただ、アーネストさんが『強い星脈世代たちとたくさん闘いたい気持ちは僕にも分かるよ。』と変な誤解をされたが、説教されたての僕を慰めてくれた気持ちは心に染みた。
「今考えれば自分の実力をみたらそっちにしたほうが願いを叶えてもらう回数は多かったかもな。」
「ランは僕の願いを聞かず、優勝翌日に申請したよね。」
ちなみにランの願いは土地の要求だった。
ランの家系―三条家は代々学業関係の仕事に就くものが多い。ただ、統合企業財体の貧困に苦しみ、学業ができない子供たちを増やすやり方に賛同せず、ダイバーシティ側についた。現に三条家はダイバーシティの経営する高い入学金を必要とするアスタリスクに通えない星脈世代の小さな学校をダイバーシティ本部で働いている。
ランは新たにそんな学校を作るのが夢だ。
ランからみたら自分の夢の基礎が作れ、ダイバーシティ側にも組織の土地が増えるという意味で恩を返せる。
一石二鳥な願いであった。
「ハハハ、ランくんの願いはしっかりしていたと思うよ。さて、次の獅鷲星武祭について話そうか。」
アーネストさんの言葉で僕達は真面目な顔に切り替えた。
「レティシアとケヴィンとライオネルは引き続き参加してくれるよね。」
「当然ですわ。クローディアに個人的に敗れた借りを返しますわ。おそらく、次の獅鷲星武祭にも出るでしょう。」
欧州で知り合ったクローディアとは別学園で、相手として戦い、リーダーの校章破損という形でランスロットが勝利したが、クローディアがレティシアさんの校章破損を行い、個人的には負けていると思い、リベンジに燃えている。
ケヴィンさんやライオネルさんもアーネストさんの確認に
しっかりとうなずいていた。
「スバルくんはどうするかい。今回は参加するはずの序列5位がケガで、急遽序列6位の君に頼んだのだけれど。」
「今のところなんとも言えませんね。おそらく正規どおりトリスタンとして参加する可能性が高いと思います。」
「私としてはあの序列5位に比べて、スバルのほうがいいですわ。」
レティシアはひどく批判的だが、あの男には僕やランを含め、チームランスロットも同じ気持ちだろう。そんな彼はそろそろ復帰するそうなので、近いうちに会うことだろう。
その後、これからの獅鷲星武祭までの計画を確認し、僕達はそろそろ解散することにした。
「ところで、聞いてなかったけど今回のスバルくんの願いは何にするのかい。やはりダイバーシティのために願うのかい?」
去り際に、アーネストさんが僕に聞いてきた。レティシアさんも興味津々だ。
「いえ、今回はある友達のためにわがままさせてもらいました。組織にも報告し、許可してもらいました。」
「それってユリスのことですの?」
「ええ、そうです。ユリスのこともありますが、僕個人としてもリーゼルタニアの孤児院で会った彼女があのようになっていると思うとですね。」
「それってまさか………」
レティシアさんは気づいたようで、動揺を隠せないようだ。アーネストさんもおそらく気づいているだろう。
「はい。孤毒の魔女(エレンシュキーガル)オーフェリア・ランドルーフェンのディルク・エーベルヴァインからの解放です。」
アーネストさんたちと別れると、僕はそのまま家に帰ろうとしていた。寮生活じゃないのかって。今だけはある事情である人の家に住んでいる。
Prrrrrr。
電話か。ウィンドウを開くと、そこには紫の髪と息をのむほどに整った顔立ちの女の子が映った。
『ヤッホー。スバルくん。』
「うん。ひさしぶりだねシルヴィ。」
今日は早めの投稿となりました。
ようやく原作メンバーとヒロインが出せました。
えっ?オーフェリアがヒロインじゃないのかって。
彼女は今後の話を左右するキーパソンで、準ヒロイン予定です。
次回は登場人物紹介も含むため、1.2日空けるかもしれません。