運命を感じて茶熊分のジュエルを110連分費やしたが、出てこなくて爆死した悲しみにくれたリコルトです。
それでは本編をどうぞ。今回はかなりシリアスです。
『ヤッホー。スバルくん。』
「うん。ひさしぶりだねシルヴィ。」
電話の相手は六花だけではなく、世界中のトップアイドルである《歌姫》クインヴェール女学院序列1位のシルヴィア・リューネハイムである。彼女とは留学時代、同じ学校に在籍し、学校が《魔女狩り》に遭った時彼女は《魔女》であるため優先始末対象となっており、襲われた際に僕が助けて共闘し、そこから知り合った。
そして、僕の本当の能力《調律》を失った要因でもある。
『獅鷲星武祭優勝から一週間経っちゃったけど、優勝おめでとうスバルくん。』
「別に構わないよ。シルヴィこそワールドツアーで僕より忙しいでしょ。」
『そう言ってくれると嬉しいよ。ところで、その……《調律》があったらもっと楽に勝てたかな』
「っ!!」
おそらくシルヴィはあのとき彼女のせいで、僕の本来の力を失ったことで弱体化したことに罪悪感を感じているのだろう。
―回想―シルヴィアside
「リューネハイムさん。しっかりしてください。」
ああ、こんなところでも、私を助けてくれた王子さまは名字呼びか。まじめな子なんだなぁ。
私は学校を襲った犯人のリーダーであり、この事件の首謀者である男を学校の中庭まで追い詰めた。相手は非星脈世代であり、武装もショッドガンだけだった。
簡単に私たちはショッドガンを手からうちおとすだけで、男を拘束して、おしまいだと思ってた。
けれど、男は毒針を持ってて拘束する際にスバルくんに刺そうしてたの。それを庇って今、こんな感じかな。身体が寒くなってきたよ。
ああ、ウルスラに逢いたいなぁ。今頃ウルスラの家でおいしいご飯を食べて、歌の練習をたくさんしているんだろうなぁ。そしてはじめて好きになった人に…………
「………ねぇ。スバルくん。私の…願いを聞いてくれる?」
涙を流しているスバルくんは静かにうなずいた。
「私……をシルヴィと読んでくれるかな?」
この愛称で呼ぶのは私が好きな人だけでウルスラぐらいしかいなかったんだ。
「ああ、シルヴィ…………。」
そこで、私の視界は真っ暗になった。ただただ、シルヴィと呼ぶスバルくんの声だけが聞こえる。ああ、死んじゃうんだなぁ。
そう思うと、私を支えるスバルくんの周りで彼のすさまじい量の星辰力(プラーナ)が溢れだした。
一瞬何が、起こったのか分からず、そこから意識も失ってしまった。
………
………………
………………………
………………………………
「んんっ………」
私は天国に来たのだろうか。寒気もしないし、目も開く。
するとそこには、裏庭で倒れているスバル君を見つけた。
「スバル君。しっかりして。」
するとスバル君は口を開いた。
「今の日時を………教えてくれ。」
そこで、私は時計を見てスバル君に今の日時を教えた。
「そうか、成功したんだな……《調…律》が」
そう言うと、スバル君はまた意識を失った。
私があわてていると年上のアーネストさんという人がやってきた。事情を説明するとアーネストさんはスバル君を抱えて医務室に向かった。
私も行こうとするが、裏庭にはあの男の姿はもちろん、争った形跡もなかった。逃げたのだろうか。おかしい。
そこで私は違和感に気づく。先程時計を見たのだが、あの男と戦った時の年、日にち、時間が、変わってないのだ。
最初、時計が壊れていることも疑ったが、しっかり動いている。
まるでもうひとつの世界に来てるみたいだった。
あのあとスバル君はすぐに目覚めた。そこでアーネストさんと私は事の経緯と彼の能力を教えてもらった。
まとめると、スバル君は私が死ぬはずだったあのとき《調律》という魔術師の能力を使った。《調律》は発動者が異物と思うものやことがない状態の世界にして、誰もが気づかない状態にする。いわば、永久にとけない洗脳のようなものである。なにそれ。強すぎない?
あのとき彼は無意識に発動したらしく、《魔女狩り》が起こらない状態を作り出していたらしい。ただ、彼は、子供のイタズラで使ったことはあっても、今回のようなことははじめてでイレギュラーな事態が起きているようだ。
まず、欧州全域でなく世界規模で行われたこと。そのため今回の事件は歴史にすら残らないそうだ。
二つ目は、私やアーネストさんのように事件を覚えている人が存在すること。これはスバル君のいる範囲が近ければ、近いほど鮮明に覚えており、後に調査したところしっかり覚えているのは欧州にいて、星脈世代であり、彼とつながりを持つ人だけだった。数えたところ学校内では30人ぐらいで《魔女》や《魔術師》が多かった。
そして三つ目は、能力が弱体化してしまいもう調律ができないということだ。
私は罪悪感におそわれた。なぜなら私のせいで、スバルくんはもう本気がだせなくなってしまった。人の才能を奪ってしまった。
回想シルヴィアSide out
「はぁ……、もともと武術に精通してたし、あんなチート
みたいな能力がなくても大丈夫だよ。」
『いや、たしかにスバルくんが能力を使わなくても相当強いのは知ってるけど……』
「それに、あの能力のせいで、親にすてられたんだ。そんなに固執してるわけでもないし、どちらかと今の《調和》のほうが実用的で使いやすいからシルヴィは悩むことはないよ。」
『けど……その力がなくなったせいで、3年前ダイバーシティのスバル君を拾った前社長さんや上司の人たちが亡くなったじゃない。』
そう、僕の恩人である前社長や上司の人たち10数人の力ある人たちは3年前に亡くなった。いや殺されたのだ。
なんでも赤道辺りの海上プラットホームで、ある調査をしていたらしい。彼らの最期は赤道地域の辺境の村で首だけがさらされていたものだ。僕もそれを確認し、遺骸を回収後、即本部に帰還した。後の調査でその近くで海上プラットホームが破壊される事件があり、社長たちのやったことは迷宮入りとなり、話すことはダイバーシティ内ではタブーとされている。
そのため上層部は半壊し、今の社長レイナ・フィーマンが組織内の信頼が厚いことから、未成年ながらも就任した。
「たしかに、あの能力があれば死なせることはなかったかもね。けれど、一回しか使えないかもしれない能力をあの人たちなら自分達が生き返ることに使うなら、あの事件みたく大勢のために使いなさいというとおもうよ。」
「だから、シルヴィは何にも悩むことはないんだ。もし、シルヴィためだけに使ったと思い悩んでるならそれは違うよ。アーネストさんやレティシアさんやユリスたちあの事件の被害者全員のために使ったんだ。」
僕がそういうと、
『スバルくんらしいね。でも気持ちが吹っ切れたよ。』
「あの問いは来年の王竜星武祭に出る意味でも聞いたんだよね。」
『それもあるね。スバルくんとは本気で戦いたいところがあるからね。でも、そこはシルヴィのために使ったんだとか言って欲しかったな~。』
シルヴィが少し頬をふくらませている。とてもかわいいんだけど。
「あははは。ところで、シルヴィはあとどのくらいで帰ってくるんだい?」
『あと2日ぐらいかな。そのときは迎えにきてくれると嬉しいなぁ。』
「分かったよ。2日後に港に迎えに行くよ。」
『うふふ。ありがとう。それじゃまたね。』
「うん、またね。」
そう言って僕は電話を切った。これできっとシルヴィはもう僕のことで悩むことはないだろう。
「さて、僕も帰りますか。」
僕は家までの残り少ない帰路を歩いた。
そうやってしばらく歩くと僕は家に着いた。
「ただいまぁー」
「おかりえりなさい、お兄さん。」
居間の奥からうすい緑髪の目元を少し隠した女の子がでてきた。
「ああ、ただいまノエル。」
やればなんとかなりましたね。次回からは日常系の話にしようと思います。
「ロックマンかなぁ」というご指摘があり、冒頭の部分が流星のロックマンのスバルとミソラの話しっぽく見えてきて、草生えた笑。たしかにミソラとシルヴィア似てますよね。
P.S《調律》の説明が難しいと思われたと思いましたが、最近でいうと、仮面ライダービルドの最終回みたいなかんじですね笑。