※鎮守府を放置するのは止めましょう 作:ドラゴンTHEドラゴンAG
感想読んでると、思ったより同志(放置勢)の方が居て、皆それぞれ思うところがあるようですねw
どうにも方向性が定まらないので文章も少しグダってるかもです。それと出来る限り改善&参考にしようと思うので色々感想頂けると幸いです!!
鎮守府の皆が病んでしまっていると気づかされたあの日から数か月が経った。人間の適応力というものは俺が思っていたよりも凄いみたいで、最初こそ驚いたし混乱したのだが日が経つにつれ何とも感じなくなっていた。何だかんだ艦娘たちも以前のように普通に接してくれている。・・・まぁ布団に潜り込んだり、一緒に風呂に入ろうとしたり、鎮守府から外へは一歩も出させてくれなかったりすることに目を瞑ればの話ではあるが。
「ん?どうしたんだ提督、手が止まっているが疲れたのか?」
「いや、大丈夫だ日向。少しボーっとしていただけだしな」
「そうか、それならいいが無理はするんじゃないぞ」
俺は「あぁわかってるよ」と返して目の前に積まれた書類へ取り掛かるのだが、やはり提督業ばかりは以前と変わらず面倒臭いしずっと書類と睨めっこしていると疲れてしまう。給料を貰っている以上仕事なので仕方のない事ではあるのだがどうしても気が滅入る・・・そういえば俺がここに来なかった何年間ってどういう扱いだったのだろう?
(まぁ考えても仕方ないか)
そんな事を思いながらも俺は書類に目を通し始めた。
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「2人ともお疲れ様!そろそろ一段落着くころだと思って昼食持ってきたよ」
午前中には終わらせておきたかった分を片付け丁度キリが良い所で昼食にしようかと思っていたところ、まるで分っていたかのようなベストタイミングで伊勢が昼食を持って訪れた。
「ん?伊勢か」
「ほら間宮さんに提督と日向の分だけ先に貰って来たから一緒に食べよ?お腹空いてるでしょ」
「まぁ、そうだな。提督もそれでいいか?」
「あぁ丁度キリもいいし昼食にしようか」
俺がそう言うと伊勢は分かりやすくガッツポーズを取り、日向も心なしか嬉しそうに口角を上げた。正直彼女たちの好意に気が付いた今でも一体何が嬉しいのか俺にはさっぱり分からない。彼女たち二人は姉妹艦の中でも結構仲が良い印象があるし二人で食事をとった方が楽しく食事できると思うのだがな・・・
「はいっこっちが提督の分で、こっちが日向の分ね。それでこれが私の分っと」
「ありがとう。わざわざすまないな」
「いいのいいの!提督のためだしね」
伊勢から食事の乗ったお盆を受け取りながら感謝の言葉をかけると、彼女はいい笑顔でそんなことを言ってくれる。気恥ずかしさから思わず顔を背けそうになるが、ここで顔を背けてしまうと彼女の目から光が無くなってしまうのはほぼ確定なので何とか耐える。
「そ、そうか・・・」
「つまり私はついでと言う訳だ」
「なになに?日向どうしたのさ」
「・・・何の事だ」
「不機嫌そうな顔してるよ~?もしかして嫉妬してるの?」
それにしても本当に仲がいいなこの二人は。伊勢の絡みに日向が適当に対応しているだけのようにも見えるが、こう遠慮なく話し合えるというのは本当に信頼し合っているからなのだろう。彼女たちを見ながら感心しているとあることを思いついた。
そう、俺が鎮守府から安全に外出する方法をだ!!
別に仕事を辞めたいとか、嫌になったとかそう言った感情ではない。ただ鎮守府から一歩も出れないのは気持ちの問題でしんどい。だからたまには外で羽を伸ばしたいと思うのだ、そしてそのための方法を今思いついた。勿論すぐに実行に移すことはできないが、近いうちに試してみようか。
「提督なんかうれしそうね?」
「え"!?あ~、ご飯がおいしいからかな」
しまった、久しぶりに外部に出れると思うとつい喜びが表情に出てしまっていたようだ。咄嗟に誤魔化したものの2人は訝しげにこちらを見てくる。
「・・・いつもと変わらないと思うんだけどなぁ」
「今日の提督は少しおかしい、今朝もボーっとしていたようだがやはり疲れているんじゃないか?」
「大丈夫!大丈夫だから!!ほら、さっさと食べて午後の分終わらせてしまおう!!」
これ以上怪しまれないように、俺は残ったご飯を急いで口に入れる。尚も不安そうな顔で見てくる二人だったが、何とか諦めて食事を再開してくれた。なんとか窮地を乗り切った後は、何事もなくその日の業務を修了させたのだが、終始心配そうに見守られていたせいで全く心が休まらなかったのは言うまでもない。
「それでは私達は戻るとしよう。提督、今日はしっかりと休むんだぞ」
「日向の言った通りに体休めてね!心配することは無いと思うけど~もし夜更かしするようだったら・・・分かるよね?」
「分かっている。伊勢にも手伝ってもらって折角早く終わらせたんだ、今日は早めに就寝させてもらうとするよ」
2人に限った話ではないが皆は本当に心配しすぎだ。今日も今朝ボーっとしていただけで終日心配してくるほどには心配性だ。心配してくれること自体は嬉しいのだが、どうにもずっとこんな調子だと息苦しさを感じてしまうのもまた正直な気持ちだ。
俺は日向達が部屋から出て行くのを見届けた後すぐにベッドには向か・・・うようなことはせず、机に座りなおした。その目的は今度外出する時のための下準備であり計画をまとめるためだ。計画と言っても大したことをするわけではない。今日一日、日向と伊勢を見ていて思いついたことを、実行するにあたって必要になるであろう艦娘をピックアップして予定を確認しておくだけだ。
「えーっと、たしか予定が空いてて条件に合致する奴は」
取り敢えずパッと確認して予定が空いてるのは【大井】と【山城】後は【龍田】か。よし、明日にでも声かけてみるとしよう。問題は了承してくれるかどうかなんだが、交渉材料何か用意しとかないとダメかなぁ。まぁその時になったら考えるか・・・
一先ずやりたいことは終わったので日向たちに言われたように寝るかと机から立ち上がろうとした時、コンコンとドアがノックされ返事を待つことなく開かれる。誰が来たのかとそちらに目線を動かし、誰かを確認するのと同時に額から汗がドッと噴き出した。
「・・・提督~さっき私なんて言いましたっけ?」
「はぁ・・・やはり君には言葉だけでは伝わらないようだな」
「ま、待ってくれ!まだ君たちが出て行ってから30分も経っていない、夜更かしというには早すぎやしないか!?」
俺がそう伝えるも、彼女たちが戻ってくれるようなそぶりを見せない。それどころか伊勢は微笑みながら、日向は不敵に笑いながら少しずつこちらへと歩み寄ってきた。
「そんなに起きていたいなら私達が手伝ってあげようか?」
「・・・それって、どういう?」
「もちろんその言葉通りだ。私達が眠れない夜を過ごさせてやろう」
このままではなんかいろいろとヤバイ気がすると感じ、彼女たちの横を走り抜けようとした。しかしさすがは艦娘といった所か、恐るべき速さで行く手を阻んだかと思うとすぐさま身体が抱えあげられてしまった。そのあまりの無力さにそれ以上の抵抗もできず、そのままベッドまで運ばれる。俺を中央に左に日向、右に伊勢という並びで寝る羽目になってしまったのだ。
「んふふ、寝れると思ってる?今日は私たちが満足するまで寝させないからね」
「まぁ、そうなるな。瑞雲以上に君を可愛がってやるからな」
・・・最近皆が普通過ぎて気が緩んでいたのか、どうやら俺は久しぶりに選択を誤ってしまったようだ。こうなるんだったらさっさと寝てしまっていればよかった。両隣の二人は明らかに興奮している様子でこちらの事を伺っているし、俺は一体どうなってしまうのだろうか・・・