※鎮守府を放置するのは止めましょう   作:ドラゴンTHEドラゴンAG

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毎度毎度、気分と勢いで書いてる故、更新が遅くなってしまって申し訳ないですm(__)m
まだ更新を待ってくださっている方々本当にありがとうございます。ご期待に沿えるかどうかは分かりませんが少しずつ執筆していこうと思いますのでどうかよろしくお願いします。

今回からは「お断り勢編」と題して書いていこうと思うんですけど2,3年前からお断り勢って増えてないですよね?(把握できてないマン)と言う訳で山城編の前編となってます。


お断り勢編
「山城・・・本当に変わってないよな?」 前編


『ん…アッ…どう提督?気持ちいいでしょ』

 

『提督、伊勢よりも私の方が良いだろう?』

 

そんな事を問い掛けながら身体を密着させてくる伊勢と日向の航空戦艦コンビ。ベッドが狭いことも相まって両側の二人の温もりをじかに感じてしまい、駄目だとは分かっていても体が反応してしまう。そのことが二人にばれないように身を捩って少しでも密着をと試みるのだが、どうやらそれが仇となってしまったようだ。

 

『ふふふ♪これは一体なんですか提督ぅ?』

 

俺のどうしようもなく反応してしまった部分に伊勢が気付いてしまったのだ。パッと彼女の顔を見ると伊勢は嬉しそうな顔をこちらに近づけ、耳元でぼそりと呟いた。

 

『私達で興奮、してくれてるんだ?嬉しいな♪』

 

このままでは不味い、本能的に貞操の危機を感じた俺は急いでベッドからこの二人から抜け出そうとした。しかし起き上がろうとする意思に反して体は全くと言っていいほどに動かすことが出来なかった。それもそのはず、何故なら今俺の身体は2人の艦娘によってがっちりと拘束されてる、唯の人間にその拘束を解くことなんて出来やしないのだ。

 

『君は往生際が悪いな。私達から逃げられるわけがないだろう』

 

『そうだよ提督~。まっそういう事だし覚悟してね?』

 

そう言って伊勢がズボンに手を掛けた。待て!止めるんだ!今ならまだ無かったことにできるから、な?

 

『それじゃ、いくよ?』

 

俺の懇願も空しく、伊勢はズボンを降ろそうとしている。

 

「やめるんだぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!・・・・・・あ?」

 

魂を込めた叫びと共にガバリと起き上がる。えっ?起き上がれた?

 

混乱する頭を一旦落ち着けて深呼吸をする、当然だが伊勢・日向の二人の姿はどこにもなく衣服も一切乱れていないことが分かった。つまり先ほどの妙に生々しい光景は夢だったと言う訳で、俺の貞操は無事だと言う訳だ。だが部下とそういった関係になっていないという安堵と同時に、あんな夢を見てしまったという罪悪感が襲い掛かってくる。

 

「・・・はぁ。最低だな、俺」

 

俺みたいな駄目な奴を待っていてくれた優しい娘たちを夢とはいえ邪な気持ちで見てしまっていた。これほどまでに自分をぶん殴ってやりたい気分になったのは久しぶりだ。いや、いっそ一発眠気覚ましの意味も込めて殴るか。

俺はゆっくりと拳を上げ、頬を殴る準備をする。そしてその拳を自分に向かって振り下ろそうとした時、何かに俺の拳が受け止められた。

 

「一体どういうつもりですか?」

 

驚いて声の主に目線を向けるとそこには山城の姿があった。なぜ彼女がここにいるんだ、という疑問があったがそれ以上に彼女の瞳が一瞬光を失ったように見え少し嫌な汗が滲む。

流石に夢のことを話すわけにもいかないので「少し眠気を覚まそうかなと思ってな」と俺はできる限り平静を装って山城に答えた。

 

「・・・そうでしたか。まぁあまり身を傷つけるようなことはしないでくださいね?心配しますから」

 

「あ、あぁ分かった。これからは気を付けるよ」

 

「そうして下さい。あ、それと寝ている時とても唸っていましたが悪い夢でも見ていたのですか?」

 

おっとその話題は不味い。一概に悪い夢とは言い切れない気もするが・・・いやあれは悪い夢だ。とはいえそのままの真実を山城に伝えるわけにはいかないので適当な言葉で誤魔化すことにしよう。俺は化け物に追われたのだとか何とかと典型的な悪夢らしいことをでっちあげ山城に伝える。彼女は終始疑わしい目で見ていたが何とか納得してくれた。

 

「ま、まぁ夢の事はこの位にして!!そういえば山城はどうしてここに居るんだ?」

 

これ以上深掘りされないうちに話題を無理やりに変える。

 

「どうしてって今日の秘書艦が私だからですよ」

 

Oh・・・そうだった。というか起こしに来ている時点で察するべきだったな。俺は苦笑いしながら「それもそうだ。すまない」と言って布団から出て立ち上がる。山城は呆れたような顔をしながらもすぐに着替えの服を持ってきてくれる。俺がその服を受け取り着替えようとすると山城は気を利かして部屋を出て行く、あまり待たせるわけにもいかないのでささっと着替えを済ませて声を掛けた。

 

「着替え終わったみたいですね。では朝食にしますか?」

 

「あぁ、食堂に行こうか」

 

「分かりました。まだ混雑する時間では無いですが一応急ぎましょう」

 

「・・・・お腹減ってるのか?」

 

どこか急いでいるように見えたので少し意地悪な質問をしてみると、山城は動きを止めてこちらに引きつった笑みと怒りが混ざったような表情をしながら振り返る。触れない方が良かったところに触れてしまった後悔する俺に彼女は問い掛ける。

 

「そんなに食い意地張ってるように見えますか?」

 

「滅相もございません!」

 

その問いに俺は全力で首を振ってこたえる。そんな様子に呆れ果てたのかはたまた元よりそんな気にしていなかったのかは分からないが、溜め息を一つついた後に「行きますよ」と食堂に向かい始めた。勿論俺もすぐ後について食堂へと向かう。

 

「はぁ、不幸だわ」

 

 

ーーーーーーーーーーーー

 

食堂に着くとまだ朝早いこともあって艦娘たちは皆眠そうな顔で食事をしていた。こんなに早く起床したのは久しぶりでこの光景を見るのも何だか珍しく感じる。まぁいつもこの時間に起きれば見れる光景なのだとは思うんだけどな。

 

「あら山城おはよう、それに提督もおはようございます」

 

食事を持って席を探していると同じく今から朝食なのであろう扶桑が声をかけて来た。

 

「おはようございます扶桑姉様」

 

「おはよう。扶桑も今から食事なら一緒に食べるか?」

 

「よろしいのですか?」

 

「ん?あぁ、俺は別に構わないぞ。それに山城も扶桑と一緒の方が良いだろ?」

 

「・・・えぇ、そうですね!私も姉さまと食事を共にしたかったです!」

 

山城の奴どうしたんだ、いつもなら率先して扶桑にアプローチかけるのに今日は調子でも悪いのか。気のせいだとは思うがどことなく表情が引きつってるようにも見えなくも・・・・いやそんなことは無いな。普通に嬉しそうな顔してるわ。・・・多分

 

「そういう事でしたら私もご一緒させていただきます」

 

「おう、っとあそこにするか」

 

都合よく端から3人分の席が空いていたのでそこで食事をすることに決めた。並び順は端から俺 扶桑 山城の順番だ。山城は扶桑の隣が良いだろうし、俺も女の子二人に挟まれるよりかはこっちの方が気が楽だからな。

 

「ではいただくとするか」

 

今日の朝食はトーストにベーコンエッグとサラダだ。朝食はだいたいこのセットを頼むのだが、これがまた旨いのだ。一体自分で作るのと何が違うのかは分からないが、明らかにここで食べる物の方が美味しいんだよなぁ。

トーストにベーコンエッグを乗せながら何で間宮さん達が作る料理はどれもうまいんだろうなぁと考えていると、不意にちょんちょんと肩をつつかれハッと正気に戻り隣を向く。

 

 

「ど、どうしたんだ扶桑?」

 

そう聞くと扶桑は少し恥ずかしそうにしながらもおずおずと尋ねた。

 

「あの、良ければ提督の食べている物を食べてみたいのですが、少し頂いてもよろしいですか?」

 

突然の申し出に困惑していると、その様子を見て扶桑が少し残念そうに「駄目、ですよね」と呟く。俺は慌てて駄目な訳じゃないと扶桑に伝えるが、一体急にどうしたのだと問い返した。

 

「その、提督は良く同じものを食べていらっしゃるのでそれで少し気になってしまって・・・」

 

なるほどそういう事だったのか。まぁそういう事ならとトーストを小分けにし、その上にベーコンエッグを乗せて扶桑に差し出す。

 

「ありがとうございます。ではいただきます」

 

扶桑はその差し出したトーストを俺の手から受けと・・・ることは無くそのままパクリと食べた。あっ若干指も食われてる。・・・・じゃなくて!!?

 

「な!?ふ扶桑さん?!一体何をっ・・・!!」

 

「ふふ、これは美味しいですね。提督がいつも食べているのも納得です」

 

俺は慌てて手を引っ込め、半パニック状態で扶桑を見る。しどろもどろになっているこちらとは逆に彼女は満足そうに口に手を当てこちらに微笑みかけて来た。その笑みにドキッとしたのは内緒だ。恥ずかしさからもう彼女の方を見ていられなくなったので食事を再開しつつ、やんわりと注意を促す。

 

「あ、あまりこういうことは・・・その、俺も恥ずかしいし」

 

そこまで言った所で突然バンッと机を叩く音が言葉を遮った。急に大きな物音を立てられたことで身体が跳ね上がり、輪をかけて恥ずかしさがこみあげてくる。そんな恥ずかしさを誤魔化そうと音を立てた本人をキッと見たが、見た瞬間に表情をすぐに元に戻すこととなった。

 

だって山城さんガチギレしてるっぽいんだもん。

 

「・・・執務室に戻りますよ」

 

「えっあっまだ食事が「も・ど・り・ま・す・よ!!」ハイ」

 

こうして俺は半強制的に山城に執務室へと連行されてしまう。それを見ていた艦娘達は触らぬ神に祟りなしとでも思っているのか強制連行される俺をじっと見送るだけだった。こうなった元凶であろう扶桑も「山城、頑張るのよ」なんて言っている。

 

扶桑との距離が近すぎたからってここまでするか。ほんと相変わらずのシスコンぶりだ。だが、それが確認できたのは良かった、数年経って皆随分と過保護になってしまっていたからな。山城くらい変化が少ないと逆に安心するというものだ。それに彼女なら数日前に思いついた鎮守府の外に出るのにも協力してくれるだろう。

 

・・・取り敢えず執務室に戻ったらそれとなく相談するか


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