ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論 作:C・S
「とっ、トウヤ君……」
息を切らしながらトウヤ君が私のところへ来た。
「絵美里……その、なんだ……ありがとうな、アイスクリーム……」
荒れた呼吸で声を振り絞りながらトウヤ君は言っている。切り出しがアイスクリームのお礼ねえ……。
「ありがとうじゃないわよ。トウヤ君、どうして?……どうして四万十川さんから、その、ラブレターなんてもらったのよ……」
どうせトウヤ君は……。トウヤ君は四万十川に興味があったんだわ。それで、ラブレターをもらって、うれしくて、うれしくてもらったに違いないわ。私はトウヤ君のことが大好きなのにどうせその気持ちなんて……。
「あれはその、手紙ではあるけどラブレターではないよ」
トウヤ君は昔からウソが苦手だわ。でもこんなのってさすがにないわよ。
「どういう意味?」
「その手紙の内容は言えない。でも、ラブレターではない。第一、ラブレターだとわかってたら受け取らないよ」
「そんなの信じられないわ!」
思わず私はトウヤ君に対して声を荒げてしまった。どうして、どうしてこんなことになってしまったんだろう。今までこんなことって一度もなかったのに。
涙で視界が霞んできた時トウヤ君が、
「僕は来週君と日帰りで旅行に行きたいと思っているんだ。SLに乗ってね。二人っきりで。二人っきりで旅行に誘う計画をしているっていうのにほかの女の子からラブレターなんてもらえないよ」
「えっ?」
意外な一言に私は驚いてしまった。
するとトウヤ君はSLの切符をポケットから取り出した。
「グリーン車……」
「絵美里さ、中学の頃、SLに乗りたいって言ってただろう」
「覚えていてくれたんだ」
そう、中学の時私が本を読んでいるときにトウヤ君は話しかけてくれたけど、そのとき読んでいた本は旅行の雑誌であった。本屋さんでボーっと雑誌を眺めていた時に目についた蒸気機関車の表紙。その表紙に惹かれて購入した一冊の本、それが私とトウヤ君をつないでくれたんだったわ。
「僕と絵美里は同じ旅行趣味で話すようになったんだったね」
「とっ、トウヤ君……うん。私はトウヤ君がいなかったら……」
思わず私はトウヤ君に泣きついてしまった。
「戻ろう。次のバス停で降りてさ」
「そうね……」
いつの間にかバスは発車してしまっていたので、次のバス停で降りて徒歩で10分ほどかけて遊園地に戻った。四万十川さんは「どうしてアイスクリームを地面に落としたんですの?」と苦笑いしながら言ったのであるが、私が遊園地を逃げ出したことを咎めることはなかった。
そして午後の遊園地も思いっきり遊んで気づいたら閉園時間になってしまっていた。