ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論   作:C・S

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そして私はトウヤ君の腕に縋りついた

「トウヤ君……」

 

私はあまりにも異様な客車の様子を見て言葉を詰まらせてしまった。

先ほどの駅にはたくさんの人がホームにあふれかえっていたのにもかかわらず、乗客が私たち以外だれ一人乗っていないのである。

 

「絶対おかしいぞこれ」

 

うーん……、この異常事態にもかかわらずおどおどしないトウヤ君はやっぱりかっこいいわ。流石は私のトウヤ君ね。そんなことはともかく、このイベント列車でこんな状況が生じることはあまりにも非現実的だ。

 

「私怖くなっちゃったな」

 

いくらトウヤ君がかっこいいからといってもこの状況が怖いのには変わりないわ。

レールと車輪がこすれる音やジョイントを通過するが不気味に客車内に響いている。

 

「車掌がいるかどうか探してみようか」

 

「それがいいわね」

 

トウヤ君の腕に縋りつきながら私たちは車掌室に向かう。

車両と車両の間の扉を開けるたびに何かが出てくるのではないかという恐怖に襲われる。

 

「車掌さんが乗っているのって何号車だっけ?」

 

車掌室のほうまで私たちは歩いているのであるが、いつまで歩いていても車掌室に到着しない。私たちが乗った列車はそう長い編成ではなかったはずだ。

 

「一番後ろの1号車だよ」

 

私たちが乗っていたグリーン車は7号車であったのでやはりこの列車の長さは7両のはずだ。

 

「あれ、私たちって今何号車にいるんだろう?」

 

車端部にある号車番号が書いてあるプレートを見るとそこには存在していないはずの15号車と書かれていた。

 

「なぜ存在しないはずの15号車にいるの?」

「わからない。でも何かがあるということには違いないと思うんだけど」

 

私がトウヤ君にこういったその時だった、客車のドアが重い音を出しながら開いた。

ギシギシと金属音を立てながら誰かが私たちのほうへ向かっている。

 

「車内販売でございます……」

 

先ほどグリーン車にいたアテンダントさんとは違う人、ウェイトレスのような恰好をした人が、重そうなカートを運びながら私たちがいる車両に入ってきた。

 

「すみません、この列車ってSLのイベント列車ですよね?」

 

トウヤ君がウェイトレス風の女性に言った。

 

「いえ、この列車はただの普通列車ですが……」

 

目が隠れるほどの長い髪の彼女の表情をよく読み取ることができない。しかし、何というか不気味さを感じる。

 

「この時代にSLの普通列車なんてあるわけが」

 

私がそう言った瞬間であった。ドスンという音を立てて私たちが乗ったSLが走る路線には存在しないはずのトンネルに入った。

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