ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論 作:C・S
料理の名前は良くわからなかったのだが、ランちゃんが出してくれた料理はとてもおいしかった。高級そうだってことはわかるのだが今まで生きてきた中でこのような料理は見たことがない。ナイフとフォークを器用に使いこなしながら食べるトウヤ君。この姿はずっと見ていても飽きないものだわ。
「すごいですねこれ、何の肉なんですか?」
「これはえぇと、ウロボ…じゃなくて、七面鳥だね」
「こんな料理の仕方があるんですか。結構手間がかかりましたよね?」
トウヤ君料理に興味があるのかな。ちょっと意外だわ。私としたことがトウヤ君の意外な一面をこんなところで今知ることとなるとは。
「手間はかからなかったよ」
こんな豪華な料理が冷凍食品ってことはないだろうしどうして5分やそこらで作れるのかしら。
「いったいどんなことをしたのよ」
「絵美里、お前の性格がきつめなのは昔からだが、そんなんじゃ友達ができなくなっちゃうぞ」
「ランちゃんにだけは言われたくないわ。トウヤ君、私って性格がきつい?」
「そっ、そんなことはないと思うよ」
「ほら聞いた?わたしは決してきつい性格ってわけじゃないのよ」
「わかったわかった」
メイドさん三人とランちゃんがまたもやにやりと笑って答えてくれなかった。まあこの際はもはやどうだっていいわ。料理の味とトウヤ君が隣にいるっていうことを楽しまなくちゃだわ。
「咲蘭さん、僕たちはどうしてここへ来ることになったのですか?」
さっき聞いたときにごまかされた質問だ。またにやにや笑いながらはぐらかされると思っていたら、
「二人に会いたかったからさ」
「二人って、ランちゃんはトウヤ君のこと知らなかったでしょ」
「うーん。なんて言えばいいかな。風の便りで絵美里に彼氏さんができたと聞いてね」
「どうしてそんなうわさが流れてくるのよ」
そう言うとトウヤ君が、
「いや、それは仕方が……」
「なに?」
トウヤ君が何か言いかけた気がする。トウヤ君が何か言ったらそりゃもちろん聞かなければならないわ。
「別に…」
「そう。で、それが本当かどうか確認するためにこんなところに連れてきたっていうの?」
「まあは理由の一つではあるね」
相変わらずもったいぶった言い方をする。もう一つの理由って何なのよ。とっととこの場所から立ち去ってトウヤ君とのSLの旅を再開したいわ。
「絵美里、一つ提案なんだが」
この発言は非常に唐突であった。ランちゃんは話の流れというものがわからないのだろうか。
「いきなり何の提案よ」
「こっちの世界で暮らさないか?」