ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論 作:C・S
「結論から言っていい?」
「ああ」
「嫌よ」
こんなおかしな世界で暮らすのなんてごめんだわ。
「そうか」
「当たり前じゃない」
意外にもランちゃんはあっさりと私の考えを受け入れてくれた。まあこれは当然のことだわ。
「なあ絵美里、そんなに冷たくしなくてもいいんじゃないか?」
トウヤ君は私の肩に手をのせて言った。
「いいのよ別に。もしかしてこっちの世界で暮らしたいの?」
「いや、そういうわけじゃないけど……」
「元の世界には友達だっているでしょう。ほら、四万十川さんとかさ」
最初は四万十川さんのことを友達だとは思っていなかったけど今は違う。私の大切な友達だ。
「まあ絵美里がそこまで言うのなら無理にとは言わない。ただ、そっちの世界で何かあったときはこの世界のことを思い出してくれ」
何かって何が起こるのよ。この良くわからない世界にいるほうが私は不安だわ。
「それじゃあペンシルこの二人を頼んだよ」
席を立ち扉へと向かうランちゃん。なんかかっこつけているように見えるところがイラっと来るわね。
「あ、そうそう絵美里」
「なに?」
「すこしは人のことを疑ったほうがいいと思うよ」
そう言い残しバタンと扉を閉めて大広間を出て言った。
「絵美里様、坂本様少し目を瞑っていてください」
黒髪のメイドさんがそう言ったので私たちは目を閉じた。
聞き取れないくらいの早口で彼女が何か言ったと思ったら意識がなくなってしまった。
「お客さん、終点ですよ」
黒い制服を着た車掌さんが私を起こした。
ここはどこだろう。さっきまでランちゃんの屋敷にいたはずなんだけど。
「この列車は車庫に入りますので降りていただけますか?」
青色のボックスシートにUVカットの窓。これはいつも乗っている電車だ。斜め前の座席にはトウヤ君が寝息を立てている。
「ねえトウヤ君起きてよ」
「うーん……あれ、ここはどこだ?」
「最初乗っていた電車の中じゃないかな?スマホの時刻を見てもそんな感じだし」
「お客さん……」
呆れた顔で急かしてくる車掌さん。さっさと降りなきゃだわ。
ホームの向かい側には蒸気機関車が停まっている。もしかして私は夢を見ていたのだろうか。
「トウヤ君、さっきまで私たちその……、SLに乗って変な世界に行ってなかった?」
「絵美里も僕と同じ夢を見ていたのか」
トウヤ君は驚いた表情で言った。本当にさっきのは夢だったのだろうか。いや、夢であってほしいわね。
もやもやとした気持ちを残したまま私たちは従来の予定通りSLに乗って旅行を楽しんだのであった。もちろん、異世界には行かずに……。
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