ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論 作:C・S
午前中の授業の終了を告げるチャイムが鳴り、昼休みが始まった。私とトウヤくんは約束通り学食へ向かっている。
あれから今まで2回ほどあった休み時間であったが、四万十川さんはチャイムがなるとすぐに教室を出て行ってしまったため彼女と話すことができなかった。
4限目の途中から降り始めた雨はまだ降り続いていた。本校舎からすこしはなれた学食の建物までしばらくトウヤくんと一緒に歩く。トウヤくんは傘を持っていなかったので私がたまたま学校に置きっぱなしにしていた傘をつかって相合傘をすることになった。
「ねえトウヤくん、四万十川さんの話ってなんだろう」
「さぁ、彼女は色々と良くわからないからねえ。でもなんだかいつもと様子が違う気がする」
「私もそう思うわ。四万十川さんって、その……言い方は悪いけど、わざと人をイラッとさせる言い方をすると思うんだけど全然陰湿ではないのよね。でも今日はなんだか……」
「やっぱり絵美里もそう思うのか」
「うん」
この感覚は昨日までの旅行における疲れによるもので、私だけがそう思っているものだと思っていた。でもトウヤくんも同じように感じていたらしい。
「でもさ、絵美里、今日の君はとても疲れているように見えるよ」
そう言ってトウヤくんは学食の食券をポケットから2枚取り出した。
「あっ、食券を買い忘れてた」
私が通っている学校では昼休みの前までに食券を買っておかないと利用できないこと
になっているので、いつもは私からトウヤくんと一緒に食券を買い行こうと誘っているのだが今日は完全にそれを忘れていた。
「本当は一緒に買いに行こうと思ったんだけど休み時間はずっと外を見ていたから声をかけにくくて」
「ごめんね、トウヤくん」
本当はトウヤくんと一緒に食券を買いに行くはずだった。私としたことがそんな当然なことも忘れてしまうなんて。しっかりしなきゃだわ。本当に
「今日はカルボナーラだって」
トウヤくんはそういいながら出入り口の扉を開けてくれた。
「あっ、ありがとう。学食で食べるならカルボナーラだよね」
我ながらこの発言は意味不明だったと考えている。トウヤくんも結構困惑していた。
「まあ良くわからないけど学食のカルボナーラは美味しい」
適当に流して会話をスムーズに繋げようとしているトウヤくんはこういうところで優しさを感じる。私はトウヤくんと一緒にいると落ち着くのだ。
カウンターで食券を渡して、メインの料理である出来立てのカルボナーラを受け取る。そして、バイキング形式のおかずとサラダを受け取って窓際の席へと向かった。アスファルトにできた水たまりには雨粒がポツポツと落ちている。
「じゃあ、いただきます」
フォークとスプーンを使って上品にパスタを食べるトウヤくん。以前聞いた話ではあるがトウヤくんは喫茶店でスパゲッティを食べるのが趣味らしい。
「そういえばトウヤくん、今でも喫茶店通いは趣味なの?」
「ああ、そういえば以前そんな話をしたねえ。もちろん今でも行っているよ。前よりもいく頻度が多くなったかなぁ」
「そうなんだ」
私を誘ってくれてもいいところだと思うけどそこは今回に限って聞かないことにしておくわ。
「あっ、そうだ絵美里」
トウヤくんがスパゲッティを食べる手を止めて言った。
「どうしたの?」
「テスト終わったら夏休みが始まるじゃん。もし絵美里さえよければ四万十川さんと海に行かない?」
どうしてまた四万十川さんと。
「以前四万十川さんと話した時に夏休み海行きませんかって言われていたんだよ。なんだか四万十川さんの家は無人島を持っているらしくてそこに別荘があるらしいの」
「すごいんだね。四万十川さん」
四万十川さんは謎が多い。私が知っている情報のみで彼女を評価するとしたら性格以外はとっても素晴らしい人間だ。私と彼女を比較したら私なんてちっぽけな存在かもしれない。でも、彼女に勝てる部分はもちろんある。それは私のトウヤくんに対する想いだ。それは絶対に負けるはずがないわ。
「どうしたんだ?絵美里」
「えっ?」
「なんだかさっきから険しい顔をしていてさ」
「別にたいしたことではないわ。大丈夫よ」
「そう……。それで夏休みはどうだい?」
「あっ、もちろん私も行きたいと思うわ」
それはもちろんトウヤくんと一緒に過ごせる時間が1秒でも長くなるのであれば行きたいに決まっている。行きたいのであるがなかなかすぐに行きたいということができなかった。
「ところでトウヤくん……」