ヤンデレ系主人公!?「桜柳絵美里」さんの爆走恋愛論 作:C・S
どうしてこんなことを言ってしまったんだろう。
こうなるんだったら聞かなければよかった。聞かなければこのような事実はわからなかったのだ。それなのにもかかわらず私はその時の軽率な判断で思わずトウヤ君にこんなことを聞いてしまったのだ。
「トウヤ君ってさ、昔好きな人とか…いた?」
「昔かい?」
「うん」
「そりゃまあ僕も男だからね。気になっていた人の一人や二人くらいは」
「まあそうだよね。いや、何でもないの。ちょっと気になっただけで特に深い意味はないんだけど」
「えっ、そうだったの?僕はてっきり…」
「てっきり…なに?」
「いや、四万十川さんのことを少しだけ気になっていたんだけどそのことを絵美里に感づかれてしまったのかなとちょっと思ってしまって」
「どういう…こと?」
トウヤ君、もしかして四万十川さんとは前々から知り合いだったの?いや、でもそんなはずはないわ…とは断定できない。実際に私はトウヤ君のことを中学生の時のあの時からしかみていなかったのだから。だからトウヤ君だって隠していたってわけではないだろう。でも、言ってくれてもよかったのに。どうしてトウヤ君はそのことを言ってくれなかったんだろう。
「四万十川さんって中学1年生の時同じクラスだったんだよ。絵美里が転校する前。絵美里とは入れ替わりになったって感じなのかな。」
私が転校したのは6月ごろのことであった。そんな数か月でトウヤ君は彼女のことを見ていたらしい。一目ぼれというやつであろうか。そのことを引きずってずっと私への返事を後回しにしてごまかしていたのかな?いや、トウヤ君のことだからそれは私の思い込みだろう。ひょっとすると、本当にそう思っているのかもしれないが。そのことについてはもうトウヤ君以外わからないわね。
「今はどう思ってるの?」
「えっ?」
「だから今は四万十川さんのことどう思ってるの?」
この言い方はなかったのではないかと今となっては反省している。もう少し別な言い方があったはずだ。
「それは…。その、四万十川さんは良い友達だと思っているよ」
「そう」
四万十川さんには私にはない良いところがたくさんある。言葉遣いだったりマナーの良さだったり教養の高さだったり、はては容姿であったり。四万十川さんに負けてしまうところはたくさんある。しかし、四万十川さんにはない強さは自分では持っているつもりだ。それをトウヤ君の目にどう映っているのかはわからない。それだから私はずっと不安を抱えてしまう。もしかしたら、トウヤ君にとって私なんかよりも…
「まあそれは昔のことだよ。まあなんていえばいいかな、その…夏休みあまり行きたくない?」
「そんなことはないわよ。四万十川さんは私の友達であることには変わりないんだから。ごめんね、トウヤ君。ぜひ行きましょう。夏休み」
今ここでトウヤ君に私のことが好きなのか、四万十川さんのことが好きなのかを聞いたって仕方がない。聞いたところでトウヤ君の好きな人が変わるってわけではないんだから。トウヤ君がどう思っているかはこれから先長い時間をかけてみていくしかないわね。いいえ、トウヤ君に好きだって面と向かって言ってもらえるようにしていく私の努力も必要ってところかもしれないわね。
「あ、それとトウヤ君…」
私は不安げな顔をしてみているトウヤ君に、
「別に何があろうとトウヤ君のことを好きなのには変わりないわ。私はトウヤ君のことが大好きだから」
「ありがとう」
トウヤ君は照れながらそう言った。やっぱりトウヤ君はかわいい。
トウヤ君のことを好きであることは絶対に変わらないと思う。しかし、少し不安になってしまう要素が増えてしまっただけである。その時はそう考えていたのであった。しかし、今日のことが私にとって悪夢の始まりであったということは思いもしなかった。