tsプロゲーマー配信者なぎちゃん   作:ヲタクフレンズ

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おあさんからメイドなぎちゃん描いてもらいましたー!背中に羽が生えてていてもおかしくないこの美しさ……ありがとうございます!
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続きです


じゅうごわ!

「おかえり凪沙、凪沙、見て見て?お姉ちゃん凄いの作っちゃったよ」

 

 学校帰り、珍しく司が部活を空けていたので早めに帰った夕方、妙に機嫌の良い姉ちゃんがそう言ってきた。

 

「どーせまたろくでもない一生噛めるガムとか増え続けるポテチとかでしょ、知ってる」

 

「ろくでもないって何だー?!」

 

 そう言ってぽかぽか殴ってくる姉ちゃんについにやける、この姉になんで彼氏が出来ないんだろうなぁ……いや、ちゃんとした男じゃない限り認めませんが。

 

「でー?なにつくったのさ」

 

「ふっふっふ……聞いて驚け~?」

 

 手を引っ張って連れて来られた先に見えたものに、もしやと思って満面のドヤ顔の姉ちゃんを見る。

 

「じゃ~ん!そう、どこでもドアなのだー」

 

「す、すげぇ……え、これ、入ったら何処にでも行けるの姉ちゃん?」

 

「そうだよ!北海道とか旅費いらずだね、東京もパスワードなんて要らないし、滋賀県で気軽に戦争に参加出来るし、海外旅行も出来るぞ!」

 

 お、おお……久しぶりにまじめな姉ちゃんだ、頭を撫でてやろう。

 

「にゃあ〜〜、くすぐったいぞー凪沙」

 

「あ、でも向こうについた時に体爆発四散とかしない?負荷に耐えられなくて現実からシャットダウンしない?」

 

 ……え、何で目を逸らすんです?

 

「凪沙!先ずは行ってみようよ、ね?ね?」

 

「ちょちょっと押すな押すな!待って、もしや試してない?嘘だろ、研究者としてどうなんですか?!」

 

「大丈夫大丈夫、理論上は死なない!そこの所は完璧だよ」

 

「本当に大丈夫なら目を合わせて話そうよ姉ちゃん?!おいバカ押すな!」

 

「お姉ちゃんもすぐ行くから!一人で逝かせたりはしないよ!」

 

「字が違うんですが?!うおっ、ま、まずい、押す力が強すぎる、だ、誰か助けてくれ!誰か!」

 

「よし、行き先は北海道だ、一名様ご案内〜!」

 

「うおおおおおおお?!」

 

 押す力に負けてどこでもドアに入れられる。

 

 その後は、どうだったっけ……この先で見たはずの美しい景色を、わたしは未だに夢に見ないでいる。

 

 

 

 

「……夢か、昨日のホラゲーが祟ったかな……?」

 

 嫌な汗が髪につく、別に悪夢を見たわけじゃないけど、寝付けなくて変にうなされたのかも。

 

 まだ起きるには早すぎる深夜4時、二度寝するのも良いけど、外の空気でも吸おうかな?

 

 わたしが住んでいるこのマンションは、屋上に入れたり出来る、鍵が掛かってないわけじゃなくて、住人にしか開かないプログラムを組まれた扉で守られてるらしい。

 

 今わたしが住んでいる部屋もそうだ、自分で開けない限り絶対に開かない……ナゲット君は例外として。

 

 寝間着のままじゃはしたないかな、冷えるかな?……上に何か羽織るものあったかな、っとと、あったあった。

 

 黒のコートだ、足先まですっぽりと埋まる長いロング丈で、伸縮自在かつ身につけた人間の体温を一定に保ち人間に最適な適温を届ける優れ物。

 

 着てるのが不思議なくらいに軽い……姉の作ったコート。

 

 鏡を見る、洗面台にある鏡ではなく、全身が見える取り付けられた玄関の前の鏡だ。

 

 シルバーブロンドに黄金色の瞳、160cmぐらいの身長、ちらりと手首から見える透き通った肌が妙に映る。

 

「わたしはわたしだ」

 

 鏡の中の自分に言い聞かせるように呟く。

 

 そうだ、わたしはわたしだ、柊凪沙その人だ、それ以外でもそれ以上でも何でもない。

 

 扉を開けて外に出る、エレベーターに乗り、屋上までの番号を押す。

 

 屋上は広い、ちょっとした庭園があって、展望台のようなものもがある、その近くに取り付けられたベンチに座って、()を見上げる。

 

 この時間はまだ暗く、三日月に欠けた月が夜を照らす、雲一つない空に星々がかかる世界(夜空)に、美しさ以外の感情が湧き上がる。

 

「ーー先輩」

 

 いつ帰って来たのか、屋上にいるわたしに話しかける人物がいた、言うまでもなく初菜の事だ。

 

「ん……おかえり、少し、夜景見ない?」

 

「先輩のお誘いなら、喜んで」

 

 隣に座って、ペットボトルに飲み物を差し出してくれる初菜に礼を良い、何を言うわけでもなく、月を見つめる。

 

 夜が晴れる頃には、わたしの心も晴れてくれるだろうか?

 

 

 

 

 次の日になりチャンネル登録者が7万人を突破した、一昨日のVRホラー配信の影響かなぁ、複雑な気持ちだが嬉しい事には変わりない。

 

 ただどうやらアクセスユーザーを調べてみると、日本からのアクセスは勿論圧倒的に多いのだが、次に多いのがアマゾン熱帯雨林付近の方々のようで。

 

 ……いや、なぜ?わたしはあの辺りに知り合いはいない筈だけど、唯一考えられるとしたら狩人先生の今の職場があの辺りらしいんだけど……いやいや、さすがに関係ないかな。

 

 初菜、もといミクちゃんも10000人を達成したらしく、嬉しい限りだ。お祝いのメールを送っとこう。

 

 さて今日の放送は何をするかと言うと、実は漠然と決めていない、雑談をするのもいいし、歌枠で1時間ぐらい歌うのもいいし、音ゲーするのもいいし、普通にゲームするのもいいしって感じであやふやだ。

 

 んーでも、そうだな、今まで配信したゲームは大勢でやるって感じのジャンルはしてこなかったなぁ……大勢で出来るジャンルか。

 

 MMORPGやマインプレイをなぎ民のみんなでするのは在りだが、これは別の機会。すこし考えている事があるからね、どうせならそれを告知してからやりたかったり。

 

 なぎちゃんとして活動した一日目にβテストをしたMMOをなぎ民のみんなとやるのはまだまだ先になりそうだ。

 

 配信の準備を終える、なぎ民と話してれば自ずとやりたいゲームも出るだろう、ああいや、その場でアンケートを募集するのも良いかもね

 

「おはこんばんちわ!一昨日の夜は眠れた?自称プロゲーマーのなぎちゃんだよー」

 

『おはこんばんちわ!』『ちわ!』『眠れたよ』『眠れなかったぞ』『一昨日は怖かったね』『87%のなぎ民は反省しろ』『ごめん』『ごめんなさい』『反省した』『見捨てないで』『七万人おめでとう!』『おめでとう』『もう視聴者18000人か』『人気プロゲーマーなぎちゃんに改名しよう』

 

「もう怒ってないよ、でももうホラゲーはやらないからね!……人気かな、へへ……これからもよろしく」

 

「さて、実は今日は何をするか決めてないんだ、なぎ民のみんなと出来て、楽しいゲームといえばー?」

 

『言えば―?』『言えばー?』『かわいいなあなぎちゃん』『わかる』『今日は守備が薄い』『薄い』『ぺろぺろ』『ぺろぺろ』『げへへ、うへへ』『のけ民いるぞ』『追い出せ!』『そんなー!』

 

「んー、よっし!決めた!なぎ民のみんな、デスオーバーワールドしよう!」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおおお!』『出たー!一つのワールドに1万人のプレイヤーがあの手この手で最後の一人まで生き残る超大バトルロワイヤルだー!』『サーバーの負荷がどうなっているのかわからないゲームだ!』

 

 説明しよう!デスオーバーワールドとは、最大一万人のプレイヤーが同じワールドにランダムで召喚され、最後の一人になるまであの手この手で生き残るなんでもありのバトルロワイヤルゲームなのだ!

 

 こんないかれたゲームを作る会社なんて限られてる!そう、どとーる社である!考案者はこう語る「世に殺戮のあらんことを、VR版は10万人規模で製作中!」とのことだ!流石に10万人は無理だと思うよ!

 

 召喚されたワールドで石を拾ったり剣を拾ったり槍を、弓や銃や大砲を、レールガンや機械人形や戦闘ロボットを拾おう!

 

 魔導書を拾って魔法を使うのもありだ!黙示録真書なんて拾った日にはゲームクリアに一番近いプレイヤーになれるだろう!森羅万象の剣も忘れるな?拳を極めて無敵の肉体を手に入れるのも在りかも知れない!

 

 マップは一つ!でもとにかく広い!エリアがそれぞれ分かれていて、10分後に端から世界が崩壊して行き中心のエリアにしか行けなくなるぞ!

 

 さぁ、君もこの混沌な殺戮ゲームを始めよう!

 

「準備は出来たか?わたしは出来てる、わたしが最後の一人になってなぎ民の屍を超える未来が見えるぜ~?」

 

『草』『草』『最後の一人がなぎちゃんとVRデート出来るって本当ですか?』『まじ?』『へえ』『ふーん』『お兄ちゃん本気出しちゃおっかな~?』『忍の者のマジが見たいか?』『狩人先生が居ない日だ!ワンチャン有るぞ!』『ミクちゃん居るけど』『勝ちます』

 

 一言もVRデートするなんて言ってないけど!?……まぁでもこのゲームで最後の一人になるの凄いことだし、うーん……保留で。

 

「そうでした、怒ってはいませんが、許したわけではないので一昨日のホラゲーに投票したなぎ民には容赦しません、そのつもりでお願いします」

 

『ひぇっ』『ゆるして』『おこてる』『おこている』『嫌わないで』『敬語じゃんマジだよ……』『おれ入れてないしセーフ!』『俺も俺も』『私も私も』『妹よ、お願い許して!』『パパを許して!』

 

「許しません。わたしが優しく天国へ救済()します、だってわたし天使だし?」

 

『草』『草』『目が笑ってないよなぎちゃん!』『天国(地獄)』『天使(悪魔)』『その翼は黒色になっていた』『悪魔…小悪魔…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたろ!』『これが救済ですか』『ぱい~ん!』

 

 カスタムサーバーを立てる、回線やパソコンの性能を少しでも均一化する為のロジカルが組まれた特殊なサーバーを使っているらしく、一万人が同時接続してもそんなに重くないのもデスオーバーワールドが人気の理由の一つだろう。

 

 わたし以外の全てが敵のこのゲーム……少しでも多くのなぎ民に、特にVRホラーゲームに投票したなぎ民を救済()してあげよう。

 

 決してVRホラーの時の八つ当たりなんかじゃない、そういうのじゃないんだからね!

 

「さてはじまった!おまえはだれだ!わたしの拳でもくらえ!そしてわたしは去る!」

 

『草』『うおおおおおお!』『開戦じゃーー!』『こーろせー!』『暴君なぎちゃん』『ほーふれー!』『ありがとうございます!』『羨ましい』『殴って去る。説明不要』『早速一人落ちてる草』

 

「ここは森林エリアかぁ、土掘って世界樹の槍見つけるのもいいなぁ、取り敢えず弓拾ったし木の上にかくれよー」

 

「掛かったな!罠だよ!名も知らない多分きっとおそらくVRホラー投票したのけ民の一人、さらば!」

 

『理不尽で草』『いけいけなぎちゃん』『ゲスゲスなぎちゃん』『一昨日の鬱憤が行動に出てる』『このモードのなぎちゃん新鮮で好き』『これが自称プロゲーマーですか』『自称じゃないぞ』『ログがカオスやんねぇ』

 

 これがなぎ民を屠る感覚か……なんだか新鮮、こういう過激な対戦ゲームでなぎ民と遊んだ事はたしか無かったので、なんというか、ちょっとの罪悪感と、スカッとする気持ちになったり?

 

「うわっ!撃つな!序盤二丁拳銃とか卑怯だぞ、ガンナーかキミは!おちつけ!」

 

「ほっ、見逃してくれた、やさしいなぎ民で助かった……救済するのは最後にするね」

 

『なぎちゃんに媚び売るな』『卑怯だぞ』『最後と言ったな』『アレは嘘だ』『あ、ニンジャがレールガンで焼かれた』『科学には勝てなかったよ……』『雪エリアで雪女と冬将軍に鬼軍曹連れてる奴いるんだが!?』『草』『草』『強すぎる』『もう8000人切ったぞ』

 

 ゆ、雪エリアには行かないことにしよう、あそこはわたしには早すぎる。

 

「ん……?森林エリアにこんな場所あったっけ?……お、おお!これが妖精シルフちゃんですか!かわええなぁ」

 

『うおおおおおお!』『激レア』『妖精…なぎちゃん…閃いた!』『よっしゃ描いたろ!』『効果は?』『半永久的にHPが回復する』『強くね?』『まぁ微々たるもんよ、あと壁につかえるよ』『やめろ』『発想が鬼畜すぎないか?』

 

「盾なんかにしないからね?……んー、人と会わないなぁ、遠慮なんか要らないよ?」

 

「うおおお?!なんだおまえら、何処から来た!囲むな!やめろ!遠慮するなとは言ったがズケズケと踏み込んでこいなんて言っていからぁ!」

 

『草』『計ったように現れたな』『裏で組むなぎ民』『距離の測り方がわからないなぎ民』『囲まれなぎちゃん』『ドナドナなぎちゃん』『お持ち帰りィ!』『今夜はおたのしみEND?』

 

「閃光手榴弾でもくらえ!あ、ばか小石投げるな!地味にHP減るんだよ、やめろ!暴力はんたい!やめて!」

 

『うおまぶし!』『ところできょうのおぱんつは?』『千里眼発動!黄色のおぱんちゅ』『ナイスゥ!』『なぎ民から小石を投げられるプロゲーマーがいるらしい』

 

「よし……追いかけてこない、エリア抜ければ平気だろ……市街地エリアか、ログ見る限りここはやり合った跡だし大方回収されたかなぁ?」

 

「お、この筋骨隆々の腕は……」

 

『出たー!破壊神の腕だー!』『触れた物を粉々にする、消耗品』『消耗品で草』『投擲武器で草』『風圧で100人キル余裕でした出来る武器じゃん』『おいおいさっきの20人終わったわ』

 

「お!なんか集団でドタバタしてる!投げちゃえ!」

 

『草』『あー!』『ヒェッ』『キルログが草』『大虐殺なぎちゃん』『なぎちゃん鬼畜ルート』『教育に悪いよ』『今更定期』『なぎちゃん救済END』『もう5000人切りそう』

 

「おや、一人生きてるじゃん、ねえ見逃してほしい?ほしい?……いや別に武器全部捨てろって言ってないよ?」

 

「仕方ないな〜付いてこい、カフェ()!」

 

『うおおおおお!』『やったー!』『なぎちゃん、仲間を得る』『最後の良心』『これがなぎ民奴隷ですか』『なぎ民奴隷一号カフェ娘』『おんなのこには優しい』『ぐぬぬぬぬ』

 

 よしよし、カフェ娘ちゃんの持っている武器とわたしの持つ武器を共有しよう、えーなになに?ディアルSMGとロケラン二丁とバリアフィールドと火の精召喚の呪文と……っていやいや。

 

「あの、武器強すぎない?わたしなんて普通に倒せる武器持ってない?」

 

『これは意図的』『仲間になりたかったです』『弾頭ミサイルに自立戦闘AIナゲット君持ってて草』『ここでもナゲット君は酷使されるのか……』『かわいそう』『かわいそう』『わかる』

 

「これはわたしたちの勝利だ!がーはっはっは!付いてこいカフェ娘!」

 

 この試合、わたしたちの勝ちだ!

 

 調子にのったわたしは一人の仲間を引き連れて雪原エリア以外のエリアを蹂躙していく、気分はまるで大魔王!

 

 なぎ民を一人また一人と倒して行くことに、なんだろうこの、愉悦めいた感情が……いけないことなのに、顔がにやけちゃう。

 

『この顔よ』『にやにやなぎちゃん』『まるで魔王』『魔王なぎちゃん』『なんかなぎちゃんのナゲット君妙に強いんだけど』『自分のプレイスキルが云々』『雪原エリアには行かないの草』『あ、エリック落ちた』『エリーーーック!』

 

 

「ふはははは!まるでなぎ民が……流石に言うのはやめよう、いやーこれもカフェ娘のおかげだ、有能。お願いだから後ろから撃つとかしないでね」

 

『有能』『有能』『うれしい』『ミクちゃんだったらしてた』『してたな』『してたね』『しません』『お、もう1000人切ったのか』『なぎちゃんのキル数は500人弱だからわりとバラバラで死んでるんか』

 

「うおっ銃弾掠めたぞ!……お、お兄ちゃん、ついにこの時がきたんだね、カフェ娘!手を出すなよ、あの偽物はわたしがやる』

 

『うおおおおお!』『熱い展開』『中ボス戦かな?』『妹を監禁してお持ち帰りしてくる』『は?』『こいつほんま』『大会の時なんで死ななかったん』『テロ組織、無能』『悪VS悪』

 

 砂漠の荒野に、わたしとお兄ちゃんが互いに武器を取る、合図も無く始まったのにどちらも同時に駆け出す。

 

 選ぶと思ったARをバリアフォールドで防ーーげないだと!?

 

「そうか、フルカスタムAKか!」

 

ドーピング剤で一時的に加速し、銃弾を躱す、その間に武器をディアルSMGに切り替えエイムを合わせて撃つ!

 

『白熱』『どっちも上手い』『自称と元の戦い』『兄視点の画面も良えなぁ』『序盤はごちゃごちゃ感、中盤は無双、終盤は一騎打ちとまるでアニメ見たいだぁ』『わかる』『キルログ的に北から雪原エリアのヤベー奴来てる』『何者なんだ』

 

「あ!風神雷神だと?!卑怯な、ならわたしバーサーカー呼ぶしー!やっちゃえバーサーカー!」

 

「うおお……まるで大怪獣戦争、っとと今のうちにーーカフェ娘、逃げよう!どこまでも!」

 

『草』『草』『小物なぎちゃん』『バーサーカー敵味方関係なく殺しにくるし……』『うがああああ!』『おにいちゃん は バーサーカー に ミンチにされました』『草』『草』『偽物確定』『敗北者、乙!』

 

「おお、もう300人か、エリアも狭まってきたし……中心の草原エリアに行こうか、カフェ娘」

 

「小屋はっけーん……カフェ娘、なんだその目は、え、もしかして囮になってくれるの?」

 

『お?』『まさか?』『え、そんな事思ってない』『草』『草』『パワハラなぎちゃん』『なぎちゃんこの流れ……』

 

「そっか!雪原のヤベー奴引き受けてくれるか!いやぁカフェ娘はすごいなぁ……こうしよう、倒したらご褒美あげよう、ね?」

 

『うわあ』『言いやがった!』『こあくまなぎちゃん』『ううう行ってきますう』『かわいそう』『まるで上司と部下』『王と配下』『暴君すぎる』『今日のなぎちゃんは飛ばすなぁ』『もうホラーやらせるな』

 

「そうだよ!もうわたしにホラーをやらせるなよ?!怖くて寝付き悪くなるし、別に視線感じてるわけじゃないのに後ろ気にしちゃうし、変な夢は見るし、最悪なんだからね!もうやらないからね!ほんとうに!反省して!」

 

『ごめん』『すみません』『許して!』『飴ちゃんやるから許して』『ケーキ奢るから許して』『チョコあげるから許して』『りんごあげるから許して』『甘いもので釣っていけ』

 

「ぬぅ……ふんだ!ゆるさないよ!」

 

「ところで全然人と会わなくなったなぁ、エリアも狭いし残り100人ならそろそろ会うんだけど」

 

『残るなぎ民有能』『有能』『カフェ娘と雪原の主は?』『相打ちです』『すげえ』『草』『他のなぎ民の視点みたいなぁ』『オレガカツ』『チガウオレカツ』『ダマレクウゾ』『勝利を目指すあまり理性を失うなぎ民』

 

「うお?!なんだ、いいいきなり80人ぐらいキルログ流れたよ?!お、おお……アンブレラウイルスで肉体が腐って死ぬって怖いなぁ、小屋の中いてよかった」

 

「よし、小屋から出よう……おお、10人になったよ」

 

『頂上決戦』『なぎ民が勝つかなぎちゃんが勝つか』『頼みのカフェ娘はもういないぞ』『なぎちゃんタオス、カツドンクウ』『草』『ドンカツ!ドンカツ!』

 

 9人、8人と一人一人消えていく、わたしもその間に二人ぐらいと激戦を繰り広げ、最終的に持っている武器の殆どが損傷、HPだけは戦闘が終わってしばらくすれば満タンになってるので、こうなると強い。

 

 そうしてわたしを含む4人目になった時、わたしの前に片手にハンドガンを構えた者が立っていた、持てる武器の全てを使って、尚ここに立っているのだろう。

 

「ーーミクちゃん、倒すぞ」

 

『うおおおおお!』『これは熱い』『どっちが勝つかな』『なぎちゃんかなーやっぱ』『どっちも頑張れ』『ヤンデレでしょ』『神回確定』『てか一万人記念の前になぎちゃんの放送に遊びにくるの尊い』『わかるそれな』

 

 武器を構える、ディアルSMGだ、距離的には不利だが、自動回復も含めれば近付ければ勝てる。

 

 対してミクちゃんはハンドガンの他に……なんだ?防御に使えるものはないはず、可能性なら呪文か魔道書か、レアな何かか、いや、考える時間はない。突っ切る!

 

 ーーあ、地雷踏んだ。

 

「爆発オチなんてサイテー!!」

 

『草』『草』『なんで私もー?!』『ミクちゃんも巻き込まれてて草』『設置したのエリックじゃん草』『あいつもう死んでるよ!』『残り二人は?』『あれ?そういえば』『これはもしや』『そしてだれもいなくなった』『なぎちゃんはギャグに生きてるなぁ』

 

「うおおまじか、エリックまじかよ……さて試合長かったねー、どうしよっか、2回目もやる?」

 

『うおおおおおお!』『うおおおおお!』『やるぞおおお!』『二回目は5000VS5000しようよなぎちゃん』『次は見捨てないでねなぎちゃん』『やるしかない』『今日も祭りだ!』『次は入れたらええなあ』『エリック有能説』『無いな』『カフェ娘、雪原エリアで会おう』

 

「よーし、やるぞ〜〜!!」

 

 

 

 

 その後もなぎ民とデスオーバーワールドを楽しみ、すっかり日が変わったので、名残惜しくも配信を終了した。

 

体を伸ばしてココアを淹れる、たまには機械でやる適切なバランスのココアじゃなく、自分で淹れるのも一興かな?

 

「ふぅ……」

 

 わたしの闇に住む、かあ。

 

「語り出したら答えてくれたりするのかな?いや、別にあんなのと話したい訳では無いんだけど、こわいし」

 

 17年以上は共にゲームと過ごしたわたしは経験と直感から、そしてこの前のVRホラー配信の時に、確信した。

 

 確実にAIは、もしくは電子に存在する無数の電子体は自我が存在する、感情のプログラム、あるいは魂の憑依化か、似た何かがある。

 

 いつかに聞いた事がある、パァールツヴァルシュ号のはるか未来の技術に、未来人が生き残る為に、肉体を宇宙へと適応する為、人体の再構築(・・・・・・)を行う技術を有していると。

 

 他でもない姉が言っていたなら、間違いは無いんだろう。

 

「まぁ、だから何だと言われても何もないけど」

 

 ホラー配信から少し思考が暗い方に寄っちゃうなぁ……明日は司と会うか、うん。そうしよう、そうと決まったら早めに寝ないとね。

 

 熊の寝間着に着替えて、部屋の電気を消した。




きりたちのぼる さん、推薦ありがとうございます!嬉しいです。すき!

関係ないけど台風がやばい、みんな大丈夫ですか?気をつけて。

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