tsプロゲーマー配信者なぎちゃん   作:ヲタクフレンズ

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章分けについてですが元に戻しました、ややこしくしてごめんね!
続きです。


じゅうろくわ!

 朝、雨の音と共にわたしは起き上がる、ぼーっとして数秒した後、顔を洗いに洗面所まで歩くことにした。

 

「……雨、雨かあ、どうしようかな」

 

 今日は司と何処か遊びに行こうと思っていたのだが、雨となると限られるなぁ、まぁ外で遊ぶのかって言われても、首を傾げるんだけどさ。

 

 基本インドアだし、そりゃあVRゲームでは動きに動くんだけど……それとこれとは違うじゃんか?基本パソコンだし、外で何かやるとしても……うーん?

 

 ……やっぱわたしの家に来てもらうのが一番かな、うん。

 

 最近来客用に新しく大型モニターを買った、わたしの部屋で多人数でもゲームを楽しめるようにしたので、抜かりはない。ゲームセンターと言っても間違ってはない環境になった。

 

 ナゲット君さまさまだ、全部を任せるのは気が引けたから手伝ったら飴ちゃんとお菓子をくれた、嬉しい。

 

 うん、それじゃ電話しよっか。

 

「司?おーい、聞こえてるかー?」

 

『はいはい、俺様ですが、どーした親友』

 

「あそぼっ、家に来てよ、でかいモニター買ったんだ、二人で何かゲームしよ」

 

『外雨だしそれが良いか……さーてさて何するか今から楽しみだぜ、俺様のゲームセンスに惚れるなよー凪沙!』

 

「ふふっ、はいはい……待ってるよ」

 

 了承の言葉が貰えたので、小さくガッツポーズしてみたり、うーんなら服変えないと……どういうのにしよっか?

 

 あ、また電話だ、なんだろ?伝え忘れた事でもあるのかな。

 

「もしもーー」

 

『先輩?今すぐ先輩の部屋に行って良いですか?ワルイヨカンがするので、ああいえ先輩が嫌なら良いんですよ、ええ、良いんですよ?』

 

「へぅ……勿論です……」

 

『良かった、では』

 

 ピーっと、音声が切れた。

 

 いや、一人増えても全然良いけどさ、なんなんだよ……

 

 

 

 

 人数分のお茶を用意して、いつぞやに着たタートルネックにレギンス付きのハーフパンツに着替える、結構気に入っていたり。

 

 部屋も綺麗にしてる、綺麗好きって訳ではないけど、定期的に人が来ても恥ずかしくない部屋にするのは案外好きだったりする。

 

 思えばこの行為は七年前からずっと続いていて、いつでも人が来て良い、来て欲しいといった願望に近かったのかもしれない。

 

 ふと思ったのだがわたしはかなり女子力が高いのでは?それ自体は別に良いんだが、身近のおんなのこより女子力が高いのは複雑だなぁ……

 

『ピンポーン、っとと、凪沙ー?』

 

「今開けるー!」

 

 扉を開ける手をすこし、躊躇して……開ける。

 

 扉を開けると、いつもと変わらない赤色の髪に、白衣を着たサングラスの付けた司、なんだか嬉しくなってふと視線を外すと。

 

 ーー初菜のアクアブルーの瞳と目が合いました。

 

「うおあ!近いよ!」

 

「えへ、お邪魔しますよ先輩、良いですよね司先輩」

 

「お、おう、俺様は何も言わん」

 

 お邪魔しますと部屋に入る初菜に冷や汗をかきながら、苦笑いをする司と目が合う……ふふっ、なんだか懐かしい空気にわたしもふっと笑みを浮かべてしまう。

 

「ちょっと!玄関で何やってんですか!」

 

「何もやってないよ!?……ま、適当に座ってよ、あっ飲み物用意したよ?」

 

「じゃ俺様もお邪魔してっと、おお~なんて綺麗な部屋なんだ、俺様とは大違いだな」

 

「司は部屋にいる時間が少ないからでしょ?わたしが掃除しに行ってあげよっか」

 

「ちょっと!ダメですよ先輩!気軽に男の人の部屋に行くんじゃありません!」

 

「初菜はわたしのなんなんだ……」

 

「恋人ですけど」

 

「そうなのか?!」

 

「違うわい!司も信じるな!」

 

 こうして三人が一緒に居るのは何年ぶりだろう、七年?八年?本当に久しぶりだ……いやではない名前のつけられない思いが胸にこみあがる。

 

「そうだ!この前ナゲット君からもらったお菓子あるんだ、三人で食べようぜ」

 

「ほーん、どういうお菓子なんだ?」

 

「えっとねー、京ばあむ?ってお菓子」

 

「美味しいですよねそれ、そうでした、私もお土産ありますよ、婚姻届って言うんですけど」

 

「初菜さん!?いや受け取らないよ!?」

 

「まぁまぁそう言わないでください、ここにサインするだけで良いですから」

 

「お、ご丁寧に宮城県発行の同性婚姻届だ」

 

「感心してる場合か!わたしを助けろ司!」

 

「がっはっは!悪いな親友、俺様にも出来ないことはある」

 

 おいいい!?この裏切り者め!目をそらすな目を、そして紙を持って近付くな初菜も!

 

「ほほほっほら!冗談はそれぐらいにして、ゲームしよう!ゲーム!三人で出来るゲームしよう!カーリーグとか!プレハンとか、色々な?」

 

「別に冗談じゃないんですがーーちょっと待ってください、なんで司先輩の隣に座るんですか」

 

「え、別にいいじゃん」

 

「だめですー、ダメなんですー!なら私も先輩の隣に座りますよ、ええ!ここは私の特等席ですからね!文句ないですね司先輩!」

 

「滅相もない。っとと、凪沙、少しじっとしてろー?」

 

「え、う…うん」

 

 じーっとしていると、すい~っと目の前に司の顔が……え、え?なになになんですか?や、ちょっと近すぎないか?待って!隣に初菜が居るんだよ!?ガン見してるよ、怖いよ、ねえちょっと!?

 

 思わず目を瞑るわたしの前髪を、司の手に触れられるーーな、何?わたしは今何をされている?

 

「ふっ、やはり俺様の芸術センスに狂いはなかったぜ」

 

「え、え?わたしに何をしたの?」

 

「ヘアピン、配信見てて思ったけど、こういうの付けたほうが画面見えやすいだろ?前髪まぁまぁ伸びてるしさ」

 

「そ、そっか……その、ありがとう」

 

 たしかに最近は髪が伸びてきて、そろそろ切らないとなと思っていた頃だ、差し出された鏡を見ると、金と黒が交互に交わった月のピンで髪留めされている。

 

 ヘアピンを手で触れる……優しいな、司は。

 

「何良い空気になってんじゃああああ!!研究バカは今すぐ先輩から離れろー!先輩は私から離れるんじゃねー!」

 

「うおっ抱きつくな!てか口調崩れてるよ初菜、ほらバームクーヘン食べよ?」

 

「は!?完璧で清楚な私の口調が思わず……むぐもぐ、おいひいでふ」

 

「じゃあ俺様も頂きますかね!モグ……ウマー!」

 

「あ、ちょっと!私のですよ!」

 

「ど、どうどう、人数分ちゃんとあるから、ね?」

 

 賑やかで、数年前に戻ったような感覚、司は忙しいし、初菜も調べ物があるらしく家にいない事が多い。

 

 それでも今この楽しい気持ちは、心地良い空間は本物で、わたしがたとえこの姿になっても変わらないモノで、わたしと二人との確かな絆なんだ。

 

 この祭りはまだまだ始まったばっかだ、そうだなぁ、まずは何からしよっかな?どうしよっかな?

 

「楽しそうですね、先輩」

 

「うん!……初菜は、たのしくない……?」

 

「まさかそんな!先輩がいるだけで幸せです、まぁ邪魔者一名が今すぐ帰ってくれれば話は別なんですけどね」

 

「おいおいそりゃないぜ初菜ちゃん、久々にあったんだし色々話すこともあるだろー?」

 

「司先輩に話すことは何もーーああいや、先輩の初夜は私のものなので、よろしくおねがいします」

 

「違うからね!?あれは初めてのコラボ相手は初菜にって意味で、そういう事じゃないから!」

 

「何故だろうなぁ、俺様は悔し涙をする立ち位置だったはずなんだがなぁ……」

 

 悔し涙をする立ち位置ってなんだよ、てかまずわたしが初菜と初夜を云々の所を突っ込んでくれないか。

 

「ん……?なぁ親友、このモデル……何処で?」

 

 司はパソコンの隣の機器、『Presenza di elettroni=Moon Program』を指差している、発注を任せたのは司の筈なんだけど……なんだろう?求めていたのと違っていたのかな?

 

「それは司に発注を任せたやつだと思うんだけど、もしかして何か不備でも有った?……別に使ってて悪いことは起きてないよ?」

 

「なら良いんだけどっと、さて何やるよ二人共、俺様的には久しぶりにリトラスとかやりたかったり?」

 

「嫌だ!やらないから!」

 

「ではぼうだあREDでもやりますか?確か高校生の時のデータ有りましたよね」

 

「うん、あるよ……いや待って、何で知ってるの?配信ではその画面は映していないはずなんだけど、わたしのデータ貸してもないよね?」

 

「いやぁそれはその、まぁいいじゃないですか、ほらほら!やりましょう先輩!司先輩もやりたそうにしてますよ?」

 

「俺様リトラスしたい」

 

「リトラスはしない!」

 

 過ぎて行く、短くも長く、尊き時間が過ぎていく、司も初菜も楽しそうだ……わたしも、楽しい。

 

 学生時代に戻ったかのような錯覚まで覚えるほどに、この空間は懐かしく、わたしたちは今日この日まで会う事をしなかった、出来なかった。

 

「じゃあほら、らぶガンしようぜ、交代交代で」

 

「む〜……やだ!ならぼうだあREDする」

 

「お、おお?いやまぁいいけど」

 

「やっぱ先輩は私の勧めたゲームを選んでくれましたね、これはもう私と籍を入れるしか無いのでは?」

 

「いや飛躍しすぎだって!入れないからね!はぁ……ねえ司、初菜壊れちゃったよ……」

 

「親友は知らないだろうが前からこういう奴だったぞ」

 

「ええ!?」

 

 このかけがえのない日々がずっと続いて行けばいいな。

 

 二人と話しながらふと、そう思った。

 

 

 

 

 それから三人で積もる話も交えながら、色々なゲームをして時間を潰した。

 

 ぼうだあREDでわたしだけトラップに引っかかって司に揶揄われたり、嫌々やったリトラスで初菜にホラーイベントが降りかかって怖い怖い言いながらわたしに抱きついたり。絶対怖がってなかったよアレ。

 

 車でサッカーをするゲームカーリーグを三人で組んで一喜一憂したり、三人でマクロスして歌を聞かせたり、司が持ってきたカードゲームでアクセルシンクロしたり。

 

 ゲーム以外の話をするなら、やっぱりわたしや司が卒業した後の技術研究同好会の話を初菜から聞いた。

 

「チャラくてバカな後輩が二人入ってきて、最初は体目当てかと思って去勢してやろうかと思ったんですけど……ま、案外使えましたよ、今何処にいるかは知りませんが」

 

 との事、いや去勢ってこええよ……でもそっか、後輩が入ってきたんだ、それは喜ばしいことで、いろんな研究に貢献してくれたらしい……そういえば聞いてなかった事があって、その事について聞いてみた。

 

「初菜ってさ、なんの仕事してるの?」

 

「……先輩は?」

 

「う、うるさい、わたしは今質問してるんだよ、ほら!」

 

「なぎちゃんはかわいいなぁ……基本的に企業から回された依頼を選別して受ける形ですね、研究したり調査したり解説したり、まぁ色々です」

 

 なぎちゃん言うな!

 

「あぁ初菜ちゃん、この前はありがとなー代わりに研究素材採ってきてくれて、例の件はそろそろ解析を終わるから、安心してくれ」

 

「苦労しましたよアレ、宇宙微粒子なんて何に使うんです?……まぁ良いですけど」

 

「また危険な事?大丈夫なの……?」

 

「大丈夫大丈夫!心配されるような事はねぇよ」

 

 と司は言っていたけど、心配だな……怪我とかしないで欲しい、自意識過剰かもだけど、それがわたしの為にやってるのかなって思うと気恥ずかしいし嬉しいけど、なんだか、やだなって思うのは自己中なのだろうか。

 

 そんな不安げな表情を悟ったのだろうか、わたしの頭を司の手でくしゃくしゃと撫でられる。

 

「ふにゃ……」

 

「ちょっと!何やってんですか!羨ましい!私にも撫でさせろ司ァ!」

 

「ちょ、やめ……は、初菜、くちょう、くちょう」

 

「は!ごほん、つい動揺してしまいました、司先輩後でオハナシガ」

 

「はっはっはっは、助けてくれ親友」

 

「わたしにも出来ないことがある」

 

 あの後廊下に連れ出されてたけど、大丈夫だっただろうか……サングラス越しから助けるを求める目を無視してバームクーヘンを食べたわたしを許して。

 

 そんなこんなで時間は過ぎて行き、夜は直ぐに訪れるもので。

 

「そろそろ帰っかな、良い時間になってきたし」

 

「……別にもっと居ても良いよ、外雨だしさ、泊まってこ?」

 

「ちょっと!だめですよ先輩!狼を家に入れないで下さいよ!あ、それともわたしに言いました?えへへ〜……末長く同衾しましょう?」

 

「わたしからしたら初菜が狼みたいに見えるよ……それに同衾しません」

 

「……先輩がいじめる、司先輩、何か言ってやって下さいよ」

 

「がはは!……いやまぁ、とりあえずはもうちょっと危機管理と貞操観念をしっかりな?」

 

 ぬう、別に司以外にこんな事言わないし、親友だから言ってるんだし、ちゃんと危機管理出来てますしー!

 

「まっまた今度遊ぼうな、ここ(日本)での用事もまだ終わってないし暫くは居るからよ」

 

「むぅ……わかった、また会おうね」

 

「おう!それじゃあな、凪沙」

 

 玄関まで歩いて扉を開ける、ニカッと笑って帰っていく司に、親友は変わらないなって安心感と、寂しい気持ちが入り交じる……こんな気持ちを司に抱くなんて思わなかったな、七年も人とまともに関わってなかったから、人恋しい気持ちになってるのかな。

 

 いつまでも玄関に居るわけには行かない、体を振り返ると。

 

 ーー初菜のアクアブルーの瞳と目が合いました。

 

「うおおお!?だから近いってば!」

 

「えへ、二人きりですね、先輩……」

 

「え、いや、初菜は帰らないの?てかジリジリ近づかないで」

 

「あは、何言ってるんですか、今日は泊まるって私言いましたよ」

 

「いや言ってないよね!?ちょ、だから近づかないでってば……」

 

「ふふ、先輩……」

 

 じりじりと壁際に追い詰められる、ゆっくりと手を握ってくる初菜に、わたしはどうすることも出来ない、振りほどこうとすれば確かにできる、だけどわたしはこの少女を拒絶出来ない。

 

「ねえ先輩?わたしは先輩が好きです、この世界で一番、人生で一番、誰よりも好きです」

 

「う、うん、わかった、わかったから……離れて」

 

「わかってないです、ダメダメです、だめだめなぎちゃんです、本当に分かってるなら先に司先輩を帰したりしません」

 

 初菜の目がわたしの瞳を覗く、真意がわからない、目の前の少女は確かにわたしの瞳を見つめて、瞳以外の何かを確かめるように覗いてくる。

 

「やっぱ先輩、ちょろいですよ、そんなスキだらけじゃ直ぐに食べられちゃいますよ……?」

 

 初菜の左足がわたしの両足の間に絡まるように、それと同時に瞳が近付く、美しい初菜の顔が迫る。

 

 これはーーまずい。

 

「や、いやっ……はつな、やめて……お願い」

 

「……先輩」

 

 ーーちょっとまって、なんでこうなってるんだ!?

 

 だめだ、考えがまとまらない、顔が赤くなってきた、蠱惑的な空間に当てられて酸素も足りなくなってきた。

 

 目を閉じる。体の震えが止まらない、それでも初菜を拒絶することだけは出来ない、友達を、親友を、わたしを第一に考えてくれる、彼女は拒絶出来ない。

 

 柔らかい吐息が耳に残る、首にかかった熱に鳥肌が立つ。せめて、最初はーー

 

 

「なんて!冗談ですよ、冗談、先輩がいやなら手を引きましょう」

 

 

 そう言ってパッと大げさに手を離して、わたしから距離を置く。

 

 絶対冗談なんかじゃなかった、マジだった、一線超えててもおかしくなかった……司ぁ!今すぐ帰ってきて!やっぱりこの娘おかしいよ、おかしいよーー!!

 

「先輩、嫌な気持ちは吹き飛びましたか?」

 

「……まぁ、でもだからってやりすぎだよ、もうしないで、マジで」

 

「あは、ごめんなさい。でも先輩には心から笑っていてもらいたいですから、怖がるなぎちゃんも好きですけど」

 

「なぎちゃん言うな!」

 

 にやにやと笑う顔をそのままに、玄関の方へと足を進める。帰るのかな、いや、泊まって欲しくは無いんだけど、帰って欲しいんだけどね。

 

「先輩、今日は楽しかったです、今日も配信やるんですよね、見てますから、配信でも楽しんで下さいね」

 

「ん……こんど、初菜の配信の方にも遊びに行くから」

 

「本当ですか!?最高ですかよ……では先輩、また近い内に」

 

「またね」

 

 扉が閉まる最後までわたしを見つめ続ける初菜に、複雑な気持ちを抱きながらも、やっぱり寂しいなって思う気持ちもあるようで……でも仮に初菜を私の家に泊めたらもう色々と戻れない気がする。

 

 扉が閉まる、残惜しいさもほどほどにリビングに戻って後片付けをし始める。

 

「……ふふっ、初菜には困ったけど」

 

 楽しかったな、なんというか勇気が出てきた。

 

 今日の配信もめいいっぱいにたのしんでやろう。

 

 

 

 

「りるるん!……最近は掛け声のボキャブラリーに悩んでます、なぎちゃんだよー」

 

『りるるん!』『るんるんりるるん!』『鈍器で殴るな』『きゃおいきゃぴなぎちゃん』『うおおおおお!』『出かわ』『生きがい』『存在する天使』『疑問。20000人弱の視聴者の職業』『やめろ』『やめろ』『お前、ピザ』『仕事終わりの酒のなぎちゃん』

 

「仕事お疲れさま、配信……楽しんでね?」

 

「さてまずは、宣伝から済ませちゃおうかな、今週の土曜日の配信は記念すべき第二回目のロストデイメモリーのデモプレイ配信だー!!」

 

『うおおおおおおお!』『うおおおおおお!』『まじ?』『知ってた』『予定調和』『二回目案外早かったな』『SSS社公式アイドルやろこんなん』『否定しません』『肯定します』『パパ頑張りましたよ』『有能無能、久々に有能!』『でもパパの座はもう無いよ』

 

「それでね?二回目はなんとなんとゲストさんが来てくれるみたい!……誰なのかはわたし教えてもらってないんだけど、その、知らない人とは話せないんですよ。聞いてますか?SSS社さん」

 

『草』『草』『有能無能、無能!』『よわよわなぎちゃん』『誰がゲストなのか教えてもらってないプロゲーマーがいるらしい』『大物だよ!』『大人気だよ!』『アイドルだよ!』『で、誰だよ』『近日公開!』

 

「もう水曜だよ!今日含めて後4日だよ4日!今公開してよ!……多分わたしの配信が終わったぐらいに公式HPで公開されると思います」

 

「よし、そういう事で宣伝終わり!今日はね、このゲームをやるぞ〜?」

 

『お?』『なんだ』『なぎちゃんヘアピンかわいいね』『おでこぺろぺろ』『ぺろぺろ』『もしやこのゲームは……』『で、出たー!リアルタイムストラテジーゴットゲーム、まおなまだー!これ好き』『育成ゲームとな』『はえー』

 

「ん、へへ……ヘアピン、似合ってる?」

 

 説明しよう!まおなまとは、リアルタイムストラテジーゴットゲーム『魔王のくせになまいきじゃい!』の事である!

 

 ストーリーは、勇者の娘が「すーぱーみらくるゆうしゃぱわー」で神であるプレイヤーを呼び出した所からゲームが始まるぞ!

 

 簡潔に言えば、ダンジョンに逃げた勇者の娘と、食物連鎖によって強力な動物を育てることで、次々とダンジョンに侵入してくる魔王たちを倒し、大魔王を倒して王国を取り戻す事が目的のゲームだぞ!

 

 勇者の娘は、剣も握れなければ畑仕事もした事もない魔法の知識も体力も頭も足りてないあほあほ勇者の最弱娘だから何も出来ないぞ!使えないね!でもかわいいから許しちゃう!

 

 え……?似たようなゲーム性のゲームがある?パクリ?のんのん、オマージュと言ってほしい!と、中小企業の電磁基盤工場の社員達は語る!この人たち自分達でリスペクト作品作るの得意だね!怒られろ!

 

「VR版もあるよ、みんなはどっち派?やっていくぞー!」

 

『うおおおおおお!』『楽しみ』『RTA業界が未だにブームのゲーム』『ほうき会社こういうの作るの好きよな』『ちゃんとゲームは面白いから許せる』『まぁ元となったゲーム会社も潰れちゃったし……』『悲しいなぁ』『僕はVR派』『わいも』『わしも』『PC版派です』

 

「いやー実はPC版ではやった事なくてさー?どんな感じなんだろう……お、早速我らのヒドイン勇者の娘のお通りだ!」

 

『かわいい』『かわいい』『二画面天使幸せ二倍』『最高か?』『ワイプに天使、画面にクソザコ』『娘ちゃんいじめはやめろ!』『娘虐はやめろ!』『かわいいなあ監禁したい』『ひぇっ』『偽物兄者は監禁が趣味か何か?』『性癖です』『治せ』『治すな』

 

「いや治そうね、やめようね偽兄さん、もうお兄ちゃんって呼ばないよ」

 

「全7ステージあって、ステージが上がる事で難易度が増えていくよ!強い動物を作るための養分のLvとかが少なくなったり、魔王達の特殊スキルが増えたりとかね〜」

 

『このツルハシで掘る音が良いんだ』『最高』『好き』『なぎちゃん好き』『わかる好き』『ちなみに養分と聖分の二通りあって、養分で出る動物はうさぎ、次にクマ、次にドラゴン。聖分からは聖霊、次にリリス、次にエンジェルです』

 

「ねえ、いつも思うんだけどリリスって悪魔系統だよね……?」

 

『ほうき社曰く、性癖』『草』『草』『まぁかわいいし』『そういう所やぞ』『リリス…なぎちゃん…閃いた!』『描いたろ!』『早速出口付近にドラゴン作ってる』『えちえちなぎちゃん』『リリスリスなぎちゃん』『5点!』『そんなー』

 

「まぁかわいいよね……お、そろそろ最初の魔物だ、うさぎ地獄は作らないであげよう、ドラゴンに喰われてしまえー!」

 

『しまえー!』『かわいい』『かわいい』『ツルハシ持った神になるプロゲーマーがいるらしい』『自称やぞ』『勇者の娘、たまに私も戦うー!とか言って突っ込むの辞めて欲しい』『役立たずが出しゃばるな』『引っ込んでろクズ』『娘虐するな!』

 

「そうだぞー?勇者の娘ちゃんはかわいくて元気で……なんだからなー?」

 

 ごめんね娘ちゃんフォロー出来てなくて……かわいいと元気以外の取り柄がない自分を恨んで。

 

「まぁ初戦は勝てますよ、ほらほら次々!」

 

『あっ』『イキリタイム』『イキりなぎちゃん』『今日も楽しそうでええなあ』『ええわあ』『なぎちゃんぺろぺろ』『あまり舐めるな』『ヒェッすみません……』『いいよ』『なんやねん』

 

「あ、そういえば……1ステージの最後の魔王の名前……言わなくてもわかるかな?」

 

『ほーん?』『もう草』『わからないなあ草』『いやぁ……草』『一体なんなんなんだろうなー?』『まさかそんなあのなぎ民の名前かー?』『あっ(察し)』『千里眼使わなくてもわかる』

 

「よーしよし順調……そだ、ヴァルキリーつーくろ!」

 

『強い』『戦力過多』『養分が一定数溜めて1ブロックにすれば出来る動物……?』『動物とは?』『適当が過ぎるよ!』『ほうき社曰く、これも性癖』『草』『一生ほうき作ってて良いよ!』『そういや新しい空飛ぶほうきの型番出てたよ』

 

「へぇ〜、でもほうきって免許いるんでしょ?しかも事故率多いし……みんな事故とか、怪我とかしないようにね、なぎちゃんとの約束」

 

『はーい』『はーい』『かわいい』『あーすき』『やっぱ天使や』『昨日のなぎちゃんも好き、今日のなぎちゃん好き好き好き』『昇天(御臨終)』『頭なぎなぎしてきた』『わかるなぎなぎするわ』

 

 前から思ってるんだけどなぎなぎって結局なんなんだ……なぎがゲシュタルト崩壊を起こしそう。

 

「あ、そろそろ最後の魔王だよ!準備は良いな?わたしは出来てる」

 

『ざわ…ざわ…』『なぎ…なぎ…』『まだだッ…!まだだッ…!』『後少し…ッ!後少し…ッ!』『ちょっとだけかわいそう、良いぞもっとやれ』『唯一なぎちゃんに一番いじられるなぎ民よなぁ』『正直羨ましい』『わかる』『わかる』

 

 勇者の娘ちゃんが最後の魔王が来るよと告げる、準備は万端入り口には二体のドラゴン、その先にはヴァルキリーとうさぎ達、抜けた先にはクマとリリスのハーモニー……さあ来い!

 

「魔王エリックーー!!」

 

『草』『草』『エリーーーック!』『エリック?!』『ついに魔王になったエリック』『みんな大好きエリック』『なぎちゃん公認なぎ民マスコット、エリック』『エリック、初めての魔王』『攫いに来たぞ!勇者の娘よ!(cvエリック』『エリック……草』『う、うう…ううう!』

 

「な、泣くなよ!いじりすぎた……ごめんね、魔王だもんね、威厳とかあるよね、ごめんね」

 

『草』『鬼畜で草』『追い討ちでしかない』『あくどい顔してはりまっせ?』『羨ましい』『わからなそうでわかる』『人気者やなぁ……』『魔王エリック案外強くね?』『仮にもステージの最後の魔王やし』『これが魔王エリックですか』

 

「でもヴァルキリーには負けるでしょ、ほら」

 

『グワーー!(cvエリック』『草』『呆気なく負けたな』『クソザコ魔王エリック』『疑問。魔王エリック弱過ぎる』『よわよわ魔王エリック』『腹が痛い』『酷い』『ほらまたゲーム練習しような』『俺も付き合うからさ!』『私も』『僕も』『ブラックも』

 

「ふふっ……ならその時はわたしも呼んでね、直々に稽古をしてやろーう!」

 

 夜はまだまだ始まったばかり、わたしの楽しむ姿を、なぎ民のみんなにもっと見せたい。楽しんで貰おう。

 

「さてさてまだやるよ!この調子で7ステージまで一気にクリアしちゃおっかなー!」

 

 

 

 

「配信しゅーりょう……っと、ん〜日付変わっちゃったな〜」

 

 あの後もなぎ民のみんなと楽しんで、無事全7ステージクリア、RTAとかは意識してなかったからワールドレコードとかには載ってない。

 

 あ、そうだ。お風呂はいっておやすみする前に、土曜日の時のゲストの相手を確認しないと。

 

「えーと、フィリス・リーベルフィールちゃん……て、え?」

 

 ゔぁーちゃる教団のアイドル、教祖たそでお馴染みのフィリスちゃん、いや、様がゲスト?

 

 ま、まじですか?




今日もなぎちゃんがかわいい。

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