「それで、あんた一体何者なの?」
魔理沙を神社に運んで看病を終えた霊夢が創に改めて聞いた。
それを聞いた創は、少し考えるように俯いた。
「…わかった。
でも、記憶が戻ってきたと言っても少しだけだから、確信のないことは言えないぞ?」
「えぇ。
今はそれで良いわ」
創は話した。
自分が持ってるベルトと時計型のデバイスの使い方について。
自分のいたところは人間が狂気に犯され妖怪に反乱を起こし、戦争が起きたこと。
「…」
創の話を聞いて、霊夢は少し考える。
「人間が妖怪と戦争?
しかも、人間が狂気に犯された?
…今のところ、人里ではそういうのは聞かないわね。
まさかだと思うけど、その狂気って、さっきの魔理沙よね」
「でも、確かにそのはずなんだ。
…というか、妖怪がいる世界ってあるのか?」
「少なくとも、この幻想郷はそういう世界よ。
なにせ、妖怪とか神様にとっての、最後の楽園でもあるんだから」
「マジで!?
じゃあ、俺がいたところって…」
「…そう言えば、あんたを拾った時、神社の鳥居の前で空間が開いてたわね。
あんた、そこから傷だらけで出てきたのよ」
「その空間の穴から俺が!?
まさか…!」
「多分、あんたは幻想郷の住人だけど、平行世界か過去か未来の世界ね」
「…」
「ま、私の勘だけどね。
ところで、そのベルトと時計なんなの?
あんたさっきそれで変身してたでしょ?」
霊夢は創が持っているベルトと時計型のデバイスを見ながら言った。
「…これはジクウドライバーとライドウォッチ、だな。
なんでか、その名前が出てきたけど。
それで、俺が変身に使った赤いやつはゲイツライドウォッチ」
そう言って創はゲイツライドウォッチを霊夢に見せた。
「ふーん、なるほどね」
霊夢はあまり興味なさげに言いながらも、目は少し鋭かった。
「今でもあんまり信じられないことだけど、魔理沙のこともあるし。
今の幻想郷に何かがあると見て間違いなさそうね」
「あ、あぁ」
「ところで、あんた行く当てあるの?
ないならこの神社に住み込みでさっきの調べてみたらどう?」
「おいおい、良いのかよ。
治療したならわかるけど、俺は男だぞ?」
「その点は大丈夫よ。
別々の部屋で寝れば良いし」
「そ、そうか。
それじゃあ、よろしくな!」
「えぇ、こちらこそ」
「う、うぅん…、霊夢…?」
創と霊夢が話をしている時に魔理沙が頭を押さえながら起き上がった。
「あら魔理沙、目が覚めた?」
「あ、あぁ…。
何でか頭が少し痛いけど、何とかな。
あれ、そいつ誰だ?」
魔理沙が創を見ながら聞いた。
「俺は未来院 創。
ちょっと記憶がないけど、よろしくな」
「お前、記憶喪失ってやつなのか?
私は霧雨 魔理沙、普通の魔法使いだぜ」
「そう言えば魔理沙、あんたなんでいきなり襲ってきたのよ」
「え?」
霊夢の言葉に魔理沙はきょとんとする。
それから魔理沙に話をしていると、魔理沙には、先ほどの記憶が一切ないという事がわかった。
「なあ魔理沙。
どこまでなら、覚えてるんだ?
記憶がなくなる直前に何かあったんじゃないのか?」
「え?
えーと…」
魔理沙は少しずつ思い出しながら話した。
記憶がなくなる前は家で魔法の研究をしていたこと。
だが、そんなときに声が聞こえて、力が欲しいかと言われたこと。
声だけで姿は見えなかったが、そこに誰かがいると感じた。
魔理沙は自分で努力するからと最初は断ったが、これを使えば、お前はそんな無駄な努力をしなくても偉大な魔法使いになれると言われて歪な時計を見せられたこと。
その時計から発する不思議な力に、最初は抵抗しようとするも、次第に抗えなくなって、結局それに頼ると言ってしまい、その時計を手にしてしまい、そこから意識も記憶も飛んでしまった。
以上が魔理沙の話だった。
「なるほど、わかった。
でも、その声のやつは一体誰なんだ…?」
「なぁ、良かったら私もそれ協力しても良いか?
私は、努力してすごい魔法使いになりたいのに、意識も記憶もない、しかもその間に暴れてたとなると、騙された気分になるのぜ!」
魔理沙は拳を握りながら震えていた。
「…ありがとう。
それじゃあよろしくな」
「おう、こっちもよろしくだぜ!!」
こうして魔理沙の協力を得ることができるようになった。
「…どうでも良いけど魔理沙、あんたさっき神社の庭荒らしたんだから片付け手伝いなさいよ?」
「えぇ!?」
このあと、三人で荒れに荒れてしまった博麗神社の庭を日が暮れるまで片付け終わった。