強化クエのおかげでうちのバスターゴリラも天気の子になりました。今から晴れるよ……!
メイドオルタ?いつか強化くるといいなあ(逃避)
『起源』、というものを知っているだろうか。
もちろんその単語自体は知っているだろうが、ここで言う起源とは型月世界における『起源』のことだ。
と、偉そうに切り出したは良いものの、実は僕自身もよくわかっていない。
まあ簡単に言うと、あらゆるものが持っている自らの本質、宿命、存在意義のことだ。誰しもが起源を持っており、その人物の性格や思考はそれに左右される。らしい。
しかし、魔術師の世界ではそれだけでなく、使用する魔術やその適性に影響を及ぼすようなものもある。そこまで強く起源が表に出ている奴は珍しいが。
かく言う僕も、少し起源に基づいた能力を持っている身だ。正直その能力が僕はあまり好きではないのだが、だからこそ僕の起源は僕の魔術に影響を及ぼしているのかもしれない。
…………なんて引っ張っても特に何かがある訳でもないので、さくっと発表しよう。僕の起源は『奪取』と『譲渡』で、基本的には魔力の移動を可能としている。これのおかげで、北欧では
と、まあ。これらの起源のおかげで僕は『強化』と『転換』が得意なのだが(転生を経験したことももちろん関係あるだろう)、僕はこの自身の起源があまり好きではない。
最初に言った通り、起源は性格や思考を決定づける。僕は昔からそうだった。他人のものを奪い、そしてそれに簡単に飽きる。飽きて、明け渡す。執着など微塵もないかのように。
何が言いたいのかというと、とどのつまり僕は生粋のクズだってことだ。なんと言うか、僕の本当の起源は『性欲』なんじゃないかってくらい女関係がガバガバ。奪うこともあれば、全くの執着もなく手放すこともある。
だから、そんな僕には勿体ないのだ。こんなに真面目で、一途で、優しく、綺麗で、他人を想える女の子は。まったくもって
彼女はとても魅力的だ。でも、僕は彼女一人を愛することなんてできない。いや、誰かを愛することがそもそもできないのだ。だから僕は変われない。彼女の想いに応えることができない。
長々と語ったが、別に起源のせいで人格が曲げられたとかそういう訳ではない。僕の本質がそういう起源なのだ。衛宮士郎のように後天的なものではなく、先天的な起源。
だからこそ、どうしようもなく僕はそういう人間で、そういうところが嫌いなんだ。ずっと。
そしてそれは、これからも変わらないだろう。
「というわけで、オフェリアの想いには応えられない」
「納得いきません」
…………納得できないって何?
「随分と長いこと説明してたけど、それでも私は貴方が好きなの。そんな理由じゃ納得できないわ」
「いや、だからさあ。僕はクズでゴミみたいな人間だから。誰か一人の女の子と付き合って────とか無理なんだよ。オフェリアはとても魅力的だし、友達としても凄い好きだ。だからこそ適当に相手したくないというか。相手が適当ならこっちも適当で良いけど、相手が本気なら軽い気持ちで手を出すべきじゃないというか…………」
やばい。なんでこんな言い訳してんだ僕。例を見ない長台詞だぞ。
居心地が悪くなり、少し頭を掻く。思いの外オフェリアの諦めが悪いというか、意志が固い。
「……別に、私一人を見てなんて贅沢なことは言わないわ。エドワードが
「…………それが無理なんだよ。オフェリアにはもっとちゃんとした男が似合うし、オフェリアのちゃんとした想いに適当に応えることはしたくない。僕なりのケジメというか…………」
なんというか、彼女は今までの子とは違う気がするのだ。僕という存在を隣における優越感とか、ステータスとか、顔や身体目当てじゃない。『僕』を見ている。その上で好意を抱いている。
…………本当にやりづらい。
少しだけ、めんどくさい思考に陥る。別に本気で悩んでいるわけじゃないし、解決する気もないが。それでも時々考えてしまう。
そんな僕の様子を見て、少しだけ息を吐いたオフェリアが切り出した。
「…………貴方の気持ちはわかったわ。でも、別に私のことが嫌いなわけじゃないようだし。意識してくれてるってこともわかったから。これからも私は貴方が好きで、その想いは諦めない。きっと、他の誰かを好きになることもないわ」
「…………重いなあ」
スッキリとした笑顔でそう告げる彼女に、思わず素直な感想が零れる。重いってなによ、なんてむくれるもんだから、つい僕も笑ってしまった。
結局、そのまま二人で僕の家に帰った。行きと同じ、友達のまま。
だけど、ほんの少し。
気持ちは進んだ気がした。
「……………………」
「どうしたぐっちゃん。何その顔」
「オフェリアから色々聞いたのよ……」
後日、話があるとぐっちゃんに呼び出された僕は謎の視線を向けられていた。
なんというか、怒ったような、呆れたような。そんな視線。
「……アンタねえ。散々遊んでるんだからあの子の気持ちにも応えてあげなさいよ」
「いやいや、そこは友達として許しちゃダメでしょ」
「今更アンタに一途なんて期待してないわよ。それにオフェリア本人がそれでもいいって言ってるんだから」
「ぐっちゃんにも言ったのか…………。てかやっぱ人間と価値観違うなあ、真祖」
「当たり前よ。人間なんかと同じ価値観でたまるかっての」
いやまあそうだけども……。他人の恋愛に関しては奔放なのね。自分はあんだけ一途なくせに。
そんなことを考えながら彼女を見ていると、ふと思いついたかのように口を開く。
「それに、オフェリアもちょっとは気合が入ったようだし、これからはアピールもしっかりしてくるんじゃないの?」
「…………なるほど」
たしかに、もう僕に気持ちは知られてるわけだし。そう考えると少し自分の理性に自信がなくなってくるが、まあ頑張るしかないだろう。頑張れ、僕の鋼の意志。
「まあでも、気まずくなったりしなくて良かったよ。お互い友達としても好きなわけだし、そこらへんは心配いらなかったね」
「ホント、人間は面倒くさいわね」
「一番めんどくさい恋愛してる奴に言われたくねえ」
あっ、叩かれた。痛い。
項羽さま、あんたの嫁さん鬼ですよ。
というわけで、最近ごたごたしていたが、ようやく色々と落ち着いてきた。異聞帯や空想樹、ぐっちゃんやオフェリアのこともなんとか一段落したのだ。多分。
なので、お待ちかねのインド異聞帯観察である。この前ぺぺと通信したところ、なんと自身の異聞帯の王に裏切られたらしい。そろそろストーリーの始まりといったところだろう。
しばらくすると、案の定カルデアがインドに現れた。そこからはまあ本当に色々とあったのだが…………。一つ言いたいことがある。
ぺぺ、それ僕のポジションじゃね?
僕の目標というか、今後の身の振り方として『ベ〇ータ・ピッ〇ロポジション』というものがある。ようするに「最初悪役だったのに負けてからなんやかんや仲間になる奴」だ。
最終的にはこれに落ち着くことで生きながらえようと思っているのだが…………。
ぺぺに先越された!!!!!!
かんっっっぜんに理想ポジションじゃん!シャドウボーダーに乗って、立香やマシュと行動を共にする!そして異聞帯を攻略する!
…………なんだろう、アルジュナとかカルナとかガネーシャとか。インドは色々とぶっ飛んでて凄かったが、ぺぺが一番記憶に残ってしまった。ほんと生存能力高いな。
ちなみに、何度か助けようか迷ったが、デイビットやコヤンスカヤがいたので僕のやることは特になかった。まあさすがに干渉しすぎるのもな。ストーリーの流れ変えちゃうかもだし。
……………………今更か。
これでカルデアに敗北したクリプターは綺麗に二つに別れたな。カドックとぺぺがキリシュタリアの異聞帯に。オフェリアとぐっちゃんが僕の異聞帯に。
ちなみに、ぐっちゃんが僕の異聞帯にいることはクリプターに報告してある。コヤンスカヤがあれだけ目の前にいたので当然っちゃ当然だが。オフェリアについては、未だ死んだということにしているままだ。…………ぶっちゃけ、神様の力で大体のことは誤魔化せることが判明したので、隠す意味があるのかと最近思っている。
……まあいいか。クリプターの面々はともかく、異星の神は全くもって信用ならないし。
にしても、もう四つ目の異聞帯が攻略されたのか。僕のを含めてこれで半分。もし原作通り進むなら次はキリシュタリアのとこになる。
めちゃくちゃ気になるなあ。リーダーが五番目て、普通は七番目だろ。僕がいる時点で順番もクソもないような気はするが。てかよく今まで僕のところ来なかったな。これで八番目とかだったら嫌だよ?ラスボス感出せねえぞ、僕。
まあしばらくは適当に修行して待っておこう。生き残るためには鍛錬あるのみだ。タケミカヅチやスサノオ、項羽にも色々教えてもらおう。
目指すはストーリーの完結、そして僕の生存だ。そのためなら
全てにおいて優先されるべきは僕の命なのだから。
───────ふと、目が覚める。
未だ覚醒しきっていない意識のまま、私のためにわざわざ用意されたベッドから身を起こす。日本の異聞帯には全く似合っていないが、やはり床に直で寝るよりは落ち着く。
辺りを見渡すが、周囲は真っ暗だ。どうやら変な時間に起きてしまったらしい。
どうにもそのまま寝れる気がしなかったので、私は灯りを持つと部屋の外へ出た。魔力を通すと光るランプのようなものだ。そして、彼────エドワード・エヴァンズの家の中を歩きながら思う。改めて、同じ建物の中で生活しているのだと。
…………意識すると恥ずかしくなってきた。
ふられたとはいえ、まだ好きなものは好きなのだ。慣れるのも難しい。
……………………ふられたのよね……。
「はぁ…………」
思わずため息が零れる。諦めていなくとも気が滅入るというものだ。あの鈍感(?)頑固女たらしを落とすにはどうしたらいいのだろうか。
一応人妻であり、想い人と相思相愛であるヒナコにアドバイスを求めたりはした。ただ、思ったよりプラトニックというか、純情な彼女の意見はあまり参考になりそうになかった。なにせ恋愛経験が一つしかないのだから。
私が言えたことではないが。
そんなことを考えながら、水でも飲もうかと歩いていると、ふと物音が聞こえた。
なんとなく覚えがあったので、とある部屋に向かう。
そこにはやはりというか、色々な武器を振るエドワードの姿があった。
彼が深夜に体を動かしていることは珍しくはない。今の私のように眠れない時は少し鍛錬をするらしい。実際今までにも何度か目撃したことはある。そういった時のためにわざわざ運動部屋というか、修行部屋のようなものを用意しているのだ。
部屋の中は僅かな灯りのみで、彼は白い月の光に照らされていた。
剣や槍、薙刀や日本刀、メイスのようなものやよくわからない武器など、とにかく色々なものを使っている。その動きはとても洗練されていて、型や舞いとは違った印象を受ける。
彼が最も効率的に動ける、実戦的であることを突き詰めた動き。
それでも、月光に照らされる彼の姿は、とても美しかった。
──────彼は、一体何を恐れているのだろう。
異聞帯に来る前から、彼はとても強かった。研究や魔術のためではなく、戦闘に関する技術についてのみ、ひたすら鍛え続けてきたらしい。
そんな彼は、異聞帯の神様からのバックアップを得て更に強くなった。それこそ、スルトにダメージを与えられるほどに。
だからこそ、より疑問なのだ。彼はまるで、何かに追われるかのように自身を鍛え続けている。何故、そこまで自らを追い込むのか。何故、時おりとても不安そうな表情をするのか。
私には、わからない。彼はその胸の内を明かさない。
それは私を含め、誰にも。
いつか、彼を支えられるようになりたい。彼に頼って貰えるようになりたい。いずれ彼の不安に寄り添う者が、私であったならば。
しばらく見ていると、まるで最初から気づいていたかのようにエドワードが声をかけてくる。……わかっていたなら反応してくれればいいのに。そんな気持ちも、彼の意地悪気な笑顔を見るとすぐに消え去ってしまう。なんともずるい男だ。
今は、ただ。
こうして彼の隣にいよう。彼の傍にいよう。
それが私────オフェリア・ファムルソローネにできることで、私のしたいことだから。
随分前から書いていたので前書きにタイムラグがありますね。
というわけで、これにてインド編(インドとは言ってない)終了です。5章くるまでifでも書いとこうかな…………。投稿するまでに5章きそうとか思った奴はガンドな。
忙しかったのですが、ギリギリなんとか北斎を宝具5にできました。イベントは計画的にやれってあれほど(ry
ではまた、すぐにお会いしましょう(希望的観測)。