随分久しぶりの更新な気がしますが、気がするだけですよね?
…………すいません。お待たせした割に短めです。見えないと思いますが土下座してます。本当です。これが覚悟だ!
──────一体何故こうなったのだろうか。
何度考えても答えは出ないが、現実として起こった以上受け入れるしかない。別に嫌なことが起きた訳ではないのだから。ただ、そう。少し不安が残るというか、僕が想像していた結果と違ったというか。
まあ、ウダウダ悩んでいてもしょうがない。こういう時は冷静に状況を客観視すれば良いのだ。しっかりと現状を振り返っていこう。
まず一つ、人類最後のマスター(になるはずだった)一般人、藤丸立香ちゃんが召喚したサーヴァント。これは全くもって問題ない。それどころか現状では最高だと言っても過言ではないだろう。
セイバー アルトリア・ペンドラゴン
アーチャー エミヤ
ランサー クー・フーリン
キャスター メディア
アサシン 佐々木小次郎
更にあのバーサーカー、ヘラクレスまで喚んだのだ。不満なんて一切ない。
問題は僕のサーヴァントだ。なんというか、メンバーを見てくれれば僕の悩みがわかると思う。
セイバー アルトリア・ペンドラゴン [オルタ]
ライダー メドゥーサ
アサシン 酒呑童子
アサシン 呪腕のハサン
バーサーカー ランスロット
そしてアヴェンジャー エドモン・ダンテス。
……………………うん。アレだよね。正当な英雄が少ないよね、まず。セイバーはオルタだし、メドゥーサはいわゆるギリシャ神話の怪物だし。酒呑童子も人間の敵(?)である鬼だし、ランスロットはランスロット(狂)だし。そして岩窟王は復讐鬼だ。唯一まともそうな呪腕のハサンも一応は暗殺者だし。
なに?僕には色物しか喚べないって制約でもあるの?正当な英雄と契約できないの?既に嫌な予感しかしないんだけど。絶対今後もオルタとか反英雄ばっか僕のとこ来るでしょ。
確かに生き残る為には手段を選ばないタイプではあるが。
変なサーヴァントでもまとめることができる立香ちゃんに回すべきだろ、色物枠は。僕には制御が簡単なサーヴァントを回してくれよ、なんて思う。まあ、正当な英雄とは考え方というか、やり方が合わないだろうしこれで良いのかもしれないが。
それにしたって、幸先が不安になる英霊召喚だった。
ちなみに、概念礼装とかは召喚で出なかった。良かった、リアル路線で。ゲーム準拠の世界だったら爆死確定だったぞ。
まあ、それはそれとして。サーヴァントとマスターの間で一番大事なのはコミュニケーションだ。例え僕のサーヴァントが変な奴ばっかだとしても、そこは疎かにしてはいけない。アニメを見たことある奴なら分かるだろうが、サーヴァントと仲良くないマスターは大体負ける。
というわけで、色々と会話をしてみよう。
「はい、ハンバーガー。エミヤさんに頼んで作ってもらったやつだけど、味は既製品に劣らないよ。マク○ナルド好きの僕が保証してあげる」
「なんだと?…………なるほど、闘いだけのマスターではないということか。良いだろう、一応は貴様の命令を聞いてやる。その代わり毎日ジャンクフードを差し出せ」
「いや、流石に毎日はキツい。三日に一回くらいで勘弁してくれ」
「…………むぅ。ならば憂さ晴らしに付き合え、戦闘訓練の相手ぐらいしてもらうぞ」
…………殺す気か?
「お疲れ様。霊基の調子はどんな感じ?」
「……とても調子は良いです。これなら吸血を行う必要もないでしょう」
「それは良かった。魔力量だけが取り柄だからね。色々と不便はかけるだろうけど、よろしく頼むよメドゥーサさん」
「ええ。色々と──────よろしくお願いします」
…………なんだろう。寒気というか、ナニカ狙われている気がするけど気のせいだよな?
「へぇ……旦那はんったら、ようやくうちに食べられる気になったん?旦那はんほどのイケメンならいつでもええんよ?」
「いや、今日はそういうので来た訳じゃないから…………。そりゃ僕も大歓迎だけど、ちょっと早すぎるというか、食べられるより食べる側が良いというか」
「もう……旦那はんったらいけずやわぁ」
「まあ、またいつか一緒に飲もうよ。確かお酒好きなんだよね?」
よし、お酒の場ならもっと仲良くなれるだろう。……なんかまた身の危険を感じるけど、なんだろうこれ?命の危機って訳ではなさそうだし。あれか?貞操の危機か?
と、そんな感じで新たに召喚したサーヴァントとはしっかり対話をしている。立香ちゃんのサーヴァントに関してもそれは同様だ。これから協力していかなきゃならないので、そこらへんも怠っていない。特にセイバーやエミヤさん、クー・フーリン辺りは戦闘に関しても色々教えてくれたのでめちゃめちゃ捗っている。今まで師匠とかいなかったから効率がバカみたいに違う。独学はやっぱダメですな。
ちなみに、魔術に関してもオルガマリー所長やメディアさん辺りから少し話を聞いたりした。どうにもメディアさんは僕の顔が苦手らしく、あまり捗らなかったが。イアソンと被ってるところなんて金髪くらいだろ。
そして、僕に関して一つ分かったことがあるのだが、どうやら僕は大抵の事はこなせる才能マンらしい。というのも、教えてもらったちょっとした魔術の大体を出来てしまったのだ。昔から勉強大嫌いな身としては魔術なんぞてんで向いていない気もするのだが、身体は違うというか、意外とすんなり出来る魔術もあった。
そういえば時計塔時代でも、ちょいちょい講義で取り上げられてた魔術をぱっと出来ることがあったな。その時は「簡単な魔術だったんだなー」とか思っていたが、実はそうでもなかったのかもしれない。まさか自分が無意識に「また俺何かやっちゃいました?」していたとは。一生の不覚。
そんな感じで、しっかりとした師匠を見つけた僕は数日でどんどん成長していった。自分の才能が恐ろしい……。ますます興奮してるダ・ヴィンチちゃんも恐ろしい……。僕の身体で実験とかしそうな勢いだ。…………しないよね?
と、まあ。そんなこんなでセイバーオルタにボコられ、槍ニキにボコられ、エミヤさんに慰められ、色んな意味でメドゥーサさんに慰められ、酒呑ちゃんに食べられたりして過ごしていたある日、遂に特異点が見つかったのである。
場所はフランス、時代はよくわからんけど百年戦争らへん。と言ってもワイバーンがそこかしこにいるファンタジーなフランスである。メインの敵はジャンヌオルタにキャスタージルという中々の簡単特異点なので、そこまで気は張っていない。というかアレなんすよ……。第五特異点以降が鬼畜すぎるんすよ……。それに比べたら第四までなんてゴミよゴミ。鼻くそほじってても修正できるわ。ばーか。
という訳で、レイシフト当日。準備はちゃちゃっと済ませていく。テキトーにナイフ数本と、ダ・ヴィンチちゃんに作ってもらったそこそこ良さげな槍を装備し、後は防刃・防弾仕様の黒手袋(かっこいい)とアイアンソール付きのごつい靴を装着すれば大体オッケーである。
後はまあ召喚に必要な小道具やら非常食やらその他もろもろだ。僕は触媒が必要な魔術なんかは使わないので身軽で良いのです。
服装はこれまたダ・ヴィンチちゃん特製の礼装である。ライダースーツっぽいが、ピッチリとはしていない動きやすい服だ。礼装としての性能は強化魔術が掛けやすいってのと、少し回復魔術をサポートしてくれるくらい。だいぶ防御に寄ってるから機能は少なめだ。これで全身真っ黒陰キャファッションの完成です。まあ僕の見た目ならかっこよくなっちゃうんですけど(慢心)。
そして、連れて行けるサーヴァントは二騎が限界とのこと。僕の魔力量的にはワンチャン全員連れて行けるのだが、存在証明だとかレイシフトやらの問題でそうなった。僕はセイバーオルタと巌窟王、立香ちゃんはセイバーとエミヤさん。選出の理由?ある程度言うこと聞いてくれて、なおかつ全体攻撃ができるサーヴァントです。バサスロとか論外でしょ……。ちなみに立香ちゃんはマシュ含めると三騎いけるらしい。せこい。
「……エドワード。今回は特異点Fとは違って初めての正式なレイシフトになるわ。私達もサポートはするけれど、結局のところ、結果は現地のマスターに委ねられます。立香は素人もいいところだから……貴方が現地のリーダーとして導いてあげて」
いよいよレイシフト直前、オルガマリー所長が神妙な顔で話しかけてきた。もしかして心配してくれてるのかな?
「ノープロブレムですよ、所長。リーダーなんて柄じゃないけど、まあ先輩マスターとしてちゃんとやるんで。だからそんな不安そうな顔しないでください」
そう言って、少し下にある所長の頭を乱暴に撫でる。わしゃわしゃ。
「オルガマリー、君の役目は僕と立香ちゃんをどっしり構えて待ってることだ。ロマンもダ・ヴィンチちゃんもスタッフも居るんだから、全部背負い込む必要もない。ただ、信じて待っててくれ。それがトップってもんでしょ?」
安心させるように、ゆっくりと言葉を紡いでいく。所長ほんとメンタル豆腐だなあ。
「────それは分かったけれど、貴方少し気安すぎるわよ……。それが所長に対する態度?」
少し頬を赤らめながら無理やり偉そうな表情を作る所長。今更威厳もクソもないでしょ。
「今のは所長じゃなくて、オルガマリーという一人の女の子に言ったんです。僕は女心の機微に聡い紳士なので」
僕の屁理屈にますます膨れる所長。かわいい。
しかしいくら所長が可愛いとはいえ、いつまでも喋ってる訳にはいかない。いよいよレイシフトの時がやってきたのだ。
手早くロマン、ダ・ヴィンチちゃん、マシュ、立香ちゃん、そしてサーヴァントとの会話を終えると、コフィン(軽くトラウマ)へ入る。
いよいよ人理修復の旅、その第一歩だ。第一特異点、邪竜百年戦争オルレアン。
人類を救うグランドオーダーが、始まった。
「──────なにが───召喚、失敗──────……た?」
眩い光の中で、どことなく焦ったような声が聞こえる。なんだ?レイシフトに失敗したのか?いや、それにしては空気が違うというか、場所が移動した感覚がある。となると、一体何が起きたんだ?
すぐに光に目が慣れてきたので、瞼を開く。すると、そこには。
「………………は?」
「──────え?」
反転した黒い聖女が、ジャンヌ・ダルク〔オルタ〕が、聖杯を持って、目の前に立っていた。
もう一度言おう。この特異点のボスが、元凶が、その力の源と共に目の前に立っていた。
こちらを見て呆けた顔を晒しているその姿は、お世辞にも敵のトップとは思えない。隣にはキャスターのジル・ド・レェ、僕の後ろにはジャンヌオルタが召喚したサーヴァントたちが控えている。
これはアレですね。囲まれてますね、完全に。
しかし誰一人状況を把握できていないのか、いきなり襲われるようなことはない。どころか誰も動こうとしない。
ここで活きてくる前世の知識。周りからしたら突如得体の知れないパツキンが現れた状況かもしれないが、僕はこの状況をある程度理解している。故に。
「──────先手必勝!!『
「……あっ!私の聖杯!」
ジャンヌオルタの手から僕の方へ聖杯が引き寄せられる。たしか彼女は聖杯の力でサーヴァント達を従えていたはず。そして彼女自身もジルの手によって聖杯から生み出された存在。つまり。
この場のサーヴァント全員。ジルを除いて聖杯で支配できるはず!
こちらに突っ込んでくる聖杯とジャンヌオルタ。さすがはサーヴァントと言ったところか、反応が速い。まるでスローになったかのように、飛びながら手を伸ばす彼女が見える。頼む、追いつくな!そして早く来い!
僕も必死で手を伸ばす。間に合ええええええええ!
そして、この勝負。
「────────取ったぁ!」
僕の勝ちだ。
瞬間、周りのサーヴァントとパスが通った感覚が走る。やった、掌握できた!
「うぉぉぉぉおおおおおおおおお!!!!」
聖杯を掲げ、雄叫びをあげる。エドワード・エヴァンズ、一世一代の賭けに勝ったのだ。
「そんな…………」
項垂れるジャンヌオルタ。見下ろす僕と、見上げる彼女。ここに完全に勝者と敗者が別れた。やったよ、みんな!僕は勝ったんだ!
「第一特異点、完!」
人理修復の旅、第一歩。邪竜百年戦争オルレアンはここに決着を迎えたのだ。僕という、人類最後のマスターの一人によって。
「うっ…………うっ、ぐすっ」
「おぉぉぉぉぉ…………!」
「…………誰?」
ジャンヌオルタの嗚咽と、僕の咆哮。そして誰かのそんな呟きだけが、この部屋に小さく響いた。
次のイベント、まさかのアマゾネス.comですね。百重の塔的なイベントらしいですが、どうなるんでしょうか。
楊貴妃かわいい(自慢)。