女子大生こいし【完結】   作:指ホチキス

100 / 100
閉幕

 

月明かりが路地を照らしていた。

コツリコツリとヒールが劣化したアスファルトを叩く音がよく響く。 

 

 

「メリー、今日はどんな境界を暴くのかしら」

「さてさて、どうしましょうかねえ」

 

 

端末を手に、二人で夜の街を歩く。

金髪の少女は黒髪の少女の問いに対して目を見開いた。

 

それは、本来であれば見えないもの。

 

ほんのちょっぴり歪んだそれらに焦点を合わせていく。

今日も、瞳の調子は絶好調である。

 

 

「あの路地裏、何かあるかも」

「雰囲気があっていいわね」

 

 

ここに在るという、どこまでも連続した現実感。

それらに混ざり溶け込んだ、境界があって。

 

好奇心に引かれるようにして暗闇を往く。

 

 

「蓮子、その写真の場所は間違いないのよね?」

「夜空が映ってるのよ?私ほどの頭脳が間違いを犯す訳無い。そうでしょう?」

「間違いを犯さないのは何もしない者だけだろうと、私は思うわけ。謙虚に想定外も考えてよね」

「それを言うなら我々の性格は、我々の行動の結果なりってね。この傲慢さも、私の完璧さが産んだものなり」

「アリストテレスにビンタされるといいわ」

「普通に痛そうね……そういえば古代ギリシアの不可思議オカルティックな記事をこの前見つけたのよ!」

 

 

ワイワイと楽しそうに、二人で現の世界を歩む。

境界を暴き、隠されたものにこそ神秘を見出した少女達。

 

そんな、黒髪の少女の知性的な黒い瞳には。

そんな、金髪の少女の幻想的な金の瞳には。

 

現の者には見える薄い緑の色が混ざっていた。
幻の者には見える薄い緑の色が混ざっていた。
                       

 

 

 

現の世界から忘れられ、拒絶され、失われた者達の楽園、幻想郷。

自然豊かで、どこまでも現実的では無い素敵な素敵な地。

 

そんな幻想郷の僻地。

汗滲むような蒸し暑さを感じる地底の底で。

 

 

「……?」

 

 

紫髪の少女が椅子に座り、呆然としていた。

 

古明地さとりという名を持つその妖怪は、どこか疲れたような表情を浮かべていて。

朝から数度、慣れぬ大声を出したものだから、昼前になろうとも未だに薄っすらと残る頭痛に苛まれていた。

 

妹が、急にいなくなったのだ。

否、義理の妹とでも呼ぶべきだろうか。

 

想起によって投影されたそれを空っぽな無意識の妖怪が拾い、妹として動いていたもの。

本当にいなくなってしまった妹、古明地こいしの代わりに、地霊殿に居た子が突如として消えてしまった。

 

原因はわからない。

死滅したのか、休眠状態に陥ったのか。

現在の状況は分からず、現象へのアプローチの仕方すら不明。

サードアイから伸びる管を手で弄り、思考を回す。

結局自分での解決はほぼ不可能だと覚り、誰に相談すれば解決するかと頭を悩ませながら、ふと顔を上げたとき。

 

 

───見覚えのある少女が、目の前に笑顔で立っていた。

 

 

その少女は、古明地こいしと記載された、どこかの学生証を手に持っていて。

 

 

呆けたような表情を浮かべる姉に、少女は気さくに手を挙げる。

 

───読心できない。

しかしその存在は、化けたものでも空っぽのものでもない。

それは想起された妹の記憶では無く、他の誰でもない。

想起ならざる現が、確かに幻の内に在り。

 

 

「ただーいま!お姉ちゃん!」

 

 

閉じた第三の目が、姉の第三の目に触れた。

 

 

【女子大生こいし】 完





ここまで読んで頂きありがとう御座いました。
100話まで頑張った私へのご褒美にどうか評価をお願いします。

正式な後書きは活動報告に掲載されております。
本当にありがとう御座いました。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※評価値0,10は一言の入力が必須です。参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。


  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

読者層が似ている作品 総合 二次 オリ

Game of Vampire(作者:のみみず@白月)(原作:ハリー・ポッター)

レミリアとフランが従姉妹と遊ぶお話。19世紀末ぐらいにスタートです。▼東方×ハリー・ポッターものです。特にハリー・ポッターはif要素強めなので注意。▼※2019/04/27 十四話まで改稿しました。▼※2020/11/22 完結しました。


総合評価:35136/評価:9.63/完結:566話/更新日時:2020年11月22日(日) 18:00 小説情報

Komeiji's Diary《完結》(作者:ptagoon)(原作:東方project)

こんにちは、古明地さとりです。残念ながら、現在はとある事情により地霊殿の主という面倒な役職につかされていますが、私はそんなに凄い妖怪ではありません。ただの、さとり妖怪です。私の妹の方がよっぽど優秀だったのですが、どうしてこうなってしまったのか、私には分かりません▼▼ただ、日記というものは、本来自己を省みるために存在するのであって、決して人に読ませるものではあ…


総合評価:12096/評価:9.5/完結:30話/更新日時:2019年12月30日(月) 19:00 小説情報

真・恋姫†無双〜李岳伝〜(作者:ぽー)(原作:真・恋姫†無双)

現代日本から、なぜか女性ばかりの三国志の世界に転生し、乱世を生き抜く一人の少年の物語。姓は李、名は岳、字は信達。生まれ落ちたのは漢の天下の最北端、匈奴が治める大平原……  ※真・恋姫†無双の二次創作です。オリキャラたくさん出ます。雑な歴史考察と捏造に溢れかえっております。お気をつけ下さい。にじファン閉鎖に伴い移転させていただきました。▼「小説家になろう」にて…


総合評価:55707/評価:9.18/完結:186話/更新日時:2025年09月21日(日) 22:11 小説情報

面倒ごとを押し付けないで!(作者:小鈴ともえ)(原作:東方Project)

面倒ごとは嫌い。でも頼みを断ることができない。静かに過ごせればそれでよかったのに。断る勇気を誰かがくれればいいのに▼主人公はさとり。なるべくキャラ崩壊しないように書きたいです▼残念ながらシリアスもないです▼続編も始めました▼https://syosetu.org/novel/254874/


総合評価:2545/評価:8.63/完結:66話/更新日時:2021年03月24日(水) 18:00 小説情報

エンティティ様といく!(作者:あれなん)(原作:呪術廻戦)

DbDを知らなくても読める▼呪術廻戦の世界で、エンティティ様と少女が溢れ出る食欲の赴くまま全国を巡るだけの話▼※ 第1部完結済み▼※↓だけ読めばなんとなくわかる▼エンティティ様とは▼Dead by Daylightの霧の世界を生み出した邪神。部下にトラッパー、レイス、ヒルビリーなどの殺人鬼を抱え、人間を霧の世界に召喚し閉鎖された空間で狩の儀式を毎夜行なってい…


総合評価:27206/評価:8.88/連載:59話/更新日時:2026年03月06日(金) 11:07 小説情報


小説検索で他の候補を表示>>