ここすき一文と合いの手含めた感想くれると嬉しいです(震え声)
「クソっ!」
中枢司令部に無事撤退し、現地指揮官のいる司令室から出てきたM4A1とUMP45は不快感を隠さなかった。
指揮官からの無差別通信を聞いた後、現地指揮官に増援の具申に向かった二人であったが、そこの現地指揮官の姿はなく、副官が臨時で指揮を執り行っていた。
「UMP45。やっぱり」
「ええ。あの豚、よほど肉屋送りが嫌なみたいね。
このツケは高く付くわよ……」
「死守命令ってそんなバカなことで戦線が持ちこたえられるわけないわ。
上司もクズなら部下もクズね……」
社からの出頭命令があったと虚偽の報告をしたであろう現地指揮官と、それを知らずに自身の栄転を夢に見ながら、棺桶に足を突っ込む副官を幻視しながら、UMP45とM4A1は舌打ちする。
「『で、名案は浮かんだAR小隊の隊長さん?』、っていつもなら煽ってやりたい所だけど……
ちぃ! どうしても手が足りないわ。」
「ええ、私も先にアイデアが思い浮かんだら同じような事を言っていると思います。
でも指揮官を拾うための足もポイントを占領・維持するだけの戦力もない」
指揮官一人を死地に向かわせておいて、自分達はのうのうと帰るなどど言う事はM4A1もUMP45も思ってもいなかった。しかし、現状は指揮官の予測した通りの最悪のシナリオに向かっており、これをどうにかするのはさしもの二人でもどうしようもなく考えるほど、難しい問題であった。
「M4。貴女が行くと言うなら、私はたとえどんな苦しい事が待っていても貴女についていくから」
「そうだよM4、はやく指揮官を助けに行こう?」
司令室前で待っていたAR小隊のAR-15とSOPMODⅡがM4に駆け寄る。M4A1の渋い表情を見ても尚、二人は困難な状況に立ち向かう意思を見せていた。
「姉さん……」
M4A1は二人の後ろに控えるM16A1を見た。こんな状況であっても、平常を保っているのはAR小隊の中でも戦闘経験が豊富である証左である。
「わかっていると思うが、私達の役割はM4A1、お前を守ることだ。
だが、お前が為すべきことを……やるべきことがあると言うなら、遠慮せずに命じろ。
心強い姉の言葉にM4A1は笑みを浮かべる。そしてM16A1は話を続ける。
「それに……妹たちも含め、指揮官には世話になってるしな。あいつがいる限り、私もAR小隊も別の可能性を創り出せる成長が見られる。
……まだあいつが酔っ払う姿を見てないしな」
一方では、UMP45には他の404小隊員が駆け寄ってくる。
「45姉……」
UMP45の表情から、厳しいものだと実感したUMP9は心配そうに彼女を見つめる。
「大丈夫よ、ナイン。まだ手遅れじゃないわ。なにか方法があるはずよ」
HK416はそんなUMP45の様子に怪訝な表情を浮かべた。
「アレだけ情緒不安定な様を見せつけて方法があるはずだなんて……楽観的じゃない?」
「あら、そういうあんたも、いつもなら『これ以上考えても無駄よ。契約通り帰還でもしましょう』なんて言うと思ってたけど?」
UMP45にHK416が詰め寄り一気に険悪ムードに陥る。UMP45とHK416のその間に小さな体躯のG11が差し込んだ。
「ちょっと、ちょっと。やめなよ。
今そんな言い合いしなくても……」
UMP9はそんな様子にクスリを笑みを浮かべる。彼女は確信を持っていたのだ。
冷静に計算高いUMP45も、情の深い所のある416も、面倒くさがりでこんな非効率で無駄な事は嫌うG11も、そして家族という言葉と絆には人一倍関心の深いUMP9自身も……。
今この場で404小隊全員の思いは『指揮官を救い出す』という事で1つであったと……。
「AR小隊と404小隊。待たせたね。
私達も行くよ。指揮官には世話になったんだから」
司令室から出てきたAR小隊と404小隊に現れたのはグリズリーマグナムを筆頭に指揮官の配下の戦術人形達であった。
「あなた達……」
「どうしてここに? 貴女達は指揮官の基地で待機命令が出てるはずじゃ」
「正確には後任の指揮権を引き継ぐまでいつでも戦闘できる状態に管理・維持ね。
M4A1とUMP45には指揮モジュールがあるんでしょ? ここまでは指揮官の権限でやれた。ここから先はどうする?」
グリズリーの言葉にUMP45が笑みを浮かべる。
「ふーん、じゃあ存分にこき使わせてもらうわ。指揮官不在につき一時的に権限を頂くわね」
「いつでも戦闘できる状態……まさか!?」
「そ、あなた達を迎えに来た大型輸送ヘリの整備もばっちり、ヘリパイロットも指揮官が個人的に雇った人間だから問題ないわ。燃料も十分。
多分、最悪の事態を考えてAR小隊も404小隊も無理矢理にでも退避させるためにここまで仕込んでたみたいだけど、指揮官も悪いよね。死なれたら私達も悲しむのにね」
急ぎでヘリに乗り込んだらしい戦術人形たちを見て、M4A1は指揮官の部下の人形達を見回した。
誰もかれもメインフレームは皆、その目には闘志が宿っているように見えた。
「はい、今ここにいる人形のリスト。みんな協力したいって志願した子だから大丈夫
今の私達のスペックじゃ、最適な指揮統制も編成もできないから任せたよ」
UMP45と共にリストをみるが、指揮官の配下の戦術人形全てが網羅されており、誰一人欠員はいなかった。
M4A1にはこれが天啓に思えてきたようで、彼女はUMP45と目を見合わせる。
「UMP45」
「M4A1、やれるわよ。あんた達は」
UMP45の目はギラついたものに変わり、自信に満ち溢れていた。
「ええ、問題ありません。やりましょう。
指揮官を助けに」
■ ■ ■
「ポイント確保! 空挺妖精と空挺降下した部隊は下がって補給!
他は工事妖精と地雷妖精の指示にしたがって陣地構築するわよ」
指揮官からの無差別通信に対して、救助ヘリのポイントを送り返すという暴挙を行ったAR小隊と404小隊。
彼女達は助けに来た指揮官配下の戦術人形を率いて、空挺降下で強襲、確保した。
指揮官が来るまでの間、鉄血人形達が押し寄せる前に陣地を構築し、何が何でも持ちこたえるつもりでいた。
「最前線から比較的後方を強襲したこともあってか、まばらね」
UMP45が飲み物を飲んで英気を養っているM4A1に語りかける。
即席の防御陣地を構築し終えたが、戦闘後は戦術人形達が各自で休息と陣地の補修に取り掛かっていた。
「そうですね。たぶん相手は当初、一気に攻勢にでて戦線をボロボロにする算段かもしれませんね」
「その代わりに補給線は最低限を残して、ってわけね。でも指揮官のおかげで
これだけの規模を自在に操る為のハイエンドモデルと弾薬が無くなったら……」
「ええ、敵の戦力は凄い規模ですが、相手も相当頭が痛いはずです」
「相変わらず、そういう戦況や戦場の嗅覚は凄いわね、指揮官。軍用猟犬よりも鼻が利くんじゃない?」
そう話していたところに、散発的な銃撃音が遠くから聞こえてくる。
M4A1とUMP45は心臓が脈打つ感覚に襲われた。
「これって……」
「指揮官よ!」
やがて飛び込んでくるだろうグリズリーからの報告を待たずに二人は最前線に繰り出す。そこにはボロボロになりながらも、森林地帯を抜けて全力でこちらに走り込む指揮官の姿が見えた。
「みんな! 敵が見えなくたっていい! 全力で応射して! できるだけ指揮官からクズどもを引き剥がすの!
AR-15とG11、RF人形はしっかり敵を視認するまで我慢! 見え次第射撃開始」
M4A1は残りの弾薬も気にかけず、見えない敵に向かい、セレクターをフルオートに変えて撃ちまくる。
他の戦術人形もそれに習い、応射を始めた。
「
UMP45も語気を鋭く強く言いながら、銃火を吹き上げさせる。
「ああもう! それじゃあダメだ。」
M16A1はボディーアーマーのリグから発煙筒を取り出し、点火させる。味方だと識別できる緑色の煙と火を吹き上げるそれを手にも持つと、弾除けとして積み上げられた土嚢の上に立ち、果敢にもそれを振り回した。
「指揮官! こっちは味方だ! 遠慮なく帰ってこい!」
ボディーアーマーに被弾しようとも、頬を弾丸が掠めようとも、M16A1は一歩も引く気配はない。
「お前には散々借りがあるんだ! 私に返させろ!」
指揮官に連れられる形で鉄血部隊が彼を一緒に雪崩込む。このような混迷とした状況であっても、戦術人形達は各々ができることをやっていた。
しかし、陣地まで後少しと言う所で急に指揮官は走るのをやめ、歩みに変わり、そして足を止めた。彼は首を少し曲げて頭をたれて、顔を伏せる。
「指揮官! 走って! 早く!」
M4A1の叫び声に対して、指揮官は一向に動く気配はなく膝を折った。
疑問に思った一同ではあったが、すぐに氷解した。
「胸に銃槍!? 指揮官が負傷した!」
UMP45の悲鳴に近い声が皆の心境を代弁するかのように、指揮官には背中から突き抜ける形で左胸に、明らかに赤黒く染みが広がっていたのだ。
「指揮官を拾うぞ! 416!」
「指図しないで! わかってるわ!」
土嚢を飛び出したM16A1に続いてHK416が飛び出す。
「スモーク投げて! 早く!」
動きを察したUMP45は自身の発煙手榴弾を投げながら他にも持っている戦術人形に対して投擲を促した。
「姉さん!? MGとARは援護射撃! RFは指揮官達を狙っているスナイパーを排除!」
M4A1はすぐにM16A1の意図を察して、制圧射撃を命令してで敵に頭を下げさせる。
指揮官の部下である戦術人形達は動揺しながらも、的確に戦闘行為は続けている。
「HGとSMG人形は持ってるダミーリンクを全部前に出して! SG人形はダミーリンクで飛行場を固守!」
矢継ぎ早に支持を出すM4A1に従い、戦術人形達はダミーリンクに突撃号令をかけて、できるだけM16A1とHK416から狙いを逸らせる。
全員が全員気が気でない状態であり、メンタルユニットも不調に振れていたが、指揮戦闘能力と判断に衰えはなく、しっかりと連携が取れていたのは幸運というだけではなく、指揮官の教育方針が間違い無い事を証明していた。
「よし! 指揮官は確保した!」
「早く行きなさい! 背中は守るわ!」
M16A1は指揮官を担ぎ上げそのまま走り、HK416は飛び出したM16A1をカバーするように並走する。
UMP45達の投げた発煙手榴弾のおかげで無事に陣地にたどりついた。
「姉さん! そのままヘリに乗り込んで!
UMP45! 指揮官の戦術人形を先にヘリに入れましょう! 私達は……」
「ええ、指揮官を助けるために部下を犠牲させたなんて失望されるのは勘弁ね
416もそのまま乗り込んで! M16A1と一緒に応急処置を!」
AR小隊と404小隊は先に指揮官の戦術人形達を輸送ヘリに乗り込ませる。
「リロード! AR15!カバーして!
SOPMOD! あの集団に榴弾を撃ち込んで足止め!」
「ナイン! G11の装填に合わせて掃射! 隙を隠すわよ!
G11はとっとと装填してあの集団を排除!」
(侮るな! 鉄血のクズ共! 指揮官から教わった経験がそんな攻勢で潰れる訳ないわ!)
(舐めないで! そんな攻勢で私と指揮官を殺れるなんて思わないことね!)
鉄血部隊の攻勢は途切れなく続いたが、M4A1とUMP45はこれを上手く指揮していなしていく。
指揮官と関わり、戦い抜いた事で得られた経験は間違いなく彼女の達の糧になっていた。
「くたばれ!」
M4A1は最後のDragoonを蜂の巣にする。
周囲には鉄血兵が見当たらず、とりあえず周辺の鉄血部隊は殺し尽くしたらしい。
「攻勢が止まった! 今よ!」
「わかってる!」
AR小隊と404小隊はこの好機を逃すはずもなく、輸送ヘリの後部ハッチに飛び乗り、パイロットに合図をだす。
パイロットは落ち着いた手付きでエンジンを起動させると、無事に離陸に成功。対空射撃が届かない高度にまで一気に上昇した。
M4A1はその様子に安堵したが、すぐに指揮官のもとに駆け込む。
(指揮官! どうか……)
UMP45も珍しく焦燥を隠さず同じタイミングで指揮官に駆け寄った。
(指揮官……お願い!)
「指揮官!? 姉さん! 416! 指揮官は!?」
M4A1の悲壮な声にM16A1は俯き、静かに首を左右に振った。
「……即死よ。ものの見事に心臓を貫通してる。止血はしたけどもう……」
HK416は帽子を外しており、指揮官の死に顔にかぶせていた。
せめてもの償いなのか、指揮官を頭の膝に乗せて、優しく頬をなでている。
「そんな……416! 今こんな冗談やるなんて貴女性格悪いわね」
「45……」
UMP45の空元気だとわかるくらいの声色に両手で顔を覆い隠す416。
ヘリに乗り込んだ当初から、戦術人形達が俯いていることに、ヘリ内部の空気が重く冷え込んではいたが、UMP45もM4A1も信じたくはなかった。
こうすれば指揮官がきっと諌めてくれると信じて。SOPMODⅡとUMP9は指揮官に覆いかぶさっていることも信じたくはなかった。
G11が帽子をとってすすり泣くのも、AR15が泣き崩れていることも信じたくはなかった。
だがもうこれでその意味を理解できない者は誰一人いなかった。