前線小話   作:文系グダグダ

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「しきかぁーん。戦闘報告書、終わったよ」

 

 パチパチとタイプライターの音が小気味よい音を立てていたのはつかの間のことである。フロッピーディスク上に形を変えた戦闘報告書を持ってきたのはUMP45であった。

 

404小隊は本来は存在しない部隊ではあるが、指揮官が持っている能力の都合上、上司(ヘリアン)から支援任務を言い渡されることが多く度々付き合いがあった。

 この度、404小隊のセーフハウスが鉄血部隊に襲撃されたらしく、安心して休息も取れない状況に陥っていることに気づいた指揮官は、予備宿舎を用いて暫くの間仮拠点として利用することをUMP45に提案した。

 もちろん、これは独断ではなくヘリアンにも話を通してあり、404小隊の能率を減少させるのはよろしくないと判断した彼女は指揮官の提案に許可することとなった。

 

「協力、感謝する」

 

 指揮官はUMP45から戦闘報告書を受け取る。指揮官のいる基地を仮拠点としての受け入れの代わりに、ちょっとした雑務程度ならば手伝うという404小隊側の好意に預かる形で、今日の副官はUMP45となっていた。

 

「これくらい全然大丈夫だよ」

 

「何か要望があったら、私に言って欲しい。権限内であれば、善処しよう」

 

 この指揮官はとても変わっていると45は思う。普通であるなら404小隊のようなよそ者を基地内で預かるにはリスクが大きすぎる。例えば情報の漏洩だったり、404小隊を狙うものによる襲撃や陰謀に巻き込まれる可能性だってあるのだ。

 

 なにか下心があるのでは……はじめは疑ってはいたものの、自分たちを見る目が見守るような生暖かい穏やかな物であったり、態度として404小隊を預かるといった事をしている指揮官が嘘をついているとは考えられなかった。

 

 不思議な人だなぁと事務作業をしている指揮官を45が見ていると、今度は司令室の扉が開かれた。

 

「指揮官! 寮舎の家具整理、終わったよ!」

 

 入ってきたのはUMP45の妹であるUMP9と416である。

 ホコリ一つ無い416とは対象的に9の頭や肩には薄っすらとホコリが載っていた。

 

「すまない、感謝する」

 

「全然! 404小隊用に予備宿舎をまるごと一部屋使っても良いって言ってくれたし、全然大丈夫!」

 

「あれぐらい、どうってことないわ。指揮官が言ったとおり、倉庫にある余ってた家具はこっちで適当に使わせてもらったわ」

 

「問題ない」

 

 きれいな服装を維持したまま416はともかく、流石にホコリまみれになったUMP9を見るのは忍びなく思ったのか、指揮官はデスクの棚から数枚のチケットを取り出して、彼女のもとに向かう。

 

「そうか、ところで手伝った人形は4人だったか? アイスクリームの配給チケットが残っていてな。基地内のPXで使うと良い」

 

 UMP9の頭や肩に載ったホコリを軽くはたいて落とした後、配給チケットをお礼代わりに渡す。

 

「え? ホントに?

 やったー、ありがとう! 指揮官。

 416、先に寮舎に戻ってて。私は45姉のお手伝いをするから」

 

「わかったわ」

 

 素直に喜ぶUMP9と、表面上平静を装っているがわずかに口角があがっている416を見つつ。UMP45は初めて戦場で指揮官と出会ったときのことを思い出していた……

 

 

 

   ■   ■   ■

 

 

 

 ここはとある戦場。鉄血のジャミング装置によって、グリフィンの人形たちは指揮官と連絡が取れず攻めあぐねていたところに、単独で作戦行動が可能な404小隊に白羽の矢が立った。

 しかし、戦場に居たのは鉄血部隊だけではなく……

 

「……404小隊か」

 

 404小隊と出会った指揮官は手持ちのHK417を下げて敵意が無いことを示す。

 それでも、416やG11は銃口を下げず、いつでも発砲できるようにしていた。

 

「私は敵ではない。

 グリフィンからの依頼でこの周辺のジャミング施設の妨害及び、破壊を頼まれただけだ」

 

「へえ、証拠は?」

 

「ヘリアンさんからの指令書なら」

 

「ならそれを渡して、銃から手を離してね」

 

 UMP9の指示に従い、グリップを握っていた右手を離し、左手は己の懐に突っ込み、指令書を引っ張り出す。そして、それを広げて見せ、差し出した。

 UMP9はそれを受け取ると、遭遇時から無言を貫いているUMP45に渡した。

 

「はい45姉」

 

「ありがと、9」

 

 UMP45は指令書を読み始めた。指揮官は両手を上げて、膝立ちになり、抵抗の意志は無いと示す。

 416とG11は引き続き指揮官がおかしな真似をしないように監視している。

 

「……そうね、わかったわ。

 416とG11は銃を下ろしなさい。彼は味方よ」

 

「……ふん」

 

「……あ~づかれたぁ」

 

 UMP45がそう言うと、2人は銃を下ろした。指揮官はそのまま立ち上がり、姿勢を正した。

 UMP45は指揮官に近づき、面と向かい合う。

 

「ジャミング強度が徐々に低下させているのは指揮官がやったことなのね」

 

「いくつかの通信施設と小規模の司令部は爆破させた。

 ジャミング施設の破壊が最優先事項ではあるが、404小隊の支援も命令内であるため、微力ながら手伝わせてもらう」

 

「他に人形を率いていないようだけど……まさか1人で?」

 

 指揮官単独という様子に、先程から404小隊全員が訝しんでいたが、UMP45が切り出した。

 

「はじめは部下を率いての攻略を検討していたが、ジャミングが思いの外強く、IOPの正規品では対処できなかった。故に、私一人になる」

 

 指揮官の肯定とも受け取れる発言を聞いてUMP9は何かを思い出したように叫んだ。

 

「っ! あー! 思い出した。あなたがAR小隊の救援に1人で向かったって言う!」

 

 416とG11がこいつ正気かよという視線で指揮官を見る。

 

 これが戦場での指揮官と404小隊の馴れ初めであった……

 

 

 

   ■   ■   ■

 

 

 

「ほしいなぁ……」

 

 午後に差し掛かり、指揮官が眠りにつくやいなや、ソファの背もたれを倒して指揮官を中央に寄せる。そして右腕をUMP9が、左腕をUMP45がそれぞれ抱きしめ、3人で同衾することとなった。もちろん、指揮官はそのことを知らない。

 その際にふとUMP45が思わずつぶやいてしまった。

 

「45姉?」

 

 妹のUMP9は一瞬呆気にとられたが、指揮官の腕を抱きながら熱い視線を未だに寝ている指揮官に投げかける姉の様子を見て意図が理解できてしまった。

 

「そっかぁ、やっぱり欲しいよね? 45姉」

 

「9もそうなの?」

 

 身を起こしてそう問いかけるとUMP9はコクコクと頷いて見せた。

 

「指揮官には404小隊の中にも……家族としても入ってくれたら……

 毎日がとっても楽しくなるんじゃないかなぁって」

 

 大まかな目的が同じだと知り、安堵してUMP45は再び寝た。

 

「どうする45姉? 416とG11も巻き込んじゃう?」

 

「いいんじゃない? どうせ身内にバレるんだし」

 

 とは言うものの416もG11もおそらくは乗るだろうとは確信を持って言えた。

 

「でも45姉、ちょっと心配事があるの」

 

「何? 言ってみなさい」

 

 UMP9は何かを思い出したのか、苦虫を噛む潰したような表情をしだす。

 

「指揮官が404小隊用に予備宿舎を一つ貸し出してくれたじゃん?

 その時に、私……見ちゃったんだよね。【AR小隊専用】って書かれた予備宿舎の一つを」

 

「っ! それは……少し考える必要はあるわね。

 だけどそれは全員集まってからにしましょ。今はこの時間を有効に使わなきゃ。ね、ナイン?」

 

 そう言って指揮官のそれぞれ腕を抱いた姉妹はスリープモードへと移行したのであった……

 




UMPコンプレッサーをしたかったので初投稿です。荒いのは許して……(私事の都合上)
416とG11はまた今度で
AR小隊も書きたいなぁ、けど404小隊同様馴れ初め書いておきたいんだよなぁ……

しかし、わかっててやったけどどっちかと言うとこの指揮官ほんと最前線指揮官だなぁ……
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