シロツメクサを捧げる   作:Kamadouma

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あなたに何ができたのかを

 

 

 

〈勇者御記 三ノ輪銀記〉

 

 

 

 

 

 

_ _がつけてたらしい日記を、あたしが引き継ぐことになった。勇者御記ってタイソウなお名前だけど、あたしはあたしらしく書いてくことにする。

 

 

まず、勇者としての現状から。勇者は現在たった一人。あたし三ノ輪銀だけ。_ _ _ _と_ _ _ _は使命を果たして落命した。

 

 

そのたった一人の勇者も、大変な状態だ。右腕はなくなってるわ右足も千切れてるわで、はっきり言って戦えない。利き手じゃない手で字を書くだけでもむちゃくちゃ時間かかってる。

 

 

めっちゃ不安。足引っこ抜かれた時より胸が痛い。だけど、誰に話していいかわからない。

 

 

どうしよう、これじゃ世界を守れない。怖い。あたしの大切なものが全部奪われちゃうみたいな感じだ。

 

 

_ _と_ _がいなくなるだけで、こんなに涙が止まらなくなるなんて。イヤだ。会いたい。話したい。笑いたい。不安をぶちまけたい。

 

 

そんな話ができる人、他にはいない。

 

 

 

 

 

 

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最初のページには、銀が一人になった時の気持ちが赤裸々に綴られていた。

 

 

____これが普通の人間の感想なのだろう。大切な仲間を失って、後ろ向きにならないわけがない。乗り越える葛藤がないわけがない。

 

 

そうとわかって、私は自分自身がわからなくなってきた。感受性が薄いのは重々承知してたけど、自分自身の気持ちまで感じ取れなくなっているというのか。

 

 

 

 

 

 

欠けた感情を埋めるべく、さらにページをめくる。

 

 

 

 

 

 

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さすがの勇者システムでも、千切れた手足は再生できないらしい。てなわけで、義手と義足を作ってくれることになった。

 

 

まあ、それでも慣らしというか、リハビリというか、そういうのが必要なわけで。看護士さんじゃない、大赦の人がそれに付き合ってくれることになった。

 

 

三好春信さん。なんかお兄さんって感じなのに、大赦のエリートさんらしい。勇者と直接面会できるのも相当高位の人じゃないといけないらしいし。

 

 

そのくせに、この人なかなかクセモノだ。なんか看護士さんナンパしはじめるし、ちょっとイジワルだし。なんかムカついて手が出ちゃった。ごめんなさい。

 

 

でもハルさんといる時だけは、少しだけ不安がゆるむ気がする。

 

 

 

 

 

 

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三好春信____夏凜の兄さんで、今は大赦の出世頭、といった人だ。

 

 

不安に押し潰されそうな銀を救ってくれたのは、この人が初めてだったのか。同時に、表の銀の悪い面を育て上げたのも。

 

 

英雄色を好むというけれど、何か無性に腹が立ってきた。夏凜の兄というのなら尚更。銀のあのセクハラもこの人の影響だと思う。

 

 

眉をひそめながらも、更に御記を読み進めていく。

 

 

 

 

 

 

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ハルさんのおかげで無事退院できた。義手義足もピッタリはまって、もう戦える。

 

 

けど、あたしは家に帰れないらしい。神樹館にも通えないらしい。神官たちが仮面の下から監視してくるヤシキで、_ _の時を待つだけ。

 

 

気が狂いそうだ。家に残してきた弟の様子が気になるし、神樹館の友達との約束をすっぽかしてるし、あたしのやりたいことは何一つできない。

 

 

何してるんだろ、あたし。何のために生きてるか、_ _と_ _が何のために生き残らせてくれたか、全然わかんなくなっちゃった。

 

 

自由になりたい。やりたいことができる場所に行きたい。

 

 

 

 

 

 

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病的な感情が、文を追うだけで伝わってきた。傷つける言葉じゃないのに、読み手の心を締め上げる。

 

 

それが銀の根本にある感情、ということか。嘘偽りを書く必要のない、銀の手記なのだから。

 

 

歪んだ感情が産んだ、歪んだ願い。だけどそれが銀が本当に望んだことなんだ。

 

 

 

 

 

 

銀はやりたいことをやった。世界を解放することも、私たちを立派な勇者にすることも。

 

 

でもそれはまだまだ途中。私たちの手助けが必要というのなら、その気持ちに応えます。

 

 

 

 

 

 

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こんな状況でも、バーテックスは待ってくれない。予想より早く奴らは来るらしい。

 

 

あたしの勇者システムも、一人で戦えるようにバージョンアップしてる。未完全ながらも攻撃をシャダンするバリア、いろんなサポートをしてくれる精霊_ _ _、それに溜めたパワーを解き放つ大技_ _。

 

 

これなら十分戦える。_ _と_ _が守ってくれた世界をあたしも守れる。奴らを地獄に叩き落としてやれる。

 

 

 

 

 

 

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このページの文の最後は、ペンが力んで字がぐちゃぐちゃだ。感情がそれだけ昂っていたのだろう。

 

 

言ったとおりだった。銀の本質は復讐。

 

 

今もなお、苛む傷の痛みを感じながら、自我を失いながら戦い続けてるのか。それはあまりに哀しいと思うけど____

 

 

 

 

 

 

____夏凜が助けたいって言った意味が、ようやくわかった気がする。

 

 

 

 

 

 

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押し寄せてきたバーテックスは全て狩り尽くした。けど、あたしの気分は少しも晴れなかった。もっとやらなきゃ。もっと殺さなきゃ、と。

 

 

何か右眼も見えなくなったし、耳も遠くなったし、声もかれちゃったけど、気にせず_ _の向こう側に進んだ。

 

 

そこは_ _ _ _ _だった。気持ち悪い_ _ _がせまい視界を埋め尽くすほどいるし、_も_もない_ _ _ _がどこまでも続いてる。

 

 

その_ _ _がアリみたいに集合して、バーテックスの形を作ってた。そうとわかると、キョム感と怒りと絶望がごちゃ混ぜになった。気づいたら集合体に襲いかかってた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

限界なんて考えずに戦い続けて、あたしは力尽きた。考える力ももうなくて、もうどうでもいいやと投げやりになったところで、_ _ _が話しかけてきた。

 

 

 

 

 

 

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______ちょっと待って。

 

 

銀のあの姿は、邪悪な神に触れたからって言ってた。けど、このタイミングで語りかけてきたのは精霊____?

 

 

何か重大なことが隠れている気がする。何か、誰かの作為があるような。

 

 

 

 

 

 

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あたしはどうしたいかって。このまま犬死にしていいのかって。

 

 

いいわけない。そこら中にいるバーテックスを全部排除して、_ _と_ _にむくいなきゃ。そのためだったらあたしは悪魔にだって魂を売る。

 

 

_ _ _は、その怨みや怒りを忘れるなと言った。それが_ _らしさだと言った。憎むことをためらうなと、自分の感情に嘘をつくなと。

 

 

 

 

 

 

_ _ _としゃべってたら、何でか大橋のほこらまで戻されてた。青い鳥が_ _ _を連れ去っていって。

 

 

 

 

 

 

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御記を読んでも謎が深まるばかりだった。銀自身も何が起こったのかわかってないんだし、私にわかるわけもないか。

 

 

青い鳥。確か、最初座礁船の訓練の時に銀が助けたのも青い鳥だったような。

 

 

____それがわかったところで、謎が解けるわけでもないけど。

 

 

 

 

 

 

わかるのは、銀についた精霊は邪悪な存在だということだけだ。

 

 

 

 

 

 

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やっちゃった。

 

 

安芸先生を、殴っちゃった。

 

 

今さら後悔しても遅いし、感情に嘘をつくのはもう限界だった。

 

 

 

 

 

 

だって、勇者をやめろって言われたんだもん。_ _と_ _の後任が選出されるから、あたしはもう戦うなって。

 

 

他の神官たちも同じ意見だった。はれ物をさわるような感じで、ヒクツな態度で。

 

 

 

 

 

 

誰もあたしの味方になってくれない。用済みだけど、捨てるとテイサイが悪い、そんなやっかい者だから。

 

 

ここにあたしの居場所はない。なら、ここにいる必要はない。

 

 

 

 

 

 

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____銀の心の闇は、ただ須美様や園子様を失った悲しみだけじゃなくて、自分の大切なもの全てが否定されたことが由来だっていうの?

 

 

支えが必要な時に、誰も銀のそばにいなかった。周りは彼女を拒絶した。心の闇を育てるには十分な養分だ。人を恨む理由としても不足ない。

 

 

感情を抑えられなくなって、非行に走って、それを後悔して____これほどの絶望を神世紀で味わった人はどれほどいるのだろう。

 

 

 

 

 

 

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もはやあたしは_ _じゃないらしい。

 

 

あれから死に場所を求めて戦い続けた。でも、いくら戦ってもあたしは死なない。死ねない。_ _ _があたしを絶対守るから。

 

 

_ _を使えば身体のどこかがおかしくなるし、勇者になった時だけ代わりの機能が発動する。

 

 

なんだこれ。出来の悪い冗談だ。あたしの大切なものは全て消え失せて、自由や_ _らしさまで奪われて。

 

 

 

 

 

 

_ _ _だけがあたしにしゃべりかけてくる。一緒に_ _ _ _ _ _ _ _ _。あたしのことをめちゃくちゃにした奴らに_ _しようって。

 

 

 

 

 

 

どうせこの先も勇者という名の_ _になるか、あてもなくさまよう死に損ないになるしかないし。案外、いい話だと思った。

 

 

 

 

 

 

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______悪魔に魂を売るって言ってたけど、本当に売ってしまうなんて。

 

 

心の弱さにつけこんでとんでもない要求を突きつけてくる。誰かが隣にいれば踏み切る一歩手前で止まったかもしれない。

 

 

けど、そんな人はいなかった。銀は鼻つまみ者だったから。

 

 

塗り潰された“_ _らしさ”というところには、“人間”って文字が入るんじゃないかしら。だって、銀を人間じゃなくしたのは周りだから。

 

 

 

 

 

 

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_ _ _はあたしにとんでもない力をくれた。_ _の力、_ _ _ _があたしの武器になるらしい。

 

 

なんでも、_ _ _は人間の_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _らしい。でも神樹様が現れてからの300年間、まるで_ _ _のように_ _ _を神樹様に_ _ _ _、活動できなくなったんだって。

 

 

そのおかげで四国の人の_ _ _ _は_ _ _を介して神樹様に届けられて、浄化されてる。だから、四国はこんなに平和なんだって。

 

 

 

 

 

神樹様を介さない_ _ _の力は、_ _ _ _を_ _ _、_ _ _ _。その気になれば_ _ _ _ _ _ _、外のバーテックスを送り付けてくる_ _ _ _ _ _ _ _ _らしい。

 

 

聞こえてくる。バーテックスに殺された勇者たちの_ _ _が。天恐になって発狂した人の_ _ _が。逃げ切れずに_ _に食い殺された人の_ _ _が。_ _の後聞こえなくなった右耳からいつも聞こえてくる。

 

 

 

 

 

 

あたしが壊れるのが先か、_ _ _ _ _ _ _のが先か。

 

 

やってやる。こんな無念の声を聞いて、黙ってられるほどあたしは落ちちゃいない。あたしだって、何もかも_ _んだから。

 

 

 

 

 

 

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このページは異様に修正が多かった。誰が修正したか知らないけど、一般人に見せてはいけない部分は消されている。

 

 

銀についた精霊が、やはりすべての原因なのだろう。でも、それがなければ私たちは銀に会うこともなかった。

 

 

私は誰も恨むつもりはない。前を見据えて戦うだけ。それしかできない。

 

 

 

 

 

 

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逃亡生活二日目。風のむくまま讃州の方まできた。

 

 

一人浜辺で瀬戸内の向こう側を眺めていた。_ _ _ _ _ _にはまだ人間の_ _ _ _が足りないらしいから、今は見てるだけ。

 

 

どうすれば四国の人が_ _ _ _ _ _に_ _ _かな、なんて考えてたら。同い年くらいの子が話しかけてきた。

 

 

名前は結城友奈。この辺の学校の子らしい。義手や義足が珍しかったのか、無邪気にいろいろ聞いてきた。まあ、声が出なくてしゃべれないんだけど。

 

 

家出娘だって砂に書いて伝えると、だったらうちにおいでよって言って結局一泊することになった。

 

 

 

 

 

 

何か、関係のない人まであたしの_ _に付き合わせるのはイヤな気がした。友奈はちゃんとあたし…三ノ輪銀って人間と向き合ってくれたから。

 

 

_ _や_ _みたいに。

 

 

 

 

 

 

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銀の心の支えは、やっぱり友奈だった。誰も立ち入ることのできない孤独をずかずかと踏み荒らしたのは、やっぱり友奈だった。

 

 

もし友奈と出会わなかったら、銀はただの復讐鬼となっていたのだろう。それも、全人類____いえ、全ての神々の天敵として。

 

 

友奈の穢れない心だから、複雑に入り組んだ銀の琴線に触れられた。何も知らなかったから、銀は何も背負わせようとしなかった。

 

 

友奈が銀を破滅に____自らを滅ぼす選択を強いたのかもしれないけど、銀が友奈を求めたのは疑いようのない事実なんだ。

 

 

 

 

 

 

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さすがにバレた。あたしの逃亡生活も一週間で終了だ。

 

 

友奈の家まで迎えにきたのは、安芸先生…だった人だ。神官の装束をして仮面もばっちりつけて。聞いてみたら、あたしにした仕打ちを考えたら顔を向き合わせることもできないとか何とか。

 

 

友奈は意外に反抗した。帰りたくない理由があるって言って。そりゃ、帰りたくないよ?あんなところなんて。

 

 

でも、そこじゃないとできないこともある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _。_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _。

 

 

その言葉で、あたしは戻ることを決めた。安芸先生は、あたしを見捨ててなかったから。

 

 

友奈にありがとうって、言えなかったわ。

 

 

 

 

 

 

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文が完全に塗り潰された部分があった。その文自体を消さなければならない理由があったというのか。

 

 

この時から、銀は何かを企み始めたことがわかる。漠然とした何かを、形作る方法を。

 

 

____というか、逃亡生活中まで日記をつけるなんて、銀にとってはもはや習慣だったようだ。まあ、おかげで銀のことを理解する機会を得られたのだけど。

 

 

 

 

 

 

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まさかこんな形で再会するなんて。

 

 

アップデートした義手と、見えなくなった右眼を補う義眼。その二つを適合すると、_ _と_ _の声が頭の中に聞こえてきた。

 

 

これはハルさんの計らいだって言う。実はあたしの友達二人は死んだわけじゃなくて、_ _ _ _ _の状態で生きてるらしい。それを知ったハルさんが、二人をあたしのサポートに宛ててほしいと進言したって、_ _が言ってる。

 

 

連中がどんな実験や研究をしてたなんてどうでもいい。ただ、もう会えないと思ってた友達と再会できて、あたしは嬉しかった。ハルさんには感謝してもしきれない。

 

 

 

 

 

 

ただ、二人はあたしのやろうとしてることにはあまりいい返事をしない。

 

 

 

 

 

 

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お二人は銀の復讐を止めたかったのだろう。それが銀を破滅させてしまうことを察知してしまったから。

 

 

夏凜のお兄さんは、銀にとっては本当にお兄さんみたいな人なんだろうか。これだけ人間不信になった人に、これだけの信頼を得ているなんて。

 

 

一度、会って話を聞きたい。

 

 

 

 

 

 

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先生の計らいで、中学校は讃州の方の学校に行くことになった。まあ、連中のあまり目の届かないところの方があたし的にも都合がいい。

 

 

そんな理由で、隠れみのってわけじゃないけど、あたしは友奈の家で預かられることになった。まさか快く迎え入れられるとは思ってなかったけど、友奈もご両親もまるで家族みたいに接してくれた。

 

 

あたしのなくしたものが、どんどん取り戻されてきたみたいだ。うれしくなる反面、不安もどんどんふくれてくる。

 

 

あたしが気づいた…気づいてしまった_ _ _の行き場がなくなるんじゃないかって。

 

 

 

 

 

 

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一度気づいてしまった感情は、二度と消せない。大きくなったり小さくなることはあっても、完全に忘れることはできない。

 

 

銀が気づかせてくれたことだ。おかげで私は自分の感情と向き合って、私を支配しようとする衝動を乗り越えた。

 

 

____でも、銀自身は衝動の波を越えられなかった。こんな波乱万丈な人生を歩んでも、私たちと同じ中学生なんだ。背負った十字架の重さは私なんかとは次元が違うし、克己できなくても仕方ない。

 

 

 

 

 

 

____ようやく、銀が初めて本当の意味で“人間”と思えた。

 

 

私は銀のことを崇拝しすぎていたのかもしれない。私が越えなきゃいけない理想と同じ意味を持つ人だったから。

 

 

けど、この日記を書いた人は間違いなく一人の女の子だ。世界の運命の鍵を持たされた勇者じゃなくて、私たちと同じただの人の子。

 

 

 

 

 

 

だから、あなたの気持ちをもっと知りたい。

 

 

 

 

 

 

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_ _と_ _の後継者をセンテイしてるって話だったけど、他にも勇者を探す計画の話を聞いた。

 

 

その計画の関係者の一人が、犬吠埼風先輩。入学式の直後に接触してきた。

 

 

ご両親が大赦の技術者だったけど、フリョの事故で他界されて…なんやかんやで大赦の協力者をやってるって。あたしの義手や義眼にも、犬吠埼さんの開発したものが使われてるってさ。

 

 

風先輩もあたしの事情を知ってるらしい。けど、一番驚いたのは、友奈がトップクラスの勇者の適性を持ってるってことだった。

 

 

 

 

 

 

____勇者になるのはあたしだけでいい。こんな_ _をやめなきゃいけない、つらい思いをするのは。

 

 

風先輩と友奈には、戦ってほしくない。

 

 

 

 

 

 

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風さんはずっと前から銀の協力者だったんだ。お互いの事情を分かち合って、同じ目線から協力するって。

 

 

風さんなら、今のこの状況をどう見るだろうか。どんな意見を持つだろうか。

 

 

 

 

 

 

____いや、やめておこう。銀がもういないって聞かせるのは酷だ。風さんにとっても、銀は単なる協力者以上の存在のはずだから。

 

 

 

 

 

 

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風さんが「勇者部」を旗揚げした。メンバーは風さんと、あたしと、友奈。

 

 

名目上は世のため人のために善をおこなうって感じだけど、実態は勇者候補の囲い込みだ。まあ、あたしは勇者そのものなんだけど。

 

 

四国中に同じ成り立ちのコミュニティが作られてて、神樹様に選ばれた集まりが新たな勇者としてバーテックスと戦う。

 

 

 

 

 

 

それから。安芸先生のおかげであたしは勇者の力…いや、_ _ _の力を没収されずにすんで、代わりに先代勇者の後継ぎの教導を任されることになった。

 

 

正式に決定するまで、あたしは風さんと友奈と一緒に、勇者部として活動する。あたしには休暇が必要だってさ。

 

 

 

 

 

 

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____その休暇は、考え直しの時間だったのか、それとも準備期間だったのか。

 

 

結果は銀を板挟みにして追い詰めて、破滅の道を選択させた。誰も予測しなかっただろう。銀が命を賭けて世界を救う道を見つけるなんて。

 

 

私たちの教導の任も、最初は嫌々だったのかもしれない。計画の一つだったのかもしれない。

 

 

だけど、銀と繋いだ絆は決して作り物じゃない。私はそう確信してる。

 

 

 

 

 

 

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あたしの勇者システムは、独自の進化をしていた。

 

 

まず、神樹様の力が使えないから根本的にシステムの意味合いが違う。前までの勇者システムは神樹様から力を預かるって感じだったけど、これはあたしに絡み付いた_ _ _の力を制御するためのもの。

 

 

バリアなんてないし、_ _もない。てか、これから勇者になる人用の分からは除外させた。_ _ _はあたしだけでいい。

 

 

その代わりに、_ _が周りの情報のサポートしてくれる。空間把握や敵味方の状態、簡単な未来予知まで身に付けた_ _はやっぱり頼もしい。

 

 

_ _も力を貸してくれる。どんな仕組みかは聞いてもわからなかったけど、物を手に触れず持ち上げたり、自分の身体を浮かせたり飛ばしたりしてくれる。二人が一緒ならあたしは無敵だ。

 

 

あと、_ _ _って必殺システムもある。初代の勇者様たちが使ってたらしいんだけど、精霊の力を直接身体にまとうって奥の手。

 

 

使えば使うほど_ _ _ _が溜まってくる危険な機能だけど、あたしにおあつらえむきの必殺技だね。

 

 

とはいえ、まだ準備は整ってない。安芸先生もいろいろアンヤクしてるみたいだし、整うまでは大人しくしてよう。

 

 

 

 

 

 

 

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____それが、銀のあの姿の正体。

 

 

精霊____いえ、邪悪な神の力を直接宿した姿。絶望と憤怒を糧に暴虐の限りを尽くす鉛色の大蛇。

 

 

それが危険なものとわかっていても、先祖返りさせたのは一体誰の思惑か。先生?お兄さん?それとも____

 

 

この真相はわからない。調べる必要がありそうね。

 

 

 

 

 

 

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やばい。

 

 

勇者部としての活動を、楽しんでるあたしがいる。誰かの役に立つことで嬉しくなってるあたしがいる。誰かの笑った様子を見て笑顔になってるあたしがいる。

 

 

あたしの感じた_ _ _ _がどんどん薄らいでる。これじゃ_ _なんてできなくなる。

 

 

_ _と_ _まで忘れていいって言ってくる。そんなのあたしに似合わないって言って。

 

 

ダメだ。忘れちゃダメだ。これを忘れたらあたしが生き延びた意味がなくなっちゃう。

 

 

けど、みんなと笑って過ごしたいって思うあたしが、_ _と_ _と一緒に戦ったあたしだったはずだよね。

 

 

わからない。自分自身のことが、わからない。

 

 

 

 

 

 

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銀はこんなに迷っていたんだ。葛藤していたんだ。

 

 

世界への復讐を誓ったのも銀の本心だし、世界の幸せを祈ったのも銀の本音だ。どちらが偽物なんてことはない。二律背反の中で、必死にもがいていたんだ。

 

 

その答えが、あなた自身の破滅だなんて____

 

 

 

 

 

 

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とうとう勇者部のみんなと別れる時が来た。

 

 

_ _と_ _の後継ぎが決定したから、あたしがその教導として二人を育てる任務に就く。その前段階として、教育の舞台になる丸亀城で準備しないといけない。

 

 

風さんは「あんたならどんな困難が来ても大丈夫、一人前の勇者部員だから」って太鼓判をおしてくれた。友奈は「会えなくなるわけじゃないから、さびしがることないよ」って再会を約束してくれた。樹は「わたしだって憧れる銀さんですから、絶対うまくいきますよ」って応援してくれた。

 

 

泣きたいのに泣けなかった。だって、これからあたしは_ _ _ _ _ _ _ために戦うんだから。みんなの優しい言葉を無下にしちゃうんだから。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

イヤだ。怖い。離れたくない。みんなと一緒にいたい。独りになりたくない。

 

 

その思いに応えて、あたしの聞こえなくなった耳から_ _の言葉が際限なく入ってくる。

 

 

やめて。違うんだ。大切な人がまだ世界にいるんだ。あたしに_ _ _ないで

 

 

 

 

 

 

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最後の方はもうぐしゃぐしゃだった。誰かに助けを求めるように、感情を直接白紙に打ち込むように。

 

 

 

 

 

 

____銀が救いを求めてる。あの、自分が犠牲になることしか考えてないような銀が。

 

 

 

 

 

 

____私の覚悟まで揺らいでくるじゃない。あなたの犠牲を貴んで遺志を継ごうと思ったのに。

 

 

読まなかった方が、幸せだったのかもしれない。

 

 

でも、知ってしまったからには全部知る義務がある。どんなジレンマにすりつぶされることになっても、私はあなたの弟子であったことを誇りに思います。

 

 

 

 

 

 

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かわいい勇者の後輩が二人もできた!三好夏凜と、楠芽吹。二人ともクールだけど照れ屋さんで、似た者同士だから仲が悪いのかも。二人の仲を取り持ってあげないとね。

 

 

夏凜は意外にノリのいいところもあって、実はすごく優しい子だと思う。芽吹はちょっと気難しい性格だけど、決して悪い子じゃない。優秀な二人と友達になれて、ほんとうれしい!もっと仲良くなりたいな。

 

 

 

バーテックスとの決戦が始まっても、今度は二人を絶対守り抜いてみせる。

 

 

_ _と_ _の二の舞にはさせない。

 

 

 

 

 

 

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これは前に見たページだ。修正が入ってるけど。

 

 

だけど、全然違った印象を受ける。あの時は底抜けに明るいイメージを持ったけど、その背景を知ってしまうと悲壮感が増す。

 

 

必死に明るく振る舞っていたのか、自分の表面を信じて行動したのか。銀の心の拠り所はどこにあったのだろうか。

 

 

 

 

 

 

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すごかった。夏凜も芽吹も。

 

 

まさかのされちゃうなんて思ってもなかった。どれだけ二人が勇者にかける思いが強いか身に染みた。

 

 

なるべく戦わせないようにしようと思ってたけど、それは失礼だね。ちゃんとした志を持った勇者だから。あたしも真剣に向き合わないと。

 

 

だから、二人には仲良くしてもらわないといけない。勇者として成功するために。ホントに_ _ _ _ _が来ても任務をまっとうできるように。

 

 

夏凜と芽吹をさえぎる壁。お互いに勝手に持った印象を山のように積み重ねた壁。これじゃお互いのホントの姿なんて見えない。

 

 

でも、壁を壊したり乗り越えたりできるのは本人たちだけ。あたしにできるのは、夏凜が芽吹の、芽吹が夏凜のホントの姿を知りたくなるようにお手伝いすることだけ。

 

 

よし!なんかすごくやる気が出てきた!風さんみたく最高の先輩になれるように、気合い入れて頑張るぞー!

 

 

 

 

 

 

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当初は私たちのことを戦力として数えるつもりはなかった、ということらしい。

 

 

だけど、私たちが力を、意志を示した。私たちの本気は銀に伝わった。

 

 

だから、銀は私たちを“本当の勇者”に育てようとした。バーテックスと戦う勇者じゃなくて、世界を守る勇者として。

 

 

____自意識過剰かもしれないけど、私たちが銀の運命を変えてしまったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

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丸亀勇者部の、初めての活動!プールの掃除!

 

 

お互いのことを知るには、やっぱり一緒に何かやるのが一番。ちょっと強引だけど、芽吹も夏凜も満足してくれたみたいだ。あと、あたしも眼の保養になったし。

 

 

でも、思わぬ逆襲にあった。遊びに行ったらまさか_ _や_ _みたいにオシャレを押し付けてくるなんて。恥ずかしくて変身できなくなるとこだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

やばい。最近二人のことしか考えられなくなってる。芽吹ともっとしゃべりたいし、夏凜ともっとふれあいたい。あたしのことをもっと知ってもらいたい。

 

 

ダメだ。それは。隠し通さなきゃ。どんなにつらくても、誰かに肩代わりしてもらうなんてダメだ。

 

 

あたしは助けられちゃダメなんだ。今日みたいな失態は二度と見せちゃダメだ。

 

 

 

 

 

 

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楽しそうに書いていた前半から、焦燥感がにじみ出てる後半の言葉。

 

 

どれだけの虚勢を張っていたのか。暴走した後もひょうひょうとしていたし、それ以上弱みを見せなかった。どんな思いで私たちと向き合っていたのか、考えるだけで気が重くなる。

 

 

____そして、私たちの存在が銀にとってどんどん重荷になっていったことを思い知らされた。私たちと銀の絆が深まる度に、銀の心の傷は苛む。

 

 

 

 

 

 

銀に寄り添えば寄り添うほどに彼女を傷付けるなんて。運命を決めた者はあまりにも酷い仕打ちをする。

 

 

そして、私の決意すらも揺るがす______

 

 

 

 

 

 

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二人の交流を妨げる原因は、たぶんお互いを知る方法を知らないからだと思う。だから相手に優位を取られないようにけん制的なことばっかり言っちゃうんじゃないかな。

 

 

必要なのは本音のぶつかり合いだから、お互いの腹の内を言い合う機会を作ろうと思う。この際おだやかな方法じゃなくても仕方ない。

 

 

話を聞く限りでは、夏凜の方がどうにかしようと思う気持ちが強いみたい。口では言わないけど芽吹のことを尊敬してるみたいだし、腐れ縁って割り切ってるみたいだし。

 

 

逆に芽吹は消極的かも。本当の夏凜と向き合った時に、夏凜が本当に自分のライバルなのか、自分がそれにふさわしいのか知るのが怖いんじゃないかな。芽吹は慎重派だもんね。

 

 

 

 

 

 

もしうまくいかなかったらどうしよう。夏凜はもうその気になったみたいだし。

 

 

二人を信じるしかない、のかな。

 

 

 

 

 

 

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銀が下した評価を見て、少し恥ずかしくなってきた。

 

 

完全に心を見透かされていた。ようやく見つけた好敵手がいなくなるのが怖かったのも全部お見通しだった。

 

 

それに比べて夏凜は私の数歩先も行っていた。私よりずっと大人だった。____なんか、悔しい。

 

 

 

 

 

 

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作戦は成功だ!

 

 

二人はちゃんと手を取り合って、あたし抜きでバーテックス3体を倒した。何があったかはわかってないけど、二人とも一皮むけたみたいだ。

 

 

でも、_さんや_ _や_が樹海に引き込まれるのは予想外。神樹様が手引きをしたのか、それとも_ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _ _。それはおいおい調べることにしよう。

 

 

ともかく、勇者部合同企画は大成功!夏凜も芽吹も立派な勇者に成長したし!なんか嬉しくておかしくなりそう。

 

 

 

 

 

 

だから、守らないと。この大切な日常を。大切な人たちを。

 

 

もう自分に嘘をつけない。_ _するより、大事な人のことを想う。結局あたしは_になりきれないお人好しなんだ。

 

 

 

 

 

 

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悲痛な心の叫びが、このページの文からは聞こえてこなかった。

 

 

心境に変化があったのはこの時だったのか。誰かを恨むより誰かを愛したいって。表の銀が自分の影を打ち払ったのか。

 

 

 

 

 

 

でも結局は______

 

 

 

 

 

 

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最悪だ。

 

 

まさか、勇者同士で_ _するなんて思ってなかった。

 

 

その上、夏凜は_ _まで使った。外させたはずなのに。

 

 

昨日思い描いた楽しい未来はたった一晩で崩壊しちゃった。あたしを_ _ _ _大赦への_ _、夏凜が障害を持つ原因を作ったあたしへの_ _。

 

 

聞かないようにしてた声が、またさらに大きくなってる。あたしの頭をガンガン揺らす。全部_ _して、あたしも_ _べきだって。

 

 

 

 

 

 

何を弱音をこんなところに書いてるんだ、あたし。あたしは芽吹と夏凜の教導なんだから。

 

 

二人に心配されちゃいけないんだ、絶対。二人が自分の力で壁を乗り越えたんだから、あたしも。

 

 

 

 

 

 

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このページは文面が混沌としていた。まるで前半と後半で別の人間が書いたように。

 

 

銀が幸福を求めるほどに、自分を突き動かしてきた決意と解離していく。感情が煽られる度に表と裏がせめぎ合う。

 

 

 

 

 

 

____過ぎたことを後悔しても仕方ないけど、銀に一言謝りたかった。あなたの事情も知らずに私たちのいざこざに巻き込んでしまって、と。

 

 

そんな不安定な心情の中で、私たちのことをちゃんと導いてくれたなんて____

 

 

 

 

 

 

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最悪だ。

 

 

課題のことすっかり忘れてた。先生にお叱りの言葉をいただくと同時に缶詰め決定。

 

 

芽吹と夏凜は_ _罪のチョウバツとして勇者の碑の清掃に行った。あたしを一人置いて。

 

 

 

 

 

 

まあ、都合はいいかも。_ _ _ _ _ _をどうにかする計画、先生に相談したかったし。

 

 

忘れないように書いておこう。_ _ __ _ _ _ _ _ _ _を作る計画を。

 

 

まず、_ _ _に出て旗を立てよう。あの座礁船と大橋の_ _ _がいいかな。これで、あたしが_ _ _に完全に取り込まれても、暴れてくれる。

 

 

そんで、大赦に_ _ _を持った人の駆け込み寺を作ろう。これは先生の協力がいるね。けど、あたしもやれることはやらないと。神樹様を_ _ _ _後も、これでなんとか人が生きて行ければ、と。

 

 

準備はこの辺で、仕上げはあたしが_ _ _の力を全て解放して、二人の勇者に_ _ _よう。それで三ノ輪銀のお役目は終わりだ。外に_ _されて、ようやくあたしは自由になる。

 

 

ようやくわかった、あたしが_ _と_ _に生かされた意味。答えにたどり着いたよ。一人で戦い続けてきた意味も。

 

 

 

 

 

 

_ _と_ _に見られたら、全力で止めて来そうだけど。忘れないためのメモなのにもうこのページ見れないじゃんか、これじゃ。

 

 

 

 

 

 

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____自由になる。

 

 

表と裏の意志の、初めて一致した目標なんじゃないかしら。これを書き始めてからの銀はあらゆるものに縛り付けられていたから。

 

 

重責から解き放たれたかった。闇の中を一人で歩くのはもう限界だった。隣に誰かいてほしかった。

 

 

 

 

 

 

私や夏凜は銀の隣に立てたんじゃないのか。後ろを歩いて甘えていただけじゃないのか。そう考えると後悔の念が大波になって押し寄せる。

 

 

私たちが、一番の理解者にならなきゃ行けなかったのに。

 

 

 

 

 

 

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なんでだろ。楽しいのに悲しくなる。

 

 

せっかく芽吹が提案してくれて、三人で作った座椅子で卓を囲んでも、これまで通りに笑えない。

 

 

決めたじゃんか。あたしが二人にしてあげるべきなのは、そばにいることじゃなくて未来を作ることだって。あたしの気持ちなんて関係ない。

 

 

 

 

 

 

_ _も_ _も自分の気持ちにウソをつくなって言ってくる。夏凜や芽吹なら助けてくれるって。

 

 

うるさい。今さら退けるもんか。二人の未来のためなら何もかも投げ捨てられるから。

 

 

 

 

 

 

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自分で自分を追い詰めて、もはや逃げ場のないところまで行ってしまった。

 

 

自分の気持ちに嘘をつかなかったからここまで来れたのに、最後に自分を騙してしまった。そうすれば、____当然破綻する。

 

 

 

 

 

 

後悔が押し寄せる度に、その勢いは増す。私にも何かできたはずだと、過去の私が責め立ててくる。

 

 

その声を振り払うようにさらにページをめくった。

 

 

 

 

 

 

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_ _のアイディアを拝借して、新たな救いのヒーローが完成した。

 

 

国防仮面。まさかあたしがやるなんて。

 

 

_ _はあたしの気持ちを多少はわかってくれたみたいだ。_ _ _ _ _のを放っておけない、できることがあるなら勇者としてやるべきだって。

 

 

逆に_ _は頑固だ。あたしが_ _になるのは絶対認めないって。他の方法を探そうって。

 

 

仮にあったとしても、それはあたしのお役目じゃない。だって、これ以上ひどいことがあったら、自分をコントロールできる自信がないから。あたしに残された時間は多くはないから。

 

 

 

 

 

 

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文面は銀の内面のことばかりになってる。誰かに聞いてほしかったけど、言えるはずもないことをここに書いていたということだろう。

 

 

これが書かれたのもごく最近のはずだ。国防仮面について触れているし。

 

 

あれだけ気丈に振る舞っていた銀だけど、この時にはもう疲弊しきっていたのか。早く楽になりたかったのかもしれない。

 

 

 

 

 

 

私は何て無力なんだ。そばでこんなに傷ついていた銀に気づいてあげられないし、気を遣わせてばかりで。

 

 

本当に大切なものに気づかないまま強くなった気になって____

 

 

 

 

 

 

____バカか私は。

 

 

 

 

 

 

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“ありがとう、芽吹”

 

 

 

“ありがとう、夏凜”

 

 

 

 

 

 

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その感謝の言葉を書いたページから後ろは白紙だった。これが最後のページだ。

 

 

 

どんな想いでこの言葉をしたためたのか。どうにかなりそうな気持ちの中で銀が残した最後の言葉が、私たちへの感謝。

 

 

 

 

 

 

どうして。どうして私たちに感謝したんですか____

 

 

私たちのせいで、あなたは無用な苦痛を強いられて____

 

 

 

 

 

 

聞きたい。今すぐ聞きたい。私たちはあなたに何ができたのかを。そんなに大切に想ってくれた理由を。

 

 

会いたい。あの憎たらしい笑い声を聞きたい。恥ずかしい思いをさせてくる手に触れたい。舐めまわすように見つめてくる目で見守られたい。

 

 

 

「…っあ…、うぅっ……」

 

 

 

何て苦しいんだ。大切な人に会えないってことは。胸が痛くて、目頭が熱くて、息が苦しくて。

 

 

 

「ぁぁ……うぁあああっ…ああああああっ」

 

 

 

涙を止められない。声が止められない。耐えてきた感情の波を抑えられない。

 

 

 

 

 

 

会いたい。

 

 

理屈とかそんなの関係ない。こんなお別れはイヤだ。

 

 

私は______!!!

 

 

 













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