令和になるまでに果たして、どこまで書けるかな。
結局の所、コカビエルは原作通りに白龍皇によって回収され、砕けた聖剣の核も紫藤イリナによって教会へと回収された。
ゼノヴィアに関しては、神の死というアレなものを知ってしまったが故に破門。
果たして、教会側の任務は成功と言えるのか。
奪われた三本の核は回収出来たが、紫藤イリナが所有していた擬態の聖剣はまんまと俺にかっ攫われたわけだからな。
可哀想とは思うが仕事だからな仕方ない。
そもそもこれに関しては略奪品ではなく、コカビエルへと一度渡しその後コカビエルから今回の報酬の一つとして俺へと与えられたわけでまったくもって知らん。
返せと言われても返す気は毛頭ない。まあ、売ってやらなくもないが…………と、それは別にどうでもいい話だ。
それにしても今回の仕事は存外に美味かった。
「流石コカビエルだな、金払いが良いし堕天使の技術も結構流してくれた」
そう言いながら俺はデスクの上に纏められた書類等々を覗き込む。
「
一度実験してみないと分からない、か。
ふーん、ほーん。
神滅具ねぇ…………
どこぞの腐れ悪魔と違って実の妹だからな……なかなか面倒だ。
それに実験だからなぁ……英雄クラブ相手にやるのも失敗時のリスクを考えればパス、白龍皇もまた同意。となると…………うん、今は止めとこう。
「というか、よう見たら
絶対ロクな事に使わない。
保留。
で、他には……?
「人工神器か。そりゃあ人形たちに装備出来たら戦力あがるが…………ぶっちゃけなぁ」
戦力を強化を目的とするならばそれこそ人形各々の最適化工程をより高める事が重要であり、装備事態もそこまでの効果は無い。
未熟なM16に
別の例を挙げるのならば、それこそ技量が大してないのに名剣やらなんやらを振るって強くなった気になる馬鹿だ。
結局、技量がなければ十全に発揮出来ないのだ。
「と、なればそちらも保留ですか?」
「ま、そうなるな」
人工神器についての書類も置き、俺は傍らに立つ
ここは駒王町の家ではない、俺の傭兵としての拠点であり工房。ちなみにどこの国にあるのかは内緒だが、とりあえずヨーロッパ辺りと言っておこう。
そうして次の書類を手に取り視線を走らせる。
「…………へぇ」
「どうしました?」
「いや……あー、まあ、読めばわかる」
失礼します。
そう断わって書類を受け取る代理人。
そして、彼女が書類に目を通していくとその表情は段々と引き攣り始めた。うん、まあ、そうなるよな。
「ご、御主人様……こ、これは……」
「言いたいことは分かる」
この書類は報告書であるのは他の書類と変わらないが、しかし先程までの書類と違うのはこれはコカビエルからの報酬について纏めたものでは無いということだろう。
これに記されているのは
いや、ダクソなら使う時はあるがこれは正直俺も代理人もドン引くわ。
「却下以外の道はない」
「はい……
「まあ、多分効かんだろうが……頼む」
まあ、夢想家には適当に破壊者を与えておけば何とかなる。きっと盛大に弄び倒すだろう。
書類を一応保管しておいて、俺は軽く息をつく。
指揮官である以上、こういう風に書類仕事をしなくてはいけないのはわかるが未だ慣れない。流石に二年は経つのに慣れていないのはどうかと思ってはいるが…………まあ、いっか。
「そういえば、御主人様」
「ン、どうした?」
「御嬢様方に御連絡はされましたか?」
「その辺は抜かりなく。後で埋め合わせは要求されたが……別に言われなくともするって……」
あ、代理人に笑われた。つら。
さて────
「
「
「まあ、簡単にはいかんさ。でもまあ、12や夢想家、
顔を顰める彼女に俺はけらけらと嗤う。
スポンサーと言って、ふとある事を思い出す。あの白龍皇だ。
アレとは別に面識がないわけではない。何度かコカビエルからの仕事でたまたま居合わせた程度だ。え?戦闘?まあ、ふっかけられたが……うん、お気に召さなかったようでそれ以来俺はあまりよく思われていないようだ。
そりゃあ?わざわざ一対一でやり合う理由なんてないから?
吹き飛ばしても吹き飛ばしてもそれよりも多く早く生産されていくDinergateの群れで相手したが?傍から見てて笑えたがまあいい……あれ以来特に関わることもなく、今回の一件だ。
さて、神の死やらコカビエルに関わっていたからと今度の会議に参加させられそうだが参加なんぞしてやるものか。
雇い主でもない奴の要請なんぞ知らん知らん動かしたきゃ仕事にしろ。
「それで本当に依頼のていで呼び出されたらどうするので?」
「…………え、いや、仕事として呼ばれんなら仕方ないだろ」
面倒だが仕事として呼ばれたら流石に行かざるをえない。でもまあ、馬鹿正直に仕事として呼び出すだろうか────いや、ありえない。
そしたら、流石に呼び出したトップの頭を疑うしかない。いや、既に充分疑っているのだけども。
「そういえば、御主人様」
「ん?今度はどうした?」
「近々授業参観があるそうですが…………行きましょうか?」
「え、やだ」
授業参観ほど嫌いな学校行事ってないんやが。
────────────────────
これはあの日に起きた出来事。
とある男に降りかかった転換点。
少年は暗い夜道、路地をひた走る。
その身体からは少しずつではあるが血が流れ出し、今すぐにでも病院へ行かねば下手すれば死ぬかもしれなかった。
少年の名はフリード、フリード・セルゼン。
嘗ては教会の戦士を育成する機関であるシグルド機関という彼の北欧の大英雄シグルドの子孫たちから魔帝剣と呼ばれる魔剣の最高峰たるグラムの真の担い手、すなわち真にシグルドの末裔を創り出す機関で創られた試験管ベビーの一人であった。
フリードはこの機関で生まれ、多くの事を成してきた。
と言ってもその殆どが倫理に反したものであるが。故にだろうか、彼は確かにシグルドの血を引く者として優秀ではあったがその倫理観は間違いなく欠如したものであった。
言動は下品極まりないうえに、性格も徹底的に歪んでおり、また嬲り殺しを好み悪魔だけでなくそれに関わった人間さえも躊躇なく殺害する残虐性をもち、情勢が不利と判断すれば即座に仲間を見捨てられる外道。それがフリード・セルゼンという男である。
そんな彼はコカビエルの配下として統合されたエクスカリバーを振るい木場祐斗、ゼノヴィアの二人と戦い結果として聖魔剣というイレギュラーによって敗北した。
本来の歴史であれば彼はその後に白龍皇によって回収されるのだが、この世界では違った。
そう、フリード・セルゼンは木場祐斗の聖魔剣によってエクスカリバー諸共斬り裂かれる直前にエクスカリバーの力を使ったのだ。
それは『
エクスカリバーなど回収する暇などなかった、いや正確に言えばエクスカリバーは木場祐斗の聖魔剣によって破壊されてしまったのだ。フリード・セルゼンは天才ではあるがバルパー・ガリレイのような技術者ではない。
故に破壊された聖剣を修復する事など出来ないわけで、そもそも聖剣を持ち出していこうにも逃走しようとしたことがバレるかもしれなかった。
いや、そんな、建前などどうでも良いのだ。
「ひ、ひひ、ひゃひゃ……何が伝説だっつの……あんなクソ悪魔の剣にぶっ壊されてる時点で、名前負けブレード確定なんだよ……」
悪魔に砕かれた武器にいまさら意味なんぞあるものか。
そう痛む傷口を抑えながら、フリード・セルゼンは路地をひた走る。その内に渦巻くのは悪魔に斬られたという憎悪と憤怒。だからこそ、今こうして敗走などという憤死しかねない状況を良しとしているのだ。
このまま逃げ延びていつか必ず木場祐斗を、悪魔どものあの端正な顔を絶望に歪ませてそれを嘲笑いながら殺すのだ。
そう未来を思い描きながら嗤うフリード・セルゼンは路地の角を曲がって────
「あ?」
その先に二人の少女がいた。
アジア人ではない、どちらかといえば北欧系かロシア系の顔立ちをした二人の少女。その装いはあの悪魔たちと同じ学校の制服姿。
それを見て、フリード・セルゼンは嗜虐的な笑みを浮かべた。
気配からして悪魔ではないのだろう、談笑しながら歩く二人の女子高生だがいまは深夜という時間帯だ。そんな時間帯に出歩いてるなど些か不用心極まりなく、だからこそ不審者に襲われても仕方が無い話だ。
今はこれで妥協しよう。
きちんとトドメを刺さなかったから、お前たちの通う学園の生徒が死ぬハメになったのだ。それを知った時の悪魔どもの表情を思い浮かべて絶頂しかけたフリード・セルゼンは懐から光剣の柄を取り出し、二人の少女へと襲いかかった。
かくして、悪魔が捕り逃した男は無辜の少女を二人犯し殺した。
それは悲劇であり、リアス・グレモリーらがフリード・セルゼンに気づいていれば決して起きる事がなかった事だった。
今回の一件を締めくくったそれは決して良い終わりではなくて────────
「ターゲット捕捉、任務を開始する」
瞬間、それらは現れた。
黒。黒。黒。
黒いコートに黒い服、肌を一切露出していない全身黒ずくめの存在。印象的なのは覆面の上に付けられた鴉か何か鳥類を思わせるような銀面。
彼らは一様にその手に手鎌を、アサルトライフルを携えている。
そんな彼らに囲まれる少女ら、アンジェリカ・クルーガー、ドゥヴェーナッツァッチ・クルーガーの二人は今まさに襲いかからんとしていたフリード・セルゼンを見て片方は興味も無いような、片方は面白そうな表情をする。
「フリード・セルゼン。速やかに剣を置いて投降しろ、あまり手間をかけたくはない」
そんな冷たい声と視線にフリード・セルゼンは苛立つようにその表情を歪める。
「なんなんですかぁ!おたくらぁ!」
「そんな事気にしなくても大丈夫よ。そして、さようなら」
フリード・セルゼンはアスファルトを蹴り少女の内、目を瞑っている方とその光剣を振るうが、同時に両手両足を撃ち抜く彼らの銃撃によって少女の元へ届かずにアスファルトへと滑るように落ちる。そんなフリード・セルゼンを見下ろしながらアンジェリカ・クルーガー……AN-94は事務的に彼らへと指示を飛ばす。
「念の為に両肩を外し武装は全て没収してから、工房へ」
「了解しました」
彼ら黒狗は黙々と指示に従ってフリード・セルゼンの両肩の骨を外し、その武装を奪っていく。恐ろしきはこの作業をフリード・セルゼンの意識があるにも関わらず行なっていることだろう。
「逃走兵の確保の為に私たちに声をかけるなんて、指揮官もなかなか大胆だと思わない?」
「12……いや、そうだな。私たちの指揮官だから仕方ない」
フリード・セルゼンの悲鳴をバックにその悲鳴が終わるまで二人の戦術人形は己らの指揮官に対して談笑する。
かくして、一人の逃走者はこの地の悪魔たちが知らぬ間にその運命が定まった。
次回からは幕間ですね。
鉄血人形や他の戦術人形も出していったり主夫高校生らしい事も書いていきたいと思います。
ところで、兵藤一誠にチーズ転生する作品とか隻狼の太刀足主人公の作品って需要ある?