そして、50話目の投稿になります。区切りがいいですね。
ちなみにしっかりと今回の話の投稿時間も第一話と同じ時間です。
あ、本日の投稿はこれで2話目になります。本編最新話もありますのでそちらもどうぞ。
バタフライエフェクトという言葉を知っているだろうか?
意味としては二つの同じ事象において、初期条件が違うだけで結果が全くの別物になってしまう現象でこれは気象学用語にある蝶がはねを動かすだけで遠くの気象が変化するという意味の言葉をカオス理論に引用したものであるわけだが、これは世界においても同様のことが言える。
同じ時間帯同じ状況であるにも関わらず、頭にぶつけたチーズの生産元が変わった程度で彼の転生後での諸々が大きく変わったのだ。
いったい何を言ってるんだ?と思うかもしれない、ああまた何時ものチーズかと思うかもしれない、少なくとも作者も正直自分で何を書いてるのかよく分からなくなるがしかし、何ら問題はない。
これはそんな諸々が違う世界をほんの少しだけ覗き見るだけなのだから。
「…………ふぁっきゅー」
彼はそう吐き捨てながら、目の前の光景に頭を痛める。
彼の目の前には二人の女性が何事かを言い争っている光景が広がっており、その光景はあまりに頭痛を引き起こして然るべき光景だ。
「いい?貴女みたいなチンケな悪魔風情が、私の、わ・た・し・の一誠に不埒な真似をしないでくれる?」
「誰がチンケな悪魔ですって?そもそもこの子は、わ・た・し・の下僕なの。貴女の方こそ変な真似をしないでくれるかしら?」
ここは彼の寝室。その中心で片や全裸の白髪の女が、片や制服を脱ぎかけで半裸の紅髪の女が、自分の所有権に関して何やら言い争っている。これを見て頭痛が起きない剛の者はなかなかいないだろう。
実際問題、彼───兵藤一誠はこの目の前の光景にもはや頭痛が一周回って痛みを伴わなくなってきて謎のリラックス現象を起こしきっとこのまま布団に入ればのび太並の速度で眠られるだろうという正しく頭がおかしいことになっている。
可哀想なのでそろそろこんな不毛な争いを終わらせて欲しいものであるがさて、その前になぜ故にこんな状況が起きているのかの説明とそれに至った経緯を軽くこの兵藤一誠について話しながら説明しよう。
彼、兵藤一誠は転生者だ。
毎度おなじみとも言えるチーズ転生によりまさかのハイスクールD×Dの原作主人公に転生したわけであるがしかし、『兵藤一誠』───以降、彼の名前には『 』を付けることとする───は原作の兵藤一誠が保有している筈の神滅具である『
『赤龍帝の籠手』を持っていない兵藤一誠なんてただの性犯罪者でしかないと言われているほどの主人公補正を『兵藤一誠』は持っていないのである。であれば、哀れチートどころかデフォルト装備すらないチーズ転生者。
となってしまう……だがしかし。
やはり持っているかチーズ転生者特有の───実際転生してるのは全て同一人物なので特有と付けるべきかは謎であるが───出処不明の謎能力。神様転生では無いため、特典ではないその能力、例えば何故か都合良く『置換魔術』の卓越した使い手になったり、見た目が美少女になったり、技術が高くなったり、武器の扱いが最高になったり、などの謎能力。
御都合主義なそれらが無論、『兵藤一誠』にも備わっていた。
それはある種、『兵藤一誠』の神器と言えるようなモノ。
その名は『アビータ・EmpressⅢ』
いったいぜんたいどういう訳かはまったくもって分からないが前世のゲームに出てきた敵キャラが『兵藤一誠』の中にいたのだ。
それを知った時の『兵藤一誠(八歳)』は胃痛と頭痛で気絶した程に理解出来ない現象である。だが、まあ、あくまでガワだけが『アビータ・EmpressⅢ』なだけであるのか、性格等々は間違いなくゲームの方の『アビータ・EmpressⅢ』とは違うようであった。
その事に安堵した嘗ての『兵藤一誠(十歳)』であったが、現実の方に出てこれるという事実を知って再び胃痛と頭痛で気絶した。さて、何らかの力を宿していてたまたまそれが精神世界で形成した姿が『アビータ・EmpressⅢ』であったのかはたまた違うのかは未だ不明であるが、『兵藤一誠』はセイレーン繋がりであるのか水の力に長けていた。
水属性という本当に赤龍帝からかけ離れていく自分に軽く諦観を抱きながらも『兵藤一誠』は自らを鍛え、実体化した『アビータ・EmpressⅢ』から自らの貞操を護りながら、裏の世界に関わるようになってかれこれ六年。
途中で何処ぞのゴスロリ魔女を溺死させて手に入れた紫炎という厄ネタに軽く吐血しながらも生きていき、先日見事に堕天使に殺された。
無論、高々レイナーレ如きに正面から殺される様なやわな鍛え方はしていない。だがしかし、原作による修正力か否か、その日『兵藤一誠』はとてもどうにもならない気だるさを抱きながら買い物をし、その帰りに避ける間もなくその光の槍で串刺しにされた。
水属性という人体に相性のいい属性であるにも関わらず治癒は上手くいかずそのまま彼は死んでしまった。だが、そこを原作による修正力なのかどうかは分からないが何故かレジ袋に入っていたチラシによって召喚された原作メインヒロインであるリアス・グレモリーによって『
さて、その後、自分を気安く呼び捨てにしてくる便宜上の主に中指を胸中で立てながら一人勝手に───『アビータ・EmpressⅢ』は一緒にいたが実質一人である───教会にカチコミをかけて、レイナーレら堕天使やはぐれどもを溺死させて、儀式で死んでしまったもう一人の原作メインヒロインであるアーシア・アルジェントの神器をレイナーレから奪いつつ、彼女の遺体をしっかりと火葬して原作一巻から思いっきり原作を叩き割りに行ったわけであるが………………こうして、今『兵藤一誠』はとてもとても面倒臭い事態にぶつかっている。
時間軸としては原作二巻にあたる今であるが、恐らく眷属の中で三人いる男子の中で家族と断言出来るほど近しくはないがそれでも近しい男性という事で選んだのだろうリアス・グレモリーが『アビータ・EmpressⅢ』に襲われそうになっている『兵藤一誠』の寝室に転移してきて、この現状が起きている。
リアス・グレモリーは嫌いな婚約者との婚約を無くすために既成事実を作る為に『兵藤一誠』に処女を奪わせるつもりであったが、残念ながら『兵藤一誠』の貞操を貪ろうとしている正しくセイレーンな『アビータ・EmpressⅢ』とぶつかり合い、今は互いに所有権を主張し始めていた。
それをベッドの上で眺めている『兵藤一誠』は先程も説明した通り現状に頭痛が酷くて一周回りリラックスしている為、どうしようもない。だが、リラックスしてる思考の端ではとりあえず目の前の女二人をどう叩き出すかという物騒な事を考え始めている。
「(流石にはぐれにはなりたくはないな)」
悪魔であるリアス・グレモリーは正直紫炎で炙れば終わるのだろうがそうすれば叛逆扱いを受け悪魔内で指名手配を喰らいかねないため、その危険な考えを却下しどうしようもないと諦め始めている。と言うよりもそろそろそのまま寝そうな勢いである。
『アビータ・EmpressⅢ』はもはやどうしようもない。多分紫炎で焼いてもどうにもならないであろうし、水は効かないのは『兵藤一誠』も理解している。だから『兵藤一誠』はさっさと寝たい。放っておいて寝るのがありだろう。
「…………(よし、寝よう)」
女二人のキャットファイトまでもはや秒読みのタイミングで『兵藤一誠』は決断しそのまま布団の中に身体を潜り込ませて────
「ッ、この魔法陣は……!」
「また、侵入者……!」
「(寝させて……)」
床に展開された魔法陣に三人は思い思いの反応をする。
グレモリー眷属の魔法陣より現れたのは銀髪のメイド服を着た妙齢の女性。原作を知る転生者である『兵藤一誠』は初対面であるがその女性の事を知っている───原作知識を抜きにしても裏の世界に関わる中で知ることもあった為、一概に原作知識のおかげではないがそれは横に置いておく。
「こんな事をして…………お嬢様?」
メイド、グレイフィア・ルキフグスはリアス・グレモリーを咎めるような声音で何か言おうとしたが、目の前に広がる光景に言葉が止まるが、辛うじてリアス・グレモリーに呼びかけることが出来た。
そりゃそうなるだろう。
目の前で二人の女性が片や全裸、片や半裸で争っていたのだから。そして、最後の一人は布団に入って寝る気満々である。誰だって驚く、『兵藤一誠』だって驚く。
グレイフィア・ルキフグスの中では今回婚約を破談させようとしているリアス・グレモリーが裸ないしはそれに準ずる格好であるのは予想していたが、まさかの別の女性が全裸なのは予想外であるし、その争いをしりめに寝ようとしてる男性がいるのだから、もうなんとも言えない。
「グ、グレイフィア……こ、これは」
「ああ、貴女が。悪いですけど、この悪魔引き取ってくれませんか?ええ、わ・た・し・の一誠に手を出そうとしたので。私の夜伽を邪魔したので」
「しねぇよ。寝させろ」
各々の言葉を受けて、グレイフィア・ルキフグスはしばしその場でフリーズし、一分充分に時間を取ってから口を開いた。
「とりあえず、服を着てください」
その一言に『兵藤一誠』の中でグレイフィア・ルキフグスの好感度が地味に上がった。
───────────────
私の名前は『アビータ・EmpressⅢ』。
正確に言えば、それは私のガワの名前なのだが、特に私個人を指す名前がある訳では無いので、不便であった為ひとまずガワの名前を使っている。ちなみに一誠からはシシリーと呼ばれたいな、と密かに思っているのだがその旨を一誠に伝えた所、心底面倒臭い表情をされた。
まあ、それは置いておいて。
私は目の前の状況に軽くため息をつく。
「良いですか?淑女たるもの、無闇矢鱈に肌を晒さないものです。ましてや、そのまま争うなんてのはですね」
何故、私はこの侵入者の女に説教されているのだろうか…………いや、確かに言い分は分かる。淑女たるものはしたない真似をしたのは私も反省するしかない。流石にあんな風に肌を晒し過ぎたと思う…………いや、本来の私の格好はネグリジェか水着かそんな感じなのだから、露出に関しては問題ないのでは?
「聞いていますか?貴女」
「あ、はい」
でも、流石に全裸はアレなので反省ですね。
さて、この侵入者もといこのメイド悪魔……確か、グレイフィア・ルキフグスでしたか?一誠曰く、現レヴィアタンと最強の女悪魔の座を争い合ったらしいほどの実力者で現ルシファーの妻だとか……なのに何故にメイド?
現ルシファーはメイド趣味か何かなのでしょうか?
「はぁ……さて、お嬢様。貴女はグレモリー家の次期当主なのですから、尚更無闇に殿方に肌を晒すのはお止め下さい。ただでさえ事の前なのですから」
そう言いながら、あの女悪魔の乱れた服を治しながらそう釘を刺していく彼女を見ながら、私も脱いだ服を着直していく。流石に私も何時もあの格好ではないため、普通の女性らしい服装であるのは事前に忠告しておく。……誰に忠告しているのだろうか?
ああ、それと一誠は流石に布団から出て軽く頭痛薬を飲みつつベッドに腰掛けている。おのれ、女悪魔め……一誠に頭痛を起こさせるなんて……。
「お前のせいだからな……」
「何の話か、分からないわ」
「はァ……」
と、あちらは終わったのか、グレイフィア・ルキフグスは私と一誠に向き直り軽く頭を下げてきた。
「はじめまして。私は、グレモリー家に仕える者です。グレイフィアと申します。以後、お見知りおきを」
丁寧な挨拶ですね。それに伴い私と一誠も彼女に軽く頭を下げ簡単な自己紹介を行っておく。
「どうも、御丁寧に。私はアビータと言います」
「……兵藤一誠です」
ああ、一誠の挨拶から眠気が感じられる。いったい誰だ一誠を寝させなかったのは……私と女悪魔ですね、分かります。
「グレイフィア、あなたがここへ来たのはあなたの意志?それのも家の総意?……それとも、お兄さまのご意志かしら?」
「全てです」
あちらがまた話し始めたので、私は先程の説教で痺れた脚を軽く伸ばしつつ一誠の隣に腰掛ける。隣からとても面倒臭いですっていう気配が感じているけれども、私には何も感じません。だから、どきません。
あ、殺意になった。
「ごめんなさいねイッセー。迷惑をかけたわ、明日また部室で会いましょう?」
話は終わったのだろう。女悪魔が一誠に軽くそう言ってグレイフィア・ルキフグスと共に魔法陣で一誠の寝室から消え去った。
ようやく侵入者が帰ったのはいいが何を勝手に一誠の事を呼び捨てでしかも下の名前で、更には変な呼び方で呼んでいるのだろうか?教室で授業中に唐突な溺死とか面白い死に方をさせてあげましょうか?
「面倒臭い事考えてんな、アビータ」
「あら、いいじゃないですか?一誠だって、自分のパーソナルスペースに入られるのは嫌でしょう?」
「お前に入られるのも嫌なんだが」
「もう一誠たら、そんな冗談言うんだから」
「ぶっ殺してぇ…………」
この後、私は大人しく寝る事にした。
と言っても残念ながら一誠の布団で一緒にではなく、精神世界に叩き込まれて一人で悲しく寝た。枕が涙で濡れてしまった…………悲しい、グスン。
─────────────
これは一体どういうことだ、と『兵藤一誠』は思う。
思い出すのはつい十日、いや十一日前の事。
さっさと帰りたかったのだが、木場祐斗に声をかけられてしまったが故に仕方なく、仕方なく部室に訪れてみればそこにはやっぱりグレイフィア・ルキフグスがいて、話始めようとしたらやっぱりリアス・グレモリーの婚約者であるライザー・フェニックスが眷属共々御登場。
リアス・グレモリーとライザー・フェニックスの話し合いを冷ややかな目で見ながらこれから先の事を考えていたところ、特に介入したわけでもないのでそのままレーティングゲームが始まり、そして十日間の合宿特訓というぶっちゃけ付け焼き刃以外の何ものでもないモノに参加させられた。
そして、終われば、今こうして『兵藤一誠』はレーティングゲームの試合場にいた。
「はぁ……めんどくせぇ」
「……兵藤先輩。部長の未来がかかってるので……あまりそういうことは……」
『兵藤一誠』のそんな呟きを拾ったのか、『兵藤一誠』と共に体育館の敵を撃破しに行くグレモリー眷属の『戦車』である塔城小猫が咎める。
そんな彼女に『兵藤一誠』は軽く肩を竦めながら足を止めずに言い返す。
「まあ、キミらの気持ちは分かるよ。自分の長年の主があんな軽薄な男と結婚するのは嫌だって。でもさあ、それが貴族社会だろ?グレモリーという家の下にいるんなら、家の為に嫌な相手とも結婚しなきゃいけないもんじゃないか?……まあ、これはあくまで新参者の意見だからスルーしてくれていいよ」
「……兵藤先輩は冷たいんですね」
「そりゃあ、キミらほどグレモリー先輩と付き合いがあるわけじゃないからね。せいぜい数週間だ」
冷静にリアス・グレモリーとその周囲の環境を理解した上で『兵藤一誠』はそう言い放つ。確かに塔城小猫らのようにリアス・グレモリーと長年共に暮らしている者からすれば、『兵藤一誠』の言葉は冷たく突き放すような言葉だろう。だが、『兵藤一誠』の言葉は決して間違ってはいない。
リアス・グレモリーは悪魔世界の中で公爵という上から数えて早い地位の貴族の娘なのだ。そして、次期当主である以上政略結婚ぐらいは大人しく飲み込むべきなのだ。何せ、それが貴族社会なのだから。
無論、彼女の兄と義姉の恋愛結婚が多大に影響しているのは間違いないのだろう。だが、それはある種、仕方ないところがある。彼が魔王になるのにそこを反対したら魔王の座を降りかねなかったし、その相手がルキフグスというルシファーに仕える一族であったから許されたという部分が大いにあるだろう。
結果としてリアス・グレモリーの言い分はあまりいいものでは無い。
「と、着いたか」
「……はい」
目的の体育館に着いた二人は裏口から入っていき、演壇の端に立つ。
場数を踏んでいる『兵藤一誠』と塔城小猫には見ずともコートに敵がいるのを理解していた。
故に奇襲を考え、『兵藤一誠』がその手に水を纏わせて───
「そこにいるのは分かっているわよ、グレモリーの下僕さんたち!あなたたちがここに入り込むのを監視してたんだから!」
「ま、だろうな」
軽くため息を着いて『兵藤一誠』は塔城小猫と目を合わせる。それに彼女は頷き大人しく二人は壇上に出ていく。
体育館のコートにいるのは四体の女悪魔。
チャイナドレスを着た女と双子に棍を手にした女悪魔。『戦車』が一に『兵士』が三、自分らと同じ駒の組み合わせであるが数はあちらのが上であるのを理解しつつも『兵藤一誠』には焦りは何も無い。
極めて冷静に手を握る。
「……兵藤先輩は『兵士』をお願いします。私は『戦車』を」
「……ふぅ、了解」
塔城小猫がそのままチャイナドレスの悪魔と対峙し、『兵藤一誠』は一人棍使いの悪魔とチェーンソーを取り出すという頭がとち狂っている双子悪魔の山体と対峙する。
三体の女悪魔の視線に見下しのソレがあるのを感じながら、『兵藤一誠』はどうするか、思考を回していく。
「解体しまーす!」
そんなことなど関係ないと『兵藤一誠』目掛けて火が入ったチェーンソーを持って明るい声を上げながら双子悪魔が突撃してくる。そして、それに合わせるように棍使いの悪魔も向かってくる。
「バラバラバラバラバラバラ!!」
チェーンソーが床に当たることで火花が散り、息のあったコンビネーションで『兵藤一誠』にチェーンソーを振るう。それを紙一重で回避しつつ、背後から放たれた棍による一撃も回避し軽くその場を飛び退き距離をとる。
それに追撃をかけてくるがそれらも『兵藤一誠』は尽く回避していく。
その行動に双子悪魔は文句を言ってくるが『兵藤一誠』からすればどうでもいい話だ。
そして────
「「「ゴボッ!?」」」
チェーンソーが止まったかと思えば、唐突に三体の口から水が噴いた。
それは唾やら胃液やらなんかではない。まるで多量の水を飲んでいたかのような量だ。それをいきなり口から噴いて三体は苦しいのかその手に持っていた獲物をその場に捨てて首を抑える。
三体の思考はどうして?という疑問と恐怖の二種類が渦巻いていく。それを見ながら、『兵藤一誠』はそのまま三体から塔城小猫が相手をしているチャイナドレスの悪魔に視線を向ける。
その頃には三体の悪魔は酸欠でその場に気絶し、水を全て吐き散らした。
『ライザー・フェニックスさまの『兵士』三名、戦闘不能』
その場から三体の悪魔が消え、代わりに審判役のグレイフィア・ルキフグスの声がフィールド中に響いた。
それを聞き流しながら、『兵藤一誠』はチャイナドレスの悪魔の足下に水の塊を叩きつける。
「なっ!?」
「……!!フッ!!」
足下に叩きつけられた水の塊に足を取られ、致命的な隙を晒した悪魔に塔城小猫の拳が突き刺さる。間違いなくその一撃は決まり、その場に悪魔は崩れ落ちる。
『ライザー・フェニックスさまの『戦車』一名、戦闘不能』
そのアナウンスを聞きながら、塔城小猫はリアス・グレモリーに報告の連絡をしつつ、先に歩いてる『兵藤一誠』を追いかける。
『兵藤一誠』に追いついて少し躊躇いながらも、塔城小猫は口を開いた。
「……ありがとうございます」
「ン、どういたしまして」
二人の仕事は一先ず終わり、二人は次の戦いの場へと向かう為に体育館を後にした。
───────────────
ああ、まったく面倒だ。
「……ほう、リアスの『兵士』か。だが、たかだか『兵士』一人でどうなる?」
「イッセー!」
新校舎の屋上で、俺はライザー・フェニックスとリアス・グレモリーの戦いの間に立つ。リアス・グレモリーはやはり、まあやられたのかその髪も乱れて、制服もボロボロだ。
よくもまあ、回復役がいないのに耐えれたモノだ。それと何か歓喜な声を上げてるがいらないぞ、そんなもの。
「それにしても、レイヴェルの奴、見逃したのか」
ライザー・フェニックスは俺を見ながら舌を打つ。
見逃したというか、アレは戦うつもりがなかったから普通にスルーしたんだが……まあいいか。と、奴の隣に奴の『女王』が降り立った。
「ライザーさま、私が『兵士』の坊やを相手しましょうか?それに『兵士』の坊やが持つ能力が厄介かもしれませんわ。かなりの技巧の水を──」
「俺の炎を消されたら厄介だと?バカにするなよ、俺の、フェニックスの炎がこんな下僕如きにどうにかなると?リアスたちの相手は俺がやる。そっちの方がこいつらも納得するだろう?」
ああ、俺を置いて勝手に話が進んでいく。
面倒臭いな此奴。あと焼き鳥食べたくなってきた。それとどうやらあちらは俺の水を蒸発させる気満々のようだ。驕りだな。
「ふざけないでライザー!」
激昴したリアス・グレモリーが魔力の弾をライザーの顔面に撃ち放つ。回避せず直撃して頭部が消し飛んでいるが、やっぱり腐ってもフェニックスというわけですぐさま炎が断面から噴き出して元通りに戻る。
何事もないように首を動かすライザーにリアス・グレモリーは歯噛みしているが……さてさて。
「リアス、投了するんだ。これ以上は他の場所で見られているキミのお父上にもサーゼクスさまにも格好がつかないだろう。キミはもう詰んでいる。こうなる事はすでに読んでいたことだ。──────チェックメイトだ、リアス」
流石、貴族カッコイイなー。
「黙りなさい、ライザー。私は諦めない!読んでいた?積んだ?まだ『王』である私は健在なのよ?」
ライザーの言葉に不敵に笑うリアス・グレモリー。だが、アンタの実力じゃあどうにもならんだろ。あっちは不完全ながらも耐久型で、アンタは未熟な脳筋だ。どうしようもないだろ。
だが……まあ
「……イッセー?」
「ほう……」
俺は大人しくリアス・グレモリーの前に立つ。無論、リアス・グレモリーを背にしてだ。
「基本的に俺は面倒臭い事はしない主義だ。アンタとの付き合いはこの数週間しかなくて、俺からすれば貴族社会なんだからこの婚約も仕方ないものだと割り切るものだろう?と呆れていたよ。だが、まあ…………曲がりなりにも俺はアンタの『兵士』なわけで、主の命令に従うのが仕事なわけだ」
そう区切って、俺はその腕から紫炎を噴き出させる。
その光景に軽く目を見開く三体の悪魔。そんなものは無視して俺は嗤う。
「俺は手段を選ぶ気は無い────これが仕事だからだ」
『
俺が前任者から簒奪した神滅具。
それを発動して、俺は漸くライザー・フェニックスを敵と決めた。
「ライザー・フェニックス。お前の炎が火の鳥と鳳凰、そして不死鳥フェニックスと称えられた一族の業火であるならば、俺の炎は聖十字架、彼の者の血を呑んだ聖遺物による浄滅の紫炎であると知れ」
「聖十字架……だと……!?」
瞬間、紫炎は弾け『女王』を炙る。
たったそれだけで『女王』は声にならない苦悶の声を上げてその場から消えた。
『……ライザー・フェニックスさまの『女王』、戦闘不能』
「ユーベルーナ!……貴様!!」
「さあ、やろうか。仕事なんでな、悪く思うな」
紫炎が炸裂した。
同時に放った水がリアス・グレモリーを掴んでそのまま校庭へと運んでいったのを確認したと同時に俺はこの新校舎丸ごと紫炎に呑み込ませた。
「ッゥゥゥ……!!??……クソガキ……!!」
流石はフェニックスと言うべきか。寸前でライザーはその場から飛び退き空中に逃げていた。その為、今の一撃から逃れたようだが軽く炙られたかその額に脂汗を垂らしている。
「どうした、口よりも手を動かせ」
そう言いながら俺は紫炎を放つ。無論、ある程度抑えたものである為、ライザーに避けられるがしかし
「ガボッ!?ゴボッァア!?」
「紫炎だけだと思うなよ。寂しいだろ?」
ライザーの口から水が溢れる。いつも通り空中の水分を凝固させ、奴の喉に水の塊を作った。
流石に肺にやるのはアレなため喉から下には落ちないようにしているが、まあ喉に僅かな隙間を除いて水の塊なんか入れておけば呼吸が難しくなって苦しむのは当然だよなぁ?
後、地味にライザーの周囲の水分が少なくて凝固に時間をかけた。
首を抑えて苦しむライザーに俺はにこやかに嗤いながら、照準を合わせる。
「そら、避けンな?」
「ッウォアあああ!!」
紫炎が苦しむライザー目掛けて放たれる。だが、ライザーは何とかそれを回避しつつも絶妙に喉近くをわざと削らせる。
それにより水は喉の水は消し飛び、ライザーは大ダメージを受けつつも何とか酸欠を逃れた。しかし、それにしても普通に炎を使ってて、酸欠にならないのだろうか、あちらは。
俺?なんとかなるその辺は。
それにしても勇気のある行為だ。フェニックスであるから、多少のダメージは問題ないだろうが俺の使う紫炎は聖なる力を含んでいる。それは間違いなく毒となるが…………いやはや、なんともまあ
─────愉しいなァ
「次弾、装填」
屋上に広がる紫炎の中から砲身を伸ばす。
そこに紫炎を集める。
この行為を理解したか、やられる前にやると言わんばかりにライザーは特大級の業火を生み出して見せてそれを不死鳥の形に変えて俺へと放ってきた。ソレを眼前に噴き出させた十字架の紫炎で完全に受け止め吹き飛ばし、砲身の照準をライザーに合わせる。
「死ぬよなァ、直撃したら間違いなく。ま、なんかなるだろ?これぐらい」
そうして放たれた一撃は一切狂いなくライザーに直撃─────なわけはなく、その前方に俺が作り出した人一人分はある大きさの水の塊に激突して……まあ、あとはお察し。
高温の熱源体と接触した水の塊は瞬間的に蒸発して、ハイ、ドカン。
『……ライザー・フェニックスさまの戦闘不能を確認。今回のレーティングゲーム、リアス・グレモリーさまの勝利です』
そのアナウンスが流れたのを確認して、俺は紫炎を消して首を軽く鳴らす。
これで俺の仕事は終わり。
兵藤一誠と違って、リアス・グレモリーを助けに来たわけでもなく単純に仕事だから助けたわけで惚れられる理由なんて何処にもない。あと、俺はアンタのことをリアスではなくリアス・グレモリーとして見てるんで。
これにて閉幕!エクスカリバーとか面倒臭い話が待ってるけども協力しなくて大丈夫だよね!
なんか、俺の中で文句を垂れてる奴がいるが、そんなものは置いといて俺は悠々と転移の魔法陣に身を任せた。
「帰りなさいよ!私と一誠のパーソナルスペースに平然と踏み込んでくるのやめてくれます!?」
「あら、イッセーは私の眷属なの。主と下僕が交流して何か悪いかしら?」
いや、悪い事しかねぇよ。
俺は部屋で起きているアビータとリアス・グレモリーの言い争いに頭痛と胃痛がしてきて……あ、なんか寝れそう。寝よう。
とりあえず、面倒臭いことしかなかった。死ね、修正力。
───────
私、紫藤イリナ
私が主に仕える祓魔師って事は、幼馴染のイッセーくんには内緒なの
色々あって経費の危機?
助けてイッセーくん!
教会シスターナイト、第二聖『ヘルプ!イリナはエクソシスト!』
来週も恋にドロップドロップ!
「いや、始まらねぇよ」
『兵藤一誠』
本作主人公である宗像鴎の死因のチーズの生産地が違うという違いでこうなった。『赤龍帝の籠手』は持っておらず、代わりに何故かアズールレーンに出てくる『アビータ・EmpressⅢ』のガワを持った何かが宿っている。
容姿は兵藤一誠とは違うバトルものラノベ主人公みたいな感じ(本人談)
基本的に水属性で胃痛頭痛持ち。
裏の世界には数年前から関わっており、喧嘩を売ってきたとあるゴスロリ魔女を溺死させて神滅具『紫炎祭主による磔台』を手に入れている。
そして、まさかのアーシアの『聖母の微笑み』も持ってる。
アーシアとは面識がなかったから転生するのを頼む理由がなかった為、ディオドラ・アスタロトに転生させられないよう紫炎で火葬した。
『アビータ・EmpressⅢ』
多分、CV斎藤千和なアズールレーンの敵キャラのガワを被った何か。
『兵藤一誠』を自らの主と認めている一方、自身の所有物であると考えている。その為、『兵藤一誠』の貞操を狙ってるが無理矢理はせず、本当に拒絶した際はすぐに退いている。
『赤龍帝』
続かないので出てこないのは間違いないが、設定だけ存在してる。
続かないのが決まっている。