卍解しないと席官にもなれないらしい。   作:赤茄子 秋
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もし彼が居なければ、尸魂界も現世も霊王も消えていたでしょう。師として、彼を誇りに思います。また会えるならば、会いたいですね……

護廷十三隊総隊長 一番隊隊長 卯ノ花八千流


2.影で努力するって、カッコよくね?

まだ四番隊に配属されたばかりなのもあってか、俺はしばらく暇であった。

 

四番隊の隊長は卯ノ花烈(うのはなれつ)、唯一の女性の死神での隊長だ。護廷十三隊が結成されて今は500年くらい経ってるらしいが、彼女は最初期から居る古参らしい。

 

一応言うと、あの人は俺のストイライクゾーンから外れてる。だって俺の目指すのは「カワウソさんカッコいい!抱いて!」っていう感じの少し頭悪そうな可愛い女の子だから。真逆じゃん、一度だけ怒ってる雰囲気を体験したけど般若じゃねぇか。でも美人です、超美人です。何か良い匂いします、この人に一生ついてこうと思うほどに惚れたかもしれないが、理性の残ったところが辞めとけと言ってる気がする。

 

とりあえず、四番隊に志望したのは回復系の鬼道がまだマシだったからっていうのが言いたかったんだな。卯ノ花隊長に目が眩んだとか…最初しか無いんだからな!美人だし、職場に美人な上司がいた方がやる気出るだろ!?

 

と、とりあえず俺は暇を貰ってる話に戻す!

 

で、現在の俺だけど…

 

「あの酔っ払い、もう少しマシな地図を書けよ!?」

 

この前の飲み会で先輩にこれからどうすれば女の子にモテモテに……じゃなくて、隊長になれるかを聞いたわけですよ。

 

そしたらおもむろに練習場所に最適?な場所を地図にしてくれたわけなんだが。

 

「遠いわ!俺の地元の更に先とかふざけてんだろ!?」

 

俺はかれこれ、半月ほど全力で走り続けて目的地周辺までやって来て居た。

 

一応死神には瞬歩っていう高速移動術がある、で落ちこぼれの俺でもちょっと瞬歩は使えるんだけど、フルで使っても半月ですよ。

 

しかも、地図がアバウト過ぎて場所もよくわかんねぇ!

 

だが、俺が疲れた体に鞭を打ちながらもこの場所に来て居るのには様々な理由がある。

 

1つは

 

「あと一月で帰らねぇと隊長に殺されかねねぇんだけど!?」

 

時間がヤバい、暇がかなり長かったので目的地まで余裕で行けるだろうと高を括っていた俺なのだが。目印に中々辿り着けず、道行く人に聞くとヤバイほど遠い所にあるのがわかった。

 

おい、ふざけんなよ。どんなに遅くても3日で行けると思っていた俺はヤバいよ、足がガクガクしてる。生まれたてのバンビみたいになってる。「騙されたと思って、行ってみな!」って、騙されるとは思わなかったわ!あの先輩はいつか締めるぞ!?本当に目的地あんだろうな!?

 

「うっ…マジで、あんだよな!?」

 

落ち着け、まだ希望的な主な理由が俺には残されている。

 

1つは鍛錬の場の確認で、そこはなんか霊子濃度がハンパねぇって聞いてるのでそこを体感したい事。

 

もう一つはなんかすげー疲れが取れる天然の温泉があるって事だ。

 

正直、もう温泉に入るしか俺の足を治せる気がしないんだわ。このままだと初日から遅刻してクビになるまでの未来が見えて仕方ないんだわ。

 

今の俺の足じゃ三ヶ月あっても間に合わない気がしてならない。

 

そんなことを考えながら浅打を杖に、足を動かし続けていると…初めて確かな手応えを感じる。いや、鼻応えだ。

 

「温泉……温泉!!」

 

硫黄の香りだ、この腐ったたまごみたいな香りだ。なぜか力が湧き始めた、全力で足を動かして先へと進む。道無き道の草木を全て浅打で切り開いて進み続ける。

 

そして硫黄の香りの先へと向かい続け、遂に。

 

「温、泉……!?」

 

青白く中が輝く洞窟と、それとは対照的に真っ赤な温泉をみつけるのであった。

 

☆☆☆☆☆

 

結論から言おう、遅刻した。

 

「そこになおりなさい」

 

今は卯ノ花隊長に正座でお叱りを受けている。あ、卯ノ花隊長の私室に呼び出されてます、なんか良い香りします。

 

えっとそうじゃなくて、実あの後に洞窟に入ったんだけどさ…入った瞬間に動けなくなったんだよね。なんか凄い霊子の密度だった、ハンパなかったわ。イメージとしては重力が急に何十倍にもなった感じで、息が苦しいとか初めてでしたよ。そこで兵糧丸とかで食い繋ぎながら3日ほど動けなくなってた。

 

そして何とか這いずりながら温泉で回復しようとしたけど、いや疲れは取れたよ?問題は温泉の霊子濃度もハンパなかったから傷だらけになってたって事かな?おい、何であそこが最適な場所って言ったんだよ!ノリと勢いだけで勧めてるじゃないかと思っても仕方ないよね!?

 

俺の命が枯れ果てる所だったわ!!

 

「萩風、返事は?」

 

「え?は、はい!肝に銘じます!」

 

で、そこから何とか這いずりながら洞窟を出たんだけど帰りに半月かかってギリギリ遅刻。朝寝坊って事にしておいたら、周りからかなり冷ややかな目で見られました。違うもん、俺頑張ってるから!

 

そしてその御褒美なのか、卯ノ花隊長っていう超絶美しい女の子の部屋に招かれてるんだよ!これから毎日の遅刻も辞さない所存でございます!

 

「では貴方に、罰を与えます」

 

「え、罰?」

 

そんな俺の心を見透かしてか、卯ノ花隊長はにっこりと笑う。

 

「期間はそうですね…ここは優しく、貴方の成績も鑑みて5年あげましょう、斬魄刀を物にしなさい。でなければ四番隊をクビにします、良いですね?」

 

悲報、萩風カワウソ。初日から退職の通知がされる。

 





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