卍解しないと席官にもなれないらしい。   作:赤茄子 秋

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護廷十三隊 余力(怪我人含む)

1番隊 隊長
4番隊 副隊長
5番隊 隊長 副隊長
6番隊 隊長 副隊長
8番隊 隊長 副隊長
10番隊 副隊長
11番隊 隊長 三席 五席
12番隊 隊長 副隊長
13番隊 副隊長

計15名


40話 残存戦力

 

 更木剣八の能力について、未知数の力が脅威であった。卍解を持たない唯一の隊長にして、その力の底が常に見えない。そんな存在であったからこそ滅却師は警戒していた。

 

 しかし、ユーハバッハ(正確にはユーハバッハを真似たロイド)との戦いに敗れ、その脅威は過大評価であったと認識されている。事実その戦いをハッシュヴァルトは隣で目にしていたのだから、その力量はある程度把握している。

 

「あ、なんだ。さっきから傷が増えやがる、あいつもこれをやられてたのか」

 

 そしてその上で、ハッシュヴァルトは下手を打たなければ負ける事は無いと考えている。慢心ではない、堅実に戦えば勝てるのが分かるのだ。

 

「幸運だな、更木剣八」

 

 ひとえに、その能力の特異性がそう確信させる。

 

「今の私の攻撃を防いだ幸運、平等な不幸としてお前に降り注ぐ」

 

 ハッシュヴァルトの能力『世界調和』は不幸を振り分ける。幸運すら振り分ける事は出来るが、不幸を振り分けるというのが鍵である。

 

 どんな攻撃を防ごうと、それは更なる不幸として無効化できない攻撃として降り注ぐ。どれだけ相手の腕前が良かろうが関係ない、しかし不幸ては平等でありハッシュヴァルトにも降り注ぎはする。

 

 だが、それは全て『身代わりの盾(フロイントシルト)』により肩代わりされる。

 

 攻撃をしようともダメージは返ってくる一方で、攻撃をされればいつか必ずダメージを負う、普通にやれば絶対に勝てないのがこの能力である。

 

「そして私はこの盾が全てを受け止める、貴様の攻撃が届く事は……っ!?」

 

 だが、そんな非常識な存在であろうと彼には関係がなかった。

 

 ハッシュヴァルトが説明しいかに自分が優位に立っているかを話した次の瞬間には、身代わりの盾は一刀両断されていた。

 

「おいどうした、そんな板割られてはしゃぐなら準備運動にすらならねぇぞ」

 

 身代わりの盾はその性質を体現する為に、強固に作られている。それを壊すとなれば時間はかかる上にその過程で盾に溜まった不幸すら振り分けられてしまう。

 

 だからこそ盾を破壊するのは不可能であったのだが、この怪物は一太刀でその理不尽を破壊していた。

 

「なぜだ、この盾を切り裂く力など以前の貴様には……!」

 

 仮に壊すと考えても、その不幸が現に更木へと返ってダメージとして出ている。しかし、そんな事は彼には関係ないのだ。

 

「何言ってんだ。俺に切れねぇ、物は無え」

 

 更木剣八という怪物は前回と違い、手加減という言葉が辞書に無いのである。

 

 ☆

 

 即座にハッシュヴァルトは自身の考えを捨てた。前回の戦いで目を開くまでもなかった陛下に圧倒された死神ではないと、これが特記戦力たる所以であると。

 

 正確に測ったつもりであった、しかし測れないがこの存在。ならば、ハッシュヴァルトが取る手は一つしかない。

 

神の眼差し(ミライスオス)

 

 滅却師完聖体、ハッシュヴァルトもその能力は当然扱える。星十字騎士団の団長であり、陛下であるユーハバッハの側近である彼ならば使えて然る能力だろう。

 

 全身が光に包まれ、天使の様に羽が生えたその姿を見れば滅却師という人の枠組みすら超えた存在とも感じられる。

 

「これを、使う気などなかった」

 

 しかし、そんな力を使わなかったのには理由がある。

 

「おう、ちゃんと楽しめそうな事も出来んじゃねーか」

 

 更木は早速先程まで楽しめなかったハッシュヴァルトに斬りかかる。手加減などはない、ハッシュヴァルトの盾を叩き切った破壊力はその身を切り刻めないわけがない。

 

「この私の力は、我々滅却師側が劣勢であればある程に力を持つ」

 

 だが、何故か切り裂けなかった。盾より硬い体を持つならば盾など必要ない、にも関わらず更木の剣は傷一つハッシュヴァルトにつける事は出来ていなかった。

 

 同時に、更木の刃を体ごと吹き飛ばす。

 

「今の私は、貴様らの享受した幸運の分だけ力を増す事が出来る。戦局をひっくり返す力だ、楽しむ余裕なぞアリはしない」

 

 ハッシュヴァルトの能力は均等化する力、それを個々の間ではなく群の力としてとらえて扱える様になったのがこの力である。死神側が少しずつ優勢となり滅却師の犠牲者が多くなっている今だからこそ、使える力である。

 

 つまり、追い詰められなければ使えない力なのだ。今迄、卯ノ花や更木に手を抜いていたわけではない、ただ使えなかっただけなのである。

 

「刀が通らねぇとは、随分とそっちは劣勢みたいじゃねーか」

 

 ただ、それは滅却師側がキツイ状況である事を示している。ユーハバッハは戦場に出ていない関係上、まともな戦力は限られているのだ。その分だけハッシュヴァルトは強くなっている。

 

 防御力、破壊力、速度、反射、滅却師としての技量、そのどれもが戦局を覆すに値する能力だろう。

 

 ただしそれは、相手が更木剣八でなければの話である。

 

()め 野晒(のざらし)

 

 突如として、更木の斬魄刀が変化した。巨大ない鉈のようにも見えるそれは、更木の体よりも大きい。そしてそれを一凪した瞬間──

 

「な、んっ!?」

 

 ハッシュヴァルトの体に深い切り傷を刻んでいる。

 

「俺をやるには、まだ足りてねぇみたいだがな」

 

 特記戦力更木剣八、彼の底はまだ誰も分からない。

 

 ☆

 

 滅却師と死神との戦い、少しずつ死神側が盛り返して来ている一方で圧倒的な蹂躙をする滅却師が1人いる。

 

 グレミィ・トゥミュー、既に2人の隊長を屠った滅却師である。本来であれば封印されるだけの危険度のある存在であり、この戦場において会う事そのものが不運と言える。

 

「んー、よく寝た。次の隊長探しに行かないとなぁ」

 

 そして一度休憩を挟んだ彼は、周りの霊圧を探っていく。至る所で戦闘が起きており、隊長格らしき者もいくつかいる。あくまでも彼の目的は死神の殲滅ではない、それはついでなのだ。

 

「行くならどこに……」

 

 そして自身に対して、超える者はいないという絶対的な自信を持っている。それは戦った隊長達を見た客観的な事実であり、これと対峙して勝つ方法などそう簡単には浮かんでこない。

 

「誰かな、隊長さん?」

 

 そんな滅却師を相手に、1人の死神が立つ。

 

「護廷十三隊八番隊隊長 京楽春水だよ。随分と暴れてたみたいだね」

 

「僕はグレミィ・トゥミュー、よく見つけたね」

 

 グレミィが振り向くと、そこにはどこからともなく現れた1人の死神、周りに部下らしき者どころか周囲には死神らしき霊圧も感じられない。口振りから察するにグレミィが隊長を2人倒しているのを分かっていてここに来ているようだが、それを分かった上で単独で来るという事は余程の存在である事が察せられる。

 

「更地を作ってその真ん中に寝てるんだから、隠れる気なんてなかったんじゃないの?」

 

「分かってるなら、不意打ちでもしないの?」

 

「そういう相手ほど、易々と首は取らせてくれないからねぇ」

 

 そして驕りや甘え、そういった物を感じない。警戒をしていたのは正解だろう、この相手には常識というものは通じない。だからこそ常識と違ったルールで戦う彼が来たのだろう。

 

「そうだ、隊長さんなら分かる? 黒崎一護と萩風カワウソ、あと滅却師のリルトット・ランパードがどこにいるかさ」

 

「知っているとしても、タダで教えるわけにはいかないよね。他の隊長達もそうだったでしょ?」

 

 そう言われ、グレミィも「確かにね」と答えると京楽に対して初めて正面から向かい合った。

 

「なら遊んであげるよ」

 

「遊びは僕の得意とする所だよ」

 

 遊びで済まない戦いが始まる。

 

 ☆

 

 臨時救護拠点、そこを襲って来た滅却師の数は4人。更にその戦闘が呼水となり、2人も増えたので計6人の星十字騎士団が襲っていた。それと相対した護廷十三隊副隊長の檜佐木、隊長の浮竹を含む隊士達は無惨に散っていた。

 

「あー、雑魚ばっか! フラストレーション溜まりまくりよ!」

 

 四番隊を逃すので精一杯、息があるのは檜佐木と浮竹だけであり他の隊士達は命を落としている。いや命を落としているだけではない、もっとそれは惨い結果となっている。

 

「(六車隊長に鳳橋隊長まで……)」

 

 滅却師の1人が隊士達をゾンビ化させたのである。更に怪我人を運ぶので精一杯であった四番隊が残した死体すら、敵に利用されてしまっている。

 

 特に隊長であった2人の死体は圧倒的であり、ただでさえ余裕のない2人では対処できるはずもなかった。

 

「どうするの? また追いかける?」

 

「めんどくさいわね、今度は逃げられないようにあいつの部下っぽい奴だけ残してぶっ殺す事にするわ」

 

 もはや立ち上がることすら出来ない、殺してないのはただの気まぐれであり、抵抗の出来ない事を分かっているのだ。現に腑が煮えくりかえるような話し合いに、2人は口を開く事すら難しい。

 

「なら、この2人は?」

 

「好きにしなさいよ、ゾンビにしちゃえば?」

 

 そう言われたゾンビ使いの滅却師は「よかったー、憂さ晴らしに壊されたら大変だったからねー」と、陽気な様子で2人に寄ってくる。浮竹達は目にしている、敵の血を触れれば最後、体は言うことが聞かなくなり操られるがままにされる事を、自意識など消え去る事を。

 

 ただ倒されるだけでなく敵の手駒とされてしまう、これほど無力さを感じる事はない。

 

「散れ、千本桜」

 

 ただその歩みは、突如として舞う桜色の波に押し流される。

 

「戻ってみれば、てめーら暴れ過ぎだろ」

 

 四番隊と怪我人を逃す為に戦っていたのだ、当然敵も引き付けられるように、味方も引き付けられる。

 

「前回と同じく救護舎を狙うとは、随分と恥知らずのようだな」

 

「ったく、みっともねー様だな。浮竹」

 

 上から舞い戻った死神だけではない、散っていた護廷十三隊の実力者達が集まっている。その数は滅却師達よりも多い。

 

「一角、君も無茶したら危ないからね。言っても意味ないと思うけど」

 

「当たり前だろ弓親。さっさと倒して次の敵の場所を吐かせるぞ」

 

 無論皆無傷とはいかない、だが滅却師を撃破している強者も揃っている。

 

「護廷十三隊を舐めるなよ」

 

 阿散井恋次の声かけに、皆が同調する。残っている滅却師の実力者、その殆どがここにいる。ユーハバッハとの最終決戦を除けば、これが戦争の分岐点ともなるだろう。

 

「桃、2人連れてくで。頭数揃っとるみたいやし、ここは6人に任せた方が良さそうや」

 

「はい!」

 

 ただ平子と雛森は檜佐木と浮竹を連れ、その場を去る。この6人ならば大丈夫だと信じているのもある。ただ2人は他の6人に比べて疲弊は大きく万全とは言い難い状態である。それに雛森は回道により治癒の方が役立つとの判断だろう。

 

 一方で、残った6人であるが。

 

「いや何でお前が居るんだよ!? 一護に負けて死んだはずだろ!?」

 

「死んだからここに居るんだろうが」

 

 1人だけ護廷十三隊どころか、仲間かすら怪しいメンバーが混じっている。彼の名は銀城空吾、完現術者であり一護が死神の力を失った際に力を取り戻す手伝いをするフリをして力を奪い取った存在だ。

 

 仲間どころか、かつての敵である。

 

「いやそうじゃねーけど! 死神に恨みがあるんじゃねーのか!?」

 

「やる事やったら帰るから気にすんな、眉毛」

 

「お前、この俺のイカす眉毛を……!!」

 

 ただ口論を続ける2人ごと爆撃の雨が襲う。

 

「うっさいわね!! 全員ぶっ殺してやるわよ!!」

 

 確かに双方にとってかつては敵であった、それは今も部分的には変わらないかもしれない。

 

「まずはあっちから片すぞ」

 

「言われなくてもそうすんだよ」

 

 ただ敵の敵は、味方でもある。





京楽春水 vs グレミィ・トゥミュー

阿散井恋次&朽木白哉&朽木ルキア&
綾瀬川弓親&斑目一角&銀城空吾
vs
ロバート・アキュトロン&ナナナ・ナジャークープ&
バンビエッタ・バスターバイン&ジゼル・ジュエル&
ミニーニャ・マカロン&キャンディス・キャットニップ



ミーラ(運命)+イスオス(均等)
=ミライスオス

基本的に能力とか自己解釈で書いているので解釈違いがあるかもしれませんが、ご容赦ください。
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