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前もって獄頤鳴鳴篇を読んでおく事をお勧めします。
58話 魂葬礼祭
何も無い空間、暗く広いだけのそこは罪人が1人いるだけの空間だ。空気ですら出入りもしない静けさのあるこの場所は、それは罪人の中でも殺したくとも殺せないような罪人が行き着く果てと言える。そして、それだけの事をしたものがここにいる。藍染惣右介はその罪人の1人だ。
そんな彼の所へ、人が来る事はない。
「久方ぶりの来客だね」
無論、特異な時を除いて。過去にはユーハバッハから麾下に入るよう求められた時と、総隊長となった卯ノ花からユーハバッハと戦う為の戦力として求められた時がある。そしてどちらも、力を求められた。彼は罪人であるがそれを押してでも強者であったからこそ、稀に来訪者が現れるのだ。
「ここへ自由に出入り出来る辺り、どうやら相応の存在には至っているようだ」
そして、今回の来訪者もその類であろう。
「要件は何かな、まさか私に復讐をしに来たわけでもあるまい」
来訪者の姿は見えない、だが間違いなくそこにいる。その理由は分からないが、どうやら意図して姿は消しているようだ。藍染惣右介を警戒しての事前準備なのかもしれないが、それよりも情報に対する何らかの防衛策のようにも感じる。
「────、────────」
そして、空間の中に声が響く。男なのか女なのか、老いているのか幼いのかも分からないような言葉、これも意図したものなのだろう。とことん隠したがっているのか、何かを悟られるのを避けたいのかもしれない。
だが、その話しかけて来た誰かの正体を藍染惣右介は看破している。
そしてその上で、頼まれた申し出に対する答えも決まっている。
「自惚れるなよ、
天に立つ為に排除する予定だった存在、手に届かなかったその存在が今同じ空間にいる。あんな紛い物の王ではなく、ただの楔としての役割だけを持った装置でもない、確かな超越者がここにいる。
だが、そんな存在が態々ここに出向いて来た上で求められた事に藍染惣右介は呆れている。その申し出をして来た当人を知っているからこそ、より呆れている。
「その望みは断るが、君の席はいずれ私が奪い取る。その時を悠久の時間を過ごしながら待っているといい」
その意志を宣告すると、気配は前触れもなく空間から消えて行く。その申し出を引き摺らないあたり、本気ではなかったのだろう。ただそれに向こうからして色良い返事をしていれば、その望みが叶っていたと思うと藍染惣右介はらしくない溜息を吐く。
「やれやれ、感覚器を前よりも増やしたか。どう対処するかは、天に挑む楽しみと考えようかな」
こんな時でも鏡花水月を軽く試してみたが、どうやら掛りは甘かったらしい。暇潰しにちょうど良いとも思いながら、藍染惣右介はまた彼1人だけの世界に思考を置いていった。
☆
戦争が終わってから、十二年が過ぎた。黒崎一護は隕石を破壊し尸魂界を救った英雄の一人として数えられ、井上織姫と結婚後は子供をもうけ平和に暮らしていた。
そして平和な時代を暮らしていたのは尸魂界も同じだろう、事件らしい事件も無いわけでは無かったが動乱は落ち着きを見せている。
黒崎一護に連絡が向かったのは、そんな時であった。
「どうした恋次、儀式って。言っちゃあれだが亡くなったのって……」
「体裁的にはするんだとよ、今回で5人目だ」
護廷十三隊の戦死した隊長の葬儀をあげてから十二年おきに行う儀式、その招待を受けていた。隊長という元々強過ぎる者達は中々死なないので、いかに前回の戦いがここ数百年で大きなものであったかを示している。それが5人、となれば相当だ。
だが、今回呼ばれたのはその5人の中のある人物の儀式の時だ。
「お前も来とけって総隊長からな、あの人とはそれなりに顔も合わせてんだろ」
その5人の隊長と面識がないわけではない。ただこの1人に関しては共に戦い、守られ、自分が戦うつもりであった存在と戦い果てたと聞く死神にして、先の大戦における英雄の1人でもある。
「で、その虚コロシ祭りに参加すれば良いのか?」
「
その隊長の前で虚を殺す、そんな儀式に呼ばれている。
☆
阿散井恋次から連絡を受けてから数時間、現世には虚を捕縛しに多くの死神がやって来ている。今夜行われる魂葬礼祭の『序儀 面霊縛』の為に集まっているのだ、それも集まっているのは並の虚程度撫で斬りに出来る者達である。
「おぉ、副隊長全員集まってんのか」
そんな中に、黒崎一護も霊圧を感じてやって来ている。
「おい一護、お前なんでこっちにいるんだよ!?」
「呼ばれたのにお呼びじゃないってか、ややこしいな」
「お前には式典に参加しろって言ったんだよ!」
やって来てすぐに阿散井恋次が一護につっかかる。今行っているのはあくまでも一護を誘った儀式の前段階、生きた状態の虚を捕まえる所だ。お呼びの段階ではないし、そもそも儀式に参列出来るのは基本的に隊長だけである。
なので副隊長の集まるここに来る必要も無いのだが、それを見兼ねて1人が近寄ってくる。
「なんじゃ、久しいの」
頭を角刈りに決め、サングラスをかけた渋めの死神がやって来る。見たところ腹や腕を隠しているようにも見え、その顔には見覚えはあるが名前は出てこない。
「えっとー……」
「十一番隊の射場副隊長だよ」
言い淀む一護に対し、フォローとして恋次は名前を言う。以前は七番隊で副隊長をしていた射場が今は十一番隊で副隊長を務めている。なお射場は元々十一番隊の人間でもあり、更木剣八の斬魄刀となった前副隊長の代わりを務めている。
しかし、その情報に少しだけ一護は違和感を覚える。
「十一番隊って、確か副隊長は一角だろ?」
一護の記憶が確かなら、戦争が終わってすぐの頃に一角が副隊長に就任していた。他の副隊長の席が埋まっていないからという理由程度で移動する者でもない筈だ、そもそも斑目一角という男は更木剣八の元で戦って死ぬ事を本望と考えている死神なのだから、異動を受け入れることは無い筈でもある。だからこそ生まれた違和感であるが。
「アホ抜かせ、あいつは隊長になっとる」
「一角が、隊長!?」
どうやら、少し見ない間に時間は大きく流れているだけでなく、護廷十三隊も変わっているらしい。
「あぁ、一角さんは6年前に卯ノ花隊長から隊長に推挙されたからな。まぁ逃げた一角さんに総隊長が更木隊長を一騎討ちで戦わせた後、割とすんなり七番隊の隊長になってたな」
また補足として恋次は経緯を語るが、七番隊が壊滅状態となった結果副隊長迄しか代わりを準備出来なかった事やその結果として砕蜂や卯ノ花に推挙されて隊長になった事迄は語らない。なお隊長を本気で嫌がっている事も恋次は知っている。
「他にも副隊長だと勇音さんと檜佐木さんが隊長になってる、ちょうど良いし後で紹介するけど副隊長も新顔がいるしな。ただ一番隊だけそこは空席のままだが」
あの大戦で隊長が5人も居なくなったのだ、なおそのうちの2人は悠々と仮面の群勢に戻っているのだが。更に言えば狛村の小さくなった霊圧を皆感じているので、亡くなったのは1人の例外を除いて前総隊長の1人である。ただ入れ替わりという意味では数年前に八番隊の京楽も再起不能という名目で今は教師をしており、それに伊勢七緒もついて行き鬼道の教鞭を取っている。なのでここ数年で6人の隊長が入れ替わったということでもある。
「あの戦いで隊長が一気に居なくなったんだ、顔が変わってない副隊長も俺やルキアに吉良、雛森……まぁ、半分ぐらいだからな。顔見知りも減るだろ」
結果として、護廷十三隊の隊長が6人も変わったのだから見知らぬ顔があっても仕方ないだろう。特に副隊長は新顔もある、そしてそんな新顔の1人が寄ってくる。
「おぉー、隕石をブッ壊して尸魂界を救った英雄さんじゃないっスか!」
話しかけられた一護は振り返る。するとそこには護廷十三隊の死覇装を改造したのか、尸魂界では見慣れない露出が多く浅黒い肌と染められた金髪の死神がいる。
「どーもっス! 八番隊副隊長の
「悪りーな、現世のギャルってのにかぶれてんだ」
「現世にこんなギャルいねーよ」
一護は英雄と言われているが、やはり大勢の死神が目にした危機を救った事が大きかっただろう。対してもう一人の英雄とされる者が戦ったあの時は、殆どの死神が気絶しているか死んでいる時であったので、英雄として広く知られているのは実は一護の方であったりする。
「ちょっ、せっかく写メりたかったんですけど!?」
「さっさと働かんかい、迷惑かけてまた与ウ困らせられても困るんじゃ」
なお、そのギャル被れは射場に連れて行かれる。先輩という事もあってか、八々原は強制的に見回りに戻されるが、その手に構える機器を見る限り、写メを諦めるつもりはないようだが。
「んで、虚捕まえて殺すんだろ。物騒だけどこれ伝統なのかよ」
周りも落ち着いて来たので、一護は本題に入る。ここに来るまで疑問であった事だ、古い習わしとは言え血生臭さがあるのは何となく引っ掛かり、納得出来ない部分があるのだろう。そもそも、この儀式での事前知識が無いのも原因にあるが。
「意味ある伝統だ」
その知識を、しっかりと持つ者も当然いる。朽木ルキアなど、その最たる例だろう。
「相変わらず壮健なようだが、織姫を悲しませてはおらぬな?」
朽木ルキア、十三番隊の副隊長を務める彼女は浮竹の右腕として働いている。恋次と同じく卍解の使える副隊長であるが、その恋次と結婚し1人の子をもうけている。なお本名も阿散井ルキアに変わっているが、阿散井と呼ばれるのが恥ずかしいと言う理由で、変更の届出は護廷十三隊には出していない。なお同様の理由で雛森も出していなかったりする。
「大丈夫だよ、今も子供寝かしてくれてる。苺花ちゃんも元気か?」
「あぁ、現世に仕事と言えば勝手に着いてくるぐらいには活発だな」
またお互いに子供も仲が良いようで、子育ての悩みなんかを互いに話す事もある。最初の出会いから大きく時間は経っているが、やはり変わらないものはあるのだろう。
「で、虚殺すのって何の意味があんだ?」
それで最初の話に戻る。結局、この儀式の虚を殺すことが何なのかと言う疑問は解消されていない。それを聞く迄に情報が多かったので寄り道したが、ようやく話せそうなルキアが現れて一護もホッとする。
「それは知らん」
「知らねえのかよ!?」
ただ知らないらしい。と言ってもルキアが学院時代不真面目であったというわけでもなく、情報としてそこは儀式の一つであると学んでいるだけなのだ。しかし、その儀式には役割がある。
「だが、これは意味がある。そもそも魂魄は……」
なのでその役割について、彼女が話そうとした時なのだが、彼女の言葉が止まる。ただ止まったのは彼女だけではない、それを感じ取った彼女以外の全員もその方向へと目を向けている。
「ん? なんか、遠くから霊圧感じたけど。死神……じゃねえよな」
「いやそれよりも、こっちに近づいてなかったか?」
一瞬だけ、複数の霊圧を感知したのだ。それも気のせいかと感じる程度のものであるが、死神ではない何かの霊圧であったのは定かだ。ただそれが死神以外の何なのかまでは感じ取れていない。
「仕方あるまい。確認に行ってくるか」
ルキアがそちらの方へと駆けていく、そのすぐ後に「なら私も行くよ!」「まぁ、儂も行こうか」と虎徹副隊長と射場副隊長も後を追っていく。ただ聞きたかった話を遮られたと言うのもあるのか、一護は去って行くその背中をずっと見続ける。なので恋次は声を掛ける。
「ルキア達になら任せて大丈夫だろ、戦争終わってすぐに浮竹隊長が倒れた時は隊長になるって話もあったしな」
卍解の使える副隊長は少ない、その1人であるルキアもあの戦争から力をつけて卍解を磨き上げている。ここにいる副隊長の中で強さで語るならば、可能性は三本の指に入るだろう。ただ、一護が気にしているのはそれではない。
「その心配はしてねえんだが、あの気配はどっかで感じたような気がすんだよな……」
一護は少しであるが、霊圧の細部を感じ取れてはいた。数は3、悪い気配ではないし敵意も何も感じられなかった。なので戦闘になるという事を心配はしていない、だがその霊圧を思い出せないがどこかで感じた記憶があるのである。
ただ、そんな事を考えながら数刻が経つと空気が澱み始める。
「まぁ、俺たちで虚を探して……」
恋次が切り替えようと、皆に声をかけた時だった。空に轟音が響き始めると、中々見慣れない骸骨の埋まる両開きの門が現れる。
「ち、タイミング悪いな。こんな時に地獄の門が開き……」
地獄、生前に罪を背負う魂を輪廻の理から外す浄化の機構。それはいつも突如として現れ罪人を連れて行く、尸魂界でも知られたものであるが、それを実際に目にする死神は多いわけではない。
今から虚を捕まえようと考える副隊長達には、獲物を横取りされるわけであるので面倒だと考える者も何人か見受けられる。しかし、そんな思考は開かれた門と──中から溢れ出す餓鬼の群れに塗り潰される。
「何で地獄から亡者が溢れて……っ!!」
虚のようにも見えるが、少なくともこれは敵意を持って現世に降り立っていることが分かる。それ即ち、地獄に入れられる程の罪人達が暴れ回るという事でもある。
「月牙──天衝!!」
一護は咄嗟に出てきた最初の怪物達を薙ぎ払う。一体一体の力はそこまで高くはないようだ、しかし問題なのはその数だろう。一護が薙ぎ払ったは良いものを、続々と門からは化け物が溢れてきている。それも方々に散り、街を目指している。
「ちょっとー! 虚捕まえるどころじゃ無いんだけどー!」
「こいつら霊圧が無い、奇襲に警戒してくれ!」
九番隊副隊長の久南白や三番隊副隊長の吉良イヅルも、迎撃に上へ向かって行く。その後に二番隊副隊長の大前田や五番隊副隊長の雛森も上に向かい、それぞれ交戦を始める。
「俺だ、涅隊長に至急連絡しろ! 地獄から現れた怪物に襲撃を受けているとな! それと街全体の空間凍結と副隊長の限定解除、いつでも出来るよう手配しろ!」
また十二番隊の阿近も伝令を送りはするが、数の多さに直ぐに自分も手を回さなければ被害が出ると感じ上に向かう。副隊長と黒崎一護、その全員が迎撃に向かい阿散井恋次もそれに追従しようとするが──
「よし、俺も……っ!?」
それは、足に結びついた謎の鎖によって阻まれる。だが直ぐに警戒度を高めて鎖を断ち切り距離を取る、すると闇夜の影から何かが蠢き出す。鎖を出した張本人が、阿散井恋次の前に現れる。
「随分と焦ってるじゃないか、君へ会いに態々出向いてきたというのにさ」
気狂いしているかのような声音と、黒い粘着質な何かに覆われた体。顕現するそれは、明らかな敵意を目に宿して恋次を見据える。ただ恋次にはこいつの見覚えがある、何よりも戦ったことのある敵であり、涅マユリによって殺されているはずの破面だ。
「君だけとは、随分と淋しいじゃないか」
元第8十刃、石田雨龍と阿散井恋次の2人をしても勝てなかった敵。
「ザエルアポロ……!!」
ザエルアポロ・グランツが、そこにいた。上にいる亡者の群れとは違う、明らかな上位存在として立っている。
「文字通り、地獄から舞い戻って来たのさ。まぁ会いに来たのは君だけじゃないがね」
他の副隊長や一護は被害を抑えるのに全力を尽くしている。これが現れた事は上の亡者同様、霊圧が感じられない影響で皆気づいていないようで、彼1人しか気づいていない。
「お前ら、どうやって出て来やがった!」
いや、彼だけしか気づかせなかったのだろう。
☆
副隊長達が虚を捕まえに向かっている同時刻、1人の死神が駆けていた。背中に七の数字を背負い、瀞霊庭の外にある流魂街からも離れた場所から駆け続けていた。特徴的な金柑頭は剃っているものの、かなり駆け続けているのか額に汗が見える。
ただ急いでいた彼であるが、それは漸く知り合いの人影が見えた事で減速する。
「なんだよ、早く来すぎたか?」
七番隊隊長 斑目一角、そして彼の顔見知りと言える隊長は更木剣八を除いて彼だけだけだろう。
「いや遅いからね、一角隊長」
同じく三番隊の隊長を務める綾瀬川弓親は、隊長になりより一層修練に励む修練馬鹿となった一角を見て少し溜息を吐く。同じ志を持つ者としても、在り方は気にしていないが巻き込まれるのに笑みも出るが総隊長に叱責される事を考えると少しだけ面倒だと感じてもいる。
「しゃーねぇだろ、ここ修練場から遠いんだからよ。早く卍解完璧にして、修練場より遠い場所目指さなきゃならねえんだからな」
「四十六室に聞かれたら面倒だよ、大っぴらには言わないでね。僕も巻き込まれたくないし」
斑目一角、そして綾瀬川弓親は6年前に十一番隊からそれぞれ隊長に推薦された。どちらも先の大戦で戦功を挙げていだというのもあるが、共に更木隊長と無理矢理戦わせられて隊を移動している。その時に『俺がいつ俺の戦いで死ねって言った、そんな考えするぐらいなら俺を殺せるぐらい強くなって来やがれ』と言われたのもあり、2人は隊長になりより先を目指して邁進している。
だが、その邁進して行く先は通行止めにされてもいる。
「ったく、面倒な話だぜ」
あの大戦で、尸魂界は変わった。被害もそうだが、何よりも新たに現れた概念によって、あのときの戦いを見ていたものは魅了されていた。戦う事すら億劫になるような力と権能を持つ存在を相手に、己と斬魄刀の力で未来を切り拓いた者達の戦いは、今でも脳裏に思い浮かぶ。
だが、そう考えられたのは力を持つ者達だ。力を持たない者達は、その逆に目が行ってしまった。
「あの戦争以来、改弍は習得してはならないと御触れがでたからね。隊長だと唯一の使い手である日番谷隊長も使用が禁止されてるし、破れば封印措置なんて脅しもあるのは相当だよ」
貴族、特に尸魂界の法とも言える四十六室の大半の者達がその力を恐れたのだ。日番谷冬獅郎に対しては卍解ですら瀞霊庭内での使用を原則禁止する程であり、それだけあの戦いで卍解の先を恐れてしまった事による措置であるのは確かだろう。あの戦いについての緘口令すら敷かれる程であり、代わりに尸魂界の英雄として黒崎一護の事が広まる程に触れてはならないものとされている。
「早く更木隊長1発殴り飛ばして俺は副隊長に戻りてえんだよ、隊長は柄に合わねえ」
「僕だって、戻りたいけど……総隊長が許してくれそうにないからね」
ただ2人としても隊長になっているのはあくまでも強くなって十一番隊に戻る為であり、改ニの習得を目指すのもその過程に過ぎないのだが。こっそりと修練をしているのは彼らだけでは無いのを、話してはいないが隊長達の間では周知されている。なのでこの2人だけに厳罰が降る事も無いだろう。何よりもこっそり改ニの修練に励む日番谷隊長の姿を、流魂街の外れで偶々目にした事もあるのだから。
「そう言えば、また苺花ちゃんが稽古付けてもらいに来たんだって? 元気?」
「元気過ぎるな、ありゃ隊長になったら誰かしら振り回すだろうよ」
2人は駆ける、雑談をしながらもこの12年で大きく世界が変わった事を実感して来たが、何よりも平和な時間が長かった事を感じている。新たな世代が現れ、卍解の先という新たな力が現れた時代の移り変わりを肌身に感じる12年であった。だからこそ、その時代の区切りとして今日の儀式は相応しいのかもしれない。
「げ、もう全員居んのかよ」
「だから言ったじゃない、君が一番遅かったんだから」
粛々と進められる儀式の準備、ただまだ虚が準備もされていないのにそこには全員居る。一角と弓親も確かに遅めにやっては来たが、彼らの殆どが遥か前に用意を済ませているのがよく分かる。
「何か、今日のは雰囲気違うな」
「当たり前でしょ。今日は、あの人の魂葬礼祭だからね」
護廷十三隊では副隊長として誰よりも現総隊長の右腕として務め、その最後を全うした死神。特段親しい者も他の隊には少なかったが、彼らだけがその彼が成した事を口にせずとも覚え続けている。
「あの人、今何してんだろうな」
何も入っていない墓前を前にして、一角は呟いていた。
☆
数が多い、遥かに多い。東と南に向かおうとする地獄からの来客に、歓待をするのは5人の死神だ。全員が副隊長ではあるが、その数の差は軽く見積もっても数百倍といったところか、その数にモノを言わせて攻めて来るのは門から一番近いというのもある。
だが、この程度で引くならば彼らは副隊長にはなれていない。
『鷹』
七番隊副隊長、
そしてそれは、他の副隊長も同様だ。
「ちょっと、多すぎっスね」
八々原も何体か弾き飛ばすが、その数を超えて現れる怪物の物流に押されていく。ただ2人を庇うように松本乱菊の灰猫が援護に回る事で何とか戦線の維持は出来てはいるが、正直言ってジリ貧の状況だった。
『多い』
ただ、ここで取りこぼしは出ても他に行く数を抑える事で全体の戦線の維持は出来ており、辛うじてではあるがこいつらによる現世への被害は防げていた。ただ、それも時間の問題だろう。
「4人とも、出来る限り離れて貰えるかな」
だからこそか、吉良は4人に向けて声を掛ける。
「これ以上の取りこぼしを出せば現世にも被害が出る頃合いだ──なら、囮は絞らせた方が良い」
吉良が発した言葉の意味を、理解できないわけではない。今の状態では戦線の維持は出来ないどころか、崩れた瞬間に現世は大きく蹂躙されるのは目に見えていた。敵の数が多過ぎるのだ、いくら一体一体は大した力を持たなくとも、この数を全て捌くとなれば副隊長と言えど無理が出る。
そして、その無理をすると彼は言ったのだ。
「いや、いくら吉良でもこの数はキツいだろ!?」
大前田も同じ副隊長として味方を囮にする案には承諾しかねる。吉良の言った案は吉良を見捨てて一時的にではあるが戦線を敷き直せと言っているようにしか聞こえないのだから、考え直せと言うのも無理はないだろう。
「前の戦争で敵の精鋭倒したからって、ゆゆは足手纏いにはならないっスからね!」
「そうよ、皆で戦うに決まってるでしょ!」
八々原と松本も同調する、輪堂も声こそ出ないが頷いて見捨てないと言う覚悟を見せている。吉良は前の戦争から明らかに力を上げている、死地を経験すれば実力は大きく上がるというが、それでどうにかなる数ではない。ただ状況を打開しなければならないのは事実である、なので松本は「なら、私の……」と何かを悩んでいるようだが、それに被せるように吉良は言う。
「巻き込まれたら4人とも泣き喚きながら頭を掻きむしる事になるけど、それでも良いなら残ってくれ」
「「「ご武運を!!」」」
斬魄刀から放たれた悪寒を感じた4人は、吉良を置いて去って行く。ここまでうまく行くとまでは考えていなかったが、吉良としては好都合ではあったので門の方へと向き直る。
「はぁ……もう少し、僕も言い方があるだろうに」
黒崎一護が多くの敵を倒しているが、それでも敵の数を大きく減らさなければ戦線は維持できない。幸いにも門に一番近いのは吉良だ、殆どの亡者は吉良を踏み潰そうと襲いかかって来る。
「どうやら地獄から出た先で、苦しむ事は無いとでも考えているらしい」
ただ、それは吉良にとって全て都合が良かった。
「卍解」
この力に、数という概念は関係が無いのだから。
☆
吉良が上で大多数の餓鬼を相手している間、阿散井恋次はひたすら1人の敵と戦い続けていた。限定霊印による縛りを受けたままで、ザエルアポロを相手に現世の被害を出さぬよう立ち回っていた。
「わからないか、君達は何も知らないままのんびりとしていたようだな」
「のんびりとだと、平和ってのは作ろうとして簡単にはいかねーんだよ!!」
ただ、ザエルアポロも力を抜いているのか戦いは膠着している。何故なら彼は阿散井恋次と戦う為に来たというよりは、絶望を伝えにやって来た使いでしかないという事を、まだ話していないのだから。
「本当に知らないのか、世の理が変わった事を」
ただ、ザエルアポロはここまで護廷十三隊が何も知らなかった事に驚きを隠せていない。いくら平和を享受していようと、見過ごしていた世界の流れに呆れすら出て来ている。
「君達の行なっている、魂葬礼祭……魂がどこに行くのか知ってるのか?」
だからかだろうか、戦いながらでも余裕を見せるザエルアポロは一から話を始める。恋次としても限定解除が許可されないうちは時間稼ぎに徹せなければ勝てる相手では無いので、聞き入れてはいるが油断は出来ない。その気になれば、ザエルアポロはいつでも現世を破壊し尽くせるのだから。
「霊威、という魂の等級を測る尺度があるな。本来であれば死んだ魂は尸魂界の地や空気に帰化する。だが隊長格やそれに並ぶ存在の魂は尸魂界にかえることはない」
恋次は放たれた鎖を斬り払いながらザエルアポロを蹴り飛ばす。しかしなんて事が無いようで、舐めとるように見せる気色の悪い笑みからして大して効いてはいないようだ。話す余裕はまだまだあり、底を見せていない。
「それを還すのが今行っている儀式だな、笑わせてくれる」
ただそれ以上に、話している内容の真意が見えていなかった。
「強さには代償がある。隊長以上の魂魄は霊子濃度が高過ぎる影響で、尸魂界には還す事は到底出来ない」
儀式について、霊術院時代に皆そのしきたりを習っている。なので言っていることに矛盾する事があるのも分かる。本来この儀式は戦死した隊長の魂を尸魂界に還す為に行われているものだからだ、だがそれを行う事がそもそも出来ないとしたら何の為に儀式を行っているというのか。その疑問は、直ぐに答えとしてザエルアポロが話す。
「だからといっていつまでも還れない魂を放っておけない。だから貴様らは、死んだ隊長達を地獄に堕としていたのだ!!」
恋次が知るはずも無い話に至っているザエルアポロ、地獄の輪廻に囚われているからこそ説得力がある。過去にはトチ狂った科学者として藍染惣右介に仕えていた破面だ、それも更に信憑性を高めている。地獄は尸魂界どころか三界が出来る以前から存在した場所だ、それを手に余るモノを入れるゴミ箱として過去の貴族達が考えていてもおかしくはない。
だが、まだ一つ分からない事がある。
「その話と、お前が地獄から出てきた理由は何の関係があるってんだ!!」
世界の理が変わったと、ザエルアポロは言った。だが今の話ではただ隊長達に対する非道を説かれただけであり、新たな理が生まれたという話に繋がりがない。そもそも魂葬礼祭は昔からあった儀式なのだから、今更理が変わったというにも疑問が残る。
だからこそ、その答えもザエルアポロは握っているという確信がある。
「どうやら君は十二年前の戦いで、新しい世界が出来たことも知らないみたいだね」
だが、ザエルアポロから出された話題に恋次は全く聞き覚えが無かった。三界という概念も、霊王という世界の楔も理解しているし、地獄についての知識もある。だが新たな世界と言われ、そんな事が出来てしまうような存在は世界を統合すると言っていたので違和感がある。新たな世界を創るとなれば、それは死神であろうがなかろうが出来る事ではない。
「誰が何故作ったのか、偶発的なのか意図的なのか、恣意的なのか計画的なのか、それすら分からないが新しい世界が出来た。名を『
『天界』それを聞いて恋次の脳裏にはその名に相応しい瀞霊庭の空に座す霊王宮が思い浮かぶが、あれは尸魂界にある一区画に過ぎない。ただ異空間とも言える空気もあり、特殊な場所である。
だが、新たな世界と言うならばこれではないのだろう。
「その世界は尸魂界に還ることの出来ない魂すら霧散させ尸魂界に還す。地獄とは異なる浄化機構さ、ただその機構だけを根底としたつまらない世界でもある。さて……ただそんな機能を持つ世界が、理として組み込まれたらどうなる?」
一から十まで耳にしたことの無い話に、恋次は思考が鈍らされる。恋次とて副隊長だ、普通の死神では手に入らない情報を耳にする機会もある。だが今迄の常識の全てを置いてけぼりにされるほど、ザエルアポロの話す新しい世界は異常な物であると理解できてしまう。
輪廻から外し閉じ込める事で浄化を図る機構を持つ地獄、根本的に存在そのものを浄化する機構を持つ天界、そんな異界が新たな理として世界に組み込まれたらどうなるのか。
「今のそこは、地獄の刑囚で溢れかえっている」
世界が新たな循環を作り出すのも、不思議ではなかった。
「輪廻を回す為の機構としては必要な場所だった、だから世界に組み込まれた。だけど……地獄にはどれだけの囚人がいると思ってるのかな? 一体どれだけ──
だが浄化機構が組み合わさっただけなら、問題は無いはずだ。地獄に囚われた過去の隊長達も本当の意味で解放されるのだから、悪い話では無いはずなのだ。むしろ廻っていく行く輪廻から出続ける罪人を取られ続けていては、3界から魂魄が減り続けてしまう。その世界ができた事で真なる意味で輪廻は廻り、世界は一つの流れとして不都合があった部分も上手く繋がるだろう。
だが、それが問題になる可能性がある。それは話を聞いていた恋次も、最悪の可能性として感じ取ってしまう。
「この12年で天界には異常な量と濃度の霊子が満ちている、尸魂界に還す量の数百倍が常に入り込んでいるのだからね。僕も少しだけ入っていたけど、あの空間であんなものが見れるとは思わなかったよ」
地獄には何千年、何万年──いや知らぬだけでそれ以上の時間、浄化機構として罪人の魂魄を省き続けていたのかもしれない。そしてその魂魄の総量は考える事すら億劫になるが、隊長達の質の高い魂魄も大量に流れ込んでいるだろう。
「そのどこに、お前が出て来た話が繋がるってんだ……?」
だが、そこから何が起こるかまでは想像がつかない。いや正確に言うなら、何が起こってもおかしくないという事に冷や汗を流す。ただ阿散井恋次という死神の知識と経験では絞り込む事も、思い付く事も出来ない。
ただ、その答えもザエルアポロは持っている。
「あぁ、君の疑問に答えよう。何故、僕が出て来れたか」
ザエルアポロが答えるのと、ほぼ同時にだろう。地獄の門が大きく開け放たれた。あれだけの数であっても、今迄は隙間から餓鬼が溢れていた程度のものが文字通り溢れ出て来る。だがそれよりも目を引くのは、地獄の門ですら片手で押さえられる何か──
「門を、内側から開けれたからだよ」
ザエルアポロや餓鬼達を解き放った、異界からの来訪者がそこに存在していた。
「超高濃度の霊子空間で満たされた異界だ、新しい生命が産まれてもおかしくはない……いや、産まれなければ不自然だ。まぁあんな所で産まれたら、どうなるかも必然か」
恋次の目先には世界を震わせながら、災厄を撒き散らさんと吠える何かが見える。しかしまだ扉を開けただけで出て来る気配は無い、ただあれが出て来れば本当に現世への被害を考える余裕は無くなるだろう。
ただ、恋次は少しだけ安堵もする。
「(確かにヤバそうだが、アレなら隊長が何人か居れば……!)」
いかにもな存在であっても、以前戦ったグレミィ・トゥミュー程の存在ではない。あれは滅却師の中でもユーハバッハに次ぐ異常な存在ではあったが、アレには間違いなく及ばない。仮に今直ぐ降りて来たとしても、恋次やルキア、一護達が万全の状態で卍解を使えれば倒す事は出来るだろう。
だが、そんな恋次の考えすら見抜いているザエルアポロはなんて事も無い事のように淡々と事実を突きつける。
「あぁ、あれは眷属だよ。本体じゃない」
「っ!!?」
霊圧は感じないが、気配は間違いなく高位な存在なのは確かだった。だがそれですら眷属、つまり部下に過ぎないという事だ。いや眷属と言うのだから、生み出されたモノなのかもしれない。そうならば、あの怪物が幾らでも生まれて来ると言う最悪な可能性まで頭に浮かんで来る。
ただ、ザエルアポロはそんな恋次の反応を楽しんでいるようで、ここで思考的にも余裕の無くなって来ている彼に、トドメを刺すが如く彼の背後に指を指す。
「さてと、所で……さっきからこっちを見てるその子は、知り合いかい?」
「あ、何言って……っ!!」
ザエルアポロの言葉に、恋次は目を向けなかったが余裕が無く気付けなかった気配を感じる。罠ではない、だが間違いなくそれが狙いである事は分かる。現世に向かうのをいつも楽しみにしている事は知っている、仮に現世へ赴く事を知っていたとしたらこっそりついて来ても不思議ではない。
恋次は振り返る、そこには不安気な顔色で恋次を見る彼の生写しが身を震わせながらこちらを見ていた。
「なんてな、分かっているさ。娘から殺そうか!」
ザエルアポロの鎖が、恋次をすり抜け彼女へと向かった。
「苺花、早く逃げろ!!」
恋次は鎖を引き受けようと間に入る、しかし真正面から全てを受け止める事は出来ず何本かは震える愛娘の元へと向かって行く。間に合わないだろう、目の前で守れずに、それも力を出し切る事も出来ず、油断が生んだ隙で失わせる。この光景を、延々と頭の中で流し続ける事になるだろう。
そんな阿散井恋次の絶望を見にやって来たのだから、このタイミングでザエルアポロがしくじるはずも無い。
だが、その鎖は何故が弾け飛ぶ。
「この矢、見覚えがあるな」
そして、ザエルアポロと阿散井恋次の間に降り立った小柄な誰かが向けられた鎖を左手を翳し粉々にすると、そのまま左手で殴り飛ばす。ただ、その殴り飛ばされる最中にその妨害者にザエルアポロも見当が付く。
「──石田雨龍のものにそっくりだ」
更に遅れて、先に降り立った少女の隣に同様の装束を身につけた男女が降り立つ。フードを被って顔まで見えないが、その雰囲気と格好は恋次には見覚えがある。それどころか恋次には、片手に展開される弓を見て助太刀に来た彼らの素性を察する。
「ルキア、それに……滅却師!?」
「話は後だ、苺花は私が連れて行く」
謎の霊圧の確認に向かっていたルキアもいる、苺花を確保して安全地域まで一気に走って行くが、残された恋次には状況がよく分からない。ここに居る3人は間違いなく滅却師だ、ザエルアポロをどういう力を使ったかは分からないが吹っ飛ばしていたので敵では無いだろう。更に言えば、過去に自分も纏った事のある『王鍵』など零番隊の髪や骨で編まれた装束を纏っている事に、違和感が溢れ出て来る。
「何なんだよさっきから、お前らも地獄から出て来やがったか?」
絶対に違う、だが少なくとも地獄とは敵対している。すると鬱陶しかったのか、はたまたこいつらには顔を見せても問題無いと判断したのか、3人は示し合わせたかのようにフードを外して顔を見せる。間違いなく滅却師だ、しかしその中の1人に恋次は見覚えがあった。
「(待てよ、あいつ朽木隊長が倒した筈の……!!)」
黒髪の女滅却師に、恋次は見覚えがある。自身の隊長である朽木白哉が殺したはずの滅却師であり、朽木白哉が片付けたと言ったのだから間違いなく仕留めたはずの滅却師だ。ただその時には涅隊長が介入したようなので、実際に仕留めたのは白哉ではないのかもしれないが。
それでも、この爆弾女は敵であったのは確かだ。
「おや、随分とお仲間を連れて来たね」
ただザエルアポロの余裕は崩れない。いや崩せないのだろう、それこそここでの戦局など大局には全く関係しないと知ってるからか。3人の滅却師を目にしても、自身の優位を疑ってもいないようだ。
「恋次!」
ただ、それは更にやって来た黒崎一護の登場により少しだけ顔を歪ませる。恋次も漸くここで余裕が出来てきたので周りを見てみるが、上では吉良が一人で殆どの敵を抑えているようだったが、更にやってきた3人と同業者らしき者達の介入により何とか片付きそうである。
「大丈夫か、随分と意味わかんねえ事になって来たが」
一護は斬月を構えて敵に向き直る。しかし、ザエルアポロとしても今の戦況は徐々に不利なものとなっている事を察しているのか、先程までの余裕は減っているように見える。
ただ、それよりも余裕を見せている一人の少女から一護は声を掛けられる。
「あぁ? 黒崎一護か、久しぶりに見るな」
金髪の少女だ、滅却師であり雰囲気からしても昔攻めて来た星十字騎士団の一人である事は間違いないだろう。そして先程離れた気配の中で感じ取っていたのは、この気配なのが分かる。
「お前は……どこかで、見た気が」
見覚えがある、しかしどこで会ったかは思い出せない。そもそも戦った滅却師の数は多くはなくとも、一々敵を覚えては居ないのだ。それにあの時はユーハバッハだけを見据えていたという事もあり、記憶も薄まっている。
「思い出さなくてもいいぜ、こっちとしては仕事の邪魔して悪かったとは思ってるからな」
すると、3人の姿がブレる。同時にザエルアポロに対して三方向から攻撃を浴びせる、護廷十三隊の隊長と同等かそれ以上の力をぶつけてあたるのが、当然ザエルアポロは吹き飛んでいく。
「滅却師風情が、王を失って憂さ晴らしか? もうお前達が天を取る事は無……っ!!」
ただザエルアポロも弱者ではない。展開していた鎖を一纏めにして一人に向かわせるが、またしてもその少女が左手を翳せば自壊していく。更に黒髪の女滅却師が羽──滅却師完聖体を展開すると、上から防御姿勢を取る鎖ごと爆撃してザエルアポロを粉砕する。
「君達のような敗北した低劣種が、僕に逆らうか。言っておくが、僕はまだ本気なんて出しちゃいない」
だが、何らかの力があるのか。ザエルアポロは吹き飛んだ体を治すと一気に距離をとり今度は男の滅却師に向けて鎖を向ける。ただ今度は殺す為ではなく、捕縛する為だ。広く展開された鎖の網を回避が出来ぬように縛りに向かわせる。
「ただ、本当の力を見せずとも一人ぐらい殺さないと僕の感性が許せないがね!!」
しかし、男に抵抗の様子はない。回避が出来ないのだとして潔いにも程がある、間違いなくこの状況をどうにか出来る余裕があるのだ。そしてその予感は正しい。
「悪いな、あんたの燐気はもうあいつから分析済みなわけなんだわ」
恋次を指差し、絡まった鎖を片手で振り解く。鎖の攻撃が全くとして効いていなかった、そもそもこの鎖を容易く片手で薙ぎ払うなど有り得ないとも言える。ただ、他の二人とその程度容易く対応すると分かっていたかのように見える。
「アスキン、こいつ誰? 何かイカレ科学者と同じ匂いがするんだけど」
「知るかよ、とにかくさっさと片付けるに限るぜ。じゃねえとうちの隊長から致命的な折檻が飛んでくるからな」
「誰が致命的な折檻飛ばすって?」
「おー、怖い怖い。陛下にも叱られないよう程々に働くとするか」
それに、全員から余裕を感じる。まだまだ力を隠している、そしてそこを見せる必要が全くないと──ザエルアポロを誰一人として、脅威として数えていなかった。破面の中でも元は抜きん出た力を持っていた存在だ、それを相手に──こけにされている事に青筋を立てる。
「良いだろう。石田雨龍を相手する前に、滅却師のモルモットは欲しかったからな!!」
ザエルアポロは本気を出すのだろう。地獄の燐気を纏い、明らかに何らかの上位存在による加護を纏い、3人を仕留めに動いて来る。それを感じてこれは不味いと、黒崎一護と阿散井恋次も助太刀しようと前に出ようとするが──それは、金髪の少女に静止させられる。
「言っとくけど、今日で功績立てて隊長の座は私のもんになるんだからね!」
代わりに前に出たのは羽を生やしそこに至ったザエルアポロですら単独で渡り合う滅却師の姿だ。先程まで違い本気で戦っている相手を前に、全く余裕を崩さずに猛撃を繰り出して圧倒している。
「悪いな、黒崎一護。『
だが、ザエルアポロは察する。この3人の滅却師の力は異常であると、過去に戦った滅却師の一人である石田雨龍よりも遥かに強い力を持っているのは間違いない。ただこの強さは滅却師の練度によるものとは考えられない、熟練の滅却師であるのは間違いないのだがその能力はただの能力ではない。
そして、その力を支える加護に心当たりはある。
「この力────貴様ら、霊王の眷属か!!」
そんな加護を与えられるのは、限られている。滅却師達が仕掛けた戦争は地獄から見えていた、ただその千里眼ですら霊王宮での戦いまではユーハバッハが座標をずらしていた事もあり見えなかったのだ。そこでユーハバッハは敗北したわけであるが、奴は地獄には居ない。何故なら存在を滅却されたからなのだが、滅却するとなればその力を持つのは滅却師だと想像がつく。
「尻軽な女どもが、直ぐに鞍替えしたか!? そんな矜持も持たぬ貴様らだから、死神に敗北したのじゃないか!!」
大方、霊王の力に屈したのだろうとアタリをつけてザエルアポロは言う。何故このような場所に都合よく滅却師が現れたのかは誰の意図なのか理解できていなかったが、霊王の意志ならば理解が出来る。天上から見下ろすことしか出来ぬ楔は動かして良いものではないだから、使いを送るのは必然だ。
「ただ対応の速さは想定外ではあるが、それですら遅い」
だが、そんなものは零番隊の介入を想定していて事からすれば、予測の範囲である。
「ち、門が完全に開いたか」
3人は止まる、空を見上げれば扉が完全に開け放たれており、そこには人影がある。門を開ける巨大な眷属の姿も目に映るが、問題なのはその前にいる小さな方の影だ。
「「「っ!!」」」
瞬間、この場にいる全員が察した。あれは自分達の手を出して良い存在では無いと、ただそこに立っているだけで明らかに次元が違う存在である事を知らしめている。流石に霊王を取り込んだユーハバッハとまではいかないが、それがそこに近しい存在なのは間違いが無いだろう。
「僕の計算によれば、地獄の囚人を正常に循環させる迄かかる時間は1372年だ。流入事態はもう終わっているからね、ただこの先どうなるかな?」
価値を確信したのか、本来の絶望の伝播という役割を思い出したのか、ザエルアポロは丁寧に天上にいる存在について語り始める。口には出していないが、彼の力を底上げする加護もあれから渡されたものなのだろう。
「君達はこれから常に恐れるのさ、天から産まれる新たな上位生命により支配される事を! それと共に加護を纏し地獄の亡者達が、溢れ出るのだ!!」
固まる皆を前に、語らうザエルアポロの言葉は止まらない。それが嘘ではなく真実であり、続いていた平和容易く踏み砕いて行く騒乱の時代がやって来ることを示している事に他ならない。
「滔滔と流れゆく三界に現れた天上の理は、全ての世界を新たな色に染め上げる。山本重国やユーハバッハと並ぶ……いや、それ以上の存在が生まれ続ける事に抗ってみるがいい!!」
新たな時代の流れが始まるだけだ、その流れに耐えられない者だけが押し流されていく。滔々と流れ行く時代の流れが天の理の流れとして変わるだけで有り、まだユーハバッハ達との戦いの傷が癒え切れていない護廷十三隊であるが、抗わなければならない。
「ははー! はははーっ、は……は?」
ただ、少なくとも高笑いをするザエルアポロの見上げた地獄の門であるが、突如として片扉が閉じる。同時に、その門を支えていた片腕がザエルアポロの近くを通り落ちて来る。
「もう零番隊が来たのか? まぁこいつらも居るし予想はしてたが、今更来た所で……っ!?」
地獄の門なぞいつでも開けられる、そう考えての言葉だったようだがその口は途中で止まり始める。地獄には霊圧という概念は無い、なので死神や滅却師に霊圧を感じ取られる事は無い。しかし、地獄にいる者たち同士はその存在を霊圧のようなもので感じ取れている。
そして、ザエルアポロは扉の奥から感じる違和感に信じられないといったような目を向ける。
「
はっきり言って藍染惣右介が現れたとしても、ここまで急に何かが起こる事が無い事をザエルアポロは分かっている。そして、そんな事を起こせてしまう可能性に思い至ってしまう。
「まさか、いやまさか……!!」
今度は眷属である滅却師3人の方を見る、すると先程までの固まっていた顔が嘘のようで「おっせー、だから直接行くとか言わなきゃ良かったのに」と口々にこの事が起こる事を分かっていたかのような反応を見せている。
既に来訪者は何かと戦っている、そして押されている。そんな事ができるような存在は居ないはずだ。ユーハバッハや藍染惣右介といった蓋をしていた強大な力を持つ者達が離れた事で扉は開きやすくなったのだ、この世界には蓋の役割をする存在が、まだ居るはずがないと。
「この悪寒、まさか直々に処理を行うだと? 零番隊にすら任せず? そんな事があり得るはずない!! ただの楔が、そんな危険を犯すわけが……っ!!」
ただ、その答えを伝える為か金髪の少女──リルトット・ランパードは左手でザエルアポロの首を掴むとそのまま指一本動かせなくさせる。その左腕に宿った力によるものだろう、完全に使いこなしている彼女を相手したのだから最初から勝負は決まっていたのかもしれない。
だからこそか、意趣返しとしてザエルアポロへ高らかに宣言する。
「零番隊は仕事してるぜ、三代目候補の護衛でな」
その門の先で戦っているのは、お前の予想通りであると。
「あいつは自分が楔だとか霊王だとか、気にしてねえ。自分の代わりは居るなんて本気で思ってる大馬鹿野郎だしな」
そしてその華奢な腕からは考えられないような力で、ザエルアポロを地獄の門へと投げ飛ばす。ただザエルアポロは抵抗する力を出せないだけでなく、また彼女の左腕による能力で一直線に物理法則を無視した軌道を描きながら地獄へと送還されて行く。
「まぁ、そんな大馬鹿野郎の御尊顔でも拝んで来いよ」
そして、彼女が左手の指を鳴らすと扉も閉まる。まるで最初からここまでいつでも出来たかのように、軽く伸びをして仕事が終わったといった雰囲気を出している辺り、そのつもりだったのだろう。
「自信無くなるくらいには、整ってるからな」
その言葉を最後に呟く時には、地獄の門は現世から姿を消していた。
☆
事件なら数時間後、式典に集まっていた隊長達はそのまま緊急で隊首会を執り行っていた。それは相応の事態であると、護廷十三隊二代目総隊長である卯ノ花八千流が判断したからだ。
「──以上が、今回の事件における報告になります」
そして今し方、集められた状況報告を隊長達は届けられた所だ。地獄から現れたザエルアポロを始めとした囚人が脱獄し、現世に現れた事に始まり、明らかに隊長すら超える存在が地獄の門を開けたかと思えば、更にその上に立つ存在を確認したというのだ。
現在和平を限定的ではあるが結んでいる虚圏にも使いを送っているが、恐らく感知していない事件である。
ただ副隊長に負傷者は出たものの、幸いな事に今回の事件における現世の被害は出ていない。
「綾瀬川隊長、今回の被害を防いだ功労者である吉良副隊長を労ってあげてくださいね」
吉良が時間を稼ぎ囮として機能していた事が今回の功績であろう、そのおかげで副隊長達に大きな被害は出ていないのだから。その総隊長の言葉に、三番隊隊長として綾瀬川弓親は優雅に答える。
「ええ、僕と隊長を代わって欲しいぐらいですから」
「冗談はそのぐらいにしておかないと、飛びますよ?」
だが優雅な笑みを浮かべながら返された言葉に「な、何がですか……?」と戸惑うが、何が飛ぶとは答えずに笑顔を向ける総隊長の姿に「あれ、本当に何が飛ばされるんだ?」と途端に顔色が青くなっていく。どうやらまだまだ隊長を辞める事は許されなさそうである、これが初代剣八の圧でもあるのだろう。
「ただ、問題は……やはり新たな敵ですね」
そう言うと、卯ノ花は笑みを消して涅の方を見る。今回の事件から最初に連絡を受けたのは彼である、そして当然もう数時間も経過しているので相応の情報は集められてもいる。
「さてと、件の異界──仮に奴らの曰う『
十二番隊はその存在を認識してはいた。ただ報告をしていなかったのはそれが何であるのかの情報を得られていなかったからでもある。ただ単に新しい世界が出来た、だけならば誰も警戒などしない。十二番隊はその空間の全容どころか何も掴めていなかったのだから、説明しようがなかったのだ。
「ただ今回の事件で、その霊子の放出元と原因が分かったわけであり。どうやら突入しようにも計器に異常をきたす程の生命が生まれるような蠱毒の空間のようだ、天界とは名ばかりの灼熱地獄だヨ」
そして、その空間の異常さは計器では計れずとも会敵したというザエルアポロの方便からある程度の推測を立てられている。そのザエルアポロの言葉が虚言である可能性もあるが、逆に計器を色々と弄ってみればそれを裏付けるような条件ばかりであったので、現状としてはその存在と原理は推測と大凡変わるものではないだろう。
「要するに、我々は座して待つしか無いと言う事ですかね」
ただそれを聞いて卯ノ花は察している。この敵とは長い付き合いになる事を、容易にはいかないことを。
「その通り、地獄の亡者達を霊子に分解する機能を有しているみたいだが、いつまで続くかは尸魂界の歴史よりも長いあそこの亡者の数を知らない限り分からない。推計も馬鹿馬鹿しいものだネ。ただ暫くこの天界から厄介な客人が来る事は確かだヨ。それと突入や間引きを考える隊長などいると思うが、まともな頭を持っていればそんな所に穴を開けても地獄から奴らを解き放つ手助けをするだけなのは分かるからネ、おすすめはしないヨ」
仮に何とか出来るような状態であれば、涅マユリが何とかしているし、現世にいる浦原喜助と動いているだろう。ただ動いていないのは動けないからに他ならない。その空間にそもそも穴を開けるというのは霊子が満たされていても弾けない事から相当難しい事なのは目に見えており、仮にそれが出来ても溢れ出た魂魄により世界のバランスが崩される事は目に見えている。
しかし、今回現れたのは脅威だけではない。
「ただ、今回の乱入者──霊王の従属官を自称する滅却師については現在調査中だ。仮にそれが真実であった場合は、天界は何かとお騒がせな二代目が創った可能性もありそうだネ」
「いろいろな意味で、頭が痛くなりますね」
卯ノ花は総隊長として初めて、片手で頭を抱える。自分の立場もわかっていないかどこぞの自由奔放な死神に、手を焼かされる未来がありありと見えていた。
☆
現世では、まだ真夜中の時間。地獄から多くの怪物が現れてから数時間も経っていない頃、草木も寝静まるような時間に一人の少年が神社の境内に居る。いや、正確には一人ではない。
「怖がらなくて良いよ、みんな居るからね」
その少年の隣には俗に呼ぶ幽霊、一人のおっさんに見える15歳の青年がいる。更に言えばお守り役なのだろうか、人型のファンシーなライオンのようなねいぐるみも歩いている。ただ、この青年を寂しくない場所に連れて行くためにだろうか、その少年──
そこに何があるのか、青年とぬいぐるみには分からない。
ただ、寂しくないほどの何かが居ることだけが見えている。そんな所へ一勇は青年の手を引いて連れて行こうとする時だった。
「君、何物騒なもの開けてるの」
中世的な、男か女か分からないような声がかけられる。反射的に一勇も振り向いてしまうと、そこには一人の影がある。深夜の森で目立つような白を基調とした装束に、赤いメッシュの入った黒髪、そして腰に下がっている斬魄刀、そした漂うどこか浮世離れしたかのような雰囲気に、一勇は少し驚きながらも、その存在に近寄っていく。
「お姉さん、誰?」
背は170cm程だろうが、女性にしては高めだ。しかしお姉さんと呼ばれると少しだけ戸惑っているのか、苦笑いをしながら少年と目線を合わせて話す。
「お姉……まぁうん、外見どころか背とかもかなりそっちに寄ったからなぁ……一応男だから、お兄さんと認識して欲しいけど。それと魂葬は死神の仕事、君みたいな……」
そして彼が現れた理由だが、この異空間をつなげた事によるものだろう。なのでため息を吐きながらも片手でそれを閉じると青年に向けて指を鳴らすとそのままどこかへ飛ばしていく。少なくとも一勇の開けた場所とは別のところに飛ばされたのだろう、それが本来還る場所なのだが。
ただ、ふと話しながらその白装束の者は一勇の顔や体をじっと見つめる。そして何か思い至ったのだろう、その頭を撫でながら恐らく間違ってはいないが確証を得る為に問いかける。
「なぁ、もしかして黒崎一護の息子だったりする? 名前は? こんな時間に歩き回ってたらダメだぞ、家まで連れてってあげるから」
特徴的なオレンジ色の頭は覚えがあるのだろう、しかし一勇の反応は純粋だ。
「お母さんが知らない人に名前聞かれても教えちゃダメだって、それに付いて行ってもダメって言ってた」
ならこんな夜中に出歩いたらダメだって事ぐらい言われてるだろ、とまでは言わないが白装束の者は溜息を吐く。ただちょっと大きめの仕事と掃除をした帰り道で、通りすがりに見てしまっがゆえに放って置けないのだが、放っておいたら後々めんどくさそうな予感を感じているのでどうしたものかと頭を悩ませている。
すると、今度は隣から赤い着物のような格好で瓜二つの容姿の女性が現れる。
『なんじゃ、最近のガキは随分と物怖じせんな』
「こら天狐、聞こえてなくてもそんな風に言わないの」
ただ、目つきの鋭さが違う。子供を相手にしている顔ではない、ただ一勇はそんな事を気にしている様子はなく、ただ目の前の事象に頭を傾げている。
「お姉さん、双子?」
突然現れた二人目、それと目を合わせると何故か二人目の方の目が見開かれている。そしてそのまま何かを察したのか、そのまま背後に居座る。ただ、その様子に一人目の方は「面倒な事になったかなぁ」と呟きながらも、頭を掻いた手をそのまま顎に当てて一勇をもう一度見る。
「他人の具象化した斬魄刀が見えて声も聞こえるのか、やっぱりちょっと放っておけないな。欠片は……無くはないけど、これ欠片持ちの血を親から引き継いだ時のみたいだし、厳密には持ってないのか」
色々とその白装束の者は一勇の分からない言葉を言っては納得しているようだが、どうやらまだ少年に何があるのかまでを見切れてはいないようだ。ただ今では的中率が9割以上の第六感から、少年には何かがあると見ているようだ。
「あー、じゃあ俺が自己紹介するから。護廷……じゃないもんな、なんか良い感じの肩書き……零番隊でもないしな……」
『主、頑なにアレを名乗らんもんな……』
ただまたよく分からない事で頭を悩ませているようで、何度目か分からない溜息を吐きながらも少年の前に改めて向き直る。ただその雰囲気はやはりどこまでも温和なものだ。
「萩風カワウソ、次の霊王を探してる霊王代行だ。よろしく」
自称霊王代行、通称二代目霊王 その者がここにいればそれこそ尸魂界が慌てふためくような状況であるが、それを目にして天狐は補足として呟く。
『この世で最も偉く、そして最もこの地位を捨てたがる大馬鹿者だ』
二代目霊王『萩風カワウソ』世界を維持する大いなる楔。自由に動き回る彼は、歴代で最も自由な霊王として語り継がれていくだろう。
12年後時点の護廷十三隊
一番隊隊長 卯ノ花八千流
一番隊副隊長 不在
二番隊隊長 砕蜂
二番隊副隊長 大前田希千代
三番隊隊長 綾瀬川弓親
三番隊副隊長 吉良イヅル
四番隊隊長 虎徹勇音
四番隊副隊長 虎徹清音
五番隊隊長 平子真子
五番隊副隊長 雛森桃
六番隊隊長 朽木白哉
六番隊副隊長 阿散井恋次
七番隊隊長 斑目一角
七番隊副隊長 輪堂与ウ
八番隊隊長 矢胴丸リサ
八番隊副隊長 八々原熊如
九番隊隊長 檜佐木修兵
九番隊副隊長 久南白
十番隊隊長 日番谷冬獅郎
十番隊副隊長 松本乱菊
十一番隊隊長 更木剣八
十一番隊副隊長 射場鉄左衛門
十二番隊隊長 涅マユリ
十二番隊副隊長 阿近
十三番隊隊長 浮竹十四郎
十三番隊副隊長 朽木ルキア
☆
次回、最終回(予定)
今迄ありがとう!次回の更新をしたら感想に来る質問とか答えられるよう頑張るのでよろしく!!