卍解しないと席官にもなれないらしい。   作:赤茄子 秋
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彼か?私は然程深い知り合いでは無いのだがな。だが護廷十三隊で…いや、尸魂界で彼を知らない者はいないだろう。

護廷十三隊十三番隊副隊長 朽木ルキア


9.全身真っ黒の黒幕だったらわかりやすいんだが…

日番谷隊長が黒幕説、何度も考えても無さそうなんだよな。

 

あの人に人脈は?薄いだろうな、他に協力者は?隊長で組んでたとして、市丸隊長か?いや、それも無いか。市丸隊長と昨日やりあってたらしいし、吉良副隊長から少し話を聞いたけどガチのやり合いらしい。演技でガチバトルできるのかなぁ、日番谷隊長の斬魄刀で何か上手くできそうな予感はするけど。

 

てかどう考えても瀞霊廷を壊す理由が無い、瀞霊廷を支配するためならわかるけどさ。瀞霊廷壊してどこに行くつもりなんだろうね、あー霊王の居る所とか?ソウルソサエティのどこに居るとか知らんけど。ソウルソサエティのどっかの国の王様だよな?いや無いか、霊王殺して誰も居ない世界を統べても楽しく無いだろ。

 

いや俺が知らないだけでそんなの関係無い!みたいな恨みとかがあるのかもしれないけど。やはり日番谷隊長が黒幕説は低いと思う。

 

なら雛森を任せないで、吉良にでも殺させれば悲劇の男として周りから容疑者としての嫌疑は薄れるだろう。

 

死神の中で一番美味しいのは誰だろ?雛森が死ぬ事かそれとも双極を奪う事が嬉しいやつは?そもそも藍染隊長を殺したのは誰なのかわかんねぇからなぁ。

 

第1候補はとりあえず市丸隊長だな、黒よりの黒の可能性が一番高い。仮に黒幕がこの人だとしよう、雛森を殺すメリットは?藍染の犬みたいなもんだから鬱陶しいから殺すのは弱い気がする。幼馴染の日番谷隊長を敵に回すんだから、大人しく牢獄に打ち込んだらいいだろ。

 

それに藍染隊長はどうやら日番谷隊長が黒幕と思ってたらしいし、じゃあ日番谷隊長と市丸隊長が黒幕だとしたら?

 

接点が見つからない、二人をよく知らないのもあるけど…だとしても藍染隊長が簡単にやられ過ぎなんだよな。隊長二人掛かりでも多少は抵抗できるはずだけど現場を見ても争った痕跡無いし、むしろ自殺したんじゃね?と思うくらいだ。

 

…じゃあ、一番俺の中でありえなさそうな藍染隊長が黒幕だった場合でも考えてみるか。

 

死体は人形とか何かの方法で誤魔化す、日番谷隊長が黒幕と嘘をつく、雛森副隊長が居なくなると…?いや、暴走させるのが目的だとしたらどうだ。まぁ混乱してるよな、現在進行形で。雛森副隊長を後で消せる大義名分が手に入るだろうし、市丸隊長からしたら大した事は無いんだろうな。

 

なんか話が通るような…でも確か流水系の斬魄刀の鏡花水月って霧が能力で同士討ちさせるんだよな。幻覚を継続して使用はできないだろうしー…他の隊長で関わってそうな怪しそうな人居ないしなぁ…

 

「あの、萩風副隊長!!聞いてますか!」

 

ゆさゆさと俺は肩を揺らされて現実に戻る、揺らしてきたのは青い髪が特徴的な虎徹さんだ。

 

「ん?あー、すまん。ボーッとしてたな」

 

気づいたらまた考え事をしてたらしい、いやマジで分からないなぁ。誰が犯人なんだろ、旅禍なら副隊長が集まってるあの場所まで侵攻してたらやばいよな。

 

でも更木隊長倒す怪物だし、あり得る?

 

「って、また聞いてないじゃないですか!」

 

「ごめんごめん、いや俺も歳かなー」

 

取り敢えず誤魔化して笑うが虎徹三席の顔色は優れない。

 

「雛森さんの事ですか?」

 

「…まーね、今は日番谷隊長が見てるけど…二度も抜け出してるからね」

 

案の定、バレてるみたいですね。虎徹さんは鋭いな、確かに俺からしたら犯人の事はどうでも良い。ただ、任された雛森さんを誰から守ればいいかぐらいは考えたい。

 

で、今考えた中で一番危ないのは恐らく明日だ。隊長、副隊長の全員が一応は参加するんだからね。雛森さんが逃げ出してやられる可能性が高い。

 

「そうだ虎徹さん。明日の処刑さ、代わりに出席してもらっていいかな?」

 

雛森さんが一番抜け出してヤバいのはここじゃないかと思う、今回の黒幕は何故か雛森副隊長を利用しようとしてる気がするから。

 

「駄目ですよ、萩風副隊長」

 

でもそれは断られた。あ、虎徹三席じゃないよ?真後ろに居る卯ノ花隊長に断られたんだから。

 

「そうは言っても隊長、俺は出席したくないんですよ」

 

でも少しワガママを言わせて貰おう。いつもなら言わないけど、ちょっと嫌なんだよねぇ。訂正、女の子の処刑とか見るだけで俺の心が折れそうだからすっごく嫌です。

 

「今回の処刑の是非はありません、それが四十六室の決定ですから」

 

…あれ、四十六室?そう言えば、四十六室についてはなんも考えてなかったな。いや、そこが黒幕とかありえないでしょ。

 

「そう言えば隊長、今回の処刑ってどれくらい異例なことがありますか?」

 

「処刑までの猶予期間の撤廃、隊長以外の双極の使用、刑の不平さ、数え上げればキリはありませんね」

 

四十六室の決定は絶対、それは護廷十三隊にも決まれば従う他ない。

 

…だがこの不自然なこと全て黒幕が四十六室なら、辻褄が合うかもしれない。

 

「尚更行けないですね、それを認めたと思われちゃいますよ」

 

日番谷隊長と市丸隊長が黒幕でかつ、四十六室も黒幕。それならやばいな、無茶苦茶ヤバい。他にも俺が知らない内通者も居るかもしれない、だが雛森副隊長を殺す理由無いよなぁ…雛森副隊長は混乱させるために送ってる感じだと思うな。

 

取り敢えず女の子の命を任せられたんだから、守らないわけにはいかないよな。仮に黒幕からの頼みでもね、いやまだ決まったわけじゃないけど。

 

あ、だとしたら死刑囚の朽木ルキアさんも被害者だ。でもそっちまで手が回らないし…他の隊長達を信じる他ないよなぁ…

 

「…わかりました、明日は勇音を連れて行きましょう」

 

あれ、何故か卯ノ花隊長が折れてくれた。それは願ったり叶ったりだわ、では遠慮なく。

 

「ありがとうございます」

 

☆☆☆☆☆

 

十番隊隊舎、日番谷冬獅郎が纏める十番隊に属す者達全員が基本的にここで働く。

小柄であるが、稀代の天才と呼ばれる死神だ。卍解も習得し、他の隊長格に引けを取らないほどの実力者だ。

 

そんな彼の横に控えるのは副隊長である松本乱菊、彼女もまた天才というわけではないが副隊長として相応しい実力の持ち主である。

 

また彼等が居るのは、雛森副隊長が軟禁されている部屋だ。中で彼女は疲れがたまっていたのか連れてこられた日からぐっすりと眠っている、だがここには檻もない部屋だ。このまま放っておいて外部からの敵に襲われてしまうわけにはいかないと日番谷隊長が結界を張っている。

 

外からは簡単に突破はできない、雛森の安全を確保すると二人はそのまま目的地へ向かおうとするが。

 

そんな彼等の前に現れたのは。

 

「こんにちは、日番谷隊長。突然押し掛けてすまない」

 

「萩風副隊長…なぜ、ここに?」

 

雛森は脱走した直後に彼に捕縛され、この隊舎に連れてこられた。

萩風に連行され連れて来られた彼女は気絶した状態であったが、目に付く傷はなく無傷で捕縛していた。なお、萩風に怪我は無く現場もまた瓦礫一つ無かったらしい。

 

だが雛森が連れられてきた時、何故か萩風はしきりに「すまない」と言って目を逸らしていた。その時日番谷は「あんたに非は無い…」と言っておいた、むしろ逃げた雛森を捕まえてくれたことに感謝してるくらいである。

 

なお、彼が謝っているのは雛森が脱獄してしまった事に対してじゃないのは知らない。

 

「(いったい、どんな方法で雛森を無力化した?斬魄刀の能力か?いや…萩風の霊圧は感じなかった、説得したか不意をついたか…どちらにせよ、助かったのには変わりないか…)」

 

日番谷冬獅郎は彼もまた敵の可能性を疑っていた、だが雛森を無傷で捕らえてきた事で安心して信頼できる死神となっていた。

 

「雛森さんを助ける為に最大限の助力をさせていただきます、卯ノ花隊長から了承は得ているので御心配無く」

 

正直に言って、日番谷にとって助かるだろう。日番谷は手数が少ない、副隊長の松本くらいが彼の打てる手札だ。

 

この手札が加わるだけでどれ程頼もしいか、回道においては卯ノ花隊長に次ぐ実力者、500年もの間を死神として生きてきた男だ。

 

戦場に出ない根性無しと言われているが違う、本来ならば卯ノ花隊長の推薦であるが、十番隊の隊長の候補に挙がっていた死神だ。本当にそんな実力があるのか?と問いたいかもしれないか、実力の裏付けとして雛森副隊長を無傷で捕らえたのが証拠だ。

 

だが本人曰くまだ斬魄刀の力を引き出せていないと断ったらしい。卍解は最低条件だからだろう、仕方なく日番谷が隊長となったのだ。

 

「確かに…有事の際に、優れた回道の使い手は必要でしょう」

 

松本も日番谷と同意見のようだ、仮に黒幕と相対した場合にどちらかに被害が出るのは確実だ。敵の企みを知る為に生かさなければならない、そしてこちらに被害を出してはならないのだ。

 

「それもそうか、付いて来ても良いが覚悟は…いや、この問答は失礼だったな。謝罪しよう」

 

日番谷は彼へ警告しようとするが、直ぐに改める。彼自身がそもそも隊長格にも引けを取らない高潔な魂の持ち主だからだ。この程度の覚悟は承知で来ているのだろう。

 

「俺はあんたを信用してるぜ、回道の腕だけじゃねぇ…死神としてもだ」

 

だからあえて言葉に出す、それに対して萩風は驚いているようで少し面白いものが見れたと日番谷は後ろへ振り返ると。

 

「隊長、それ私にもですよね?」

 

後ろではしゃぐ松本の隣を抜けて彼は外へ向かう。

 

「さっさと行くぞ松本、四十六室へ急ぐ」

 




十番隊隊舎で目覚める雛森

狸寝入り中の雛森「(え、え、え!?何で私が十番隊の隊舎に居るの!?あ、シロちゃんの声が聞こえる!)」

日番谷「すまねぇ…俺が、助けてやれなくて…」

狸寝入り中の雛森「(うわぁぁぁぁ!!起きれないよ!こんな時に起きてシロちゃんの顔見れないよ!!萩風副隊長、何でここにしたんですか!?もう起きれないですよ!恥ずかしくて死んじゃいますよ!)」

日番谷「今度は、必ず俺が守るからな…」

狸寝入り中の雛森「(ひゃっ、ひ…う…)」

そして雛森は意識を手放した。







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