世にも幸せな冒険者・・・達?   作:優すけ

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ヒールニントの災難・・・
ヒールニントの災難・・・1


ここは、辺境の国にあるトトカンタ市。そこに存在している戦闘要員養成学校『牙の塔』・・・あらゆる人材が集められ、そして訓練・教育されている。

そしてそんな学校の中に、ある一つのクラスがある。

 

『ゴンタ教室』

 

学校のごく片隅にポツンと存在しているその教室には、『非常に』個性的なOBがたむろしている。教師の名前はゴン・ゴンタ。既に卒業している生徒(?)達を纏める存在であるだけに、その実力は折り紙付きである。

 

さぁ、その教師が担任を務める教室を覗いてみようではないか。果たしてその中では、どんな光景が繰り広げられているのだろう・・・今日も一日が始まる。

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

「おぅ!! 今日は誰が来てやがる!?」

 

教室の戸を勢いよくガラッ!!と開けた、黒髪短髪の大柄な紫ジャージの男。顔にはナナメに走った傷に目付きの悪い三白眼。40を超えたとは言え、まだまだそこらの生徒には追いつけない気迫を醸し出している。その彼が目にした光景は・・・

 

 

「ほい、それロン」

「チクショ〜〜!! やっぱその捨て牌はブラフだったか!!」

「ぐふふ・・・まだまだ甘いですねぇ〜、トラップ?」

「まぁクレイは普段不幸なだけに読みは深いからね〜」

 

 

男三人に女一人が雀卓を囲んで麻雀を打っていた・・・。

このクラスは卒業しつつも定職に就けない『特別』な生徒(?)が集まった教室であり、尚且つ実力だけは皆桁外れなだけに始末が追えない。

 

まず今日出席していたのは、冷静に麻雀の役を揃えてお茶を啜っているクレイ・S・アンダーソン。黒髪に鳶色の目でなかなかのイケメンだが・・・故郷に許嫁がいる為に、言い寄る女の子を全て断っているという罪作りな男である。

 

その横で頭を抱えて叫んでいる赤毛の男がトラップ。これはあくまで通名で本名は別にあるのだが・・・まぁ本作を読んでくださる読者ならわかる人が多いだろう。どうしても知りたければ是非原作を読んで頂きたい。

 

ニヤニヤと牌を自動卓の中に流し込んでいる小柄の男がキットン。ボサボサの髪で目元が隠れている為、表情がとても読みにくく意外とギャンブルは強い。今回はどうやらワザとトラップを陥れた様子である。

 

苦笑いしながらノートに記録をつけているのが、パステル・G・キング。金髪に近い明るい色の髪をふわりと後ろで束ねている女で、成績はトントン。学生時代は少し残念体系だった彼女も、卒業時には『それなりに』育っていた。

 

「今日はお前らだけか。他の奴らはどうした?」

 

ゴンタが教室内を見渡しながら四人に声をかけると、顔を上げたパステルが説明する。

 

「えっと、林水会長とお蓮さんは生徒会の仕事。ノルは確か他の任務に行ってる筈です」

「あ、ちなみにルーミィとイルイ、アルフィミィはどっかで遊んでるぜ〜」

 

点棒をクレイに投げ渡しながらトラップが続ける。それを聞いたゴンタは腕を組みながら俯く。

 

「ちなみに、熱血バカ勇者にブラコン賢者は?」

「「「「さぁ〜〜?」」」」

 

このクラスは他のクラスと比べるとかなりの少人数だが、それでも皆の行動をいちいち把握はしていない。出席も自由で、休みも勝手。それでもわざわざこの教室に来る目的と言えば・・・

 

「・・・まぁ良い。お前らだけでも充分だろう。ほれ、任務書だ」

「うひゃひゃひゃ!! 任務きましたよ〜〜!!」

 

キットンが不気味な笑いを浮かべながら、ゴンタから書類の入った封筒を受け取る。そう、この学校は世界中からあらゆる事件・問題を任務としてこなしていく仕事を請け負っている。

特にこのクラスには『少し』ややこしい任務が回される事が多く、その分報酬も弾まれていた。

 

「場所はヒールニントの山奥。詳しい内容はその任務書に書かれている。近くの村までは輸送ヘリで送ってやるから、解決したら連絡いれろ。以上だ」

「「「「へぇ〜〜い」」」」

 

気の抜けた声を上げた四人は、そのままいそいそと卓に座りなおし、賽を振り始める。

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

「おい、お前ら。行かねぇのか?」

「え? いや俺たち今から南二局なんで・・・」

「装備を整えてさっさと行きやがれ!!」

 

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

 

カランコロン・・・カランコロン・・・

「こ、この音は・・・!?」

「や、奴らが来たんだ・・・」

「ゴンタ学級の奴らだ!! 早く逃げろ!!」

「関わると命が危ないぞ!!」

 

学校内にあるヘリポートへ向かう四人の前は、まるでモーゼの十戒のように人が割れていく。この音を聞いた者はいち早く離れるのが長生きのコツであるのは、入学して一番最初に知る教訓である。

 

「全く、失礼な奴らだよな・・・俺たちが何をしたんだよ」

「う〜ん、途中から数えるの忘れちゃった♪」

 

憮然とした表情のまま彼の代名詞(笑)である竹アーマーを鳴らしながら歩くクレイに、テヘッと笑うパステル。昔はクロスボウを愛用していた彼女だが、撃てば必ず味方に当たるという不思議な(?)能力により全員から封印されており、今は不思議な形状の杖を持っている。

 

「ま、いつもの事じゃねえか。今日はノルが暴走しないだけまだ有情だぜ?」

「そうですそうです。私達はいわば、この教室の善玉菌ですよ」

 

派手な服に緑のタイツを履いたトラップがピューっと口笛を吹くと、さっきと同じ服装にクワとカバンだけを持ったキットンがギャハハと笑う。

 

「でもな〜、俺たちももう10年以上ここにいるんだぜ? 少しくらいマシになっても・・・」

「甘い甘い甘い甘〜〜い!! むしろ年々増加していってると考えるのが普通なんだよ!!」

「ほ〜ら、もうすぐ着くわよ〜? そろそろ黙りなさ〜い」

 

苦笑いしているクレイに、ビシッと指を指して断言するトラップ。そんな彼らに、ヘリから吹く風に髪をたなびかせているパステルが声をかけた。そろそろ出発時間である。

 

「置いて行かれても知らないわよ〜?」

「ギャハハ!! そんな命知らずな方は教師陣以外にはいませんよ!!」

「・・・まぁ、そうかしら・・・」

 

ヘリの音にも負けないぐらいの声量で笑い声を上げるキットン。悲しい事に、これは現実である・・・そうこうしている内に搭乗口へ到着した彼らを迎えたのは、緊張した面持ちのパイロット2名。敬礼する彼らの身体が強張っているのは、きっとただの緊張だろう・・・多分。

 

「お待ちしておりました!! では早速搭乗を!!」

「あいよ〜。安全運転で頼むぜ〜?」

「「命に変えましても!!」」

 

 

 

 

そしてヘリは飛び立つ・・・彼らを乗せて。

その先に待つヒールニントの運命はいかに・・・合掌。

 




初めまして。優すけと言います。
基本的に読む専門なのですが、ふと昔に弟と小学生時代から10年以上続けていた口だけでのTRPGを思い出し、書き起こしてみました。

もう多種多様な作品と混じり合い、凄まじくカオスな状態に陥っていますが、基本的にフォーチュンクエストは角川スニーカー文庫時代から今でも全て集めて読むくらい大好きな作品です。
『こんなキャラ・世界はフォーチュンじゃない』は弟とも分かり合ってますので、どうか生暖かい目で見て頂けると有り難いです。
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