世にも幸せな冒険者・・・達?   作:優すけ

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ヒールニントの災難・・・2

「ふむふむ、ヒール山の周辺で謎の生き物ですか・・・まぁ我々に依頼するぐらいですから、『よっぽと』切羽詰まってるんでしょうねぇ〜」

 

現地へ向かう輸送ヘリの中で、キットンがブツブツと任務書を読んでいる。大体こういう確認はキットンかパステルが行う事が多い。

 

「山の中か〜、だったら火は厳禁よね?」

「けれど出て来るモンスターによるだろ? 弱点なら積極的に・・・」

「んで山の中腹をパステルの爆弾で吹き飛ばすんだろ? 分かってるっつ〜のww」

 

神妙な顔をして俯くパステルに声をかけるクレイだが、それをゲラゲラと指差して笑うトラップ。確かに彼女の使う『フラム』の類は、周囲まとめて甚大な被害を及ぼすので使い所が難しいアイテムの一つである。

 

「そ、それを言ったらアンタの炎だって厳禁よ!?」

「バーカ。オレはちゃ〜んと調節出来るっつ〜の。お前と違ってな?」

「うぅ〜〜〜!!」

 

ニヤニヤと笑いながら手元でチロチロと火種を出すトラップに、プク〜っと頬を膨らませているパステル・・・それを見たキットンはさらに追撃を加える。

 

「ドヒャヒャヒャ!! 一番威力の低い物でも簡単に周囲を吹き飛ばすパステルは、まさに爆弾魔!! 私のようにスマートに相手を調べて皆に貢献しないといけませんww」

「お、おいおい二人とも。そんなにパステルをいじめるなよ? 大体俺たちは何かしらそんな攻撃を持ってるだろ?」

「だぁから〜、それを調節できなきゃ宝の持ち腐れってもんよ!?」

「・・・もう良いもん。ぐっすん」

 

見かねたクレイが宥めようとするも、トラップは甘い甘いと指を振る。ショボンとしたパステルは、窓の外へと視線を向けた。丁度近くを通っていった小型の鳥型モンスターが向かう先を見てみると、遠くに大きな山が見えてきた。どこかあちこちに湯気が立ち上っているようにも見える。

 

「ねぇねぇキットン? 何だか山から湯気が上がってるんだけど、もしかして温泉?」

「あぁハイハイ、確かに任務書には温泉街があるとの事ですよ? 終わったらのんびり湯治でもしますか」

「わぁ〜〜!! 温泉楽しみ〜〜!!」

「ま、命の洗濯は大事だよな。くれぐれも爆破させるんじゃねぇぞ?」

「ノルじゃあるまいし、流石に温泉でそんな事しないわよ〜」

 

ケラケラと笑い会う皆の声を聞きながら、ヘリを操縦するパイロットは冷や汗が止まらないのであった・・・強く生きろ(笑)

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

「くらえ!! 魔神剣!!」

「はぁぁ〜〜、稲が出た出た稲が出た〜〜♪」

「ほ〜ら、そっち行ったぞ〜?」

「え〜!? ちょっと〜!! 逃しちゃったの〜!?」

「ごめ〜ん、パステルちゃ〜ん♪」

「絶〜対ワザとでしょ〜〜!!」

 

ヒール山へ向かう前に広がる、大きな森。ここはズールの森と呼ばれる静かな場所・・・

 

「ふぅ、こんな時広範囲攻撃が出来ないのはめんどくさいよなぁ・・・」

「ま、仕方ありませんねぇ〜。森なんですし」

「ほ〜らほ〜ら、後ろ後ろ〜〜w」

「きゃ〜〜〜!! スライムが髪に付いた〜〜!!」

 

静かな、場所・・・

 

「も〜怒ったんだから!! 魔法ロック解除!! みんな纏めて・・・」

「ば、馬鹿野郎!! 早速ソレかよ!?」

「皆、逃げろ〜〜!!」

「ブヒャヒャヒャヒャ!! やっぱりこうなりましたね!!」

「いっけぇ〜〜〜!!」

 

 

チュド〜〜〜〜〜ン!!!!!!

ドカ〜〜〜〜〜〜ン!!!!!!

ズバババ〜〜〜〜ン!!!!!!

 

 

・・・静か『だった』場所である。

森に入った四人を待ち受けていたのは、この地に多く生息しているマイマイスライムやラージアーント。哀れにも本能に従って侵入者を攻撃しようと手を出したのが彼らの運の尽き。

最初はクレイのロングソードやトラップのクナイ、キットンのクワがザクザクと切り刻んでいたのだが・・・トラップがニヤニヤとスライムをパステルの近くに放ったのが、この周辺の最期。頭に血が上った彼女が放った『メガフラム』は、半径数十メートルをモンスター諸共、全て灰燼と化したのだった・・・

 

・・・・・

・・・・

・・・

 

「も〜、ホント信じられない!! いたいけな乙女に一体何するのよ〜!!」

「いやいや、森の地図を書き換えるような『いたいけな』乙女がどこにいるよ!?」

「・・・てへ♪」

 

『災害地』から充分離れた森の中。命からがら逃げ出した皆は、焚き火を囲みながらキャンプをしていた。所々煤で汚れた服を叩きながらトラップが叫ぶと、流石に悪いと思ったのかペロッと舌をだすパステル・・・途中で仕留めたミミウサギを捌きながら、クレイははぁ〜とボヤく。

 

「やっぱりこうなるんだよな〜・・・」

「ま、パステルですしww」

 

どこかからか採ってきたキノコを串に刺しながら、グフグフ笑っているキットン。パーティーの数少ない良心である二人は、ちまちまと夕ご飯の支度をしていた。今日のメニューはミミウサギのモモ塩焼きにキノコの串焼き、干し野菜のスープである。牙の塔には勿論缶詰やレーション等もあるのだが、ゴンタ学級のメンバーは皆こういう現地調達の食事を好む。彼らに言わせれば、これらもご当地メニューとの事。

 

「ほら、焼きあがったぞ〜。熱いうちに食べてしまおう」

「お、美味そうじゃないのクレイちゃん。やっぱ家事が出来る男は違うね〜」

「ホント、この焼き加減もバッチリ!! やっぱり旅行先ではこういうのよねぇ〜」

「グフフ・・・このキノコもイケますよ〜?」

「・・・それ、ホントに食べられるの?」

「大丈夫、デザートですからw」

 

ワイワイと和やかに食事を楽しむ彼ら。

・・・と、その時遠くから大きな音が近づいてきた。なんだなんだと顔を向ける四人の先から、何者かがやってきたのだった・・・

 




パステル・G・キング
錬金術師の資格を学校で取っており、得意分野は攻撃アイテム。
特にフラム系の威力は凄まじく、容易に地形を変える事が可能。
装備は不思議な形の先端をした杖『星と月の杖』に、腰のショートソードと不思議なハリセン(クロスボウは封印中)。防具は緑色の魔法のローブ。

入学時はまだまだ少女といった雰囲気だったが、卒業時には体型も『それなりに』成長した。よくある『残念な美少女』。
彼女の研究室からは毎日のように爆発音が響き渡っている為、近くを通る時は常に警戒を怠らない生徒が多い。それだけに一日静かな日があると、教師が様子を見に来るとの事・・・
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