無事に(?)宝石を手に入れた四人だが、通路を進んでいると急に通路の奥から吸い込むように風が吹き込んできた。
「ちょ、ちょっとちょっと〜!?」
「おぉっと!? ちと強い吸い込みじゃね!?」
「キットン!! 頼む!!」
「ハイハイ〜。シルフ、お願いしますね?」
「〜〜〜〜♪」
急な事に少し驚いた皆であったが、そこはゴンタ学級のメンバー達。落ち着いてキットンが呼び出したシルフ達が無事に風を収める事に成功した。
「ふぅ、なんだったのかしら今の?」
「さぁな。ま、取り敢えずオレ達を歓迎してない事は確かだろうな」
「助かったよキットン」
「グフフ・・・この程度の風で私のシルフ達をどうにか出来ると思ってるのでしょうか・・・ww」
「キットン、物凄い悪い顔してるわよ・・・」
「とにかく先へ進もう。出来れば今日中に任務を終わらせたいしな」
クレイが皆を促すと、コクリと頷いた三人は改めて通路の先を進むのであった。
・・・・・
・・・・
・・・
道中、やたら賑やかなラップバード達や変な薬草なども発見したが、あくまで今回の任務は怪しい生き物の調査。全てを無視して奥へ奥へと進んでいくと・・・
「あれは・・・」
「鏡?」
天井が七階建ての建物ぐらいに高い、吹き抜けの大広間にたどり着いた。その中央にはまるで鏡のように磨かれた面のある、大きな黒岩が鎮座している。周囲には硫黄の匂いが充満しており、ここが温泉の源泉に近い事は明らかであった。
「ふむ、取り敢えず調べるしかなさそうですな・・・魔力は少しあるようですが・・・」
「・・・おい、キットン。何だか気配が高まってきてるぞ・・・」
「えぇ、それも悪い雰囲気のね・・・」
クレイがすっとロングソードを周囲に構えると、同じく何かを感じたパステルが杖を取り出す。そして・・・それは起こった。
わぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁん!!!!!!!
わぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁん!!!!!!!
わぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁん!!!!!!!
わぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁんわぁん!!!!!!!
「うぉ!? なんか出てきたぞ!?」
トラップが思わず周りを見渡すと、今まで硫黄の蒸気が噴出していた穴という穴から黒っぽい雲のようなものがわいて出てきた。そしてそれらは上空の方でひとかたまりになり、彼らの方へ急降下してきた。
「仕方ない・・・極・光・壁〜〜〜!!」
それを見たクレイが咄嗟に力を解放すると、一気に四人を囲むように光の壁がそびえ立ち、皆を守るように空へ伸び上がった。謎の光の壁に勢いよく突っ込んでいく黒雲だが、光に触れる瞬間に浄化されて光と消えていく。
「やれやれ、流石にこの数から全員を守るには俺の『円』じゃ間に合わねーからな」
「やっぱりクレイのそれは緊急時には役立つわよね〜。あ、はいアルテナの水ね?」
「取り敢えず面倒そうな時にはクレイの極光!! 頼れる我らの守護神ですね!!」
「お前ら・・・さっさと他をどうにかしろよ・・・」
パステルから渡されたアルテナの水を一気飲みすると、改めて壁の維持に力を注ぐクレイ。流石に謎の敵も学習したのか、無鉄砲に突っ込む事はせずに周囲を回り始めるようになった。しかしどうやら簡単には帰ってくらないようだ・・・
「けれど、これって何なのかしら?」
「取り敢えずサンプルとして少し回収したいものですが、クレイの事を考えるとあまり時間はかけたくありませんねぇ〜」
「しゃあねぇな〜・・・おいパステル、俺達で少し数を減らすぞ」
「は〜い」
極光壁を維持し続けているクレイの後方から、スッと出て来るトラップとパステル。光の壁の向こうではまだブンブンと音が聞こえる黒雲だが、さっさと帰っておけば良かったのは後の祭り。片手を出すトラップと杖を構えたパステルが同時に声を発した。
「くらいやがれ!! 火遁!!」
「星と月のソナタ!! いっけぇ〜〜!!」
トラップの手から吹き出す炎と、パステルの杖から放たれる魔力の奔流はあっという間に黒雲の体積を減らしていく。そして大体全体の八割ほどが削られた時、ようやくそれらは穴の中へ戻っていった。
「全く、余計な体力を使わせやがって・・・」
「まぁまぁクレイ。あなたのお陰で皆助かったんだから。ありがとね♪」
「ふぅ、取り敢えず片付いたみたいだが・・・おいキットン? おめえ何してるんだ?」
極光の力は強力なだけに体力の消耗が激しい。折をみてはアルテナの水で回復していたクレイだが、力の放出を止めた途端にぐったりと近くの岩に腰を下ろした。肩を叩くパステルがニコニコと笑っているが、そんな中トラップが部屋の隅でゴソゴソとしているキットンに声を掛ける。
「いえいえ、もしかしてこれが任務書に書かれていた生物なのかと・・・しかしどうやら違うみたいですねぇ〜」
「え? 何か分かったの?」
「はい、これは何処かの魔道士が人工的に作り出した生命体です。確か名前を・・・モウンと言った筈・・・」
「うん、それは良いから早く捨てなさいよソレ・・・」
ウンウンと頷くキットンに、ヒョコッと首を傾げるパステル。そんな彼女にキットンは言葉を続ける。ちなみに彼が摘んでいるそのモンスター(?)は、アゲハ蝶の羽を持った小さな蜘蛛で、僅か一センチにも満たない大きさだが・・・顔の部分が醜悪な老人の顔をしている不気味なものであった。そんな物を平気で摘めるキットンに、少し引くパステルであった。
「特に大した力は無いのですが、耳などから体内に入り込まれると、その魔道士の言いなりになってしまうとか。つまり、これが指し示すのは・・・」
「そいつが今回のターゲットって事だな」
「う〜ん、でもどうやって探すの?」
「そこはお前、明らかに怪しいこの岩を探るしかないだろ?」
コキコキと首を鳴らしながら黒岩に近づくトラップ。そしてしばらくすると、『ソレ』に気付いた。
「ふ〜ん、こうなってるんだな・・・取り敢えず・・・コイツ壊すか」
「ちょいちょい!? お前何言ってるんだ!?」
「いんや、調べたんだけど解除が面倒くさくなった」
「それって、シーフが一番言っちゃいけない言葉よね・・・」
「ブヒャヒャヒャww 流石トラップww 我々の事を良く分かっていますww」
「お前・・・ノルのこと笑えないぞ?」
「おいおい〜、あいつと一緒にしちゃ困るぜぇ〜? 俺はゴンタ学級一の常識人なんだからな?」
「何ですかソレww 実に笑えないジョークですねww」
正に大草原状態のキットンに、呆れたようにカクッと項垂れるパステル・・・しかしどうやら確かに通常の手段だと解除に時間がかかるらしい。勿論出来ないことは無いのだが、余計な時間はすぐさま報酬の減額に繋がる。それにもし破壊してマズイ類の罠なら、確実にトラップはこんな提案をしない。それが分かっている皆だからこそ、こんな風に笑い飛ばせるのだ。
「そんじゃま、適当に・・・」
「はい、魔法ロック解除〜。うに〜〜!!」
「おいバカ!! まだ話は終わってないぞ!?」
ズッバ〜〜〜〜〜〜〜〜ン!!!!
大慌てでトラップが手を出すも、軽〜く放ったパステルの『うにLevel10』は、凄まじい爆音と共に黒岩を跡形もなく消し飛ばした。勿論余波は広間一帯に広がり、岩に腰掛けていたクレイとキットンを暴風が襲う。
「ちょ、ちょっとまたいきなりかパステル〜〜!?」
「どっひゃ〜〜〜〜!!」
「こんのバカ!! もし隠し通路まで破壊したまったらどうするつもりだ!?」
「・・・てへ♪」
「てへ♪・・・じゃねぇ〜よ!!」
情けない声をあげながらゴロゴロと転がるキットンを追うクレイ。そして煙が晴れたその先には・・・半分以上瓦礫に埋もれた階段らしきものが、ちらっと地面からコンニチワしていた。
「ほ、ほ〜ら!! 結果オーライじゃない!? これで先に進めるわよ!?」
「・・・この瓦礫、どかすの全部お前がやれよ?」
「・・・マジですか?」
「「「マジ」」」
「ショボーン・・・」
憮然とした男三人から抗議の声を受けたパステルは、ガックリと肩を落として瓦礫の山へ向かうのであった・・・合掌。
仕事が休みの日に一気に書いてますが、なかなか想像している光景を文章に起こすのが難しい・・・