よって、原作では死体が山ほどあった部屋はボツにしました。悪しからずご了承下さい(笑)
どうにかパステルが瓦礫を取り除いた後(持ってる生きてるホウキ・ゴミ箱を総動員)、どうにか隠し階段を降りていく四人。
少し肌寒い洞窟内を歩いていると、ふとトラップが気づいた。
「お前ら気をつけろよ? なんか足元が鏡みたいになってるからな」
「ホントだ・・・あれ? よく見たら天井や壁も?」
「だな・・・皆、警戒を怠るなよ?」
キョロキョロと周囲を見回したパステルが見たのは、周り全てが黒い鏡のような壁で出来た壁面であった。そして下へ下へと降りて行くほど、ますます寒さが増すのを肌で感じるクレイ。
そして、ようやく四人は最下層へたどり着いた。その目の前には、やけに怪しげな扉が雄々しくそびえ立っていた。
「ふ〜ん、いかにもってドアだな・・・」
「トラップ、何か分かりますか?」
「まぁ待て。取り敢えず、お前らはここで待って・・・」
「気をつけるんだぞ? ・・・まだお前に貸した150ゴールドが返ってないんだからな」
「そうそう・・・あなた帰ったらマリーナに告白するんでしょ?」
「ぐふふ、大丈夫ですよ。後はあなたに任せて先へ行かせて頂きますからww」
「てめえら何そんな俺に対して死亡フラグ建築しまくってやがんだ!!」
「「「面白いから」」」
緊張感ゼロの三人に吠えるトラップだが、ゲラゲラ笑う皆に、いつもの事だと首を振りながらドアを開けて中を確認する。勿論鍵がかかっていたが、そんな物トラップにかかればチョチョイのチョイであった。
「ホイホイっと・・・よし、行くぜ」
無事に鍵を解除したトラップに続き、三人もドアの奥へと進んでいく。そして最初に目に付いたのは・・・何やら大きなフラスコやビーカーがたくさん積み上がっている、かなり大きな研究室であった。
「なんなんだ、ここ?」
「ふむ、どうやらモンスターに関する資料が
ほとんどですね・・・おぉ!? これはまた珍しい!! かの有名な『世界樹の葉』を使った新たな実験ですよ!?」
「は〜いはい、取り敢えずその手の資料は後で回収するから」
「ちょ、ちょっと横暴な!? 私はあくまで自分の研究について・・・」
パンパンと手を叩いたパステルがキットンから紙束を奪い取ると、必死になって彼がピョンピョンと飛び跳ねるも・・・身長差は如何ともしがたい。結局諦めたキットンは、先に進んでいるクレイとトラップを追う事に。
「そういやさっきのモンスター、少し変な感じがしなかったか? こうなんて言うか、自然な雰囲気じゃねえっていうか・・・」
「あ、それは俺も思ったな。極光壁にぶつかった時に、なんだか煙のようになって消えていったもんな・・・なぁキットン、何か分かるか?」
「はい、それは勿論ですよ? だってあのモウンって魔物は、実際には存在しないモノなんですから」
「え、そうなの?」
ヒョコッとパステルが首を傾げると、キットンがピシッと人指し指を上げて話を続ける。
「さっきの資料をチラ見させてもらいましたが、今回の黒幕は人工の魔物を創り出せる魔導師。それも世界的に批判されている暗黒魔術の類ですね・・・一つ間違えれば、そこらの一般人が一国を傾かせる事も可能です」
「なるほど、それじゃあこれらの研究資料ってのは・・・」
「おぉっと、クレイちゃん? その続きはあちらの御仁に聞いてみようぜ?」
進んでいた足を止めたトラップの声に、クレイ達が顔を奥へ向けると・・・少し古めかしい椅子に座って、何やら作業台でゴソゴソと手を動かしている人影があった。
こちらに背を向けている為、顔は分からないが、体格は小柄。黒く裾の長いローブを頭から被っており、いかにも魔導師といった感じの人物(?)である。
「お〜い、そこのあんた。ちと話を聞かせて貰いたいんだけどよ〜? こっち向いてくれや」
「・・・うるさいねぇ・・・人ん家に勝手に入っときながら、なんだい?その言い草は・・・」
いつでも攻撃体制に入れるよう警戒しながら近づくトラップの警告に、気怠げそうな声を出しながら作業を止める人物。声から判断するに、高齢の女だろうと検討をつけた四人。
「あ〜、俺達は牙の塔から派遣されてきたモンだ。取り敢えず大人しく話を・・・」
「ふん・・・傭兵を気取ってる犬らが・・・アタシの研究の邪魔はさせないよ!!」
「ちょっと、いきなり攻撃!? 危ないでしょ!!」
「ブヒャヒャヒャ!! まるで昔のRPGに出てくる中ボスみたいですねww」
「てことはテンプレ通り、だな」
「あぁ、取り敢えず倒すか」
振り向くや否や、無詠唱でファイアーボールを放つ老婆に対し、すぐにその場から飛びのく四人。一応警告した事に対しての反撃である為、どう繕っても正当防衛が成立である。すぐに武器を構える皆に対し、相手は感心したように声を上げる。
「ほぉ、アレを避けるかい・・・だったら遠慮はいらないね!! 出な!!」
老婆がバッと手を振り下ろすと、地面が大きく揺れ出し・・・大きな土煙とともに生気の無いゾンビのような魔物が10体以上飛び出してきた。それらが一斉に老婆を守るように立ち並ぶと、彼女はすぐさま背を向けて机の下へ潜り込む。
「やっぱり逃げる気か・・・つまんねぇ行動だぜ」
「う〜ん、すぐに逃げるのはあんまりボスって感じがしないわね〜」
「全くです。あの人は王道を分かっていません。逃げるならまず全ての部下がやられてから、『な、何!? 吾輩の部下が全滅だと!?』みたいな会話をしてくれませんと」
「お前ら・・・さっさと追わないと任務失敗だぞ?」
「「「へ〜い」」」
クレイがはぁっとため息をつくも、ケラケラと笑っている三人。相変わらずの余裕態度である。そんな彼らに対し、一斉に向かってくるゾンビ達。一般的に動きが遅いと言われているアンデットだが、このゾンビ達はなかなかの動きをしていた・・・まぁあくまで『一般レベルでの』なかなか、だが。
「あんまり資料を壊したくは無い。派手な攻撃や火は撃つな」
「は〜いはいっと。取り敢えずクレイちゃんはさっきの極光の事もあるし休んでな。そんじゃまあ・・・しゅ〜りけ〜ん♪」
仮にも極光の技は、生命力を大きく使う技。パステルの薬のお陰でそれらは完全に回復しているのだが、一応まだこれから使う可能性がある為、念の為に後方へ下がるクレイ。そしてトラップが懐から取り出したのは、複数の風魔手裏剣。それらを目にも留まらぬ速さでゾンビ集団に投げつける。外れる事なく人間でいう急所という急所に当たっていく手裏剣は、途端に敵の動きを鈍くしていった。
「フハハハハハ!! チェック・メイトだ!!」
「私も近づきたくないし、けれどアイテムは周りを吹き飛ばしちゃうのばかりだし・・・それじゃ、時の石版〜♪」
まるで某吸血鬼のように高笑いを上げながら手裏剣を投げまくるトラップの後ろから、魔法ロックを解除した『時の石版』をパステルが放り投げた。その石版から光が放たれると、一斉にゾンビ達が硬直する。勿論手裏剣は刺さりまくったままである。
「うわ、グロ・・・今晩お肉はやめとこ・・・」
「燃やすも破壊も無し、となりますと・・・ココはゼクンドゥス、お願いしますね」
自分で硬直させておきながら顔を背けるパステルの横から、キットンがクワを掲げる。その先が光ったかと思うと、空間が割れ、中から謎の金髪男がノソノソと面倒くさそうに這い出て来た。髪はボサボサ、無精髭、そして極め付けは・・・『働いたら負け』Tシャツ。まさにNEET。
「あぁ〜だる・・・働きたくね・・・」
「ほらほらゼクンドゥス、あなたの出番ですよ? さっさと働いて下さい」
「いやさ、俺ってこういう時ばかり呼ばれる便利屋になってね? そりゃあ確かに時の狭間に放り込んだら綺麗サッパリかもしれないけどさ、前に文句言われたんよ? ハッシュの爺さんに。あんまゴミ捨てるなって」
「知りませんよそんなの。ほらキリキリ働く!!」
「あ〜、ホント面倒くせ〜・・・」
気怠げなまま後ろ頭をガリガリと搔くと、片手をヒョコッと上げる。たったそれだけで黒い穴が空間に開くと、固まったままのゾンビ集団が次々に吸い込まれていった。
「はいお疲れ様でした。もう帰って良いですよ?」
「・・・報酬は?」
「取り敢えず五千ゴールドまで課金OK」
「よっしゃ!!」
現れてから一番気合が入った姿で元の空間に帰っていくゼクンドゥス。どうしてこうなった?
「さて、片付いたか。すまなかったな皆」
「いえいえ、それじゃあ早く先へ進みましょうか」
「トラップ、発信機は?」
「勿論付けたに決まってるだろ・・・お、こいつが隠し扉だな」
一番最初のファイアーボールに紛れて、相手のローブに向けてデコピンの要領で放った発信機は正常に動いている。それを追いながら、机の下の隠し扉を開けて進んでいく四人であった・・・
昔のボスって、大体出会った瞬間に一言二言話しただけで襲い掛かってきますね・・・ホント、不意打ちもいいとこです。合掌。
キットンの噂・・・精霊が彼と契約すると、色々と性格が変わるらしい。