元提督の日記   作:遠弥 秋菜

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皆様明けましておめでとう御座います。今年もどうぞこの作品共々宜しくお願い致します。

久ぶりの投稿…文が変かもです。


3ページ目(前編)

「ねぇ、長門。明日出かけるわよね?」

「あぁ、そのつもりでいるがどうかしたか?」

 

◯月◀︎日午前10時30分

 

今日は買い物、そう意気込んで俺は暖かい布団から脱出を見事成功させる。するとドアをノックする音、恐らく大和だろう。俺はそう思いそっとドアノブを引いた。

「佐藤さん、失礼しますね」

「いきなりどうしたんだ?」

「昨日、妹から少しは甘えてみてはどうかとめーる?が来たので」

「武蔵の奴か…ったく。あと何故俺の布団に入っているんですかね」

呆れた口調で首元まで布団に侵食された大和。全く、甘えるって言っても俺の布団はないだろうさ…。

モゾモゾと大和が布団の中で寝返りを打つ。

「それにしても暖かいですね。この湯湯婆、何か特別な細工が?」

「普通の湯湯婆だぞ。細工なんて俺には出来ない」

「そうですかね…前にマフラーを休憩がてらと作られていましたよね?」

「忘れてくれ」

実際のところ、物によるが編み物だと器用な部類に入るらしい。この俺がだ…全く自覚してなかった。所詮嗜む程度でプロの作るものなんて無理だしな。

「私は良いと思いますよ、提督のマフラー。売れます、絶対」

「それはまた嬉しい事言ってくれるじゃないですか大和さん。取り敢えず布団から出て身支度だ」

俺は無慈悲にもそう言い放ち、大和の被っている布団を引き剥がそうとする。だが負けじと大和は布団にしがみ付く。

 

その後この不毛な戦い、15分にわたって繰り広げられ清太の勝利で終わった。大和は寂しそうに布団を眺めていたが少しくらいは四季を感じなければ。外出大事!

「それにしても腹が減ったな。大和、朝は何が良いとかあるか?」

「私は佐藤さんが作るものならなんでも良いですよ…」

「どうし…そうだ、こたつ出したんだった」

「暖かくてとても寝てしまいそうです」

こたつの上に突っ伏して、とても寛いでいらっしゃる。まぁたまにはこたつでゆっくりするのも大事だろう。

「それじゃあ…トーストとベーコンエッグ、コーヒーで良いか」

朝食の内容を決めて俺は作業に取り掛かる。久しぶりの料理、上手くできるだろうか…。取り敢えずやって見なければわからないしな、やるだけやってみよう。

 

———————————————————————

 

「長門、車の用意は出来ているぞ」

「ありがとう。それにしても陸奥は何をしているんだか…今日は出かけると言っていたはずなんだが」

この凛々しい女性方は元艦娘の長門、そして武蔵という。元は大和と同じく戦艦として名を轟かせていた。実力は日本の誇る戦略の一つと謳われていたりする。

「取り敢えず私は陸奥を見てくる、武蔵はもう少し待っててくれ」

「わかった。ゆっくりでも構わないと伝えておいてくれ」

「優しいな、武蔵は」

長門はふっと笑い、家の中へと戻っていった。

 

———————————————————————

 

「提督業務しかしてこなかった俺に料理はしんどいものがあるな…」

「美味しかったです。また作ってくださいね」

「お褒めに頂き光栄でございますお姫様」

俺は大和を茶化してみると優しく微笑む。

「ありがとう執事さん。それではそろそろ出かけませんと」

「よし、それじゃあ行くとするか!」

 

この後、俺達は車に乗り込んでショッピングモールへと向かった。今日は快晴、お出かけ日和だ。大和も不思議そうに窓から外を眺めて、時折あれはなんですかって子供みたいに聞いて来たり。目がキラキラしてたな…。純粋にこのひと時を楽しんでいるようだった。

…俺もガキの頃はこんな風だったんだろうか。物事に対して興味を持って、何事もポジティブに。今となっては権力に物を言わせて、そんな奴らしか居ない世界の中でしか生きてこなかった。正直なところ、艦娘達はこの世に2度目の生を受けている。そんな子たちを社会の荒波へと、闇の中へ向かわせてしまって良かったんだろうか。もしこの世界が嫌になって、それで…これ以上はご法度だ。だけど俺は不安で堪らない。強く居続けると、そう口で言ったとしても不安が消えるわけじゃない。

…でも俺がここで不安に負けるなんて、大和に怒られるよな。大和だって不安な気持ちはあるはずだ。俺より純粋無垢で、優しいから。そんな大和を俺が助けてやらなくてどうするんだ。不安に押しつぶされてしまっては駄目だろ?

 

「佐藤さん、聞いていますか?」

「え?あっ、すまん。もう一度言ってくれないか?」

「わかりました、佐藤さん。私はショッピングモールというものが初めてで…案内を頼んでも宜しいですか?」

大和は少し頬を赤らめて、そう言った。

「それくらい任せてくれ。遠慮はするな、先に頼って構わないからな」

ミラー越しに大和の顔を覗いて見る。すると大和は凄く嬉しそうに笑っていた。

「私、凄く楽しみです。佐藤さんとのお出かけなら尚更」

「俺だって楽しみだ。ショッピングモールなんて久しぶりだけどな…」

苦笑しつつもハンドルを切る。

「そろそろ着くから準備しとけよ」

「はい!」

 

 

アクセルの音が車内に響き渡る。二人はとても楽しげな雰囲気に包まれていた。




ふかふかの布団に侵食されるのは日常茶飯事。

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