────何も、感じられない。
熱も
音も
匂いも
そして、音も。
……何も、感じることが出来ない。
オレは……オレ?はて、自分は男だったのだろうか……?
……やはり、何もわからない。自分の性別も、どんな性格だったのかも、思い出せない。
…虚しかった。何も思い出せない自分の心にあるのは、喪失感と、空虚感のみだ。
『確認しました。ユニークスキル『
…あぁ、わかる。
わかってしまう。
…自分は、死んだのだ。
何も思い出せないのも、死んだ時のショックによるものなのだろう。
…それなら、今の自分に意志があるのはおかしいかもしれないが、『あの世』というものを人類は確認できていないのならば、こんなこともありえるのだろう。
…ただ、どうせなら、感覚を感じられるようにはしてほしいと思ってしまう。
…死んだ自分には、もったいないことなのかもしれないが。
『確認しました。ユニークスキル『
…ところで、先ほどから聞こえてくる、この声…一体なんなのだ?いわゆる、神様という存在なのだろうか?
…死んだ自分には、もう関係ないのかもしれないが……ふむ…
……自分は死んでしまった身だ。どうせなら、この神の声に一つくらい、要望を出してみてもいいかもしれない。
そうだな……来世、というものがあるなら、という前提になるのだが────
私は、来世は『天使』になってみたい。
『確認しました。『天使』の身体を作成します……成功しました』
……なれちゃったみたいだ。半分冗談だったのだが……まぁ、なれるみたいなので、仕方ない。
天使、という存在になりたい理由は、実のところない。なぜ天使なのかも、よくわかっていない。
……強いていうのなら、天使は人を守り、導く存在であるというイメージがあったから、だろうか。
……本当に転生するのかはわからないが、期待するしかない。所詮、自分は死んでしまった存在に過ぎないのだから。
────あぁ。そろそろ時間か。意識が薄れてきた。もうすぐ、自分は生まれ変わる。いや、もしかしたら、消滅するのかもしれない。あの神の声が、本当にやってくれるのかは賭けになる。
──────自分は──────いや、
そして、私の意識は闇に消え去った。
▼▼▼▼
───突然、目が覚めた。
いや、目が覚めた、という表現はおかしいかもしれない。この体には目という外見はあれど、正確にはそれは目ではないからだ。
似たような外装、という感じだろうか。あくまで人間の器官に似た『何か』でしかないのだろう。
そこまで考えて、自らの状況の確認と周りの確認をし始めた。
まず、周りは木々で埋め尽くされていた───恐らく森なのだろう───それだけだった。
周りには、特に不思議に思うようなことは何もなかった。ただ、長い木々が周りにあるだけだ。
…次は自分の確認といこう。まず、外見から見ていくと……なんというか、あれだ。
白い。それに尽きた。
髪も白ければ肌も白い。なにやら後ろに翼も生えているが、それも白かった。
翼の方は、実体があるというわけではないようだ。何らかのエネルギーで構成されている……といったところか。
そういうエネルギーを感じ取れるようになっていることに、私は生まれ変わったんだと改めて感じられた。
次は私の中身の方を調べたが、わかったのは翼と同じくこの身体はエネルギーで構成されている、ということだ。
つまり、今の私は肉体を持たない存在となった、ということ。転生する前に『天使になりたい』と思ったが、それが叶ったのだろう。
……そういえば、神の声が『
わかるのは、その『
感覚的なものだが、これを使える、というのはわかった。
───なら、使ってみるしかないだろう。
そう考えたのがいけなかったのか───次の瞬間には、
周りに生えていた木々が、
慌てて能力を使用するのを止め、改めて周りを見渡した。
生命力に満ち溢れていたであろう木々は、今や枯れ木のように力がなかった。
いや、枯れ木のように、ではなく枯れ木なのだろう。私が、そうしてしまった。
人にも同じように効くのかは不明だが、滅多に使わないほうがいいだろう。
…それに、『
なので、早速検証することにして─────
それから、三日が経過した。
正直、時間を掛けすぎたか?と思わなくもない。だが、こういう危険なものは、時間を掛けてでも調べるべきだ。それも、自分の力であるのなら、尚更。
それだけの時間を掛けたお陰で、自分の力───スキルについて理解を深めることができた。
まず『
『
『
『
……『
何故なら、私のような天使は身体をエネルギーで構成されているため、それを納める器がないとエネルギーは散り散りになり、いずれは無くなってしまうからだ。
『
というか私は生まれた時から受肉状態だったようなので、『
『
……それはいいのだが、この三日間、同じ所に留まり続けたせいか、なにやら襲撃されることが多くなった。それも人間に。どうやら天使は人間の敵であるようだ。
まぁ、迎撃して追い返したが。殺すようなことはしていないが、手加減できる程度の相手だったのが幸いだった。スキルの練習台になったことと、魔法というものがあることを知ったことが収穫だろう。
あと、この世界には魔物という存在がいることもわかった。実際、ムカデやドラゴン(いや、ワイバーンか?)とかと戦ったりした。
さほど強くはなかった。ムカデは『
……ただ、魔法の加減がよくわからず、全力で放ってしまったせいで、魔法の直線上にあった木々が焼け野原になってしまった。
ちゃんと制御出来るようにならなくてはいけない……その時に強く思った。
そして──────
私が転生してから、約百年ほどたったある日。
私は、とある『悪魔』と出会った。
名前は『ギィ』
後に『
主人公のダイジェストな三日間。どうなるのかは、作者次第。
そしていきなりギィ登場。まだヴェルダナーヴァと出会っていない時のギィです。