転生天使は視続ける   作:オルフェイス

1 / 16
また作ってしまった……作りたいものが増えていく……以前の宣言はどこにいったのか……



転生。慣れるための三日

────何も、感じられない。

 

 

熱も

 

 

音も

 

 

匂いも

 

 

そして、音も。

 

 

……何も、感じることが出来ない。

 

 

オレは……オレ?はて、自分は男だったのだろうか……?

 

 

……やはり、何もわからない。自分の性別も、どんな性格だったのかも、思い出せない。

 

 

…虚しかった。何も思い出せない自分の心にあるのは、喪失感と、空虚感のみだ。

 

 

 

『確認しました。ユニークスキル『喪失者(ウシナウモノ)』を獲得……成功しました。続けて、ユニークスキル『忘却者(ワスレシモノ)』を獲得……成功しました』

 

 

 

…あぁ、わかる。

 

 

わかってしまう。

 

 

…自分は、死んだのだ。

 

 

何も思い出せないのも、死んだ時のショックによるものなのだろう。

 

 

…それなら、今の自分に意志があるのはおかしいかもしれないが、『あの世』というものを人類は確認できていないのならば、こんなこともありえるのだろう。

 

 

…ただ、どうせなら、感覚を感じられるようにはしてほしいと思ってしまう。

…死んだ自分には、もったいないことなのかもしれないが。

 

 

 

『確認しました。ユニークスキル『適応者(ナレルモノ)』を獲得……成功しました』

 

 

 

…ところで、先ほどから聞こえてくる、この声…一体なんなのだ?いわゆる、神様という存在なのだろうか?

 

 

…死んだ自分には、もう関係ないのかもしれないが……ふむ…

 

 

……自分は死んでしまった身だ。どうせなら、この神の声に一つくらい、要望を出してみてもいいかもしれない。

 

 

そうだな……来世、というものがあるなら、という前提になるのだが────

 

 

 

 

私は、来世は『天使』になってみたい。

 

 

 

 

『確認しました。『天使』の身体を作成します……成功しました』

 

 

 

……なれちゃったみたいだ。半分冗談だったのだが……まぁ、なれるみたいなので、仕方ない。

 

 

天使、という存在になりたい理由は、実のところない。なぜ天使なのかも、よくわかっていない。

 

 

……強いていうのなら、天使は人を守り、導く存在であるというイメージがあったから、だろうか。

 

 

……本当に転生するのかはわからないが、期待するしかない。所詮、自分は死んでしまった存在に過ぎないのだから。

 

 

────あぁ。そろそろ時間か。意識が薄れてきた。もうすぐ、自分は生まれ変わる。いや、もしかしたら、消滅するのかもしれない。あの神の声が、本当にやってくれるのかは賭けになる。

 

 

──────自分は──────いや、私は(・・)─────

 

 

そして、私の意識は闇に消え去った。

 

 

▼▼▼▼

 

 

 

───突然、目が覚めた。

 

 

いや、目が覚めた、という表現はおかしいかもしれない。この体には目という外見はあれど、正確にはそれは目ではないからだ。

 

 

似たような外装、という感じだろうか。あくまで人間の器官に似た『何か』でしかないのだろう。

 

 

そこまで考えて、自らの状況の確認と周りの確認をし始めた。

 

 

まず、周りは木々で埋め尽くされていた───恐らく森なのだろう───それだけだった。

 

 

周りには、特に不思議に思うようなことは何もなかった。ただ、長い木々が周りにあるだけだ。

 

 

…次は自分の確認といこう。まず、外見から見ていくと……なんというか、あれだ。

 

 

白い。それに尽きた。

 

 

髪も白ければ肌も白い。なにやら後ろに翼も生えているが、それも白かった。

翼の方は、実体があるというわけではないようだ。何らかのエネルギーで構成されている……といったところか。

 

 

そういうエネルギーを感じ取れるようになっていることに、私は生まれ変わったんだと改めて感じられた。

 

 

次は私の中身の方を調べたが、わかったのは翼と同じくこの身体はエネルギーで構成されている、ということだ。

 

 

つまり、今の私は肉体を持たない存在となった、ということ。転生する前に『天使になりたい』と思ったが、それが叶ったのだろう。

 

 

……そういえば、神の声が『喪失者(ウシナウモノ)』とか言っていたが……

 

 

わかるのは、その『喪失者(ウシナウモノ)』と他2つを、私は扱うことができる…ということだけだ。

感覚的なものだが、これを使える、というのはわかった。

 

 

───なら、使ってみるしかないだろう。

 

 

そう考えたのがいけなかったのか───次の瞬間には、

 

 

周りに生えていた木々が、()()()()()()()()

 

 

慌てて能力を使用するのを止め、改めて周りを見渡した。

 

 

生命力に満ち溢れていたであろう木々は、今や枯れ木のように力がなかった。

いや、枯れ木のように、ではなく枯れ木なのだろう。私が、そうしてしまった。

 

 

人にも同じように効くのかは不明だが、滅多に使わないほうがいいだろう。

…それに、『忘却者(ワスレシモノ)』や『適応者(ナレルモノ)』もある。これも、どのようなものかわからない以上、どのようなものか知るべきだ。

 

 

なので、早速検証することにして─────

 

 

 

 

それから、三日が経過した。

 

 

 

 

正直、時間を掛けすぎたか?と思わなくもない。だが、こういう危険なものは、時間を掛けてでも調べるべきだ。それも、自分の力であるのなら、尚更。

 

 

それだけの時間を掛けたお陰で、自分の力───スキルについて理解を深めることができた。

 

 

まず『喪失者(ウシナウモノ)』、『忘却者(ワスレシモノ)』、『適応者(ナレルモノ)』。これらはユニークスキルというものらしく、通常のスキルよりも強力なものであるらしい。

 

 

喪失者(ウシナウモノ)』は相手のエネルギーを減らす……というよりその名の通り喪失させることが出来る。レジストされるとその限りではないが、攻撃よりも防御に優れているスキルだ。

 

 

 

忘却者(ワスレシモノ)』は戦闘には向かないスキルで、相手の思考を読んだり、記憶を忘れさせたり、思考を加速させたりすることが出来る。あと並列演算というものもあった。

 

 

適応者(ナレルモノ)』は……なんというか、他2つのスキルを補助するスキルなのだろう。相手の持つ技術を真似したり、環境そのものに適応するとか、食らった攻撃の耐性が出来るスキルだ。一番応用力が高いのは、これだろう。

 

 

……『適応者(ナレルモノ)』がなければ、私はこの身体を維持出来ずに消滅していただろう。

 

 

何故なら、私のような天使は身体をエネルギーで構成されているため、それを納める器がないとエネルギーは散り散りになり、いずれは無くなってしまうからだ。

 

 

適応者(ナレルモノ)』の環境適応により、肉体を得た状態───擬似受肉状態となり、エネルギーが漏れ出ることもなくなった。

 

 

というか私は生まれた時から受肉状態だったようなので、『適応者(ナレルモノ)』は常に働いていたらしかった。

 

 

適応者(ナレルモノ)』はこれからも重宝することになりそうだ。

 

 

……それはいいのだが、この三日間、同じ所に留まり続けたせいか、なにやら襲撃されることが多くなった。それも人間に。どうやら天使は人間の敵であるようだ。

 

 

まぁ、迎撃して追い返したが。殺すようなことはしていないが、手加減できる程度の相手だったのが幸いだった。スキルの練習台になったことと、魔法というものがあることを知ったことが収穫だろう。

 

 

あと、この世界には魔物という存在がいることもわかった。実際、ムカデやドラゴン(いや、ワイバーンか?)とかと戦ったりした。

 

 

さほど強くはなかった。ムカデは『喪失者(ウシナウモノ)』で即死したし、ドラゴンには効かなかったが、つい最近覚えた魔法で十分に倒すことができた。

 

 

……ただ、魔法の加減がよくわからず、全力で放ってしまったせいで、魔法の直線上にあった木々が焼け野原になってしまった。

 

 

ちゃんと制御出来るようにならなくてはいけない……その時に強く思った。

 

 

そして──────

 

 

私が転生してから、約百年ほどたったある日。

 

 

私は、とある『悪魔』と出会った。

 

 

名前は『ギィ』

 

 

後に『暗黒皇帝(ロード・オブ・ダークネス)』という異名を持つことになる、最強の悪魔である。

 

 

 




主人公のダイジェストな三日間。どうなるのかは、作者次第。
そしていきなりギィ登場。まだヴェルダナーヴァと出会っていない時のギィです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。