転生天使は視続ける   作:オルフェイス

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遅くなりましたすみません。

繋ぎ回です。次回から頑張ります。

…ようやく投稿できたよ……


騒動。預けられる勇者

───過去、というより前世について、少し考えることがある。

 

 

この世界には転生者という存在がいる。そして、転移者と呼ばれる存在もいる。

 

 

それはつまり、この世界以外にも世界は存在し、その世界から転生してくる者もいる可能性がある、ということだ。

 

 

もっとも、異世界からの転生者は今のところ魔王リムルしか確認できてはいない。

本人もそのように公言しているから、間違いないだろう。

 

 

片方だけを満たす者は沢山いる。だが、両方を備えている者はいないのだ。

 

 

そういう点だけでも、やはりリムル・テンペストは異常であるというのがわかる。

 

 

かくいう私も転生者ではあるが、それが異世界から来たのか、それともこの世界の転生者なのかは不明だ。なにせ、過去の記憶など消え去ってしまっているのだから。

 

 

だからこそ、考えることがある。私の前世は一体どのような人物だったのか、と。

 

 

だから調べてみることにした───いや、調べてみたかったのだが、そんなことよりもしなくてはならないことがある。

 

 

これはもしものための保険ではあるが、()()が力を付けるようにするためでもある。

 

 

それに、敵対するようなことがなければ彼女に危害が加わることもない。

彼女自身も、そのようなことをする人間ではない。

 

 

なので、暫く預かってもらうことにした。

 

 

ジュラ=テンペスト連邦国───魔王リムルに。

 

 

 

▲▼▲▼

 

 

 

「あの、暫くお世話になります」

 

 

『よろしく頼むぜ?』

 

 

ジュラ=テンペスト連邦国・首都リムル・迷宮内にて、幾人の人物が集まっていた。

 

 

この国を統治する魔王、リムル・テンペスト。

迷宮の支配者である魔王ラミリス。

そして、その迷宮のラスボスである『暴風竜』ヴェルドラ。

 

 

それらと対峙するようにいるのは、アスティの配下である聖槍使いのアッシュ。そして、その聖槍そのものであるレジー。

 

 

合計五人(正確には四人)が集まっているのは他でもない、アッシュを『どうするのか』ということだった。

 

 

数ヵ月前、リムルは魔王ルミナスに招かれる形でルベリオスに赴き、そこで目覚めてしまった『勇者』と戦うことになってしまった。

 

 

その力は強大で、竜種である並みのエネルギー量を誇っており、なおかつその技量は超一流。

 

 

幸いスキルこそ究極能力(アルティメットスキル)には及んではいなかったが、それでも強大であることには変わりない。

 

 

下手をすれば、その場にいたリムル、レオン、ルミナスの3人の魔王とその配下は殺されていたかとしれないのだ。

 

 

だが、その『勇者』を倒したのはアッシュだった。自身の切り札を使い、『勇者』の動きを止めることに成功した。

 

 

そう、動きを止める───それだけだ。どういう訳なのか、『勇者』を完全に滅ぼすには至っていなかった。

 

 

それは『勇者』が聖なる存在であることと、そのエネルギー量が原因だった。

 

 

エネルギー量の差と同じ聖力による相殺によって、アッシュの一撃は『勇者』の命に届きはしたが、致命傷となることはなかった。

 

 

だが、アッシュが放った全力は確かに『勇者』を行動不能に陥らせた。

 

 

だからこそ、リムルは咄嗟に動き出せ、暴走する『勇者』───いや、クロエを救出することが出来たのだ。

 

 

アッシュの全力は『勇者』を滅ぼさんとする一撃ではあったが、結果的にリムルはクロエを取り戻し、死んだはずのヒナタはルミナスによって蘇生された。

 

 

今回の騒動は、最良の結果となったのだ。

 

 

────といっても、数ヵ月後には問題がやってきたのだが。

そう、その問題こそがアッシュだった。

 

 

勇者騒動が起こってから数ヵ月後に、騒動が起きた時にいた魔王たちは集まることになっていた。

 

 

途中までは順調であったが、そこに魔王ギィが参戦したことでややこしくなってしまった。

 

 

曰く『そいつ(クロエ)はなんなのか』

 

 

ギィにクロエが勇者である、などと素直に言えるわけがないので、集まった3人の魔王で一芝居打つことになった。

その芝居は成功したわけであるが、ギィがただで転ぶはずもなかった。

 

 

『じゃあ監視役にこいつを任せるぞ』

 

 

そう、その監視役というのが、アッシュだった。

 

 

本来なら、敵かどうかもわからない存在を招き入れるなど認められないが、他二人の魔王が賛同してしまったせいで、リムルは受けざるを得なくなったのだ。

 

 

リムルとしても、クロエの安全のためであるので仕方なく監視役───という形になっている───であるアッシュを連れてきたのだ。

 

 

「(なんでこんなことに……?)」

 

 

『(だいたいは、あいつのせいだろうぜ?)』

 

 

一方のアッシュも、かなり混乱していた。

 

 

勇者との戦闘を終え、無事に五体満足で帰ってくることが出来たというのに、その数か月後にはアスティにギィの元に連れていかれ、挙げ句の果てには迷宮に監視役として置いていかれる、などと────

 

 

とてもではないが、急すぎる。一旦、整理する時間が欲しかった。

……のだが、その要望を聞いてくれることはなかった。

 

 

『(あいつ、アッシュのことはよく振り回すんだよなぁ……)』

 

 

レジーは心の中で、そう呟いた。

 

 

「あー、そうだな……アッシュだっけ?お前はクロエの監視役として来てるんだよな?」

 

 

「あ、はい。建前はそうです」

 

 

「……うん?」

 

 

アッシュは考え事をしていたせいか、リムルの問いかけに自然と答えた。一応は監視役として連れてこられたアッシュであるが、その目的は違う。

 

 

アスティがギィに頼んでアッシュを入れたのであって、そこにギィの思惑とか、そういうのはない。

あるとすれば、本当の意味での監視だろう。

 

 

それ以外のことをギィは求めていないし、アスティもそんなことは考えてなかっただろう。

 

 

アスティがアッシュに求める───いや、させようとしているのは、彼女を強くさせることなのだから。

 

 

「…じゃあ本当は?」

 

 

「師匠からは

『ここで学べそうなことは、全部覚えてきなさい。教えることが出来そうなら、教えるのもアリですよ』

と言われました」

 

 

アッシュはアスティに言われた言葉をそのままリムルに伝えた。

彼女としては、教えても問題ないことと考えたからだ。

 

 

「あー、うん。じゃあ、その師匠ってギィのこと……だよな?」

 

 

「いえ違います」

 

 

「え?違うの!?」

 

 

リムルとしては、てっきりギィの配下かなにかだと考えていたのだ。

ギィの配下なら、あれだけ強くてもおかしくはない───そう考えていた。

 

 

「ふーん?なら、あんたってアスティの配下なわけ?」

 

 

「はい、そうです」

 

 

「ん?ラミリス、お前なんか知ってるのか?」

 

 

ラミリスの言葉に疑問の声をあげるリムル。ラミリスは何でもないようにリムルの疑問に答えはじめた。

 

 

「リムルは知らないんだろうけど、アスティはギィと同じくらいヤバいやつなんだよ?」

 

 

「ギィ並みって……そんなに強いのか?」

 

 

「我もその名は知っているぞ。確か、我が姉であるヴェルグリンド、ヴェルザードをまとめて叩きのめしたと聞いたぞ」

 

 

「はっ!?おま、それってギィよりもヤベー奴じゃねぇのか!?」

 

 

「えっと、それは師匠曰く『相性が良かっただけ』だそうで……」

 

 

「相性が良いだけで竜種二体に勝てるわけねぇだろうがっ」

 

 

『そうだろうなぁ。普通はそうなんだろうけどなぁ……あいつだからなぁ?』

 

 

普段はツッコミを入れられる側のリムルにしては珍しく、アスティの話を聞いてツッコミ役になってしまっていた。

 

 

アッシュもかつて聞いた話を思い返し「師匠の理不尽さは昔からだったんですね…」と、遠い目をしていた。

 

 

中々に混沌としてきていた。

 

 

「よぉし、そろそろ話を戻すぞ、うん」

 

 

「あっ、はい」

 

 

リムルは逸れかけた話題を元に戻し、改めてアッシュに問いかけた。

 

 

「しばらくの間、アッシュをうちの迷宮預りにするんだけど、そこは異論ない?」

 

 

「はい、ありません」

 

 

「じゃ、その迷宮の管理をしているのはそこのラミリスだから、ここにいる間は部下兼助手として頑張ってもらうから」

 

 

アッシュに異論はないのか、何も言わずにコクりと傾いて返答を返した。

 

 

「じゃ、あとは任せた」

 

 

「任せときなよっ。このあたしがズバッとやったげるからさ!」

 

 

何を、とは誰も言わなかった。リムルも薮蛇になりたくはなかったのか、アッシュに聞けるだけのことを聞くと、すぐさま部屋から出ていった。

 

 

『あいつのことだから、安全だと考えてここに送ったんだろうが……あいつ、こういう所では過保護だからなぁ』

 

 

一人、いや一つ、誰にも言ったわけでもない言葉を、レジーは吐いたのだった。

 

 

 

▼▲▼▲

 

 

 

「アッシュよ」

 

 

「はい、何でしょうか?」

 

 

「アスティからも聞いてはいると思うが、その『聖槍』は特別なものだ」

 

 

「……」

 

 

「下手をしたら、()()()()()()()()()……それは分かっているな?」

 

 

「…はい。師匠からは慎重に扱い、完全に制御出来るようにしろと言われてきました」

 

 

「うむ。その危険性をわかっているのならばいい。

だが、一つ教えておかなくてはならないことがある。それは、アスティでさえ知りえないことだ」

 

 

「師匠も……?それは、一体……」

 

 

「うむ。心して聞け。その『聖槍』は──我が兄、ヴェルダナーヴァが遺した()()()()だ」

 

 

「記録、媒体…?」

 

 

「うむ。それは、世界の始まりから終わりまでを記録する槍。過去と未来を確定付けるためのものだ。

まぁそれ単体では、ただ記録するだけの槍でしかないのだがな」

 

 

「ヴェルダナーヴァは、なぜそのようなものを……?」

 

 

「知らん」

 

 

「え?」

 

 

「だから、知らんと言ったのだ。我が兄は、その槍のことしか教えてはくれなかったのだ。恐らく、我が姉たちにも教えてはいるのだろうが……この槍のことを伝えたのか、それとも()()()()を伝えたのか……それは我にもわからん」

 

 

「……」

 

 

「我に分かるのは、我が兄が『聖槍』を使って何かをしようとしていたことだけだ」

 

 

「そう、ですか……教えてくれて、ありがとうございました」

 

 

「うむ。我も、我が兄の遺した秘密は気になるからな。何か分かれば、我に言うがいい」

 

 

「えっと……その……その時は、頼らせてもらいます」

 

 

 

 

 

 

『記録媒体……か。『聖槍』は謎が多い究極能力(アルティメットスキル)だったが……なるほど、これで謎は一つ解けたわけだ』

 

 

『……ヴェルダナーヴァ、お前はこれを使って、何を成そうとしたんだ……?』

 

 

 

 

 




謎が増える。アスティでさえ知り得なかった槍の本質。

今ここで言っちゃうと、究極能力には質量がないはずなのに、この槍にはあります。

独自設定、独自解釈なので、原作にはないものと思ってください。
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