あの紅い悪魔────ギィと名乗っていた────と最初に遭遇してから十年ほど経過した。
この十年、ギィと遭遇し、何度も戦う羽目になった。
ある時は森の中。ある時は空に。またある時は────
遭遇率が半端ではなかった。一年に三十回以上も遭遇していると言えば、わかってくれるだろうか?
どうやらギィは私に執着しているらしく、戦っている最中に本人にその理由を聞いてみたところ、曰く「倒せずに逃げられたから」であるとのこと。
…私からすれば、知ったことではないので何度も逃げているが、流石に同じ手は通用しないため、逃げるための方法を何度も考える羽目になった。
特に決まった拠点もなく、東西南北を行ったり来たりしていた。だが、それでもギィと遭遇してしまうのだから、何か仕込まれているのではないかと疑ってしまうくらいだ。
だが、このままギィと戦い続ければ、いずれ倒されてしまうのは目に見えている。そろそろ限界だろうから、何か打開策を考えなくてはいけない。
……私がギィに勝てないのは、単純に
なので、エネルギーが互角ならば、逆にギィを倒すことも不可能ではないだろう。
───と、普通ならそう考えるのだろうが、相手がギィである以上、そう考えるのは難しかった。
何度も戦った私だからこそわかることだが、ギィは才能の塊と言える存在だ。それに加えて、ギィは
エネルギー総量で互角になったとしても、ギィに勝つことは難しい。それこそ、進化でもしない限り。
……いや、方法がないわけでは、ない。
それは『
『
ただし、これは使えば最低でも数日───最高で一年ほど『
このままの状態を続けても、いずれは倒されてしまう。それがいつになるのかは、わからないが……
私が悪魔なら、死ぬようなこともなかったのかもしれないが───天使は、悪魔のような不死性を待ち合わせてはいない。
………使うしか、ないだろう。
だが、それは私が『危険はない』と判断できる場所に行ってからだ。
……だが、一体どこに行くべきだ?この大陸は回りきっているので、何処に何があるのかは把握しているが……それでも、絶対に安全と言える場所はないように思えた。
ふーむ。どこでするべきか……………
考えてみるが、一向に思い付かない。確実に安全と言えるような場所か────
……海、それも深海はどうだろうか?海に来る存在は滅多にいないし、意外と良いかもしれない。ただ、海に住む魔物に襲われる危険もあるが………底を掘って、空洞を作ればいけるか?
感知範囲が広い魔物がいる可能性も考えて、深く掘っておこう。
……ついでに、そこを拠点とするのも良いかもしれない。今まで拠点と言えるところは作れなかったし。
そうと決まれば、すぐにでも行動するべきだろう。そう考えた私は翼を広げ、海がある方向に空から移動したのだった。
▼▼▼▼
天使には───というか精神生命体には───呼吸は必要ないため、海には簡単に潜ることができた。ただ、岩を削って空洞を作るのには少し手間取った。
通常の魔法では発動できないため、元素魔法を用いての作業となった。私のスキルには高い威力を持つものがないため、思っていたよりも時間が掛かってしまった。だいたい、3日くらいだろうか?
だが、それだけ時間が掛かっただけあって、海の底には十年前まで私が住んでいた家が、すっぽりと入るほどの広さになった。
ここに新しく拠点を作るのも悪くないかもしれない。まぁそれについては、進化を終わらせてからにするべきだろう。
では、さっそく始めるとしよう。
『『
世界の声が問いかけてくる。進化するのか、否かを。
もちろん、答えは最初から決まっている。そうせざるを得なくなったから、ではあるものの、私はYESと念じた。
───そして、進化は開始され、私の意識は闇の中に消えていった。
▼▼▼▼
『確認しました。『
個体:
続けて、『
ユニークスキル『
続けて、『
ユニークスキル『
続けて、『
ユニークスキル『
以上で、進化を完了します』
オリジナルの種族『智天使(ケルビム)』登場。途中経過がないのはおかしいと思っていたので、作りました。