転生天使は視続ける   作:オルフェイス

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色々とオリジナルなのが出ます。ご注意ください。



覚醒。悪魔との戦闘と決着

闇に沈んでいた意識が、どんどん浮上してくる。

 

 

────どのくらいの間、眠っていたのだろうか。多分、1ヶ月位は『低位活動状態(スリープモード)』になっていたとは思うが……

 

 

……時間については考えるだけ無駄か。元々、そうなる覚悟で『自己進化(セルフ・エボリューション)』を行ったのだから。

 

 

それよりも、今は新しく進化した身体、そしてスキルについて調べたほうがいいだろう。

 

 

身体の方は……うん。最大量(マックスエネルギー)が大きく向上しただけで、見た目の方は特に変わっていない。

 

 

──いや、少しだけ変わっていた。私の背中にあった翼が、一対から二対に変化していた。

 

 

これは天使(エンジェル)から智天使(ケルビム)に進化したからなのだろうが……恐らく、今の私はギィと同等のエネルギー量になっているはずだ。

 

 

戦いながらもギィの能力、エネルギー量を調べていたから、あっているはずだが……もしも、スキルによって隠されていた場合、これはあてにならないだろう。

 

 

まぁ、そこは新しく進化した究極能力(アルティメットスキル)に期待しよう。

 

 

さて、私は進化したことによって手に入れた究極能力(アルティメットスキル)は、

 

 

崩壊之王(エア)

 

 

智謀之王(ロキ)

 

 

変異之王(フェニクス)

 

 

の三つ。それぞれの能力を調べると、まず『崩壊之王(エア)』は完全に戦闘特化だ。記憶の忘却や分解能力は残っているが、分解能力は『崩壊』に変化し、そして新しく『再構成』というものまで追加されていた。

 

 

『再構成』はその名の通り、崩壊させたものを直す能力……というだけではない。崩壊したものを、まったく新しいものに組み換えることが出来る能力だ。

 

 

例で言うのなら、柔らかいものを固いものに再構成する、という使い方が出来る。

 

 

他にも色々とパワーアップしているところもあるが……そこは省かせてもらう。

 

 

次に『智謀之王(ロキ)』についてだが、これは解析・妨害と言った知ることと、騙すことに特化した能力だ。なので、能力はパワーアップしているが、変わっているところは少ないので、説明できることがない。

 

 

最後に『変異之王(フェニクス)』は……これは『適応者(ナレルモノ)』の能力の強化版、と言ったところだ。変わったところと言えば、変化するスピードがとてつもなく上がったところだろう。

 

 

戦闘中でも問題なく変異し続けることが出来、エネルギーもさほど消費しない。むしろ『変異之王(フェニクス)』によるエネルギー変換吸収もあるため、増え続けるくらいだ。

 

 

まぁ、変異をし続けた場合、増加速度は普段の三割程度に落ちるのだが…そこで贅沢を言っても仕方ないだろう。

 

 

───これでスキルの確認も済んだ………のは良いのだが、

 

 

「……あ」

 

 

…そう、今更ながら思ったのだ。

ここに隠れて住めば良いのではないか、と。

 

 

「…盲点でした……なんで気付かなかったんでしょう」

 

 

別に、ギィと戦いたい訳ではない。むしろ、ギィをなんとかするために危険な進化に踏み込んだのだ。

 

 

バレるようならともかく、バレないであろう場所を見つけたのなら、別に進化する必要はなかった。

 

 

その点で言えば、海という場所は絶好の場所だ。悪魔、人間、魔物、魔人───その全てが、海に来ることは滅多にない。元々、海に住んでいた存在を除けば、誰にもバレる心配のない最高の場所だ。

 

 

……それを、なんで思い付かなかったのか…………

 

 

「……はぁ」

 

 

思わず嘆息をしてしまうくらいにはショックだった。

 

 

……いや、逆に考えよう。十年間に300回以上ギィと遭遇しているのだから、いずれは出会ってしまう可能性もあるのだから、強くなっておいても別に問題はない。

 

 

というか、進化途中に危険があるだけで、進化自体に損はないのだから、悔いることではないだろう。

 

 

「……そう考えれば、別に気にするようなことでもないですね」

 

 

ギィという問題がいる以上、いずれは強くならなくてはいけなかったのだから。

 

 

「では、ここを住みやすくしましょう」

 

 

うじうじ考えるのはやめて気分を一掃し、新しく私だけの住居及び新図書館を作ることにした。まぁ肝心の本がない状態なので、仮が付くのだが。

 

 

家は、外に出たら木材を集めて作るとして、とりあえずデコボコだった地面や壁を『崩壊之王(エア)』を使って整地して、キレイに平らにした。

 

 

……究極能力(アルティメットスキル)をこんなことに使っていいのか、とは思うが、自分のものなので、別に良いだろう。

 

 

ただ、深く掘りすぎたので整地は近くの場所だけにした。正直、私の元住居どころか、約百年前に悪魔に滅ぼされた国がすっぽり入るくらいまで広げて、深くしたのはやりすぎだった。

 

 

だが、そのお陰で本が沢山入りそうなので、まぁ良しとしよう。

 

 

次は図書館に必要な木材及び本だが……本は、荒らされてたりしなければ、旧図書館にあるとは思うが……木材は一気に取ったら問題が起こるかもしれない。

 

 

海に住むので、問題はないのかもしれないが……一応警戒して、一気に取らないようにしよう。

 

 

そう考え、魔法で塞いでおいた穴から地上に向かっていくのだった。

 

 

▼▼▼▼

 

 

……そして、後悔した。

 

 

「よぉ、久しぶりだな」

 

 

目の前には、紅い悪魔───ギィがいた。

 

 

…なぜ、私が出てきたタイミングで出会ってしまうのか……何らかの因果関係があるとか、そういうことを言われても納得できるくらいだ。

 

 

「ええ。久しぶり…というべきなんてしょうね」

 

 

「一年も会ってなかったら、そりゃ久しぶりになるだろうよ」

 

 

一年……なるほど、それだけの間、眠っていたのか……やはり、自己進化(セルフ・エボリューション)は出来る限り使わないほうがいいだろう。

 

 

それを再確認し、改めてギィを向かい見る。

 

 

目の前のギィは、外見的には一年前と変わったところはない。悪魔なのだから、それも当然だ。

 

 

───だが、その内側は大きく変化している。

 

 

前のギィならば、ある程度の上限は知れたし、今の私の敵ではないと断言……は出来ないまでも、苦戦するようなことはないだろうとは考えていた。

 

 

…だが、今のギィは違う。智謀之王(ロキ)を使用して調べてみても、底が、上限が見えない。それは、つまり───

 

 

「…なるほど?一年も会わなかった間に究極能力(アルティメットスキル)に目覚めましたか」

 

 

「はっ、やっぱりわかるか。そういうお前も、目覚めたみたいだな?」

 

 

「さぁ、それはどうでしょうね?」

 

 

「しらばっくれるか。まぁ、わざわざ手札を教えるわけねぇか」

 

 

───やはり、ギィも究極能力(アルティメットスキル)に目覚めていた。一年前までは目覚めていなかったから、あまり差はないだろう。最大、一年くらいだ。

 

 

その程度の差なら、十分に覆せるのだろう。普通なら。だが、ギィが相手なら、その油断は死を招くことになる。

 

 

 

だから、なのか。言葉が途切れた瞬間

 

 

 

───戦いは、唐突に始まった。

 

 

 

金属と金属がぶつかり合う音。それがした時には、私は槍を、ギィは剣を持って打ち合っていた。

 

 

私たちの戦闘とは、まず言葉から始まり、そして唐突にぶつかり合う。タイミングは自由だ。ギィが先手を取ることもあれば、私が取ることもあった。

 

 

その殆どが、私のパワー負けのせいで防戦になっていたので、まともに戦ったことは───打ち合ったことは、一度もなかった。

 

 

だが、今回は違う。

 

 

幾度も打ち合っているが、未だにパワー負けすることがない。ほぼ互角の戦いを行うことが出来ていた。

魔法も入ればどうなるのかは不明だが、予想では互角の戦いをすることが出来るだろう。

 

 

…しかし、今回は剣を使うとは。もし使わなければ、槍に纏わせた崩壊之王(エア)を使って分解していたのだが……しかも、剣は壊せず、そのままだ。神話級(ゴッズ)の武器なのだろう。

 

 

たまたまなのか、それともわかったからこそ使ったのか……

 

 

いや、これは必然か。ギィは私が究極能力(アルティメットスキル)を獲得していると確信しているようだし、能力を警戒したのだろう。

 

 

「はっ!なんだよ、前よりも力増してるじゃねぇか!進化でもしたか?」

 

 

「しましたよ。だからこそ、私はあなたと拮抗出来てるんじゃないですか」

 

 

「そうだろうなぁ!」

 

 

ギィはさらに攻撃する速度を上げていく。もちろん、私も比例して上げていき、ついには全力で打ち合っていた。

 

 

今のところ、魔法は使っていないが、代わりに究極能力(アルティメットスキル)同士の能力の戦いが始まっていた。

 

 

私が崩壊の槍をギィに向けて振れば、ギィも剣を使って防ぎ、そして崩壊の剣を私に振るう。

 

 

───そう、どうやらギィの能力は能力のコピーであるようだった。早めに気づけたからよかったが、これで能力をむやみに見せることは出来なくなった。

 

 

ここぞ、という時にしか使ってはいけない。能力を見せれば見せるほど、ギィは強くなっていくのだから。

 

 

───だが、強くなる、という点では私も同じだ。

 

 

私は、ギィの崩壊が乗った攻撃を浅く、わざと受け、即座に変異之王(フェニクス)による変異を開始させた。

 

 

「あ?」

 

 

ギィは訝しみ、動きを止めた。ギィにとって、これは避けられるか防がれる攻撃だとわかっていたからだろう。私も、避けようと、防ごうと思えばどうとでも出来るものだった。

 

 

私の崩壊能力は、掠り傷でも致命傷だ。小さな傷から崩壊は侵食し、相手を絶命させるものなのだから、当然だ。これを食らった私も、当然ただではすまない。

 

 

変異之王(フェニクス)がなければ、実際そうなっていただろう。

 

 

掠り傷から侵食していた崩壊は、変異之王(フェニクス)を全力で発動させた途端に崩壊速度がどんどん低下していき、最後には止まり、崩壊していた部分はすぐさま再生した。

 

 

「…それでは、ギィ。続きを始めましょうか」

 

 

「───く、はははは!おいおい、随分と荒っぽい治療じゃねぇか!おもしれぇ、いいぜ、ここからは本気で相手をしてやるよ!」

 

 

…何が面白いのか、ギィは笑いながら今まで抑えていたであろうエネルギーを放出した。本気で、というのは本当らしい……こちらとしては、良い迷惑でしかないのだが。

 

 

だが、そちらがその気なら、私も本気だ。ギィを倒すのなら、全力でいくしかないのだから。

 

 

私も負けじとエネルギーを放出し、ギィと対抗する。この感じだと、ギィと私のエネルギー総量はほぼ互角。今までは全力を出させることが出来なかったが、今はそれが出来る。

 

 

───あとは、私がどれだけ強くなったのかが問題だが……そこは、戦いながら知っていくしかないだろう。

私の得意分野である、奇策、智謀を使い、倒すのみだ。

 

 

そう考えながら、言葉を言い放った瞬間には、もう既に動き出していたギィと打ち合ったのだった。

 

 

 

▼▼▼▼

 

 

────戦闘は、三日も経ちながら、未だに続いていた。

 

 

魔法、スキル、武器を用いて、目の前の相手を殺そうと動いていた。

 

 

「これならどうだ!"崩壊焔撃(メルト・フレア)"!!」

 

 

「"反転吸収(リバーシブル・アブソープ)"」

 

 

ギィが放った崩壊の焔───抵抗(レジスト)出来ずに触れれば、一瞬で身体を壊し尽くす焔───は、私の吸収に抗えず、無害なものへと反転し、吸収された。

 

 

───戦闘は、膠着状態に陥っていた。

 

 

最初こそ様々な攻撃をして私を追い詰めに来たが、その全てを私は受け、一つ一つの攻撃に対する耐性を生み出し、吸収していった。

 

 

究極能力(アルティメットスキル)を使っての物理では私もダメージを受けるので、出来る限り受けないようにしている。が、先ほど使った"反転吸収(リバーシブル・アブソープ)"は常時使えるようなものではない。放出系なら無敵に近いが、欠点もある。

 

 

必ず、間を置かなくてはならないため、ギィはその隙をつくように魔法を使う。だが、そんなことは折り込み済みであるため、崩壊之王(エア)を使って崩壊させる。

 

 

ただ、同じ崩壊を使ってくるので、崩壊は相殺されても魔法が防げないことが何度かあった。

だが、その魔法も私の結界を越えることは出来ずに消滅した。私の崩壊によって威力が減少したからだろうか。

 

 

崩壊は、他の魔法と混ぜると効果が減少する。だが、威力は上がるので、単純な火力を求めるのなら、相性は抜群だ。

 

 

だが、私に対する攻撃は殆どが無効になっているが、私がギィに放つ攻撃も、効いてはいなかった。

 

 

だからこそ、膠着状態になってしまっているのだ。

 

 

だが────この戦闘の中で一番優位なのは、私だった。

 

 

どうやらギィは変異之王(フェニクス)をコピーできないみたいなので、攻撃すればするほど、ギィはエネルギーを減らしていくのに対して、私は防げば防ぐほどエネルギーが回復していく。間違いなく、この膠着状態で有利なのは私だった。

 

 

だが、ギィは未だに本気の攻撃を行ってはいない。それは私も同じだが、どうであれ警戒していたほうが良いのは確かだ。

 

 

未だにエネルギーは残っている。油断も慢心もできない。

 

 

「はははは!これも防ぐか!」

 

 

「……これでは、埒があきませんね」

 

 

ギィは一撃でこちらを滅ぼしかねない攻撃もしてくるが、殆どが"反転吸収(リバーシブル・アブソープ)"で対応できるものばかりだった。

 

 

だが、それでも厄介だ。"反転吸収(リバーシブル・アブソープ)"を使っていない時に使われれば、変異し続ける必要があり、その隙をつかれて倒されかねなかった。

 

 

私は、そんな綱渡りをそう何度もするつもりはない───だから、次で決める。

 

 

そう決めた時には、二対あった翼の内一対が黒く染まっていた。自らの持つ存在値(エネルギー)の半分を本来の聖のエネルギーではなく、魔のエネルギーに変換したのだ。

 

 

ギィは私の変化に気付き、そして笑みを浮かべた。

 

 

「は───いいぜ、望むところだ」

 

 

私が全力の一撃を繰り出そうとしていることに気づいたのだろう。ギィもまた、自らの持つ最強の攻撃を繰り出してくるつもりなのだろう。

 

 

ギィは、そういう悪魔なのだ。

 

 

「これで、終わりです────"滅ビノ槍(ロンギヌス)"」

 

 

"滅ビノ槍(ロンギヌス)"───つい先ほど思いついたものだ。というか、私の使うチカラは殆どが戦いの最中に思い付いたもので、智謀之王(ロキ)がなければ、とてもではないが使えなかったものばかりだ。

 

 

"滅ビノ槍(ロンギヌス)"とは、聖と魔を混ぜたものに崩壊之王(エア)を合わせて、槍の形状にまとめた混沌の攻撃だ。

 

 

混沌の攻撃、というだけあって全ての属性を含んでおりながらも、その属性は含まれていない、という意味不明な矛盾を孕んだ私の最強の一撃だ。

 

 

あらゆる防御を貫いて相手に滅びを与えられる攻撃でもあり、ギィでも食らえばまず滅びるだろう。

 

 

───ギィがそのまま食らえば、だが。

 

 

「"崩壊獄却砲(ペイル・アポカリプス)"!!」

 

 

ギィも同じく、今放てる中で最強の攻撃をしてきたのだろう。その威力は、"反転吸収(リバーシブル・アブソープ)"の吸収限界を越えて、私を滅ぼすだろう。

 

 

私の"滅ビノ槍(ロンギヌス)"とギィの"崩壊獄却砲(ペイル・アポカリプス)"───それらがぶつかり合い、そして────

 

 

「……ごふ」

 

 

───血だ。私の口から、血が溢れだした。流石に長時間、変異し続けるのは危険過ぎた。

 

 

お陰でエネルギーもすっからかんで、身体もボロボロだ。だが……それだけ無茶をしたお陰か───

 

 

「──あっははは!俺をここまで追い詰めるなんて、お前が二人目だぜ?」

 

 

───目の前のギィも、私と同じかそれ以上にボロボロで、傷だらけだった。今もなんともないように振る舞ってはいるが、間違いなくダメージ量ではギィの方が大きい。無理をしている、ということだろう。

 

 

……なにやら、ギィが不穏なことを言っているが…流石に無視した。

 

 

「…今回は引き分け、ということで良いですね?」

 

 

「あぁ。いいぜ、そういうことにしてやるよ」

 

 

…どうやら、ギィは負けず嫌いでもあるらしい。なにやら不貞腐れた顔をしていた。

 

 

ふと周りが気になり、見てみれば───更地だった。いや、何もなかったのだ。恐らく、戦いの衝撃や余波で吹き飛んでしまったのだろう。木々があったところも、湖があったところも、全て。

 

 

「…………はぁ」

 

 

今度から、ちゃんと周りを気にして戦おう───そう誓った。

 

 

「それでは、私はこれで」

 

 

そう言い残し、私は今度こそ目的の場所である旧図書館に向かうのだった。

 

 

……最後にギィが何が言っていた気がするが────気にしないことにした。

 

 

 

 

 




最後には引き分けという形でおさまった主人公VSギィの対決。

ギィはこんな感じだったと思うのですが…違和感あったらすみません。
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