後々、修正入るかもしれません。あと、色々と先駆け過ぎたかなぁ、と考えたり……
ルドラとギィ───彼らは戦いあってこそいたが、それは好敵手として。決して、仲が悪いというわけではなく、険悪になってもいなかった。
いや、むしろ親友のような────いや、親友であったのだ。ただ、進む道がまったく違った、というだけで。
ルドラは理想を語り、その理想のために世界を征服せんとし────
ギィは世界が、人間が増長しすぎないように魔王として───調停者として、人間を殺す。
進む道が違う以上、その二人がいずれ衝突するのは目に見えていた。
私は、それをわかっていながらも、その衝突をなんとかしようとはしなかった。いや、する必要性を感じなかった。
私は、ルドラとギィの戦いをよく見ていたが───それだけだ。当事者ではなく、傍観者として、ルドラとギィの関係を見てきた。
───だからこそ、ギィとルドラによる勝負の審判役を頼まれた時には、すぐに了承した。ギィからはそれは建前で、本音はどちらか一方に肩入れさせないようにするためだと言われているが、それでも構わない。
どちらかが負けるまで、私は視続ける───例えそれが、どのような結末になろうとも。
『確認しました。ユニークスキル『
……いや、まぁ深く考えなくても良いとは思うのだが……ある程度の覚悟は、しておいた方がいいと思うのだ。ギィが負ける可能性も、あるにはあるし。
新しいユニークスキルを獲得してしまったが、今は気にしない。
それよりも、もっと重要なことがあるからだ。
───ヴェルダナーヴァと、その妻であり、ルドラの妹であるルシアが死んだ。
二人の間で生まれた子供を、一人残して────
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ヴェルダナーヴァの子供───娘は、ミリム・ナーヴァと名付けられたらしい。
人と竜の血を引く、今のところはミリムしかいない
初めて生まれた、竜と人の混血───正直、どのように育つのか、興味はあった。
ただ、ヴェルダナーヴァとは一度しか会ったことはないし、ルシアとは何回か会ったことはあるものの、話す回数自体が少なかった。
そのため、ヴェルダナーヴァの子を、ルシアが身籠ったことを知ったのはルドラに教えてもらってからだった。
多分、生まれてから一番驚いたのはこの時だろう。それほど、驚愕したのだ。
ただ、驚きはしたが、それだけだった。確かに、ヴェルダナーヴァの娘であり、
だが、ヴェルダナーヴァと接点を持たない私が、ミリムに会うことはないだろうと、そう考えていたのだ。それに、今のミリムはまだ赤子。
少なくとも、ミリムが一人で生きていけるようになるまで、関わりを持つことはないだろう。
実際、ミリムがギィと同じ魔王と呼ばれるようになるまで、ミリムと接触することはなかった。
───まぁ、その魔王と呼ばれるようになる少し前に、接触……いや、戦う羽目になったのだが。
正直に言わせてもらうと、なぜ眠れる獅子───いや、竜を呼び起こそうとしてしまったのか────それは今でもわからない。
最初にミリムの暴走を見つけたのは私だが……状況が状況だったので、何が起こったのかわからなかったが───後に知ることになる。
ミリムの
それが、ミリムを激昂させ───そして、魔王に覚醒するきっかけとなったのだということを。
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それを見つけることが出来たのは偶然だった。
数十年前に獲得した
そう、監視していた………のだが……『眼』が監視していた国の一つに、なにやら変化が起こったのだ。
───いや、これは変化、とかそういう類いのものではなく、むしろ────
そう考えた次の瞬間には────その国は、跡形もなく消滅していた。
何を言っているのかわからないと思うが、私にもよくわかってないので少し整理させてほしい。
……いや、原因はわかっている。誰がやったのかも、わかっているのだ。
上空に佇む、小さな影。私の遠隔視を横に向ければ、それはすぐに視認できた。
────ミリム・ナーヴァ。
数十年の時が立ち、ミリムは健やかに育っていたのだろう。彼女を守る
だが、その身に秘める力は本物だ。なにせ、ヴェルダナーヴァの娘なのだ。竜種に匹敵するエネルギーを保有しているのだろう。
その膨大なエネルギーが振るわれれば、当然、何も残るはずがない。
その時は、なぜそのようなことになっているのか、状況が分からなかったが……とにかく、止めなくてはいけないことは理解できた。
すぐさま遠隔視を座標に転移を行使し、ミリムの近くに転移した。
───今だからこそ思うが、その行動は間違いだった。
「───っ!?」
転移し、私が現れた時にはミリムは自らの内に秘めていたエネルギーを放出し、周りを破壊し尽くそうとしていたからだ。
当然、ミリムの近くに転移した私は巻き込まれた訳だが……幸い、我を失っている状態で、しかも無差別に周りを壊しているおかげで、なんとか私の周りに張ってある結界が放出されたエネルギーを防いでいた。
まぁ、代わりに遠くに吹き飛ばされてしまったのだが。対策もせずに転移すれば、そうもなる。
だが……ある程度、今のミリムの状態は理解した。
今のミリムは我を失い、無差別に全てを破壊し尽くそうとしている。それも、ただエネルギーを放出するだけではなく、それに指向性を持たせて。
……正直、面倒なことこの上ない。あの国は、余計なことをしたものだ。
ああいう力技で相手を倒すタイプは、私は苦手だ。なにせ、耐性を創ったとしても、それを強引に突破してダメージを与えてくるのだ。
これがギィのように多彩な攻撃を行うタイプであったのなら、まだ楽だったのだが………私一人では、手に余る。
出来れば、ギィに来てほしい。ヴェルザードでも構わないが、規格外には規格外をぶつけるべきだ。
「まぁ、都合良くすぐに来るはずもないですよね」
戦闘はすぐに始まった。
ミリムの攻撃を避け、防ぎ、時に反撃して抑えにかかっているが……ミリムの攻撃が一撃一撃重すぎて、正直防ぐので精一杯だ。
殺す気でいってもいいのなら、こんなに苦戦はしないのだが、私はミリムを殺す気はない。
なので、どうにかして殺さずに倒す必要があるのだが……ミリムの放つエネルギーが多過ぎて、放出系の攻撃がまったく通じていない。
それに、明らかに防げない攻撃も混じっているため、とにかく反撃しづらい。
幸いだったのは、ミリムが延々とエネルギーを放出しているため、それに乗じて吸収&変異し続けることで、私のエネルギーが尽きることがなくなったことだろう。
だが、これを続けても、問題の解決にはならない。どうにかして、ミリムを倒すか、正気を取り戻させるしかない。
……そして、それを私一人でやるのは不可能。
なので────
「手伝ってください」
「それはいいが、お前でも、ミリムの相手は手に余るか?」
「余ります。こういうパワータイプは苦手なんですよ」
────ギィを呼ぶことにした。ミリムの異変を見つけた時から、予め、ギィに救援を頼んでいたのだ。
私が知るなかで、最も強い存在。私とギィの二人でかかれば、止めることは難しくはないだろう。
そんなことをミリムの攻撃を捌きつつ考えていた。守りに徹すれば、ミリムの相手をすること自体は難しくない。エネルギーは多いが、それだけなのだ。
パワータイプは苦手だが、我を失って攻撃しているだけなら、十分に戦える。ただ、無力化するのが困難なだけで。
「ところで、ギィ。ミリムの、あの異常な魔素の多さの原因は知っていますか?」
「…あれは…『魔素増殖炉』だな。ヴェルダナーヴァの能力を引き継いでやがるな」
「『魔素増殖炉』……なるほど、あれが……」
『魔素増殖炉』───それはヴェルダナーヴァが保有していた、魔素を燃料として新たに魔素を増殖させる能力。
簡単に言うのなら、一の魔素を百や千に増やす能力だ。ミリムの場合、恐らく魔素の他に怒りの感情を燃料にしているのだと思われる。
「…なにか、案はありませんか?」
「ないな」
即答だった。だが、当然だろう。今のミリムは破壊の化身と化している。止めるのは簡単なことではない。
…ここは、覚悟を決めるしかないだろう。
「……わかりました。なら、彼女が正気になるまで────」
こうなれば、手段を選んでいられない。多少、などと先程は言ったが、訂正しよう。
「───
「あ?っておい!?今までのイメージはどうした!?」
「そんなものは幻想です。忘れてください」
今まで遠慮していた分、今からは全力で叩きのめす。今ならギィがいなくても倒せる気がする。
「おいおい、こいつの方が暴走してんじゃねぇのか──!?」
ギィはそんなことを言っているが、そんなことはない。いたって私は正気だ。暴走などしていない。
───ただ、遠慮がなくなっただけである。
▼▼▼▼
───この後、無事にミリムの暴走は収まり、被害を抑えることにも成功したが、ミリムはトラウマを刻まれることになったのだが───
うーん、脳筋仕様。
アスティは、面倒過ぎる問題に直面すると、脳筋みたいに力技で解決しようとするのだ!(錯乱
…どうしてこうなった。低評価多くなりそうで怖い。