施しの英雄   作:◯のような赤子
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ようやく原作組を出せました(書き直した数?聞くな…(震)


ちょっち視点が多い+裏作りの為、話が全然進まず本当にスミマセン…(汗(だってこの京都編、『カルナさんサイド』『原作組サイド』『妖怪サイド』『アザゼル先生サイド』『英雄派サイド』『送り出した甥っ子を心配するサイド』と視点が多すぎんよォ!!)
一応次回もう一視点やった後、次々回でようやく話が進み出すと思います(知ってっか?この京都編、本来は5話くらいで終わる予定だったんだぜ?)
もう少々お付き合いください。

※アザゼル先生の『元堕天使総督』のとこを『堕天使総督』に変更しました。

※原作との矛盾が生じた為、内容を少々書き直しました。



英雄の来日―4

押忍!俺の名は兵藤一誠!上級悪魔、リアス=グレモリー様のもと、日夜モテモテハーレムを手に入れる為、最上級悪魔目指して修行中です!

 

 

「――じゃあ、野郎ども!行くわよ!」

 

「「「おぉー!!」」」

 

 

でも今は、俺が通う駒王学園2年生の一大イベント、修学旅行で京都に来ているんだ。

今日はもう二日目ではあるけど、どうやらオレの持つドラゴンの気というやつは、旅行だからと俺を放置してくれる気は無いらしい。

 

 

【――母上を返せ!!】

 

 

昨日、京都に入ったばかりの俺達にそう言い、襲撃してきた幼い妖狐の女の子。後からアザゼル先生に事情を説明しても、先生にも分からなかったようで、俺達がこうして今日、観光を楽しむ間、調べてみると言ってくれた。

その言葉に俺は、何だか悪いような気もしたけど…でも先生は俺達に『こういう時の為に、大人や責任者ってのはいんだよ』って…俺、すげぇグっと来ちゃったよ!

 

 

だからこうして先生達のお言葉に甘え、桐生や元浜、松田達と一緒に、観光へと繰り出した。昨日は一切見て回れなかったって言っていた匙達も、今日は先生達に任せるって言ってたし、各観光名所を見て回るんだろうな。

 

 

そこから俺達は、京都駅前のバス停から清水寺を目指し、二日目の修学旅行を始めることにした。

見知らぬ街の風景を目にしながら、周りの同じ学校の生徒が降りようとした際、ここが清水寺近くかを確認しバスを降りる。

 

そのまま周辺を軽く散策し、坂を上って清水寺を目指す。おぉっ、赴きのある日本家屋のお店が両脇に建ち並んである。

 

 

「ここ“三年坂”って言って、転ぶと三年以内に死ぬらしいわよ?」

 

 

パンフレットを見ながら桐生がそう言うと、マジで怖がったアーシアが俺の腕に抱き着いて来た!ま、まぁアーシアはドジっ子だから、本当に転ぶと危ないからな。この方が安全だとは確かに思う…ケド…。

 

 

(ふぉぉ!?あ、アーシアのおっぱいが俺の腕を優しく包んで…ッ!?てかアレ?もしかしてアーシア、おっぱいおっきくなってないか!?)

 

 

ごめんなさい!内心アーシアの心配よりも、お父さん成長したかもしれないアーシアのおっぱいが気になってしょうがありません!!っと、今度はゼノヴィアが空いている方の腕に抱き着いてきた!?どうしたんだと聞くと、表情は変わらなくても、若干震えながら――。

 

 

「…に、日本とは中々恐ろしい術式を、このような何の変哲もない街中に仕込むのだな」

 

 

信じてる!?ゼノヴィアさん、偶に壮大な勘違いなさるよね!?でも、そこが可愛い所だと思う。

 

 

こうして俺は、美少女二人のおっぱいを堪能しつつ、坂を上ることとなった。その間、松田と元浜の野郎二人からの恨めしい視線を感じたが…ふふふ、適度な嫉妬が心地良いぜ!――何て思っていると、もう少し行った先。他の生徒…というか、大勢の女生徒が坂の上でキャーキャー言いながら何かを指差していた。

何かと思い、俺達もそちらの方に急いで行ってみると…何だアレ!?

 

 

「何々?何でみんな騒いでるのって…ヤダ!何あのイケメン!?」

 

 

顔を真っ赤にしながら言う桐生の言う通り、坂の先にある団子屋。そこには男から見ても綺麗としか言いようのない外人さんのイケメンが、黙々と団子を口にし、その度に黄色い悲鳴がそこらかしこで上がるという、カオスな空間がそこに広がっていた。だが、俺達男三人組は、そちらではなく別…つまりその隣から、目を離せないっ!

 

 

「おいおい見ろよ松田!元浜!あの野郎ォ、滅茶苦茶綺麗な姉ちゃん隣に侍らせやがってぇ…ッ!!」

 

 

思わずギリギリと歯ぎしりが起こり、激しい嫉妬の嵐が俺の心に吹き荒ぶ!!

京都だから芸者か舞妓か…とにかくすっごいドエロイ…じゃなかった、どえらい別嬪さんが粛々とそのイケメンに、お茶のおかわりを淹れてたんだ!

 

 

「何、イッセー!それは本当か!?…っ着物美人…だと!?おい元浜!」

 

「分かっている!!…戦闘力89B(バスト)…だと!?しかも着物の帯に隠れて良く見えないが、キュっと引き締まったお腹回りは細くしなやかな(くび)れを生み出し、安産型のヒップには犯罪だと分かっていながらも、手を伸ばさずにはいられないッ!!」

 

 

俺を含め、3人がゴクリと唾を飲み込む音が互いに聴こえた。その間に、周りでさっきまで騒いでいた女生徒達が白い目でこちらを見ているような気がしたが、俺達はそれどころじゃなかった。

 

 

「はわわ、凄く白い人ですねぇ~」

 

 

ホント、アーシアの言う通りだと思った。

イケメンの方は人垣の間から見ても、隣のお姉さんに負けず劣らず真っ白な肌で、その髪の毛も、色が抜け落ちたように白い。男のくせに化粧しているのか、切れ長な目元には、朱色が施されていた。

それだけじゃない、袖を通しているスーツと、その肩に羽織るように掛けられた赤いコートは、一目で最高級だと分かる光沢を見せ、耳に付けた大きなピアスは、最近リアス部長の実家で見た財宝と、そう変わらない輝きを放っている。その辺もまた、女の子達がキャーキャー言う理由なのだろう。

 

でも、このままじゃ前が邪魔で、俺達や他の通行している人達が通れない。ゼノヴィアもどちらかと言うとイケメンよりも、早く清水寺に行きたいのか迷惑そうな顔をしているし…。

 

っと、そう思っていると、隣のお姉さんが男の人の耳もとに近づき、何か囁くような仕草を見せた。くそう、俺だってあんな綺麗なお姉さんに、耳もとで何か言ってほしい!こう、例えば「今夜どう?」みたいな…?くぅ~っ!堪んねぇなおい!!

 

 

「いいなぁ…」 「うん。私もあんなイケメンの顔、間近で見てみたいなぁ」

 

 

周りの女生徒達も、別の意味で羨ましいらしい。

 

 

「クソ!これだからイケメンは…ッ!!」 「滅びろ!この世から全てのイケメンなんか滅びろと、俺は神に祈るぞぉおお!!」

 

 

隣で松田と元浜が、必死になって神様に祈り、その姿を他の男子生徒達が応援するという、もはや変なカルト集団のようなものが一瞬で形成されてしまった!

 

すると流石にこれは周りに迷惑だと二人は立ち上がり、そのままどこかへ行こうとし始めた。うぉっ、結構あの人身長高いな。高身長、高収入な上に超絶イケメンだと!?誰だこんな勝ち組を作り出した奴は!?

 

 

「…――」

 

 

―?何だあの人、何でこっちの方をジっと見て来るんだ?

 

 

「ねぇ、兵藤。あの人こっち見てる気がするけど、知り合い?」

 

 

桐生からそう聞かれても、何も理由が思い浮かばない。それは他のグレモリー眷属も同じらしく、首を傾げていた。

 

 

「イッセー、もしかしたら彼は我々と同じように、裏側の存在かもしれない」

 

 

ゼノヴィアが隣でコッソリと、桐生や松田達には聴こえないように呟いてきて、確かにそうかもしれないと思った。何というか、普通の人間では出せないような…そんな雰囲気をどこか、纏っているような気もしてきたのだ。

 

同じことをどうやらイリナとアーシアも思ったようで、同時にイケメンの方をもう一度見るも、すでにそこには姿はなく。コートを翻しながら先程と同様に、着物のお姉さんを横に侍らせ、こちらには背中を向けていた。

 

一体何だったんだ?あの人。

 

 

「良し!これで清水寺に行けるぞ!さぁ行くぞ!早く行くぞ!!」

 

「まぁそうね。イケメンを見に来たわけじゃないし、ゼノっちの方も、もう待てないようだからアンタ達―、まだまだ先は長いんだから早く出発するわよー!」

 

 

おっと、確かに分からないことに囚われてちゃ、せっかくの修学旅行が楽しめなくなっちまう。こういうときは、ゼノヴィアの考え無しな所は尊敬できる。何よりアザゼル先生達も言ってくれたじゃないか。『俺達に任せろ』って。なら俺達グレモリー眷属は、たまには子供らしく、その言葉に甘えさせてもらおう!

 

 

「おーい!待ってくれ二人共―!」

 

 

でも、先生達今頃、何してんのかなぁ…――。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、詳しく聞かせてもらおうか?大天狗殿」

 

 

昨日イッセー達が襲われた事情を詳しく聞くために、俺と魔王にして外交を担当しているセラフォルーは“裏京都”に着いたとたん、通された部屋で待っていた大天狗を筆頭に、昨日イッセーを襲った中にいた狐数匹から話を聞きに来ていた。

 

 

「キサマァ!それが大天狗様に対する口の利き方か!このカラスめが!!」

 

 

すると先程の俺の話し方が気に食わなかったらしく、まだかなり若いと見える狐が一匹、俺に対し噛み付いてきた。が、正直これは、軽く狙っての事だ。

“どうすれば、相手がキレてこちらに有利な情報が聞き出しやすくなるか”――例えこちらに噛み付き、攻撃の一つでもしてくれば、その時点で政治的にこちらが上。更に言えば、今この瞬間を許せばこちらの懐の深さを相手に見せつけることができると、まぁ始まり方は俺としては理想だったワケだが…。

 

 

「そもそもだ!誰の許しを得てこの京都に足を踏みいr――ッッ!?」

 

 

閉めきった部屋の中を、暴風が吹き荒れその狐が血を撒き散らして庭へと放り出された。この俺ですら目で追うのがやっとの神通力…この場でそんな事をできるヤツなんざ、目の前の大天狗しかいねぇ。

 

 

()じゃ。そしてこの者達は、前もってしかと正規の方法で、京都に足を踏み入れておる。去れ。宇迦之御魂の眷属とは思えぬその無様、京都守護に身を費やす、他の仲間の名すら貶めるものと知れ」

 

 

そのまま誰が触れるでも無く障子が閉まり、残りの狐達が身を抱き寄せ、震えている。

 

 

「…ねぇねぇアザゼルちゃん。もしかしてこの天狗のお爺ちゃん、滅茶苦茶強い?」

 

「あぁ、強いなんてモンじゃねぇぞ?ぶっちゃけ“魔王(レベル)”だぜ、この爺さん」

 

 

俺達の話が聴こえたのか大天狗…つまり目の前に座る【鞍馬山僧正坊】は長く伸ばした顎鬚を撫で。

 

 

「京都の者が失礼を致した。じゃがこうして手打ちは儂がしたのでな。それでどうか、許してほしい」

 

(けっ、何が許してほしいだ。許さなきゃ、タダじゃ済まさねぇって目に書いてあんぜ?)

 

 

だが、俺はその言葉にただ頷くことしかできず。セラも俺の態度に何か、感じることがあったのか、軽い調子ではあるが、気にしないと明言してくれた。助かるぜ、なにせセラにはあぁ言ったが、相手は本来“神”(レベル)と称される実力の持ち主だ。それにここは京都。何かあれば、更にヤバイ【愛宕山太郎坊】まで出て来る可能性がある。

 

 

「おう、今の俺はガキ共の教師もしてるからな、アイツ等がいない場所でも大人の対応ってもんを見せなきゃな」

 

「ほぉ、人の世界で教鞭を振るっておるというその噂、本当じゃったか。ここは見ての通り田舎でのう。中々新しい情報が耳に入ってこんで困るわい」

 

 

互いに軽い笑い声を上げ、見た目的には穏やかな会談にも見えるだろうが…冗談じゃない。いつから天狗は狸になったってんだ!?

何が新しい情報が入って来ねぇだ、こうして他の部屋や屋敷の様子を見る間も無く、自分の所に通したのはどこのどいつだってんだ。ったく。

 

 

次第に和やかとは程遠い気配…即ち殺気のようなものが、部屋の中へと溢れ出すが、それを俺も大天狗も止めることなく、むしろ向こうに負けてなるものかと更に濃くしていく。折角こちらが多少とはいえ、有利な立場にいるのだ。この状況を崩させるワケにはゆかず、それは大天狗もまた同じだろう。

昨日イッセーから得た事前情報。俺の予想が正しければ、恐らく今、京都に八坂はいない(・・・・・・・・・)。いや、正確には表には(・・・)だ。

恐らく彼女は今、この京都と重なった、どこか別の次元にいるのだろう。そうじゃなきゃ、もっと地脈に乱れが見えてもいいはずだ。だから今日一日、目を凝らして歩き回ったが、特におかしな所は見られなかった。

何よりイッセー達に襲い掛かった狐の娘、まぁ話を聞いた限りでは八坂の娘だろうな。そいつが言ったとされる『母上を返せ』という言葉と、先程の辺りを伺わせないよう急いで連れてこられたこの部屋…間違いない。

 

 

八坂は誰かに連れ去られた(・・・・・・・・・・・・)――。

 

 

だから少しでも、弱気を見せればそこから喰らい潰されると向こうは思っているのだろう。そんなことは無いと、俺の推理をこの場で聞かせて、是非協力させてほしいと言い出せばいいのだろうが…それは即ち、こちらが下手に出て、今の関係性をひっくり返す事態にもなり得る…だから悪いな。

 

 

「こちとら、これでも男の子なんでね。一度張った以上、意地は通させてもらう」

 

「はて、お主は突如、何を言い出すかと思えば“意地”とな?結構、いくらでも付き合おうぞ」

 

 

軽い笑いは獰猛な嗤みへと姿を変え、歯を剥き出しに互いの闘争心を煽りながらも、決してボロは出さぬよう、会談は遊びの場へと変化を見せ始める…ちょっちヤベェな、このままじゃ行くとこまで行き(・・・・・・・・)そうだ。

 

だからこそ――。

 

 

「もう!二人共何やってるの!今は喧嘩の場じゃなくて、話し合いの時間だよ!」

 

 

この場にセラを(・・・・・・・)同席させた(・・・・・)。こういう時、常に自分のキャラというものを崩さず、適度なガス抜き(・・・・)をどんな時も振り撒いてくれる存在というのは、ある意味でこのような外交の場においては、トランプのジョーカー的な存在感を放つ。

その証拠に、先程まで狐達が心臓を止めそうになっていても収めなかった殺気を、大天狗は霧散させ、今度こそ、極々普通の苦笑いと共に禿げた頭を撫で上げ。

 

 

「いや、うむ…これはズルイ。ズルイとしか言いようがないではないか、アザゼル殿」

 

「大天狗殿、それは言いっこ無しだぜ?ほら、俺達は堕天使と悪魔だ」

 

 

おどけるように肩を竦めつつ、まだプンプンと頬を膨らませ、怒ってるポーズを取るこの魔王少女さまに、ナイスと親指を立ててやるが…まぁ、本人は何も分かってねぇだろうな。でもサンキューな、セラ。

 

 

「フハハハ!!確かに!これは一本取られたわい!そうじゃな、お主等は堕天使と悪魔。あの人間とは違い、化かし合いもまた本分とな」

 

 

…人間?一体何の事だと聞きたい所だが、向こうが折角懐を開き始めてくれたのだ。再び話を混ぜ返して、機会を失うわけにはいかないと、俺は心のメモに、後で聞けるようにと軽く留めて置くことにした。

 

では始めるかと、俺と大天狗が胡坐を掻き直そうとすると。

 

 

「はいはーい!じゃあもっとお互いの事を知れるように、魔法少女レヴィアたん☆一曲歌いまーす☆キャハ☆」

 

 

…前言撤回。コイツやっぱ、外交向いてねぇわ…。

 

 

「おぉ!それは楽しみじゃ!曾々々孫が最近、その“まほー僧女(そうじょ)”とやらにハマっておってな!是非詳しく知りたいと思っておったところじゃ!」

 

「もう!お爺ちゃん?“僧女”じゃなくて、“しょ☆う☆じょ☆”だょ☆」

 

「それは失敬した、魔王殿!最近耳が遠くてなぁ」

 

「フハハハハ!!」 「あはは!おもしろーい☆」

 

 

…もう、コイツが最強で良いんじゃなかろうかと、頭を抱えた俺は何も悪くねぇ!

 

 

その後は終始、話し合いは穏やかに進んだ。途中で俺が悟っていると見抜いたのか、八坂の秘密を大天狗が。そして何故イッセー達が襲撃を受けたのかを、狐達が教えてくれた。成程…確かに母親を探す子供なら、勘違いしてもしょうがねぇよな。

 

 

「と、言うワケじゃ。次期大将としての自覚と、責任を取らせる為、九重様をここに呼ぶでな。しばし待っておれ」

 

 

…んん?何かまた、ややこしい事になってねぇか――!?

 

 

 

 

 

 

「――世界は広いと、父と母より教わったが…存外狭いものだな」

 

 

先程の茶屋で出会った悪魔達を思い出し、誰となく呟くカルナ。

同じ時期に来ているとは帝釈天(インドラ)から聞いていたが…まさかあぁも簡単に、顔を会わせることとなるとは。

 

その呟きに、茶屋を出てから悪魔がついて来てないかを警戒していた弥々は軽く目線を向け、疑問を浮かべるような表情をする。

 

 

「それは、先程の悪魔達ですか?」

 

 

イッセー達が悪魔であると、まずまっ先に気づいたのは弥々だ。それと同時に舌打ちもしたくなった。『何故このタイミングなのか』と。

 

“裏京都”を出て、まず立ち寄った漬物屋の次は、様々な場所を観光してもらおうと案内し、あの時はちょうど、清水寺を見てもらう前の軽い休憩の際だった。

弥々としては、意外と食べ物に興味があるように見えたカルナに是非、美味しい団子でもと振舞っていた所だったのだが……団子を頬張るカルナを見て、歩いていた女学生の一人が呟いた。

 

 

『あ、さっきネットに上がってた、白粉星人だ』

 

 

そこからがさっきまでの状況だ。

辺りは黄色い声を上げる女学生の群れ。白粉星人って何だよ…と、面倒な事になったと悩む弥々を横目に、まるで気にしないようと言わんばかりに、黙々と団子を口に詰め込みまくるカルナ。

追い払うという選択肢もあった。だが人に手を出すことは、仮にも宇迦之御魂神様の眷属としてどうかと弥々を悩ませ…しかしその結果、悪魔と鉢会う事となった。

 

 

「急かすように、あの場からオレを離したように見えたが、悪魔とオレが顔を会わせることは、何か拙いのか?」

 

 

須弥山のトップ、帝釈天が聖書の陣営を良いように思っていないことは、この京都でも有名だ。

しかも今この京都には、その聖書の陣営の中でも、特に帝釈天を毛嫌いしている堕天使総督アザゼルが来ているというではないか。その為顔を会わせるのは、かなり拙かったと弥々がカルナにそう伝えると。

 

 

「ふむ、あの神々の王は、今も敵を作るのが上手いらしい」

 

 

最後の一串を口にしながら、まるで皮肉のような事を口走る。

 

こうして話していると、更にこの男の人物像が分からなくなると、弥々は思う。

 

武人としての礼儀を常に重んじり、牙を向けたこちら側を思いやる懐の深さを持っている。しかしその反面、まるで煽るような事を時折口にするのだ。(まぁ、すべては『カルナだから』の一言で済むのだが…それを彼の正体を知らぬこの弥々に、理解しろと言う方が無理な話だ)

 

 

「あまり休憩も出来ず、申し訳ありません使者殿。次はもう少し、人の少ない場所へ案内したいと思います」

 

「いや、充分に休憩できた。それに関しては、そちらに任せたいと思う」

 

 

どうやら先程の事を、本当に気にしていないようだと、弥々はほっと胸を撫で下ろす。

 

そのまま清水寺近く、“石堀小路”を連れ添うように歩いていると、カルナは軽く目を細め、まるで眩しい光景を見るかのような仕草を見せ。

 

 

「この国は本当に豊かだ。一度は見に行けと言った、あの男の言葉が今ようやく理解できた」

 

「―?使者殿、それはどういう」

 

「豊かさとは贅沢だ。そして贅沢とは、平和な世でしか成り立たない。先程店舗でいただいた、あの味には確かな工夫がされていた。美味しく食べてほしいという工夫が。良き統治を、この国の長達はされている。でなければこれ程の味が出る長い平和を維持するなど、不可能だろう」

 

 

これもそうだとカルナはすでに食べ終わった、団子の串を見つめる。

 

 

「使者殿、ですがそれは、手前が普段住まうであろう表の世では、当たり前の事では?戦乱の世は終わりを告げ、今や豊かさを競うようになったと聞いております」

 

「あぁ、オレも父と母からそう聞いている(・・・・・)。…置いてゆかれるのは、辛いと聞いてはいたが、まさか置いてゆかれ、これほど嬉しい(・・・)ことがあるなど、知りもしなかった」

 

 

もう何度目だろうか。カルナは一人、静かに呟く。『オレ達が駆けたあの時代は、間違いではなかった』と。

 

この未来を目指す為に、弓に矢を番え槍を振るい、戦士として戦場を掛けた。

 

例え、己の生が全て意味も無く、ただあの男(アルジュナ)を、物語の中で引き立てるだけの道化であったとしても…それがこの未来に繋がっていてくれていたなら、これほど嬉しいことはない。

 

 

弥々はその言葉に、どう返せばいいか…そもそもこの男は、まるで遥か過去の遺物(・・・・・)のように己を語るのだ。それに返す言葉など、たかだか400年程度しか生きていないこの妖狐に答える術など、ありようも無い。

 

だからこそ、気になる。

 

 

この男が何を感じ、どのような目線で世界を見ているのか。

先程の茶屋で弥々は見た。団子を握ったその手が、想像も出来ない程に肉刺(まめ)とタコだらけであったことを。それは現代では似合わぬ…まるで己に突きつけて来たあの槍を、振るうことしか知らぬと言わんばかりのものであった。

普通の女であれば、そのあまりの痛々しさに目を背けるような光景を、しかし弥々は目を離せずに、カルナから「どうした」と聞かれるまで見つめていた。

 

 

“その手に触れてみたい”――気づかぬ間に、再びカルナの手を見つめていた弥々は、そう思い。そっと、手を伸ばそうとするが……。

 

 

「…使者殿、次はどこへ向かわれたい?どこへなりとも、案内(あない)しますゆえ」

 

 

そのまま近づけた手を胸にあて、静かに微笑み問いかける。

数瞬…その僅かな間に、彼女が何を思い、その思いを自覚しないよう(・・・・・・・)蓋をしたのかは誰にも知れず、それはカルナもまた同じ。

 

 

「この京都では、野菜も有名だと聞く。是非、僅かばかりでも、その畑を見てみたいと思っていたところだ」

 

 

その言葉を聞き、本当に面白い御仁だと、弥々は口元に着物の袖を持って行きつつ了承し、再び連れ添うように、“石堀小路”を歩き出す。

 

 

少し伸ばせば重なる手。だがそれが重なることは、もう…――。

 

 




このカルナさんサイドと原作組との空気の違いよ…(汗

畑を見たカルナさん「…良い土だ」←土をにぎにぎしながら


もう一度だけ念の為に言っておきますが、弥々がヒロインになることだけは絶対にあり得ません。

次回はまた時間が飛んで“渡月橋”での英雄派(笑)とイッセー達との邂逅後となる予定です。
年内には、何とかこの京都編を終わらせたいところですね(さぁ、作者が再び何回書き直して読者が愉悦を感じるのか!?その回数を張った張った!)


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