花の魔術師がベル君に憑依しました。   作:天道詩音

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花の魔術師がベル君に憑依しました。その2

 

「ここがボク達の愛の巣さ!」

「ずいぶん風情のある教会のようだね……」

 ヘスティアに連れられて、ファミリアの拠点と思われる所にやってきたけど、今にも崩れ落ちそうなこの教会が拠点らしい。チェンジでいいかな?

 

「では私はこれで失礼するよ。またね」

「ちょっ! ちょっと待っておくれよベル君!」

 後ろを向いたところで『ふにゅん』と柔らかな感触が背中に押し付けられた。冗談だったのだけど、役得だね。見たときにも思ったけど、かなりの大きさだよこれは。

 

「もちろん冗談さ。ヘスティアが居るならこんな廃墟でも楽園だよ」

「冗談なんて酷いぞーベル君! これでも地下はちゃんとしてるんだぜ! 取りあえず暗くなってきたし入ろうか?」

 ヘスティアを弄るのも楽しそうだね。弄りがいがありそうでこれからが楽しみだよ。女の子と同じくらい弄るのも好きなんだ。ツインテールを楽しそうに揺らしながら前を歩いているヘスティアについて行く。

 教会の中に入り、階段を降りて扉の鍵を開けて貰い、中に入ると上とは違って人の住める空間があった。

 リビングとキッチン、それに扉が二つある。寝室とトイレかな?確かに地下はちゃんと暮らせそうだね。上の教会は屋根と壁に穴が空いていたからねぇ。

 

「どうだい、なかなかきれいだろ?」

「部屋はそんなに悪くないね。それで他の眷属はどこに居るのかい?」

「け、眷属は君が初めてさ! 光栄だろう……?」

「今日は楽しかったよ。いつか眷属が出来る日が来るさ。じゃあね」

 また背を向けると『たゆんっ』とたわわな感触が感じられた。癖になってしまいそうな幸福感を感じるね。このやり取りにはまってしまいそうだよ。

 

「ベル君行かないでえええ! 眷属なってくれるまで離さないからなー!」

「これも冗談さ! ヘスティアの眷属になるよ。こんな可愛い神様がいるんだ。眷属が私一人でも十分さ」

「あ、ありがとう! でもベル君? なんだか手慣れてないかい?」

「そんなことないさ。それより恩恵を授けて欲しいかな」

 村の女の子全員と遊んだくらいだよ?手慣れてはいないさ。この身体ではね。

 

「そうだね! それじゃあ早速、恩恵を刻むとしようか! ボクにもついに眷属ができるんだ!」

「おめでとう。私も君の初めてになれてうれしいよ」

「ボクもうれしいぜ! 取りあえず、上着を脱いでベッドにうつ伏せになってくれるかい?」

 ベッドに座って上着を脱ぐ。目を両手で塞いでいるけど、隙間から覗いているのが見えているよ。まあ気にしないで上半身裸になり、ベッドにうつ伏せになった。

 

「そ、それじゃあ恩恵を刻んでいくよ。ちょっと熱くなるかも知れないけど我慢してね」

 ヘスティアが私の尻に跨がり、ごそごそ動いている。何をしているのが分からないから少し不安だなぁ。

 神の血で神聖文字を刻むことで、恩恵は授かれるらしい。背中を指でなぞられる。ちょっとくすぐったいな。ヘスティアのお尻の柔らかな感触を楽しみながら待っているとしよう。

 それにしてもヘスティアってなんだかアンバランスな存在だよね。身長は低くて幼く見えるのに、見事に成長している母性の象徴。子供っぽい性格なのに、初めて会った時は女神らしい確かな母性も感じられた。ロリ巨乳な女神様。素晴らしいじゃないか!

 これからの生活は楽しみになってきたよ。それにしても長くないかい?背中をなぞっていた感触はとっくに無くなっているのにどうしたのだろうか?

 

「ヘスティアー? 終わったかい?」

「ベ、ベ、ベル君! なんだいこの魔力のステータスとアビリティーは!? しかも魔法まで使えるじゃないか!」

「取りあえず見せてくれるかい?」

「ほら! すごいじゃないか!」

 どんなステータスになっているか楽しみだねぇ。見てみようか。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

ベル・クラネル

 Lv.1

 力:I0

 耐久:I0

 器用:I0

 敏捷:I0

 魔力:S900

作成:C

耐異常:E

幻術耐性:A

《魔法》

【作成魔術】

・速攻魔法

・任意の魔術を行使

【夢幻】

・任意の対象に発動

・対象に幻術を掛ける

・対象を夢幻に誘う

【英雄作成】

・対象は他者一人のみ

・対象のレベルを限定的に2上昇

《スキル》

【妖精術式】アヴァロン・セレマ

・魔法に魔力を込める毎に魔法の強度が上昇

【花の魔術師】フロース・メイガス

・魔法効果増幅

・幻術効果上昇

・任意で花を咲かす

ーーーーーーーーーーーーーー

 

 魔力が高いのは、憑依したのが私の魂だからだろうか?夢魔と人間の混血児だった私の魂は半分が幻想種な訳で、魔術回路と関係無く、膨大な魔力が宿っていたから、それがこの肉体に流れ込んだのだと思う。

 作成魔術はおそらく、何かを作る魔術がより使えるようになったのかな?作成と限定されているのが残念だねぇ。

 夢幻は、夢魔の特性が一部現れたのかな?今までは簡単な魔術と幻術は使えていたけど、より高度な幻術が使えるなら便利だね。夢幻に誘うのは眠らせる魔法かな?耐魔力で弾かれるとしても、速攻で眠らせられる魔法は使い勝手がいいね。変な事には使わないよ?

 英雄作成。これは私のキングメーカーとしての偉業が形になったものかな?それとも、あの子が世界を救う手伝いをできたことが形になったのだとしたら、まだあの子との絆が繋がっているだと思えて嬉しいねぇ。

 

 後は、妖精術式は形成魔術と組み合わせたら便利そうかな。投影の強度を上げたり、魔術の威力上昇を簡単にできそうだ。花の魔術師は補助系みたいだね。また花を咲かせるのかい?花は好きだから、嬉しいけどね。

 

 

「ベル君は何者なんだい……? ただのヒューマンではあり得ないステータスだよ?」

「私は私だよ。ベル・クラネルとして生を受けて、生きてきた。ただのヒューマンさ!」

「嘘はないみたいだね……」

 神々には嘘を見抜く力があるらしいけど、私は今生の話をしている訳だから、嘘は付いていないからね。

 

「ただ、世界を救う手伝いはしたことはあるけどね!」

「なんで嘘じゃないのぉ!?」

 あははっ、本当に面白い子だね。弄りがいのある女の子なんて最高に大好物だよ!頭を抱えてどうしたんだい?

 

「女の子に嘘はつかないさ!」

「それは嘘って分かったぞ! えぇぇ……ま、まぁ本当だと思い込んでいれば嘘だとしても分からないし……でもステータスが高いのはなんでなんだよぅ……?」

「それについてはいずれ教えるよ。ファミリアとは家族みたいなものなんだろう?」

「そうだね! ボクとベル君は家族さ! ならいずれ教えてくれよ?」

「もちろんだとも!」

 家族と言う言葉で誤魔化せたみたいだね。隠すつもりは無いけれど、長い話になるからまた今度にするとしようか。

 

「なら夜御飯にしようぜ! ジャガ丸くんをたくさん貰ってきたから、ジャガ丸パーティーさ! 今夜は君を寝かさないぜ!」

「いいとも! 今夜と言わず何夜でもお供するさ。でもじゃが丸って言うのはジャガイモのことかい?」

「そうだけど苦手かい? 色々な味があって結構美味しいよ?」

「ちゃんと調理されてるなら好きかな。かつての友が作ったマッシュポテトはポテトを茹でて、握りつぶしただけなんだよね……それって料理だと思うかい?」

「そ、それはただの潰れたポテトなんじゃないかな……?」

「あっははは、そうだろう? それでも皆は不味いって文句を言いつつも食べてたけどね。皆、面白い子ばかりだったよ!」

 円卓の皆と共に食卓を囲んだ日々は楽しかったねぇ。ガウェインの作るマッシュポテトは不評過ぎてアルトリアとアグラヴェインの鉄面皮二人ですら機嫌が悪くなっていたのだから、ある意味すごいよね。

 

「ジャガ丸くんはボクがバイトで調理して、とっても美味しいから、たくさん食べてくれよ?」

「神でもバイトするのかい? ヘスティアは面白いねぇ」

「神様にもお金は必要なんだぜ? 貧乏だから働いているのさ……それよりほら、これがジャガ丸くんさ!」

 紙に包まれたジャガ丸くんを受け取って開けてみると、ジャガイモを衣にまぶして油で揚げた、コロッケみたいな料理が出てきた。掛かっているのはバターかな?

 

「それじゃあ、いただきます!」

「いただきます」

 ジャガ丸くんを食べてみると、作ってから時間は経っているはずなのに、衣がサクッとしていて、中のポテトはホクホクで、優しい甘みがバターの塩味と絶妙にマッチしていて美味しいじゃないか!ガウェイン分かるかい?これがポテト料理なのさ!

 

「美味しいかい? 揚げたてだともっと美味しいから、今度食べに来てくれよ?」

「美味しかったよ。バイトしている神が居るのを観に行くなんて楽しみだね!」

「そっちがメインなのかい!? まあ、バイトの衣装は可愛いからね。ぜひ来てくれよ?」

「もちろんさ!」

 ジャガ丸くんは全部食べ終わった。味が何種類もあったから飽きずに食べられたね。バイト姿のヘスティアもきっと可愛いのだろう。ぜひ観に行かないとね!

 

「もうお腹いっぱいだよー……ベル君は明日から冒険者なんだし、そろそろ寝るかい?」

「そうだね。寝るとしようか」

 ヘスティアは桶に水を入れて、タオルと寝間着を用意している。身体を拭くのかな。私が手伝ってあげようか!

 

「じゃあ、ボクは身体を拭いてくるけど、この部屋を覗いちゃダメだぜ?」

「覗かないさ。堂々と入ることにするよ」

「よけいダメだよ!? とにかく覗くのも入るのもダメだからね!」

「分かったよ。じゃあ私もこちらで身体を拭いておくさ」

 ヘスティアは扉を閉めて、身体を拭きにいった。覗くのも入るのもダメならそれ以外の選択肢で攻めればいい訳だよ!

 つまり、今こそ使えるようになった形成魔術を試す時だね。ヘスティアをこちらに転移させる魔法陣を作ればいいのさ!ヘスティアがこちらに来るのなら問題は無いだろう?では発動するとしようか?きっと素晴らしい肌色が目の前に現れるだろうね。いざ……!

 

 

 ……なんてね。これから時間はいくらでもあるのだから、今日は止めておくとしよう。普通に身体を拭いていく。シャワーがあればいいんだけど、流石にこの壊れかけの教会には無いよね。よし拭き終わった。

 

「ベル君入るよー! ベル君も拭き終わっているみたいだね。じゃあ寝ようか? ベル君はベッドとソファーのどっちで寝るかな? それとも一緒にベッドで寝ちゃうかい?」

 寝間着のヘスティアは髪を下ろしていて、大人びて見えた。普段は髪を結っている女の子が髪を下ろすと、どうして色っぽく見えるんだろうね。普段と違うそのギャップがいいんだろうね!

 

「じゃあヘスティア、一緒に寝るとしようか?」

「ほ、本当かい!? ごめんねベル君! 冗談だったのさ!」

 気にせず上着を脱いでいく。慌てて、手をあちゃこちゃ動かしているヘスティアが面白い。くくっ、君は弄られる天才なのかい?

 

「なななんでベル君上着脱いでいるの!?」

「寝る時は何も着ない派なのさ。さあヘスティア寝ようか?」

 ヘスティアの手を引いてベッドの傍にいく。何故か大人しくついてくるから簡単にたどり着いた。

 

「あわわわわ……だ、ダメだぞベル君! ボクは処女神なんだ! そう言うのはNGなの!」

「眠るだけなのにNGは無いだろう? ヘスティアは可愛いねぇ……さあおいで」

 ヘスティアをベッドに座らせた。横に座ってヘスティアを見ると、顔が爆発しそうなくらい真っ赤になっていて、目をぐるぐると回している。

 

「あばばばばば…………きゅぅ……」

「あははっ、気絶してしまったね。流石処女神! さて、私も眠るとしようか。それじゃあ、おやすみヘスティア」

 オラリオに着いて一日目なのに、こんなに楽しいとはね。明日が待ちきれないじゃないか。こんなに楽しませてくれたヘスティアとはこれからも仲良くやっていけそうだね。

 それじゃあ上着を着て、寝るとしよう。さっきのはからかうための冗談さ。気絶したヘスティアに布団を被せて、私もその横で眠るとしよう。ではおやすみなさい。

 

 

 

 んー朝かな。おはよう。ヘスティアはまだ寝てるねぇ。あははっ、変な寝顔じゃないか!

「んぐぐ……ダメだぞベル君ー……」

 どんな夢を見ているんだか。寝てても面白いなぁ。

 取りあえず、キッチンで料理を作ってあげようか?材料があればだけど。卵とパンがあったね、トーストに目玉焼きを載せようか。村人暮らしで料理が上達したからねぇ。一緒に暮らしていたおじいちゃんに毎日作っていたから、それなりの腕だとは思うよ。

 今思えばおじいちゃんって神だったんじゃないかな?微かに感じていた力の正体はヘスティアの神威と似ているからね。理由は分からないけど、モンスターに襲われて死んだって言うのは偽装だろう。またいつか会えるかも知れないのだから嬉しいねぇ。

 

 さてどちらも焼き上がったね。お皿に移してトーストの上に目玉焼きを載せて出来上がりさ!

「んん……美味しそうな匂い……?」

 ヘスティアも起きたみたいだね。寝ぼけているようだし、ちゃんと起こしてあげるとしようか。

 

「おはようヘスティア。よく眠れたかい?」

「んー……? あ、ベル君じゃないか! おはよう!」

「おはよう。トーストを焼いたから一緒に食べよう」

「いい匂いだと思ったらベル君が作ってくれたのかい? ありがとう! さっそく食べるよ!」

 

「いただきます! ベル君のトースト美味しいじゃないか!」

「いただきます。喜んでくれて嬉しいよ」

 二人でテーブルを囲んで、トーストを食べる。ついでに用意した牛乳も飲む。朝の朝食と言えばやはりトーストと牛乳だね。

 

「ベル君はこれからギルドに行くよね? ボクもついて行くから一緒に行こうぜ!」

「分かった。一緒に行くとしよう」

 ヘスティアが居てくれれば、ファミリアに入ったことを簡単に説明出来そうだね。冒険者になったら、ダンジョンに出会いを求めるのもいいかもね。隣で何故か屈伸しているヘスティアに改めてよろしくと言わせて貰おうかな。

 

「ヘスティア。これからも末永くよろしく頼むよ」

「もちろんさ。だからベル君もダンジョンで無理はしちゃダメだぞ! 絶対ここに帰って来てくれよ?」

「こんな可愛い子が待っていてくれるなら帰らないといけないね! じゃあ行くとしようか?」

「行こうぜベル君!」

 

私達の冒険はこれからさ!なんてね。




俺達の戦いはこれからだ!完!嘘ですすみません!
ストーリーは全然進みませんでしたね。
二話目でアイズとの邂逅まで書く予定だったのですが、一夜目が終わっていないのに五千字を超えてしまったので断念しました。

登場人物はヘスティア様とマーリンベル君だけでしたね。
円卓メンバーの友情出演はありましたけど!
ヘスティア様の可愛さと、マーリンのチャラさとクズさが表現できていたら嬉しいです。あと弄られるヘスティア様もありだと思いました!

ステータスについては悩みました。変なところがあれば直していくので、教えて貰えると助かります。
英雄作成はチートですね!英雄作成をアイズにして、偽エクスカリバーを形成魔術で投影、妖精術式で本物に近い領域まで強度を引き上げ、アイズに渡し、エクスカリバーして貰うところまでは妄想しました。担い手じゃない?幻術で誤認させましょう!無理ですかね?
スキルの読み方には触れないでくださいね!あと厨二力が足らず詠唱は断念しました。すみません!


次回更新は今のところ未定です。続いても、今回みたいな感じで、女の子をマーリンベル君が弄っていくお話が続いていくだけですよ!


読んでいただきありがとうございました!

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