オリジナルゾイドバトルストーリー 青い猟犬   作:ロイ(ゾイダー)

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次は後編です。
後編の内容の幾つか(ラスボスとか)は、小学館「小学三年生」1989年8月号掲載のバトルストーリーを参考にしております。


中編

 

 

 

3日後、アレックスの部隊は新たな任務に従事していた。

アレックスのハウンドソルジャーは、エントランス湾の友軍基地から離れた森林地帯にいた。

彼の乗機の周囲には、ゴジュラスの全高に匹敵する大木が無数に生い茂っていた。月明かりの下で金属を多量に含有するそれらの金属樹の連なりは、銀色の塔の如く煌めいていた。

 

 

「ニーナ、これから敵勢力圏に入る。」

 

アレックスは、後方の僚機に通信を送った。

 

 

「はい。隊長、バックアップは任せて下さい。」

 

 

今回の任務に参加するのは、隊長のアレックスと副官のニーナの操縦するハウンドソルジャーだけ。今回は、部下達のコマンドウルフは、参加しない。今回の任務は、数だけ多くても意味がない。

 

彼らに与えられた任務…………それは、偵察作戦である。

ZAC2050年代、敵陣地への情報収集は、飛行ゾイドによる航空偵察が主流であった。だが、同時に地上の小部隊による偵察も消え去ったわけではない。

 

飛行ゾイドによる上空からの航空偵察だけでは、得られる情報には限りがあるからである。また上空からの写真や画像による偵察は、容易に欺かれる危険性があった。例として第2次中央大陸戦争期にヘリック共和国軍が行った〝かまどとツバメ作戦〟がある。

 

この作戦は、ZAC2047年 7月28日にルイス大尉とマーチン少佐の2人が立案した作戦である。

 

 

 

この作戦は、対デスザウラー用ゾイド(後のマッドサンダー)の開発の妨害を防ぐ目的、そのゾイドの開発が完了するまでの間、設計主任である科学者 チェスター教授ら開発チームの身柄を守る目的で考えられた作戦である。

 

当時変人参謀として知られていた2人は、かまどとツバメ作戦の計画書を共和国軍の最高司令官でもあるヘリック大統領に提出した。大統領は、この作戦を承認し、その為に2人を将官に昇進させた。

 

 

将軍となったルイスとマーチンは、共和国軍の勢力圏にある孤島の1つに大規模な工兵部隊と共に上陸し、そこに新しい施設を次々と建設した。

 

その動きは迅速で、1週間で空軍のサラマンダー用の滑走路を建設し、2週間目には、地下に隠されたゾイド工場が完成した。しかし、これらの施設は、単なるダミーに過ぎなかったのである。

 

この基地の設営自体が帝国軍の注意を逸らす目的で行われた囮だった。彼らは、仮設トイレを多数設置し、ゴジュラス等の共和国軍のゾイドに見せかけたデコイを多数島の各地に配置し、あたかもこの孤島に1万人規模の大部隊が駐屯している様に見せかけた。

 

 

彼らの読み通り、飛来したゼネバス帝国軍の偵察機は、共和国領内に重要拠点を発見したと打電した。

 

 

帝国軍は、デスザウラーを含む4万の兵員で編成された大部隊で偽りの島に侵攻した。彼らを迎撃したのは、ルイス将軍とマーチン将軍に率いられた少数の囮部隊だけであった。

 

短時間の戦いの後、ゼネバス帝国の侵攻部隊は、孤島全域を完全制圧したが、得たものは何もなく、資源と兵員を消耗させただけだった。

 

 

彼らは、あたかも対デスザウラー用新型ゾイドが開発されている重要拠点に見せかける事に成功したのである。ここまで大規模なものではないにしろ、敵の航空偵察を騙す為の偽装工作や隠蔽は、前線部隊でも後方基地でも日常的に行われている。

 

航空偵察がその信頼性を低下させるにつれ、地上の偵察部隊による情報収集が重要視された。

 

 

そして、地上の偵察部隊は、航空偵察以上に敵部隊の激しい追撃に晒される。無事に味方のもとに収集した情報を持ち帰るには、重装甲よりも素早く走る脚が必要であった。

その為、今回のアレックス達の様に陸軍の偵察任務では、高速ゾイドが利用される事が多かった。

 

地球の歴史で、軍の斥候部隊が騎兵や軽車両を用いた様に機動性に優れた高速ゾイドが必要とされていたのである。

 

 

最高時速330kmを叩き出し、戦闘能力も優れたハウンドソルジャーは、この任務に最適だといえた。2機のハウンドソルジャーは、300キロ近い高速で金属樹木が林立する森を駆ける。

 

30分後には、彼らは偵察目標である暗黒軍の基地の目前に迫っていた。

彼らは、敵のパトロール隊に見つからない様に森に隠れて敵基地を観察した。

 

 

「空軍の奴らの情報よりも規模が大きいな。ダークホーンやアイアンコングまでいる。」

 

「デッドボーダーもいますね。奥には軍事工場まで……」

 

基地の奥に存在する軍事工場らしき施設を見て、ニーナは驚嘆を隠せない。

 

「あのサイズの格納庫なら、デスザウラーだって整備出来る……」

 

「デスザウラークラスの機体………上層部の探している最終兵器がここで開発されている可能性も高いな。」

 

「はい。何としても、友軍に情報を持ち帰らないと。」

 

この規模の基地なら、暗黒軍の〝最終兵器〟が開発されている基地の一つの可能性も低くは無かった。

 

 

「そろそろ撤退するぞ。ここは敵地だ。長居は無用だ。」

 

「了解です。隊長」

 

情報収集を終えた2機のハウンドソルジャーとそのパイロットは、撤収を開始した。

 

 

帰路は別のルートから離脱することになっていた。同じルートだと敵に見つかるリスクが増える。シールドライガーよりも小型とはいえ、中型ゾイドが動き回った跡は、見つかりやすい。

 

 

「………」

 

後は、友軍の勢力圏まで帰るだけだったが、アレックスも、ニーナも警戒を緩めていない。偵察任務では、帰路に攻撃され、未帰還になる事は珍しい事ではない。

かつてコマンドウルフ偵察隊のパイロットとして、偵察任務に従事していた2人は、それを十分に認識していた。

 

 

「後方より反応!敵基地の追撃部隊です!」

 

ハウンドソルジャーに搭載されたアクティブレーダーが後方より追い縋る敵機の反応を探知する。

 

 

「きやがったか………このスピードは……ライジャーか!」

 

アレックスは、敵機のスピードから、敵の機種を推測した。

厄介な敵と遭遇した。アレックスは、内心で苦虫を嚙み潰した。

ライジャーの最高時速は、320km。ハウンドソルジャーの最高速度と10kmしか違わない。

後方警戒モニターに後方の映像が表示される。

 

 

暗黒軍カラーに塗り替えられたライジャーは、闇の中では、はっきりとは見えない。

目にあたる頭部センサーは、暗闇で緑色に輝いていた。

 

 

「……幽霊かよ!」

 

 

後方から追撃してくる敵機の映像を見たアレックスは忌々しげに吐き捨てた。

 

後方警戒センサーからの映像には、夜の森を物凄い速さで追いかけてくる黒い影が表示されている。ライジャー隊は、2機のハウンドソルジャーを逃すまいと火器を発射し始める。

 

アレックスは、機体を横滑りさせ、攻撃を回避する。ハウンドソルジャーが横に飛ぶと同時にビームが先程まで機体いた空間を通り抜ける。

 

 

「ニーナ、後方にジャミングミストとフレアを散布しろ!」

 

「了解!」

 

2機のハウンドソルジャーは、尾部に装備した煙幕発生装置とマルチディスペンサーを作動させる。偵察任務の為に追加装備された使い捨ての装備である。

 

銀色の煙と赤い火球が、追撃するライジャー部隊と2機のハウンドソルジャーの間の空間を満たす。センサーを狂わされたライジャーは、追撃を断念した。

 

 

アレックスとニーナは、追手のライジャー部隊の追撃を逃れた。

 

コマンドウルフやシールドライガーなら、途中で捕捉されているか撃破されているに違いない。

ハウンドソルジャーの高性能がなければ、偵察作戦を成功させることはできなかっただろう。

部隊指揮官であるアレックスは、暗黒大陸派遣軍司令部にハウンドソルジャーの追加配備を要請した。アレックスは、2週間後には実機が到着し、早ければその1週間後には、ハウンドソルジャーだけで編成された部隊で実戦を迎えることが出来ると考えていた。

 

 

元々、コマンドウルフの後継機として開発が進められていたハウンドソルジャーは、操縦性も良好であると同時にコマンドウルフに操縦系統が近かった。

 

同じイヌ科型ゾイドなのだから当然のことであったが、これは、コマンドウルフの操縦経験のあるパイロットは短い訓練期間で操縦出来るようになるという利点にもなっていた。

 

 

この理由で、コマンドウルフのパイロットは、ハウンドソルジャーへの機種転換訓練の訓練期間を短縮できた。その為、ハウンドソルジャーの配備は、高速隊の内、コマンドウルフを装備していた部隊に優先配備されていた。

 

 

アレックスは、自分の部隊にハウンドソルジャーが追加配備される事を……彼の部下達もハウンドソルジャーが、自分達の乗機になる事を楽しみにしていた。

 

 

しかし、アレックスと部下達の要望が実現することは無かった。何故ならば、2週間後、新しいハウンドソルジャーが、部隊に配備されるよりも早く新たな作戦が発動したからである。

 

 

攻撃目標は、アレックスとニーナのハウンドソルジャーが強行偵察を行った森林地帯の奥の暗黒軍基地。

 

暗黒軍の遊撃部隊は、この基地から発進している事が偵察隊の報告で確認されていた。

 

この基地を破壊すれば、エントランス湾基地に対して行われてきた暗黒軍の海戦ゾイドと高速ゾイド部隊による補給作業に対する妨害攻撃も低調な物となるのは間違いなかった。

暗黒軍が中央大陸侵略のために準備しているとされている〝最終兵器〟の開発が行われている可能性はゼロでは無かった。

 

 

暗黒軍が開発しているという、〝最終兵器〟………その正体は、未だに不明だったが、デスザウラーやマッドサンダーの様な強力なゾイドではないかというのは、共和国軍最高司令官であるヘリック大統領から、一般兵に至るまでの共通見解だった。

 

このゾイド星(惑星Zi)の戦史において、最強兵器は、ゾイドであったからである。この法則は、地球人が来訪し、レーザー兵器や誘導兵器、パワーアシスト、電磁砲等の高度技術を伝えた後も変わっていない。

 

 

ヘリック共和国軍は、ウルトラザウルス<インヴィンシブル>を旗艦とする4個大隊を送り込み、この基地を制圧する腹積もりだった。

 

本来の作戦計画では、約1年前にゼネバス帝国との戦闘で5機のデスザウラーを撃破した歴戦のマッドサンダー<レディ・マーガレット>も投入される予定だったが、起動時にハイパーローリングチャージャーの出力低下というマシントラブルに見舞われた事で作戦への参加は中止となった。

 

 

 

 

「全部隊攻撃開始!」

 

 

移動司令部を兼ねるウルトラザウルス<インヴィンシブル>から攻略部隊の指揮官機に対して通信が送られた。攻略部隊が森林地帯へと突入していく。

作戦では、攻略部隊は、6つに分散し、森林地帯を突破してそれぞれ目標の基地を攻撃する事になっていた。

 

 

アレックス率いる第34遊撃小隊は、その6つの攻略部隊のどれにも参加していなかった。彼の部隊は、司令部が置かれているウルトラザウルス<インヴィンシブル>の護衛として後方に留め置かれていたのである。

 

「全く、俺達はどうして後ろで待機になっちまったんだろうなぁ‥‥‥退屈すぎて死にそうだ。」

 

アレックスは、前線に出られない事に不満を漏らす。作戦開始が分かった時点で別の不満を覚えていただけに彼の内心の不満は、倍加していた。

 

ニーナは、そんなアレックスを窘める。これは、よくある事だった。そんな副官について、素行不良の兄を注意する真面目な妹の様だ。と評する部下もいた。

 

「仕方ありませんよ。命令なんですから、隊長も軍人なんですから納得しないと。」

 

「分かってるよ。だが、あの一件の後じゃ、文句の1つくらいは上層部に言いたくなる。」

 

憮然としてアレックスはそう吐き捨てる。

 

「確かにハウンドソルジャーの追加配備が実現しなかったのは、納得できませんけど。」

 

ニーナも隊長の不満に共感できないわけでは無い。

彼の部隊には、未だにハウンドソルジャーは2機しか配備されていなかった。

 

 

ハウンドソルジャーは、コマンドウルフNEWやベアファイターNEW等とは速力が100km以上も違う。当然の事ながら、2機種と隊列を組むのは困難だ。

 

 

ハウンドソルジャーの側が速度を落とす必要がある。機動性が持ち味である高速機にとっては、それは性能を殺すに等しい。

 

ハウンドソルジャーの性能を十二分に引き出す為に単独運用される事が多くなっていた。アレックスも自機と副官機だけで先行して敵に打撃を与えてから部下のコマンドウルフNEWに攻撃させるという戦術を取らざるを得なかった。

 

 

その意味では、共和国軍高速部隊の数的主力であるコマンドウルフの後継機としてのハウンドソルジャーは失敗作だと言えた。

 

ハウンドソルジャーは、コマンドウルフの代替としては、あまりにも高性能すぎたのであった。

 

 

シールドライガーの後継機に当たるキングライガーの最高速度さえハウンドソルジャーにはわずかに劣っている。

 

 

「もう2週間あれば‥‥‥ハウンドソルジャーだけで部隊運用出来たかもしれないのに」

 

悔しさのにじむ声でアレックスは言った。

 

1週間も待てば、6機のハウンドソルジャーが本国から輸送されてくることになっていた。

 

もし後2週間あれば、8機のハウンドソルジャーで編成された部隊をアレックスは率いることになっていただろう。

だが、それよりも早く作戦は発動してしまった。

 

 

その為にアレックスの部隊には、指揮官機と副官機の2機しかハウンドソルジャーが配備されていないのである。

 

「まあ、今回は、俺達の出番はないでしょう。隊長」

 

「もうすぐ味方が暗黒軍の拠点に攻撃を仕掛ける筈です。」

 

アレックス達は、このまま自分達の出番もなく戦闘が終わると思っていた。

その予想は5分と立たず裏切られることとなる。

 

 

 

「第3強襲大隊が暗黒軍の奇襲攻撃を受けている模様。現在苦戦中。救援要請を求めています。」

 

司令部からの通信が指揮官であるアレックスの機体に入った。その内容は、友軍部隊の苦戦を知らせていた。

 

「第34遊撃小隊は、第3強襲大隊の救援に迎え。但し、機動力を優先してハウンドソルジャーのみで救援に迎え」

 

続いて、支援命令の通信が送られてくる。

味方部隊の1つが奇襲攻撃に苦戦しているのを見たインヴィンシブルの司令部は、第34遊撃小隊のハウンドソルジャー2機を救援に向かわせることにした。

ハウンドソルジャーの最高速度は、時速330km。現在のヘリック共和国陸軍が配備しているゾイドの中で最も早い。

 

 

 

「おい!聞いたな!ニーナ」

 

「はい。隊長殿!」

 

「俺とニーナは、第3強襲大隊の支援に向かう。お前達は、<インヴィンシブル>の護衛を継続しろ。」

 

2機のシェパード型高速ゾイドは、青い風となって金属樹木が林立する森へと走っていった。

 

 

同じ頃、6つに別れた、ヘリック共和国軍・基地攻略部隊の1つは、森林に潜む敵ゾイドに苦戦を強いられていた。

 

 

敵ゾイドは、凄まじいスピードで共和国ゾイドに襲い掛かった。

 

「どこだ!?敵はどこにいる……?うわあぁ」

 

1機のベアファイターNEWが爆発した。

 

「ライジャーだ!」

 

 

共和国兵の一人が敵機を見て叫んだ。共和国軍の前に立ち塞がった機体‥‥‥…その正体は、ライオン型高速ゾイド ライジャー。

 

中央大陸戦争末期にゼネバス帝国が、旧式化著しいヘルキャットの後継機として開発した機体である。

 

またこのゾイドは、ゼネバス帝国軍が開発した最後のゾイドでもあった。ゼネバス帝国軍に所属していた多くのゾイドと同様にこの機体も暗黒軍に接収されていた。

 

 

彼らの目の前に立ち塞がったライジャーは、暗黒軍仕様にボディを銀色から漆黒に再塗装されていた。木々の間から出現したライジャー部隊が、森林に侵攻してきた共和国軍部隊に襲い掛かる。

 

カノンフォートが背部の2門の大砲 重撃砲を乱射し、アロザウラーが両腕に内蔵した火炎放射器を発射する。

 

 

だが、どちらの攻撃も、ライジャーには命中しなかった。ライジャーの3連電粒子砲がアロザウラーの首筋を撃ち抜いた。

 

「当たれ!」

 

 

シールドライガーmkⅡのビームキャノンが火を噴く。ベアファイターNEWも電磁キャノンを発射する。だが、ライジャーの機動性の前では、それらの攻撃は見当違いの場所に着弾するばかりだった。

 

対照的にライジャーの攻撃は正確に敵機を捕え、共和国軍のゾイドをスクラップに変えていった。ディバイソンの17連突撃砲が火を噴いた。1機のライジャーが砲弾の嵐に捉えられる。ボディを穴だらけにされたライジャーが爆発する。

 

ライジャー部隊は、次々と接近戦を挑み、共和国軍ゾイドを次々と屠っていく。

 

「なんてスピードだ‥‥‥わあぁっ!」

 

 

「ガンブラスターだ!ハイパーローリングキャノンで連中をハチの巣にしてやるんだ!」

 

敵機のスピードに業を煮やした共和国軍士官の1人が叫んだ。。

 

 

ガンブラスターの背部の黄金砲―――――――――ハイパーローリングキャノンは、20門のそれぞれ威力も能力も違うビーム、レーザー、実弾砲を束ねた火器であり、1分間で3000発発射できた。

 

その破壊力もさることながら、連射性能も高く、弾幕を張ることでライジャーの様な高速ゾイドも撃破可能だった。

 

 

「させるか!」

 

 

ライジャー部隊は、ガンブラスターの黄金砲の脅威を十分認識していた。

ガンブラスターの金色に彩られた20門の砲口が、ライジャーが潜む森林に向けられると同時に森林から幾つもの機影が飛び出す。

 

直後、共和国軍部隊の只中で爆発が巻き起こる。森から飛び出したライジャー部隊は、共和国軍ゾイドに襲い掛かった。

ライジャーの牙を受けたベアファイターが崩れ落ちる。

 

 

ライジャー部隊は、森林から飛び出すと共和国軍部隊の懐に飛び込み、混戦状態を作り出したのである。

 

 

「自慢の黄金砲も、友軍がいる中では使えまい!」

 

ライジャーのパイロットは、右往左往するガンブラスターを横目に愛機を弾丸の様に敵部隊の懐に突っ込ませた。

これまで暗黒ゾイドの装甲を撃ち抜いてきたガンブラスターのハイパーローリングキャノンも混戦状態では、封じられたのと同じだった。

 

「ちぃ、友軍機が邪魔で撃てん!」

 

ガンブラスターのパイロットは、目の前の敵を撃てない事に舌打ちする。彼の眼の前では、ライジャーがアロザウラーを叩き伏せていた。だが、その後ろには、ベアファイターNEWがいる。

 

 

ライジャー部隊の指揮官は、混戦に持ち込むことでガンブラスターの火力と言う脅威を封殺したのである。

 

「共和国陸軍のゾイドで、このライジャーを捕捉できる機体等いるものかよ!」

 

 

ライジャー部隊を率いる旧ゼネバス系のパイロットは、混乱する共和国軍部隊の醜態を嘲笑いながら、引き金を引く。

 

 

 

今は亡い彼の祖国 ゼネバス帝国が開発した最後のゾイドであるライジャーの速度に付いていける共和国軍のゾイドは、この戦場にいないかの様である。

またアロザウラーが1機、頭部を撃ち抜かれて崩れ落ちた。ライジャー部隊だけの為にこの共和国軍部隊は、敵基地にたどり着く前に大損害を被ろうとしていた

 

 

「くっ、救援部隊は、まだ来ないのか……!」

 

 

次の瞬間、1機のライジャーが胴体を撃ち抜かれた。更にもう1機が、胴体に高速弾頭を数発撃ち込まれて爆散した。

 

「何が起こった?!」

 

「味方だ!」

 

「待たせたな!」

アレックスとニーナのハウンドソルジャーが救援に到着したのである。ニーナのハウンドソルジャーの背中の大型砲………ハイパービームガンの砲口からは砲煙が噴き出していた。

 

 

アレックスのハウンドソルジャーのクロスソーダーが、ライジャーの脇腹を貫く。内部機関を貫かれたライジャーが糸の切れた人形の様に崩れ落ちる。

 

 

「前は、偵察で戦えなかったが、今回は違うぜ!覚悟しな」

 

アレックスのハウンドソルジャーは、もう1機のライジャーに襲い掛かる。アレックスは、クロスソーダーで串刺しにするつもりだった。

 

そのライジャーは、回避を試みたが、完全には回避できなかった。

クロスソーダーがライジャーの右後ろ脚を抉った。

 

損傷して速力が低下したライジャーにコマンドウルフNEWとベアファイターNEWが襲い掛かった。至近距離から2連装ビーム砲と電磁キャノンの集中砲火を受けてライジャーは爆散する。

 

 

基地攻略部隊の陸戦ゾイドでライジャーを捕捉できる速度を有するのは、ハウンドソルジャーだけである。ニーナのハウンドソルジャーが背部の火器を発射し、ライジャーを2機纏めて撃墜する。

 

 

「凄い、これが新兵装の威力……」

 

 

ニーナのハウンドソルジャーは、アレックスの機体とは、背部の装備が違っていた。通常のハウンドソルジャーのハインドバスターの代わりにグレードアップユニットと呼ばれる強化パーツが装備されていた。

 

 

ハイパービームガンは、ハウンドソルジャー用に開発されたグレードアップパーツであり、長射程高出力ビーム砲とレーダーサーチャーを組み合わせた兵装である。

 

 

ハイパービームガンを装備したハウンドソルジャーは、火力と索敵能力が通常型の2倍以上にまで向上していた。ハウンドソルジャーを2機装備するアレックスの部隊にも、3日前に1基送られていた。

 

 

「よくやったニーナ!お前にハイパービームガンを譲って良かった。」

 

ハイパービームガンを装備したニーナのハウンドソルジャーの動きを見ながら、アレックスは感慨深そうに言った。

 

 

「隊長がこの装備を使ってた方が……」

 

「俺は、機動性が下がるのは、嫌いなんだよ。それに射撃の腕は、お前の方が上だ。お前が使用する方が合理的だ。」

 

 

ハイパービームガンは、元々は指揮官であるアレックスの機体に装備される予定だった。

だが、アレックスは、機動性、運動性が低下する事を嫌って副官のニーナの機体に譲ったのである。

 

またアレックスは、格闘戦を好むパイロットだいう事情もある。彼と対照的にアレックスの副官である彼女は、元々、部隊の中でも射撃の技量が高かった。

 

「敵が引いていくぞ!」

 

 

残り数機まで撃ち減らされたライジャー部隊の生き残りは、撤退していった。

 

 

 

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