「バンドリの世界に転生したって?」は
未完とさせていただきます。
タイトルを変え
「戸山家長男に転生したって?」にてリメイクします。
https://syosetu.org/novel/190137/
よろしくお願いしますm(_ _)m
2年後
明日香が幼稚園に入園して、1ヶ月経った。俺は現在小学3年生だ。
月は春の麗らかなる4月から初夏を感じさせる5月へ。
毎週、日曜日になると母さんは香澄を連れて出かける。1年前に香澄が幼稚園に入園してから、家族全員で出掛ける時を除くと毎週である。香澄が毎週出掛ける理由は、容易に想像できよう。
それは香澄がはっちゃけるのだ。
俺の頭に引っついたり、足に引っついたり、抱っこしてもらおうと突進してきたり……っておい!俺ばっかじゃねぇか!?
「おにいちゃん!おにいちゃん!」と何回も呼んでくる可愛い妹を拒めるか?俺は拒めないね。
でもさ、腑に落ちないことが1つあるんだ。
何回か近くの公園や少し離れた公園に一緒に行ったんだが、香澄が毎回木登りしているんだぜ?
最初、木に登ってるのを見て驚いたわ。流石に俺でも登らない。
母さんに止めなくていいのか?と聞いた時は
「なんで止める必要があるの?大丈夫よ」
と、まるで俺がおかしな質問をしたかのような顔をされた。
え?俺がおかしいの?
そう思わずにはいられなかった。
転生前である前世の現代2010年代後半においては木登りなど言語道断!学校だったら怒られる又は注意されるのが一般的、木には登るものでないという事が現代社会で常識となった。
昭和の時代なら登っても怒られないし男なら登るもんだと前世の父親から聞いた。
こうやって時代は変わって行くんですね、分かります。
最初こそ驚いたが、次からは当たり前の光景になっていた。慣れって怖いね。最近になって思うんだ。香澄が木登りしてるのは俺に引っ付くためなんじゃないのかって。うん、嘘と思いたいよ。
だけどさ、帰って風呂と夜ご飯を済ますと突っ込んでくるんだ。俺の足からよじ登って、「おにいちゃん!」と言いながらね。あ、もちろん、最後は頭だよ?当たり前だよなぁ。昔より頻度は減ったけど嬉しいような悲しいような・・・。
香澄も7月で5歳になるし、女の子とはいえ体重が増える。このまま頭に引っ付かれたら俺の首が死ぬ。
だから、誘導して肩車してる。幸い、肩車が気に入ったのか肩車をせがまれることが多い。頭の引っ付きとグッバイする日もそう遠くないだろう。
ここ数週間の日曜日は、家で明日香の面倒を見ている。香澄とは違い、大人しい。賢妹のオーラを感じるぜ。
明日香はたまに頭に引っ付くけど、1カ月に何回かあるぐらいだ。頭に引っ付くより、明日香は抱っこと頭を撫でられる方が好きらしい。
俺たちの見守り役である父さんは、いつも書類とにらめっこしてた。
ファイト!
今週は俺も付いて来いとのことだ。おねむな明日香は父さんに任せて、付いて行くことにした。
昼下がりには家より少し離れた公園に着いた。公園に入ると、だいだい色の髪をした活発そうな子がこちらに駆け寄って来た。
「あっ!かすみちゃん」
「はーちゃん!」
え?はぐみ?
今現在、目の前にいる幼いはぐみに驚きを隠せないでいた。確かに原作というかアプリのストーリーで会うのは知ってたけど今かよ!?
「あれ?かすみちゃん、そっちのにいちゃんだれ?」
「うん、わたしのおにいちゃん!」
「へぇ、はぐみもね、にいちゃんがいるよ」
北沢はぐみ。
ハロハピのベース担当だ。
実家は精肉屋を営んでおり、自分の店のコロッケが大好物ないつも明るい子だと記憶している。
「ねぇ、かすみちゃんのにいちゃんもあそんでくれる?」
そんな潤んだ目で見つめないで!
「うん、いいよ」
即答した。
だって、断れないだろ?断ってはぐみを泣かせてみろ、後ろにいるはぐみママに睨まれること間違いなしだ。そもそも断る理由ないよね?呼び方ははぐみちゃんで大丈夫かな。
「やったぁ、ありがとうかすみちゃんのにいちゃん!」
と抱きついてくるはぐみちゃん。
「わたしもだきつくぅ」
と香澄。お前は毎日やってるでしょ。まあ、可愛いから許す。
その後、日が暮れるまで一緒に遊ぶのだった。
本音を言えば、おままごとはマジできつかった。
夫役は俺なんだが、お嫁さん役はわたしがやると香澄、はぐみがやるんだとはぐみちゃん。二人が俺を取り合ってると、はぐみちゃんが「なんか、これテレビでみたことある!」と言いだした。
俺が「テレビで?」と聞くと「うん、ひるドラ!」と得意げに言うはぐみちゃん。
はぐみちゃんの母の方を向くと、その会話を聞いてたらしいはぐみちゃんの母は目を逸らした。
おい、目を逸らすな!こっち見ろや。
子どもになんちゅうもんを見せてんだよ。それよりはぐみちゃん、意味わかってるんだろうか?そんな中、我が妹である香澄が「ひるどら?」とキョトンとしていた。
カワユス
香澄はそのままでいてくれ、お兄ちゃんからのお願いだ。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
6月が過ぎて7月に入った。
毎週ではないが2週間に1回は母さんと香澄について行く。そして今、毎週ついて行かなかったことを激しく後悔した。
香澄が自転車に乗れるようになっていた。
補助輪なしで。
嘘でしょ!?
俺とあんなに練習しても乗れなかったのに・・・。
はぐみちゃんと一緒だと乗れたのか!?許すまじ!だって、香澄が自転車に乗れる歴史的瞬間だぞ?
可愛い可愛い妹が自転車に乗って、「ばびゅーん」する瞬間に立ち会えなかったなんて……。
香澄の兄失格だ。
え?それは親の役目だって?知らんがなそんなこと。明日香の時は絶対に立ち会うんだ。フラグではないと思いたい。
※もちろん、立ち会えませんでした。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
6月の第4週の日曜日に、はぐみちゃんと香澄はベンチで七夕の短冊に願い事を書いていた。
短冊を持っていたはぐみちゃんが
「たなばたのねがいごとをかくかみなんだー!ここにねがいごとをかくと、かなっちゃうんだって!」
と言ったからだ。それを聞いて香澄は俺に
「ほんとにかなうの?」
と不安げな顔で聞いてきたから、俺が今できるとびっきりの笑顔で
「そうだね、香澄が願えばね」
と答えておいた。
子どもの夢を壊してはならん。それが大人ってもんだろ?
あ、自分も子どもやったわ笑
残酷なことを言ってしまえば
『願えば叶う、祈れば通じる』
そんな夢物語など、どこにもありはしない。
どこぞの桜の木だよって話だ。それが許されるのは物語だけだ。
しかし、ここは現実。
転生前となんら変わりのない世界だ。
いつかきっと事実を知る日が来るのだ。そう遠くない未来に。世界はそんな綺麗事だけでは済まされないということを。
それでもさ、夢が叶わなくても夢を見続けることは素敵だと思わんかね?そんでもって、夢があるやつは強い。
タイトルがDream!ってあるからね
ま、現実を知るまでは、そっと見守って行こう。そっとね。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
ついに来てしまった。
はぐみちゃんと香澄が一緒に遊べる時間に終わりを告げる時が。端的に言うと公園が工事の為、閉鎖したのだ。
俺は数週間前から公園の入り口付近に、看板が立っているのを知っていたから驚きはしない。それはこの公園をなくして、新しく建物を建てるという旨の看板だった。
母さんとはぐみの母もこの事を知ってはいたのだが、はぐみちゃんと香澄が仲良く遊んでいるのを見て、言うにも言えなかったのだろう。
母親たちがどうにかしようとあたふたしていると、とうとうはぐみちゃんと香澄が泣き出した。ヤダヤダと駄々をこね、泣き止まない。
どうにかしなくていいのか?と意を込めて母親たちを見る。
え、何その目?俺にどうにかしろと?ハイハイ、お兄ちゃんがどうにかしますよ。
「なぁ、はぐみちゃん、香澄。」
彼女たちの目線に合わせるようにしゃがみ込む。
「う''う''、グズン、おにいちゃん」
「ゔ''ん''、かすみちゃんのにいぢゃん」
二人からダラダラと垂れ流している鼻水をかませ、ゆっくりと語りかける。ポケットティッシュとハンカチは常に持ち歩くもの。常識だよ?
「二人は、お別れだから泣いてるの?」
「「うん」」
なるほど、じゃあ……
「もう一生、もうこれから会えないってわけじゃないんだよ?」
「え?そうなの?」
「ふぇえ?」
これで納得してもらうしかないよなぁ。てか、ふぇぇって既視感を覚えるぞ。
「ああ、しばらく会えないし、遊べない。でもね、はぐみちゃんと香澄が大きくなったらまた遊べるんだよ?」
会える保証なんてどこにもないのに、口から出まかせを言う。
まあ、高校で再会するはずだ。香澄が違う高校行ったら詰みだけどな。
「だから、泣くことはないんだよ。また、会えるんだから」
「うん、わかった!おにいちゃんがそういうんだもん!」
「はぐみもわかったよ!」
ウッ、ま、眩しすぎる。
ごめんよ、香澄。こんなお兄ちゃんで。ごめんよ、はぐみちゃん。こんなのが香澄の兄ちゃんで。
俺は 改めて、子どもの純粋さを思い知るのであった。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
余談だがその後、はぐみちゃんと香澄はゆびきりげんまんをした。
なぜか、俺もゆびきりげんまんをさせられた。強制である。
ゆびきりした後、はぐみちゃんが
「やくそくやぶったら、はりせんぼんね」
と言ってきたときは何故か背筋が寒くなったね。
はぐみちゃんの言う約束とは香澄とだけ再会するのではなく、俺とも再会するという事だ。
最後、「またね」と言い合ってバイバイした。
香澄とはぐみちゃんは原作でどんな感じで再会したんだろうな?少し気になる。
☆ ★ ☆ ★ ☆ ★ ☆
香織、香澄、光夜がいないとある日曜日。戸山家には父、悠夜と明日香がいた。
朝食を食べてから再び眠ってしまった明日香は、光夜たちと共に公園に出掛けずに今週は父とお留守番というわけだ。
お昼頃、明日香はお腹が空いたのかパチリと目を開けて起き上がる。キョロキョロと辺りを見回して確認した。
近くに悠夜がいるのを確認すると
「パパ、おなかすいた」
とお腹を触って言う。
「おお、明日香。おそよう?もう眠くないのか?」
「うん、おなかすいた」
「そうか、もう12時過ぎだからお昼にしようか」
香織が作り置きしてくれた明日香と悠夜の昼食をレンジで温めて、食べる。
昼食後、お腹が膨れて満足した明日香は母、兄、姉がいないことに気づく。
「パパ、おにいちゃんとおねぇちゃんは?」
「ママたちはお出掛けしたぞ?もうすぐ帰ってくるよ」
「うん、あすか。まってる!」
「よしよし、偉いぞ」
明日香の頭をわしゃわしゃと撫でる。悠夜は安心した。明日香はいつも光夜たちがいないと分かると大泣きする。
しかし、最近はいないと分かっても泣くことはなくなった。4歳となり、成長している証であろう。3歳頃はこれが酷く、泣いている明日香を宥めるのに手を焼いた悠夜。だから、安心しているのだ。
ガチャッ
「お、帰ってきたみたいだぞ」
「おにいちゃん!?」
悠夜を置き去りにして、玄関に向かって行く明日香。
「……なんでや」
悠夜はボソッと呟いた。父親なのに香澄と明日香はあまり甘えてくれない。甘えてくれないよりかはいいのだが、父親としてはもっと甘えて欲しいと思う。娘たち(光夜含む)より妻である香織の方が甘えてくるのはなぜ?
これ如何に?
「はぁ。ま、いっか」
悠夜も玄関に迎えに行くのであった。