オルガ細胞   作:T oga

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※本小説はニコニコ動画のMADのノベライズ化です。
動画を見ていること前提で話が進むので、先に動画を見ることをオススメします。

http://sp.nicovideo.jp/watch/sm33817075





第8話 思い出

ここは、鉄華団団長、オルガ・イツカの体の中。

 

人間の体の中には、約37兆2千億個もの細胞たちが毎日毎日、24時間365日元気に働いている。

 

 

タカキ・ウノに負けないくらい休まず働いている細胞たちの中で、もっとも数が多いのは赤い帽子を被り、赤いジャケットを着て、荷物の箱を運んでいる『赤血球』だ。

 

 

今回のオルガ細胞では、その赤血球の役割について、AE3803番の回想(思い出)とともに学んでいこうと思う。

 

 

 


 

 

 

 

仕事が一段落した赤血球AE3803番は、身体の中をパトロールしていた白血球U1146番と鉄血球T0319番に出会った。

 

ベンチに座って休憩し(何故かベンチに置いてあったバエルのプラモデルの箱を持って)談話している途中、鉄血球T0319番がふと、こんな事を聞いた。

 

「そういや、俺は赤血球がどんな仕事をしてんのか、はっきり分かってねぇんだよなぁ……。酸素や栄養分を運んでるっつーのは知ってるんだが……」

 

すると赤血球AE3803番はパァァァっと笑顔を輝かせて話し始めた。

 

「あのですね、赤血球がまず最初に行くのは大静脈なんです!全部の静脈が行き着く道だからすごーく広くて!」

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

下大静脈。ヒトの体の中で一番大きな静脈。下半身などから血液を集め、心臓の右心房に送っている。

 

 

その下大静脈は広い道ではあるが、赤血球も多く集まるため、道が混雑している。

 

人混みを嫌った鉄血球は下大静脈の上にあるパイプを歩いていくが、遊走性のある白血球や鉄血球がそう思考するのは当然。

 

血小板はそのパイプの上に『止まるんじゃねぇぞ……』と書かれた看板を設置していた。

 

 

その看板を見た鉄血球は……

 

「あぁ、分かってる」

 

そう言って、パイプから落下し、溶血した(希望の花を咲かせた)

 

「……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

 

そんな鉄血球の様子など露知らず、赤血球AE3803番は仕事に燃えていた。

 

(いつも道がややこしくなってくると、時間が掛かっちゃうから、こういうところで頑張らないと!)

 

 

その赤血球AE3803番を見守る(ストーキングする)二人の細胞がいた。

 

白血球U1146番と鉄血球T0319番である。

 

彼らはいつも道に迷う赤血球AE3803番を心配して後をつけているのだ。

 

(頑張れよ……)

(頑張りな……)

 

 

そして、心臓の入り口までやってきたAE3803番は、心臓前に設置してある巨大モニターを確認する。

 

そのモニターではマスコットキャラクター『循環くん』が血球の案内をしていた。

 

《ここから先は心臓になります。案内に従って、速やかな循環をお願いします。血球の皆様、カートは所定の位置に置いてからお進み下さい》

 

その説明通りにカートを置いた赤血球AE3803番はメモを片手に、再び巨大モニターを見る。

 

《血球のみなさーん、こんにちは!ようこそ心臓へ!これから肺循環と体循環について説明するから、ちゃーんと聞いてね》

 

すると、循環くんと鉄血球が『肺循環と体循環』についての説明を始めた。

 

《これから皆さんにはスピード感溢れるスリリングな心臓循環へと出発して頂きます。まずは肺循環!》

《行くぞ、お前ら!》

《右心房から右心室を通り》

《足を止めるなぁ!》

《肺動脈を経て肺へ辿り着いたら》

《邪魔するぜぇ!》

《二酸化炭素を捨て、酸素を受け取ります。これが皆さんの第一のお仕事です》

《俺は落とし前をつけにきた。金はまとまりそうなのか?》

《そこから肺静脈を通って左心房へ》

《ここで足を止める訳にはいかねぇ》

《次は体循環です》

《俺たちの仕事はまだ終わってねぇからな》

《左心室から大動脈を通り》

《ここまでは順調ってことだ。このまま一気に行くぞぉ!》

《動脈から毛細血管へ》

《邪魔するぜぇ!》

《そこで酸素と養分を渡し、二酸化炭素などの不要物を受け取ったら第二のお仕事クリア!》

《おい!何かここ数合わなくねぇか?》

《再び右心房へ戻って来るまでが体循環です》

《あと少し!あと少しで!》

《どうぞ最後までしっかりと》

《俺たちの辿り着く場所、じゃねぇか……》

《責任感を持って職務を全うして下さい!》

《止まんねぇ限り、道は続くっ!》

《いってらっしゃーい!》

《……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……》

 

その巨大モニターの説明を一通り聞いた赤血球AE3803番は意気込んで心臓へと入っていく。

 

(もう甘えてらんないもんね……!)

(その調子だ……)

 

心の中でそう応援する白血球U1146番。

 

しかし、赤血球AE3803番を見守る(ストーキングする)二人は端から見たら、ただの不審者であった……。

 

(はぁはぁはぁ……)

 

不審者扱いされていることに一人気付いた鉄血球T0319番は額に冷や汗を浮かべていた。

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「そのあと心臓に行って、今日も揉みくちゃにされて大変でした!ぎゅーって!」

「あぁ」

「そうか」

「あ、そうそう!心臓でですね?メモを落としちゃったんですけど、何故だか後ろの方からすっ飛んで来て!それで……」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

心臓。全体が筋肉で出来た器官。静脈から戻ってきた血液を動脈に押し出すポンプの役割を担っている。その動きは1日におよそ10万回繰り返されている。

 

その心臓は体内世界では寺院のような建物をしており、鳥居を抜けた先にある寺の本堂には陰陽魚太極図ではなく、鉄華団のマークが掲げられている。

 

心臓の寺の中へと入っていくと、どこからかアナウンスが聞こえてくる。

 

《ようこそ心臓へ。ここは右心房です》

 

右心房。上下の大静脈から静脈血を受け、右心室へ送る。

 

その右心房の中はまるで朝の満員電車のように非常に混雑していた。右心房内に赤血球の悲鳴と警告アナウンスが響く。

 

「うぎゃぁぁぁぁぁ!!」

 

《押さないで下さい。駆け込み循環は危険です。この先、下大静脈と上大静脈の合流地点により、大変混雑しております》

 

アッ,アッ,アカチャン

 

《安全の為、帽子やメガネ等を飛ばされないよう充分にご注意下さい。間もなく三尖弁が開きます》

 

三尖弁。右心房と右心室の間にある三枚の弁。心臓が収縮する時は、右心室へ血液を流し拡張の際は右心房への血液の逆流を防ぐ。

 

右心房からその三尖弁へと人混みが流れていく中で赤血球AE3803番が手に持つメモを落としてしまった。

 

「ああっ、メモが落ちたー!メモー!メモー!!」

 

叫ぶ赤血球AE3803番。

 

メモを拾った白血球U1146番は赤血球AE3803番の元へなんとかしてメモを返したいが、尾行していることがバレる訳にもいかない。

 

投げて赤血球AE3803番の手元に返すにしては少し遠い……。

 

その時、とあることを閃いた。

 

 

「押すんじゃねぇぞ……!おい!おいっ!!押すなっつってんだ……ヴァアアアアアア!!」

 

血球達に揉みくちゃにされ、溶血し(希望の花を咲かせ)ている鉄血球T0319番。

 

「……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

その鉄血球T0319番にメモを投げて、彼が赤血球AE3803番にメモを投げれば彼女の元にメモが届く。

 

(よし!頼んだぞ、鉄血球!)

 

そう思考して、白血球U1146番は鉄血球T0319番へとメモを投げたが……

 

「う"う"っ!」

 

鉄血球T0319番はもちろんそのメモをキャッチすることなど出来ずに、頭部にメモを当てられ、溶血し(希望の花を咲かせ)てしまった。

 

「……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

しかし、メモは鉄血球T0319番の頭をバウンドして、赤血球AE3803番が手に抱える二酸化炭素の入った段ボールの上に戻る。

 

そのメモの開いたページに書かれていた文字は以前、鉄血球T0319番が遊び半分に書いた

 

『止まらねぇ限り、道は続く』

 

という文字だった。

 

 

「えっ?メモが飛んできた?」

 

(ま、まぁ……結果オーライだ……)

 

そんな白血球U1146番達に見守ら(ストーキングさ)れながら、赤血球AE3803番は右心室へと入っていく。

 

右心室。二酸化炭素を多く含んだ静脈血となっている。

 

そして、心臓を出て、静脈血を肺に送る肺動脈を進み、赤血球AE3803番が次に向かった先は……

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「それで!肺に行って、肺胞がですね?外から見るとポコポコしてて面白い形だったんですよー!」

「そっかー」

「すごいなー。ポコポコ…?」

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

肺。二酸化炭素を捨て、酸素を受け取る器官。肺に吸い込まれた酸素は気管、気管支を通って肺胞に辿り着き、その肺胞で酸素を血液中に取り入れ、二酸化炭素を排出する「ガス交換」が行われている。

 

そのガス交換のため、肺胞へと向かう途中、外から肺胞を見てみると、そこにはまるでルナタンクのような形をした球体が無数に浮かんでいた。

 

(ルナタンクとは、ガンダムシリーズのメカニックデザイン企画『MSV』『MSV-R』に登場する移動砲台である。アッザムのベースとなった機体でジオン軍の最大生産拠点であるグラナダ基地の防衛のために開発された)

 

 

そして、赤血球AE3803番は肺動脈から毛細血管へと進み、その奥にあるガス交換を行うための部屋──肺胞まで辿り着いた。

 

《ようこそいらっしゃいませ、こちらは肺胞です。二酸化炭素はこちらで回収します》

 

その肺胞内にアナウンスが響く。

 

二酸化炭素の段ボールを所定のコンテナに詰め込んだ赤血球AE3803番は暫しの休憩をとる。

 

「ふぅ…」

 

ガンダムカフェ限定のオルガ・イツカの湯飲みにお茶を入れて一息。

 

その間にFA(ファクトリー・オートメーション)によって酸素ガスが作られる。

 

 

コンベアに乗って流れてきた酸素……ではなく鉄血球はヒットマンの銃撃で溶血さ(希望の花を咲か)せ……

 

「……だからよ、止まるんじゃねぇぞ……」

 

今度こそ流れてきた黒い酸素ボンベに機械が酸素を注入する。

 

プシュー

 

《おまたせしました。酸素をお受け取り下さい》

 

黒い酸素ボンベを受け取り、白い段ボールに箱詰めしながら、赤血球AE3803番はふと、こんなことを思い出す。

 

(そういえば……初めてここで白血球さんに助けて貰ったなぁ……)

 

その時、鉄血球T0319番も共に助けに来たはずなのだが……無自覚ではあるが恋する乙女の盲目には鉄血球は写らなかったようだ。

 

1話参照

 

 

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

 

「火星の王……?」

「それでそれで……!」

 

その後も赤血球AE3803番の話は続く。

 

 


 

 

そして、肺循環を終えた赤血球は動脈血を心臓へ送る肺静脈を通って再び心臓へと戻ってきた。

 

寺の中の阿吽像(と白血球U1146番、鉄血球T0319番)に見守られながら赤血球は左心房から左心室へと順調に進んでいき……

 

左心房。肺静脈から動脈血を受け、左心室へ送る。

 

左心室。酸素を多く含んだ血液が流れている。

 

その左心室から心臓を抜けた先の大動脈からそれぞれに分類した動脈を通り、全身の毛細血管へと酸素を届け、二酸化炭素を受け取るまでが赤血球の仕事だ。

 

 

そこまでの仕事を終えた赤血球AE3803番はそこでやっと今まで自分の後をつけていた白血球U1146番と鉄血球T0319番と出会うのだった。

 

 

最初に戻る

 

 

 

 




この8話のノベライズは色々と難しかったです

でも、俺は止まんねぇからよ……

(感想くれるとモチベ上がります)

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