ソードアート・オンライン。そこに入れ間違いが起きる。

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思い付きの一発。


ハントアート・オンライン

 多くの人が寝静まる深夜、とあるゲームの開発者である男が1人で作業をしていた。

 

(特に問題は無いようだな……)

 

 明日発売のゲーム『SAO(ソードアート・オンライン)』のサーバーのチェックをし、茅場晶彦は一息つく。

 『SAO』は自分が胸に抱く幻想を仮想現実(ヴァーチャル)にて再現し、現実(リアル)の体と生死をリンクさせて仮想でありながら現実となんら変わらない物へと変質させる物なのだ。

 

 ただし、その内容での売り込みは当然なされていない。現実での死すら引き起こすゲームなど、普通の人間ならまず開発などしないし売りもしない。そもそもそのゲームをやろうとするプレイヤーも集まらないであろう。

 故に『SAO』は表向きは新しいゲームとして発売される。しかし、今仕掛けている時限装置によって楽しいはずの仮想現実が死と隣り合わせの現実へと切り替わるのだ。

 

 このデスゲームの部分は茅場晶彦の身勝手であり狂気そのもの。当然デスゲームのプログラミングなどは全て1人で作業をしたのだ。そのせいで大分時間が掛かって今も寝不足であるが、しっかりと間に合ったのだ。後はインストールするだけで、『SAO』に狂気が注ぎ込まれる。

 ファイルを選択し、「本当にインストールしますか?」との確認文が出てくる。答えは「Yes」。

 

 インストールを開始すると同時に、茅場は別の作業に取り掛かる。『SAO』がクリアされると当時に、プレイヤーとしても参加する自身の脳に大出力のスキャンをかけることで自身の記憶・人格をデジタルな信号としてネットワーク内に遺せるようにする準備である。こちらの方は準備といっても、機器に故障が無いか見るだけである。

 

 両方の準備を完了した茅場は、サービスの開始までまだ時間があるのをいい事に、その時のギリギリまで現実での眠りを堪能する事にした。

 気が緩んでいたのだろう。後になって思い返せば、そうとしか言えなく、あの時しっかりと確認しておけば良かったと後悔するパソコンの画面にはこう書かれていた。

 

「『HAO(ハントアート・オンライン)』のインストールが完了しました」

 

――――――

 

 デスゲームの開始は茅場の予定通りに進んだ。しかし、まさかのインストールミスをしでかしていたのに気付いたのはその直後であった。

 フィールドを闊歩していたモンスターが青い鱗を持つ恐竜みたいなのに変わったり、ステータスがなんか変になっていたりと……

 

 明らかな異常事態に茅場はデータの確認をした。そして膝から崩れ落ちた。

 お遊びで作った大人気ゲーム『モンスターハンター』シリーズと『SAO』をミックスした『HAO』がインストールされていた。

 これは茅場にかなりのダメージを与えた。お遊びで作ったとは言え、『SAO』のほぼ全てのシステムを流用している『HAO』の完成度は高い。利権問題さえなければ世に出してもヒットすると断言できるものである。

 

 だがしかし、だがしかしだ。よりにもよってそんなモノと、自身の全てを注ぎ込んだと言っても過言ではない『SAO』と入れ間違えるなど大問題であった。

 ゲームマスターとしても看過できる事態ではないので、とりあえず始まりの挨拶をすることにした。

 

「ようこそ、モンハンの世界に…」

 

 本当であればこんな事をいう予定ではなかったが、仕方なく茅場は続ける。

 

「ログアウトできのは仕様である。諸君らはこのゲームに幽閉された。

 しかし、こちらにとっても予期せぬトラブルがあったが為に、このゲームは『SAO』ではない『HAO』である」

 

 ざわめくプレイヤーを無視して、続ける。

 

「このゲームから脱出する手段はただ1つ、このゲームをクリアする事だ。正確に言うなら、クエスト『神座にて佇むモノ』をクリアする事だ。

 ただし、これは『HAO』にてのクリア条件だ。運営としては可能な限り迅速に『SAO』への復旧をするつもりである。

 ここで宣言しておこう。『HAO』である限りは、諸君らの命は保障しよう。現実においては、諸君らはデスゲームに参加している事になっている。

 されども、こちらの落ち度によって違うゲームをプレイしている諸君らにデスゲームの強要はやめる。

 『SAO』の復旧と同時に、この場はデスゲームへと切り替わる。装備やステータスはそのまま引き継がれるので、私が準備を済ませる前に出来得る限りの準備を済ませることをお勧めしよう。

 では、『HAO』の正式サービスの開始を宣言する」

 

――――――

 

「もう、このままで良いかもしれない……」

 

 プレイヤーとしての名前をヒースクリフにした茅場は、遠い目で虚空を見つめていた。

 その理由は。『SAO』への復旧が絶望的と解ったからだ。

 システム関連は何ら問題は無い。元々システムは共通なので、問題が出た方がおかしいのだ。

 問題があったのが、モンスターとクエストだ。この2つは、類似データはあるものの完全に別物に近い。となれば1から組み上げる必要があるのだが、その組み上げるのに膨大な時間がかかってしまうのだ。

 

 『SAO』は茅場の作品ではあるが、全てを1人で作った訳ではない。茅場の構想という基盤の上に、幾人もの発想が積み重なり、形を整えられて『SAO』は出来ている。

 それを1人でまた作ろうなどと膨大な時間が掛かるのは当然である。年単位での時間が必要など、笑うことも茅場にはできなかった。

 

 データを引っ張って来ればいいだろうと思うだろうが、残念ながら今現在はその肝心のデータがあるパソコンとサーバーが繋がっていないのである。運が良ければそのうち繋がるかもしれないが、そんな悠長な事は言ってられない。

 

 なぜなら、物凄い速さでプレイヤーが攻略してしまっているからだ。それはもう、神速とか言えるぐらいに……

 

 モンハンはシリーズがかなり続く大ヒット作。当然プレイしたことある人が混じっている。立ち回りなど有効なものを先んじて持っているのとそうでないのとでは大きな差が当然出る。

 そこに、今はまだデスゲームではないので、死んで憶えるというプレイスタイルが加わって未知のモンスターでも翌日には立ち回りなどがほぼ確立されてしまっていた。

 

 「もうなんだよこの廃人集団は……」と零すくらいに茅場は疲れた。その廃人集団を作ったのは紛れも無く茅場であるのだが。

 

 まったくもって希望の持てない『SAO』。またっくもって時間稼ぎになってくれない『HAO』。もうゴールしても良いのではないかと茅場は考えすらもした。

 

「……私も狩ろう」

 

 そして導きだした答えは、「こんなゲームとっとと終わらせてやる」だった。

 

――――――

 

伝説後

 

「3落ちしてもいいゲームなんて、ぬる過ぎるぜ!!」

 

続かない




モンハン脳になったキリトなら最後の台詞を言ってくれるはず。ぶっちゃけ最後の台詞を書きたかっただけ。

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