今夜より、刀使の巫女を投稿させていただきます。
もう一つの作品に集中したい事もあって亀更新になるかもしれませんが、その点についてはご了承下さい。
では、本編をどうぞ。
荒魂――――
古より災いをもたらす異形の存在。
そんな荒魂を倒す事を指名とし、特殊な製法で作られる金属『珠鋼』より作られる神性を帯びた刀『御刀』の所持を国より認められた『神薙の巫女』――――
それらは女性、それも年端の少女たちにしか持つ事が出来ず、そして、それになる事も、少女たちにしか出来ない。
人は彼女たちを『刀使』と呼んだ。
されど、それは表の世界での話。
いつの時代にも『裏』というものが存在し、今もなお、刀使と共に、荒魂を倒す存在がいる。
それらに決まった呼び名は無く、強いて、日本でいうのなら、彼らの名は――――
『陰陽師』、と呼ばれる―――――
―――――が、これはその陰陽師でも、ましてや刀使が主役の話でもない。
いや、どうだったか。
ともかく、これは陰陽師でも刀使でも無い一人の少年と、消された英雄の娘である二人の少女と、右腕を荒魂に持っていかれて右腕が荒魂になった少年。
そしてもう四人の陰陽師やら魔術師やら男の刀使やら様々な『馬鹿』共と四人の刀使の少女の―――――
たった一年の冒険譚である―――――
そして、物語は、一つの邂逅から。
「――――よう、オタクら」
倒され、液状化した荒魂の元である、『ノロ』の溜まり場の上に立つ、一人の少年は、着地に失敗して尻もちをついている少女を見下ろして、一言。
「怪我はねえか?」
季節は、春。五月。
そこは刀使を育成するための刀使要請学園の一つ、美濃関学院。
そこの、誰もいない道場にて―――
「やぁあッ!!」
「おおっと」
それを
しかしその手には手袋。防刃性の高い素材で作られた、特注の手袋だ。
可奈美は、逸らされたと悟るや否や、やや斜め下気味に愛刀『千鳥』を薙ぐ。
しかしそれすらも逸らされる。
「そういや、折神家御前試合代表出場おめでとう衛藤」
「ありがとうございます時雨先輩!」
「それでいきなりこれとは本当に剣術馬鹿だよなオタクは」
「だって剣術好きですから!」
一歩間違えれば大怪我間違いなしの戦いの中で、何故か軽口を叩く新矢にそれに答える可奈美。
威力や射程の全く違う剣と素手で、可奈美が攻め込み、時雨が防ぐ。
その様は、一見一方的に見えるが実は違う。
その目まぐるしい戦いの中で、時雨は可奈美から御刀を奪おうとしているのだ。
それが証拠に、錯綜する拳と刀の間で、時雨が距離を詰めて可奈美の千鳥を持つ手に向かって手を伸ばし、それを可奈美は手を持ち上げる事でかわしている。
「今日こそ!先輩から一本貰います!」
「出来るかな?」
そこで時雨は足払いをかける。それを可奈美は片足を挙げて回避。すぐさま刀を振り下ろしにかかるが尽くかわされる。
「おおっと、あぶねえあぶねえ・・・・そういや、柳瀬」
そこで、試合場の外から観戦していた柳瀬舞衣に、時雨がいきなり話を振る。
「お前も御前試合出場おめでとさん」
「ありがとうございます先輩」
それに微笑む舞衣であるが、一方の可奈美は焦る。
「あーもう!余所見されてるのになんで当たらないの!?」
「そりゃ歳の差だ。ついでに行って経験だな・・・・ふむ、白か」
「ッ!?」
可奈美の袈裟懸けをかわすためにしゃがんだところで、時雨は可奈美のスカートの下を覗き込んだ。
「またですか・・・」
それに舞衣は頭痛がした頭を抑える。
一方の可奈美はすかさず時雨に刀を振り下ろす。
「ちゃんと取り換えてるのかー?」
「もうその精神攻撃には乗りませんよ!ていうか毎日取り換えてます失礼な!」
距離を取った時雨を追いかけるように可奈美が踏み込む。若干その顔が赤かったりするが。
「しっかしそろそろネタがつきてきたな。衛藤、お前昨日なに喰った?」
「そのネタでまたおちょくる気でしょ!?」
「なんだよー、それなら最近手に入れた美炎のスリーサイズの話でも・・・・」
「なんでそんなもの知ってるんですか!?」
「なんだ?聞きたくないのか?」
「どうでもいいですよ!」
「それならお前のスリーサイズを―――」
瞬間、可奈美の剣が殺意を帯びて時雨の首を掻っ切りに行く。
が、
「引っ掛かったな」
「あ」
その一撃はいとも容易く反らされ、可奈美の腹に、時雨の右掌が押し付けられた。
「決まった・・・・」
舞衣の苦笑。
「チェックメイト」
それと共に、次の瞬間、可奈美は吹っ飛んだ―――――
「また負けたー」
「いっておくがスリーサイズの話は嘘だぜ」
可奈美がお腹をさすりながら悔しそうに声をあげる。
「はい、可奈美ちゃん」
「あ、ありがとー舞衣ちゃん」
舞衣から差し出されたスポーツドリンクを受け取り、それを飲む可奈美。
「先輩もどうぞ」
「お、わりぃな」
ついでに新矢にも差し出され、時雨も一口飲む。
「やっぱり先輩はすごいなぁ。セクハラ発言とかが無ければもっと尊敬したのに」
「それを気にするお前もお前だがな」
「言い返せないのがこれまた」
改めて、美濃関学院高等部二年、九条時雨は、この刀使養成学校の一つである美濃関の男子生徒である。
この学園には、刀匠課程の分野が充実しており、こだわる刀使は、刀身以外の部分をオーダーメイドしてくる者も多い。
さらに、そう言った理由から刀使ではない学生も多く、男子生徒や男性の卒業生も存在する学園なのだ。
その中で、時雨はこの学園の中ではちょっとした有名人。
その理由はこの美濃関学院中等部二年である可奈美を唯一打ち負かした男、という理由が大きい。
なんでも、可奈美はこの美濃関で実質ナンバーワンの実力を有しており、さらにその友達である柳瀬舞衣はナンバーツー。そんな他の刀使からしたら憧れともいえる存在の実績を真正面から泥を塗ったのだ。
さらに、可奈美と時雨があってからの一年。可奈美は時雨に勝てた事が無い。
素手の時雨に対して、可奈美は剣。ようはそういう事なのだ。
三人の邂逅については、後程語る事にしておくとして。
「それで、なんでまた俺に試合を吹っ掛けてきたんだオタク?」
そう時雨が問いかけると、可奈美は恥ずかしそうに答える。
「だって私、先輩に一度も勝てた事ないから・・・だから、一度でも良いから勝って自信をつけたかったんです。まあ、負けちゃいましたけど」
たはー、と頭を掻く可奈美。
それに時雨は、可奈美の頭をわしゃわしゃと撫でまわす。
「わっ、わっ」
「オタクは十分つえーよ。御前試合でも軽く優勝出来るって」
「えへへ」
褒められた事が嬉しいのか、無邪気に顔を綻ばせる可奈美。
そういう所は、年相応だ。
ひとしきり撫で終わると、時雨は舞衣の方を見る。
「柳瀬も頑張れよ。オタクも十分に勝てる程の力持ってるんだからよ」
「はい」
舞衣も確固たる意志を見せるように頷く。
それを聞いて、時雨は窓の奥の空を見る。
「御前試合が楽しみだ」
奈良県某所の田舎にて―――
とある一軒家の仏壇の前にて、二人の男女が手を合わせて座っていた。
その仏壇には、一人の女性の写真が置いてあり、その女性は、少女の方にとてもよく似ていた。
注意しておくが、二人は兄妹では無い。
平城学館、高等部一年『
ひとしきり、お参りが終わった頃に、二人は立ち上がる。
「ありがとう蓮さん。母さんのお参りに来てくれて」
姫和が微笑みながらそうお礼を言う。
「篝さんには、十分にお世話になったからな。それに、もうすぐ御前試合だ。頑張れよ」
「ああ、分かっている。せっかくだ。何か食っていくか?」
「お、久々の姫和の料理か。楽しみだ」
高校生である筈なのに、子供のように笑う蓮に、自分が彼より年下だという事を忘れそうになる姫和。
「じゃあ、少し待っててくれ」
「おう」
そう言って、姫和は台所へ向かう。
それを見送り、ふと蓮は、仏壇が気になる。
姫和が向こうにいる事を確認すると、その抽斗の一つを引っ張り出し、その奥に手を突っ込む。
すると、中から手紙が出てくる。
「これは・・・」
その手紙には『十条篝様』と卓越した文字で書かれていた。
それが、のちの二人の運命を左右する事になる―――――
岐阜羽島駅にて。
「見送りアリガトね」
可奈美と舞衣が友人たちと別れの挨拶をしている間、時雨は美濃関学院の学長、羽島江麻と話し合っていた。
「なんで俺があいつら一緒に行かなきゃならんのやら」
「ごめんなさいね。あまり命令されるのが好きではないのに。
「ま、師匠に散々言われましたからね」
へらへらと笑う時雨。そんな彼の様子に、江麻は、かつての戦友の面影を見る。
「それに、貴方と貴方の師匠の目的の人物に会える絶好の機会だと思うのだけれど?」
その言葉で、時雨の目が細められる。
「・・・・・そうだなぁ」
そして空を見上げて、そう一人ごちる時雨。しかしすぐさまふっと笑い、江麻に向き直る時雨。
「そんじゃ、行ってきますわ。あの二人の御守りは任せな」
「頼むわね」
その言葉をかわぎりに、三人は荷物を持って並ぶ。
「美濃関の名に恥じぬよう、思いきり戦ってきなさい」
江麻の激励に、可奈美と舞衣は力強くうなずく。
「はい!学長!」
「ありがとうございます」
そして、三人は旅立つ。
新幹線の中にて。
「お弁当~」
溶けた飴のように溶けた顔で買った駅弁に顔をほころばせる可奈美。
「おいおいオタク、昼飯にはまだはえーぞ」
「そんな事いわれたって・・・・ぷっアハハハハハ!!」
「ん?どした?」
後ろから顔を乗り出してきた時雨の顔を見て、大笑いをしだす可奈美。
それもその筈、時雨の額には、あまりにも面白い目のイラストが描かれたアイマスクがあるのだ。
「せ、せんぱっ・・それ、それ反則・・・アハハ!!」
「そんなに笑うこたぁないだろ」
「すみません先輩・・・流石にそれは・・・・ぷふ」
「お前もかい!?」
心外とでもいうかのように顔をしかめる時雨。
「やれやれ・・・降りる時になったら起こしてくれ」
「はぁー・・・分かりました」
ひとしきり笑い終えたのか、妙にスッキリしている舞衣の返事に、時雨はアイマスクを降ろして眠りにつく。
その時、鼻に甘い焼き菓子の匂いがしたのは余談という事にしておこう。
そうして新幹線と電車に揺さぶられること二時間、ついに御前試合の行われる鎌倉に到着する。
「んー、いい天気ー!」
伸びをする可奈美。
「えっと、折神家は・・・」
「おいオタクら、見てみろよ。綾小路の制服だぜありゃあ」
時雨が指さす先には、綾小路武芸学舎の制服を身に纏っている女生徒の姿があった。
「あっちは鎌府・・・」
舞衣が見る方向には鎌府女学院、ついでにその横には長船女学園の制服を身に纏った女生徒の姿が見えた。
「ひゅー、こりゃ眼福だぜ」
「「先輩・・・」」
時雨のあまりの発言に呆れ苦笑する可奈美と舞衣。
まあ、分かっていた事なので気にはしない。
「もしかしたら、明日の大会の対戦相手がいるかも!」
「・・・・そうだね」
「行こう!」
「あ!可奈美ちゃん!」
「おい衛藤!・・・行っちまった・・・おい待てよ!オタクらー!」
さっさと行ってしまった可奈美と舞衣においていかれるも追いかける時雨。
そのまま折紙家本家の門の前にやってくる三人。
「わぁー!おっきい!」
「こりゃすげーな。流石折神家」
「これが折神家・・・」
折紙家、とは。
国から御刀の管理を一任されている一族であり、当代当主である『
流派はかつて日本最強の剣豪と言わしめた宮本武蔵と同じ流派『二天一流』を使い、御刀を持てば、今でも最強と言わしめる実力を持つと言われている。
使用する御刀は―――
「確か童子切安綱と大包平だったか・・・」
「先輩?どうかしたんですか?」
「ん?いや、気にすんな」
可奈美の質問を誤魔化しつつ、時雨は大門を見上げる。
(・・・・待ってろよ、折神紫)
そう、心の中で呟いた時。
「あれは・・・平城学館の・・・」
舞衣の言葉に、時雨は視線を向けた。
そこには、一組の男女がおり、ともに折神家の塀を見上げていた。
片方、少女の方は黒髪でその腰に一本の御刀を携え、もう片方、同じ黒髪で少女より身長が高い少年の方はボディーバックを背負っている。
ふと、その少女がこちらの視線に気づいたのかこちらを向き、そして歩き出してくる。
その後を少年がついていく。
「こ、こんにちは。貴方も御前試合に・・・」
とりあえず挨拶でもしておこうかと可奈美が口を開くが、少女はそれをガン無視。
「おい挨拶してんだから挨拶しろよ!?」
が、少年の方は礼儀を弁えているらしく、喚き気味に少女に突っ込みをいれる。
それに少女は立ち止まり、振り返って少年の方を見る。
「・・・・蓮さん、私達は遊びでここにいるわけじゃないんだぞ?」
「むしろそんな堅苦しくしてたら逆に目立つだろ」
「あー、オタクら?別に無理に挨拶せんでも・・・」
その時、黒髪の少女と、同時に可奈美がいきなり動いた。
「え」
「は」
その手を御刀の柄に手をかけ、互いに静止。
そんな、不自然な行動に、その場にいた全員が硬直してしまう。
だが、すぐさま何事も無かったかのように少女の方は行ってしまう。
「あ!?おい!姫和ー!」
「なんだったんだ・・・?」
呆然とする時雨だったが、すぐに可奈美の方を見る。
可奈美は、自分の御刀である『千鳥』を見つめ、そして少女の方を見ていた。
折神家が用意した宿にて。
「ふぃー、生き返るなぁー」
時雨は風呂につかっていた。
「しっかしひれぇな。流石折神家っていった所か」
風呂の広さに感嘆しつつ、時雨は今朝の事を思い出す。
(あいつら、なんだったんだ・・・)
平城学館の制服を纏った、二人の男女。
そして、少女の方が持っていた御刀・・・・
「ま、考えても仕方ないか。明日はついに折神紫サマに会えるんだからな」
「なんだ、お前も折神紫に会いに来たのか?」
「ん?」
ふと背後から声が聞こえ、振り向けばそこには、今朝すれ違った少年がいた。
「オタクは今朝の・・・」
「鈴鉄蓮だ。さっきはうちの連れが悪かったな」
「いんや、こっちの連れも変な事してたかお相子さぁ。それよりも、さっさと入れよ。そこにいると風邪ひくぜ」
「じゃ遠慮なく」
時雨の隣に座る蓮。
「鈴鉄と言ったか。俺は九条時雨。お前はあいつの付き添いか?」
「まあな。そういうお前もあの二人の付き添いだろ?」
「ああ。結構強いぜ」
「うちの二人も、かなり強いぜ、特に姫和は一段とな」
「あのツンデレ少女か。見た所、鹿島新當流か?」
「お前、分かるのか?」
「歩法と呼吸からなんとなく。俺も剣術に精通してる身だからな」
けらけらと笑う時雨を見て、蓮は不思議と笑みがこぼれる。
そして視線を外し、外の景色を見る。
外はすっかり日が沈んで、星空が見える。
「・・・・お前はなんで、あいつらの付き添いを?」
「んー?まあ、個人的な理由でな」
「そっか・・・俺も個人的な理由だ」
そこで互いに無言になる。
だが、先に時雨が動く。
「んじゃ、俺先にあがるわ。縁があったら明日会おうぜ」
「おう」
蓮の返事を聞いて、時雨は風呂場を去っていく。
その後ろ背中を見送り、蓮はまた夜空を見上げる。
そして、右手首を左手で握りしめ、一言。
「・・・・明日、折神紫を・・・・」
夜中。
可奈美がいびきを掻いて寝る中、舞衣は一人、その様子を見ていた。
流石に男女一緒に寝るのはまずいという事で、時雨は別室で寝ている。
「・・・・可奈美ちゃん、明日は、もし私と当たったら、その時は、本気で戦ってくれる?」
そんな呟きに、答える物は当然いなく、舞衣はなかなか寝付けない。
仕方無く可奈美を起こさないように起き上がり、縁側に出る舞衣。
そこに見える、庭にて――――
「あ・・・」
そこに、一人の男性の姿を見つけた。
白いワイシャツに黒いスーツのズボンを着込んだ、その姿は、一介の学生に見える。
しかし、その手に携えるのは一本の刀。それも、御刀だ。
なぜ、男が、御刀を?
そんな疑問が舞衣によぎったとき、男がこちらを見た。
「おや、こんな時間に女子が一人起きているとは珍しい」
ややたれ目気味の目に、とても綺麗な黒髪。その顔立ちも良く、育ちが良いのか肌の色も白すぎず濃すぎない。その双眸は青い月のように澄んでいて、今にも吸い込まれそうな程に綺麗だった。
そんな、彼の優しそうな微笑み、舞衣は呆気にとられる。
「見た所、お前は美濃関の代表か」
「・・・・・え、あ、はい。美濃関学院中等部二年、柳瀬舞衣と言います・・・」
そこで、舞衣は気付く。なんで自己紹介しているんだろう?
「舞衣というのか。良い名だ。父親がつけたのか?」
「あ、いえ、名づけは母で・・・それに、あんまり覚えていてくれなくても」
「やなせ・・というと、お前はかの大企業『柳瀬グループ』の御令嬢か」
「あ、はい、父が経営している会社で・・・って何言ってるんだろ私・・・」
たはは、と恥ずかしそうに笑う舞衣。
「何、気にする事ではない。少し気になった故、な」
まるで、雲のように掴みどころのない人だと、舞衣は思った。
同時に、月のように、届かないような存在とも思った。
それほどまでに、その男は、幻想的なまでに美しかった。
「ふむ・・・・」
ふと、男は何やら考え込む仕草を見せて、舞衣に問いかけた。
「して、舞衣はなにやら抱え込んでいるようだな」
「え・・・」
「そんな曇った目を見ていれば分かる。さしずめ、お前の友人と当たった時の事を考えているのだろう?」
すごい、と舞衣は思った。まさか、会って早々ここまで見透かされるとは思ってもみなかった。
が、そこで舞衣はある疑問を頭に思い浮かべた。
「あの、なんで私が美濃関だと・・・それに、もう一人の代表が、私の友達だって・・・」
「ふむ、違ったのならすまない。ただ、俺は綾小路から来てな。偶然お前と同じ人物を見かけた故、そう判断したのだが・・・」
「そうだったんですか・・・びっくりした・・・」
舞衣の安心したような声音に、男はひとしきり微笑み、舞衣に向かって歩く。
「まあ、俺から言える事は一つだ」
男は、縁側の廊下にあがると、舞衣に向かって一言。
「心配しなくとも、お前の友人は全力で戦ってくれるだろう。お前はただ、それを信じていればいい」
そんな激励を受け、舞衣は、不思議と心が軽くなる気がした。
男が去っていく中で、舞衣は、思わず彼を引き留めた。
「あ、あの・・・名前は・・・」
「おおっと、名前を聞いておいて名乗らないのは礼儀に反するな」
男は振り向き、そしてその柔和な表情を舞衣に向け、名乗る。
「俺の名前は『
名乗るのを最後に、心月は去っていく。
その後ろ姿を、見送りながら――――
そのまま去っていった心月。
ふと立ち止まると、どこへでもなく声を出した。
「・・・なかなか、良い娘だな、時雨」
「だろ?」
暗い廊下の闇夜から、浴衣姿の時雨が出てくる。
「明日は、折神紫が顔を出す・・・が、それは決勝戦のみとなるだろう」
「それはまたなんでだ?」
「織田防衛事務長がくるそうでな。その面会の為に、午前中は出ない。ついで、親衛隊第一席及び、第二、第四席は会場の警備に、第三席は折神紫殿の警護にあたるそうだ」
「まあ今回は下見が目的だから、あんま気にする事じゃないが・・・」
「それともう一つ、舞草ではない者が、どうやら折神紫に牙を剥けようとしているらしい」
「・・・小鴉丸か?」
時雨の表情が険しくなる。
それに、心月はうなずく。
「あの女子が、おそらくは・・・」
「なんか、計画が一気に頓挫しそうだな・・・」
「その場合は舞草と連携していこうではないか。今は、折神紫をどうやって
「それもそうだな・・・まあいっか・・・・俺ぁそろそろ寝るぜ」
「ふむ、明日の為によく寝たまえ。俺は再度、シロに会ってくる」
「了解だ。そんじゃ明日な」
そう話し合い、二人は分かれた―――――
そして、翌日―――――御前試合が始まった。
一回戦第一試合、綾小路の刀使と、昨日の刀使の少女、十条姫和との試合にて、開幕速攻の『迅移』をもって、一刀のもと下した。
一回戦第二試合、可奈美の試合にて、鎌府女学院より『
続く、第三試合。舞衣の対戦相手、長船女学園『
続く第四試合にて、十条姫和と長船女学園『
その際、観客席にいる男子に「ダーリン!負けてしまいマシター!」と泣きついていたが、この際無視する。
ついでに、そのダーリンと呼ばれた男子が周囲の男性陣に嫉妬の眼差しで睨まれていたのも無視する。
そして、続く準決勝にて――――
昼休み。
「ここが決勝戦の行われる会場だったよな・・・」
一足先に決勝戦が行われる会場に足を運んでいた時雨。
「あれが客席で、こっちが、紫サマが座る椅子。見る機会はあそこからここまで。死角に入んねえようにしねえとな」
準決勝にて、可奈美は舞衣を下し、現在は応援に来ていた友人たちと弁当を食べている。
決闘の内容を詳細に語ると、舞衣は可奈美を倒す為に居合を選択。それを見た可奈美は迅移によって舞衣の後ろを取ろうとしたが、舞衣はそれを読んで振り返って斬り捨てようとしたが、それよりも速く可奈美の手が舞衣の抜刀されかけた刀の柄頭を止め、そのまま可奈美が片手の千鳥を可奈美に叩き付けたのだ。
それで、時雨はおにぎり片手に会場の下見にきているのだ。
ちなみに、称賛の言葉はもうかけた。
「こんなもんかねぇ」
「よっす」
「うおわ!?」
突然、背後から声をかけられ、飛び上がる時雨。
「ってオタクか志炉!?」
「にっひひ、わりーな」
そこには、白髪の少年が立っていた。
「いやぁ、時雨パイセンを丁度みかけていたずらしたくなってな」
「そんだけの度胸あるだけでも末恐ろしいわ」
集中してた訳ではない。それでも気配の察知にはそれなりに自信があったが。
だが、気付かなかった。
この『
「それで、お前の方で何かつかめたか?」
「いんや、何も。親衛隊の配置以外なーんにも分からなかったぜ」
「そうか・・・・舞草の方はどうだ?」
「動かないみたいだぜ。今回は下見が目的みたいだからな」
「そうか、それだけわかりゃ問題ない。ご苦労さん」
「そんじゃ、俺は一旦おさらばさせて貰うぜ、鎌府の方へ、何やら不穏な動きがあるからな」
「オーケー。頑張れよ」
「そっちもな」
そうして別れる二人。
その時、時雨はまた折神紫が座るであろう椅子を向いて、一回睨むと、すぐさま可奈美たちと合流する為に戻っていった。
そして、決勝戦。
「先輩どこに行ってたんですか?」
「ちょいと野暮用でな。わりぃな」
舞衣の質問を誤魔化しつつ、時雨は友人たちに囲まれて自身の調子を確認している可奈美を見る。
その後に、向かい側で客席に座り、何やら集中している様子の姫和と、そんな彼女に声をかける姫和と同じ平城学館の刀使、そして、何やらしゃがんで何かを拾っている様子の鈴鉄蓮。
(なにしてんだアイツ・・・?)
「せんぱーい!」
「ん?」
そこへ可奈美がやってくる。
「私、頑張ります!」
その宣言に、時雨はふっと笑い、可奈美の頭を撫でる。
「おう、楽しんで来い」
そこで、周囲がざわめき始める。
見れば、どうやら折神紫がやってきたようだ。
その周囲には、彼女を守護する、折神紫親衛隊の姿。
第一席、『
第二席、『
第三席、『
第四席、『
「ん・・・?」
ふと、刀使しかいない折神紫親衛隊の中に、見た事が無い面子がいるのを確認する。
それも四人。
一人目は黒鞘の刀を携えた親衛隊と似た服を着た男。
二人目は神父服を着込んだ見た所武器は何も持っていないような男。
三人目は腰になんらかのケースを備えた不思議な装束の男。
四人目は春だというのにマフラーを首に巻いた男。
どれもかれもが特徴的な格好をしており、その全員が、なんの違和感もなく警備についていた。
(なんだアイツら・・・)
しかし、思考が終わる前に、放送が入る。
可奈美と姫和が対峙する。
「双方、構え」
審判が、試合開始の号令を始める。
「写シ―――始めッ!」
その号令とともに、二人はそれぞれ構える。
姫和は右上段、可奈美は下段。
それぞれ、睨み合いおよび探り合いが始まる。
試合において、初撃がどのように決まるかで、初めの攻防の形が決まる。
故に、可奈美は防御を選択。姫和の初撃を防ぎ、その態勢が崩れた所で攻めるつもりなのだ。
しかし、その可奈美の判断は正しいとは言えない。かといって間違いとも言えない。
何故なら――――
「・・・・柳瀬」
「ん?なんですか?」
「動くなよ」
「え・・・・」
時雨の言葉に、舞衣が思わず聞き返そうとする前に、それは起こった。
突如、
(弾丸迅移か!?)
そのあまりにも一瞬過ぎて、消えたのかと思えるほどの速さで、姫和は、紫に突貫した。まさしく、弾丸の如き速さだった。
その一撃が、今、紫に向かって突き立てられる――――――
しかし、その一撃は、防がれた。
「―――それが、お前の『
あまりにも速く、弾丸並みの一撃。それを、紫は御刀を持って防いだのだ。
「くっ!!」
防がれた事実に驚きつつも、姫和はなおも紫に斬りかかろうとする。
しかし、それよりも速く、姫和の背後から獅童真希がその胸を貫く。
写シを張った刀使は、そのダメージを受けても、軽い痛みで済み、その際のダメージも全て肩代わりされる為に、瞬時に元に戻る。
つまり、写シを張っている間は、刀使は一種の不死状態となるのだ。
だが、それを張れるのは刀使の持つ『霊力』なるものが十分である時のみであり、先ほど、姫和はあまりにも驚異的な迅移を使ってその為の霊力全てを使い切ったのだ。故に、彼女はかなり消耗して写シを張れない上に、立てない。
そんな状態の姫和に向かって、真希は、容赦なく自らの御刀『吼丸』を振り下ろす。
しかし、その刃が姫和に振り下ろされる前に――――いつ接近したのか可奈美が防ぎ弾いた。
「何!?」
その事実と刀を通して伝わる手の痺れに真希は驚きを隠せず、しかしその間に可奈美は姫和に向かって叫ぶ。
「迅移ッ!」
その言葉にうなずく様に、姫和は残った体力で迅移を発動。
可奈美もともに迅移で包囲陣を抜ける。
「私が・・・」
そこで紫の傍にいた皐月夜見が自身の御刀『水神切兼光』を抜いて、どういう訳かその刃を自身の腕にあてがう。
「いや、いい。追うな」
しかし紫が止める。が、
「きゃは」
「ッ!?結芽!」
燕結芽だけは無視。迅移で一瞬で二人を追い越し立ちはだかる。
「私もまーぜて」
身長そのまま性格も子供っぽい、だが、その実力は、
その結芽に対して、二人で迎撃しようとする。が――――
「オラァッ!!!」
「「「!?」」」
横から時雨が結芽に殴りかかる。
「わわっ」
「俺が遊んでやるよ!」
すでにその手には防刃素材の手袋をつけており、その一撃は結芽の御刀『ニッカリ青江』の前に防がれる。
しかし、すかさず蹴りを放ち、さらに可奈美たちから離れさせる。
「行けッ!」
「でも・・・」
「安心しろ!あとで俺もいく!」
「・・・・分かりました!」
可奈美は姫和の腕をひっぱり、自らの力を倍加する八幡力で足を強化し飛び上がる。
「ああー、行っちゃった」
「わりーなぁ、せっかくの楽しみを邪魔して」
「うーん、でも、おにーさんでも十分楽しめそうだ、なッ!」
結芽が斬りかかる。それに対して時雨は迎え撃つように構える。
突きを逸らし、続く振り下ろしを手の甲で受け流し、流れるように来る首を狙った薙ぎ払いを掌で
それが時雨の鳩尾に突き刺さる。
「先輩――――ッ!?」
舞衣の表情が真っ青になる。だが、
「へえ、上手く防いだね」
なんと、どうにか防刃手袋の甲で防いでいた。そこだけ、鉄のタイルが敷き詰められているのだ。
「こことか
「あは」
結芽は嬉しそうに笑い、飛び退って距離を取る。
「おにーさん、強いね」
「あのおねーさんよりは強いと自負はしてるぜ?」
「それは、すごいなぁ!」
また斬撃が飛ぶ。それも迅移を使った高速攻撃。
「うわッと!?」
だが、その左上段からの斬撃が届く前に時雨の姿が結芽の前から消える。
「あれ!?」
「っぷねぇなぁ、マジで殺す気かよ」
時雨はいつの間にか背後に立っていた。
「ふーむ、紫!」
びしっと結芽に向かって何かの色を叫ぶ時雨。
「え!?」
その言葉に何故か結芽が赤面してどういう訳かスカートの裾を掴んで何かを隠すような仕草をする。
それもその筈、何せ時雨は、小さい結芽の体の
結芽の服装は親衛隊の制服に丈の長いスカート。故に、その下を通れば、当然、パンツが見える。
故に――――
(派手・・・)
会場にいる全員がそんな感想を持った。
「・・・おにーさんのエッチ」
結芽は顔を赤くしてそう言う。
「なぁに、まともじゃ生きて行けねーからな」
得意げに言い放つ時雨だったが――――
「先輩、後ろ!」
舞衣の声が聞こえ、それと同時に時雨の背後から真希が吼丸を叩き落す。
「うおわ!?」
脅威的な八幡力が先ほどまで時雨がいた地面を切り裂く。
その痕はすさまじいものだった。
「遊びはそこまでだ。刀使でもないのによく戦う」
「あっれー、オタクなんか怒ってません?」
何故か変な怒気を放つ真希を前に思わず後ずさる時雨。
しかし、そんな事を気にもしていられなくなった。
「動くな!」
「げ」
周囲を見れば、いつの間にか警備員たちが時雨を包囲していた。
「やっべ囲まれた・・・」
「お前は、完全に包囲された」
「ッ!?」
さらに、重い殺気が時雨に叩き付けられる。
そちらに視線を向ければ、そこには、他親衛隊と似た制服を着た、一人の刀を持った男が警備員の包囲網の一角から迫ってきていた。
(なんて重くて悪寒のする殺気だよ・・・!?)
「逃げられると思うなよ。ついでに人の妹のパンツを見た罪は重いぞ」
「オタクの妹かよ!?しかもそんな怒気を放ってる理由が意外と個人的だなオイ!?」
しかし包囲されている事には変わりはない。
逃げる事は不可能。万事休す――――
「み恵み受けても背く
謎の詠唱が聞こえ、向けばそこには空中にいくつもの石ころをばらまいた、鈴鉄蓮の姿があった。
「あれは―――」
「陰陽師か!?」
真希と男が気付くももう遅い。
「
蓮が指を弾けば、それらが弾丸となって、警備員たちや親衛隊たちの元へ降り注ぐ。
悲鳴が響き、その場はすぐさま土煙に塗れる。
「
さらに蓮は走り出し、腰のケースから何かの札―――霊符を取り出し、それを前方へ投げる。
そして顔の前で片手で人差し指と中指揃え、同時に親指を立てて印を結び、叫ぶ。
「
霊符が光となり、彼の足・・・というかズボンに、なんらかの紋章となって浮かび上がる。
すると、蓮の走る速さが加速し、土煙の中に突っ込んでいき、一瞬で時雨の元に辿り着く。
「掴まれ!」
「助かったぜ鈴鉄!」
伸ばされた手を掴み、二人は門を超える。
「逃げられたか・・・」
真希は、その様子を見つつ、御刀を鞘へと納める。
そして、それは紫も同様であり。
「千鳥と小鴉丸、まだ幼い二羽の鳥・・・そして、不浄王と、荒魂の女王の片割れをその身に宿す男か・・・」
「ハア・・・ハア・・・」
門の外では、姫和が地面に手をついて、息をあげ、汗を滝のように流していた。
それほどまでに限界だったのだろう。
一方の可奈美は、あの親衛隊を食い止めているであろう時雨の心配をして門の向こうを見ていた。
「ゼエ・・・何故、お前まで・・・関係、ないだろう・・・!?」
姫和は、可奈美を睨みつけるようにそう言い放つ。
それに対して可奈美はしばし考え。
「んー、まだ決着がついていないから、かな?」
そう、迷わず答えた。答え方は曖昧ではあるが。
向こう側で、激しい金属音が響いている。
「先輩・・・」
「・・・」
その音を聞いて、可奈美は心配そうに見ていた。
その様子に、姫和は思わず目を伏せる。
しかし、突如として轟音が響き、その数秒あと―――
「姫和!」
聞きなれた声が聞こえて、振り向けば、そこには、時雨の手を引いて門を飛び越えてくる蓮の姿があった。
「蓮さん・・・!!」
「すまねえ援護出来なかった」
それだけで、姫和はどうしようもない安堵感に包まれ、一方の可奈美は心配そうに時雨にかけよる。
「先輩、大丈夫ですか!?」
「一応な。いやぁ、あのシスコン男怖かったぁ」
相変わらずな軽口を聞いて、可奈美も安心する。
「さて、二人追加だな姫和」
「な!?この二人も連れて行くのか!?」
姫和はしゃがんだ状態で蓮に抗議する。
「もう巻き込んじまったんだし、旅は道連れ世は情けともいうだろ?」
「それとこれとは話が・・・」
「あー、オタクら?」
何やら言い争っている様子の二人の会話に割り込んで時雨が声をかける。
「話し合ってる時間はないんじゃねえの?」
「・・・それもそうだな」
「仕方がない・・・か・・・」
諦めたかのような姫和に、可奈美が手を差し出す。
「行こう」
そんな様子の可奈美に、姫和は呆然として、すぐに呆れた様なため息を吐いて、自らの御刀『小鴉丸』を鞘へと納め、可奈美の手を取らず立ち上がる。
そして、四人の逃亡生活が巻くを開けた――――
「――――ふむ」
その時、一体の女性が、顔を空に向けた。
「どうかされましたか?」
傍らにいた少女が、その女性に声をかける。
「なに、私の
「では・・・」
「うむ」
女性は立ち上がり、そして、目の前にいる者たちに命令を下す。
「ただちに連れてこい。最悪
改めて語ろう。
これは、刀使の物語であり、陰陽師の物語であり、魔術師の物語であり、男の刀使の物語であり、荒魂の物語だ。
しかし、この物語の主人公は、刀使でもなければ陰陽師でもなければ魔術師でもないし、荒魂でもない。
これは、どこにでもいるただの人間の物語だ。
始まりは刀使であっても、紡ぐのが陰陽師と魔術師であっても、引き起こすのが荒魂であっても、これは彼、九条時雨の物語。
強いて言うなら
さらにいって強大な荒魂との戦いに巻き込まれただけかもしれない。
しかし、それでも少年は自由を謳う。
もう一度言おう。
これは、刀使の物語であり、陰陽師の物語であり、魔術師の物語であり、男の刀使の物語であり、荒魂の物語だ。
だが、それらを巻き起こすのは、全て人間である。
故にこれは人間の物語。
用語解説
迅移
御刀の力を使って現実の時間の流れとは違う時間の流れの次元に飛び、加速する技
裂空魔弾
石などに霊力を纏わせ、指ではじいて弾丸の如く放つ技。込める霊力が強ければ大砲ほどの威力にもなる。が、使い方次第では相手の出鼻をくじく事も可能。
キャラ紹介
九条時雨
美濃関学院高等部二年
流派 不明
黒髪黒目、三白眼ではない。
美濃関に所属する男子生徒。以前に荒魂を市民を守っていたところを救援に駆け付けた可奈美と舞衣に目撃され、以来親しくなる。
戦闘力は、刀使でもないのに可奈美を余裕であしらえるほどであり、戦闘時は常に防刃素材の手袋している。
受け流しが非常にうまく、仮令、数段階の八幡力でも受け流す事が出来る。
とある剣術流派を習っていたが、ある事故によって剣を持てなくなり、それによって拳での戦闘スタイルにシフトした。
得意技は『魔弾』と呼ばれる
威力は喰らえば車に跳ねられたが如く吹っ飛ぶ。