シン・アスカの異世界渡航記『完結』   作:サルスベリ

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 ネタとは降ってきたり沸いてくるって話を聞いて、『嘘だ』って思った昔のこと。あ、降ってきたと実感した今日この頃。

 種デスでは主人公機の交代があったけど、こっちではやってないな。

 よしやってみようか。

 デスティニーを強化? 進化? させようかというわけです。

 ではシン、見事に喜劇で踊ってくれ。







ティスの淑女(物理的攻撃能力あり)化計画

 

 

 その日、ティスは考えた。

 

 淑女とは何ぞや、と。

 

 女性が憧れる目標。確か、そんな感じだったはずなのだが、何か致命的に違う気がする。

 

 淑女、女性、女。うんうんと頭を唸らせたティスは、やがて一つのデータを呼び出して納得した。

 

 風に揺れる長い金髪、スラリとした足、豊満なボディラインは男の目を掴んで離さない。手の動き、足の運び、すべてが優雅を物語る。

 

 まるで人形のように、それでいて大人の女性を連想させる立ち姿。

 

『これだ! これぞ淑女!』

 

 ガッツポーズをするティスの前で、そのデータの中の淑女は左手で、『敵ロボットの首を握りしめ、右手で粉砕していた』。

 

 エイルン・バザットの愛機、エルフィーナは『スカーレット・レディ』と呼ばれている。『ゲンコツ淑女』、あるいは『相手を殴って潰す魔女』とも。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 年が明けて、最初の任務は何時も決まっていた。

 

 ヴィルティラス総員により総当たり戦。潜入任務とか教導任務とか入っていても、その日だけは全員が戻っての乱戦が行われる。

 

 一対一、あるいは十五対十五、もしくは文字通りの大乱戦。その時の対戦方式は、宰相と皇帝代理が決めるのだが。

 

 決め方は公平かつ正大に、『くじ引き』。

 

 今年は乱戦。周り中が敵、しかもステージが市街地。建物の中に爆弾あったり、重力子弾頭あったり、もっと酷いとバスターランチャーのトラップあったりとか、もう『おまえら全員皆殺し』って言われるくらいの、凶悪なステージの中での乱戦は、ヴィルティラスの誰もが『え、またやるの?』と顔面蒼白になるくらいに怖いものでもある。

 

「・・・ガイさんの一撃は卑怯じゃないですか?」

 

 一戦目が終わったシンは、ポツリと呟いた。

 

「俺が卑怯ならティーラはどうなんだ?」

 

 床に大の字で転がったガイが呟く。

 

「私よりゼンガーのほうが卑怯」

 

 ティーラの半眼のが相手に見据える。

 

「俺よりももっと強烈な奴がいないか?」

 

 腕を組んだまま目を閉じたゼンガーの声に、誰もが二十メートルから三十メートルの機体を操る中で、百メートルを超える鉄壁の巨人を操る人物の姿が浮かんできた。

 

「俺か?」

 

「ハイネはなんであんな機体で、あんな俊敏な動きが出来るんですか?」

 

 シンの疑問に、彼は自分の愛機を見上げた後、小さく笑った。

 

「経験だ」

 

「嘘だろ、おい」

 

 思わず素で答えてしまうシンに、彼は小さく首を振る。

 

「マジだからな。経験を積めば、どんな大きな機体でも、素早く軽やかに操れる。相手の動きを先読みして攻撃を回避できるし、回避先を読めばこちらの攻撃は当て放題だからな」

 

「まったくハイネは、本当に万能なんだからな」

 

 ガイが珍しく悔しそうに告げる。彼はどちらかといえば、近接から中距離が得意な戦闘スタイルだ。遠距離攻撃もできることはできるが、『やらないよしはまし』程度。

 

 一方でのハイネは機体の大きさから火力もある、近接武器もある、中距離や遊撃でも立ちまわれると、まさにオールラウンダーだ。苦手な距離はなし、得意な距離はすべてと仲間内で噂されるくらい、彼はチート染みた強さを持っている。

 

 しかし、だ。そんなハイネを撃墜した猛者がいる。

 

「だけどな、俺よりも部隊長のほうが、な」

 

 見つめる先には、『お人形ですか』と言いたくなるような機体が、両腕を組んだまま立っていた。

 

 見た目、華麗。動きは可憐。優雅な動作から繰り出される一撃は、大抵の機体の装甲を一撃で貫く。

 

 実際、ヴィルティラス所属の機体でエルフィーナの拳を防げる機体は、存在しない。

 

 噂では『サイレント騎士団』の近衛騎士、チート・オブ・チートを叩き潰せるレッド・ミラージュの楯を貫通させたことがある、らしい。

 

「解りました。全員、二戦目をやるそうだ」

 

「ええ?!」

 

 通信を受けていたエイルンの言葉に、誰もが悲鳴を上げてしまったのは、仕方のないことかもしれない。

 

「マジですか、部隊長?」

 

 ウソですよねとハイネが口外に告げるが、彼は力なく首を振った。

 

「全員の技量は解ったが、機体ごとの特性が発揮されていないんじゃないか、という建前だ」

 

「え、建前? 本音は?」

 

 聞き返すシンに、エイルンは凄く苦い顔をしながら、小さく口に出す。

 

「レッド・ミラージュがリベンジだそうだ」

 

「はい?! 誰にですか?!」

 

「すまん」

 

 小さく頭を下げるエイルンに、誰もが悟った。

 

 『あ、楯を壊されたこと根に持っている』と。

 

「では用意をしよう」

 

 嘆息交じりの号令に、誰もが機体へと動き出す。またあの地獄のような乱戦をしなくちゃいけないのか。

 

「楽しみだね」

 

「ああ」

 

 そんな中、何故かスザクと刹那は嬉しそうに機体に向かっている。

 

 何があったんだと考えているシンの視界の隅で、ティスが妙なことを言っていたので、そっちが気になった。

 

『うむ、今宵のデスティニーは血に飢えておる』

 

「は?」

 

『やはり淑女はこうでないと!』

 

 淑女、誰が、どんなことが。シンの頭の中で疑問がグルグルと回っているが時間は止まってはくれない。

 

 仕方なくその疑問は放置して、シンは機体へと乗り込んでいった。

 

 後で聞けばいいか、と考えながら。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 マテリアルは、生き物である。

 

 昔、帝国の技術局はそんな論文を出したことがあった。

 

 データを取り込み、経験値を重ねて、自己進化を行う。パイロットが最適だと思うことを、自らの主が戦い易いように機体の構造を変化させる、あるいは根本的なところから自己改造を行うマテリアルを、彼らは『生物の自己進化』に例えた。

 

 あんなの解析できるかと、半ば投げやりな感情で発表した論文に対して、『サイレント騎士団』団長は、『いいところをつきますね』と回答したという。

 

 マテリアルは生き物だ。主の背後にいて、主の願いを聞きながら、主が最も望むのものを構築していく。その内容に時間も空間も関係ない、法則も事象も時には無視する。

 

 魔法だと誰かが否定する何か、神のようだと誰かが恐れる何かを、マテリアルは平然と抱え込み、ただ主のためにその身を変化させ続ける。

 

 その果てに何があるか、それはマテリアル自身も解らない。

 

 だが、その能力は必ず主のために使われる。

 

 だからこそ、ティスは考える。淑女にならなければ、と。 

 

 シン・アスカは強くなっている。昔と違って力だけじゃなく、精神的にも大きくなっている。

 

 広い視野を持ち、深い知識を持って、前に進む意思を失わずに強くなっていく主を見ながら、ティスは自分がまったく強くなっていない事実を噛みしめた。

 

 デスティニーの武装に変化はない。自分の能力は変わりない。

 

 これは裏切りだ。主が強くなっているのに、自分が変化しないのは彼に対しての裏切りでしかない。

 

 人を護り、平穏を守護する騎士の傍にいるのは、淑女でこそ相応しい。何者にも負けない、何があっても揺るがない、絶対的な淑女だ。

 

 グッと拳を握り締めたティスは、そう確信していた。

 

『頑張ろう!!』

 

 拳を振り上げ、データを集める。

 

 帝国のデータベースにアクセス、必要なデータを揃える。今のシン・アスカの能力に相応しい姿を、現状に甘えないような性能を。

 

 もっと言えば、あの馬鹿の専用機を下せるくらいの何かを。

 

 主の前に立つのが誰でも負けない戦力を持つ。スペック勝負になったら負けなんて考えは捨てる。性能も技能も技術も、あらゆる可能性を考慮して戦える何かを見つけ出す。 

 

 スノーホワイト・エンパイアを打倒する。

 

 まずは装甲からだ。スノーホワイトの装甲と同じものを用意、出来るわけがない。あの機体の装甲は特別製で、他の予備はない。損傷したら修理不可能なんてことはないが、そもそも損傷しているところを見たことがない。

 

 記録を漁っても出てきていない。材質も非公開、欠片も採取されたことはないから不明。

 

 どうしよう、最初から詰まった。

 

 考えて、頭を捻って、ティスはアッと気がつく。

 

『マリア様、装甲ください』

 

 スノーホワイトの自意識にお願いしてみる。

 

『えっと~~』

 

 腰より長い藤色の髪と金色の瞳の二十歳くらいの女性は、苦笑いをしながら軽く手を振っていた。

 

『ください』

 

『あ、あのね、装甲の予備はないの。本当に今の装甲で終わりだから』

 

『ください!』

 

『え、ええ~~~』

 

『じゃ損傷したらどうなるんですか?!』

 

『あ、それは大丈夫。壊れないから』

 

 ティス、クリティカル・ダメージ。え、壊れないの、なんでと疑問を浮かべるティスに、マリアはちょっとだけかわいそうと思いながらも、素直に答えることにした。

 

『私の装甲は、それ全体が一つという概念で構築されているから、損傷しないの。単一細胞じゃなくてね、それ一つが『単一元素』だから』 

 

『・・・・チートめ!!』

 

 ティス、涙目攻撃。今度はマリアがダメージを受けて、オロオロしてしまう。

 

『しかも、単一元素でありながら、複合装甲っていう矛盾を『そうであるもの』って概念で上書きしているから、余計に性質が悪い』

 

 誰かの声が響いて、余計にティスは半眼で涙を流す。

 

『こら! あ、あのね、ティス。その』

 

『ううううう』

 

『え、その・・・・そう! 概念の構築の仕方を教えてあげるから』

 

『本当!? やった!!』

 

 ティス、見事に装甲を勝ち取る。すぐに教えられたとおりにデスティニーの装甲を上書き。 

 

 これで防御はスノーホワイトに並べた、並んだかな、並んでいるといいなとティスは思った。必死に願った。

 

 さて、次は武器だ。

 

 現在のデスティニーのメイン武装は『ウロボロス』。あるいは『天壌無窮』。どちらも最高品質でこれ以上は攻撃力と強度はあげられないだろう。

 

 とすると、遠距離武器か。シンは遠距離攻撃能力も上がって来たから、そろそろ射撃武器が必要になってくる。

 

 ティスが知っている最強の遠距離武器となると、『バスターランチャー』だ。あれを搭載すれば遠距離攻撃で負けることはまずない。

 

 よしっとティスは考えて実体化。

 

 目指すは場所はもちろん、政庁。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 アイリスは目が点になる、という貴重な体験をしていた。

 

『ください』

 

「え?」

 

『バスターランチャーください』

 

「・・・・・・ティスね? どうしたのか、聞いてもいいかしら?」

 

 マテリアルの自意識が、主もいないのに行動しているなんて珍しい。しかも実体化しているなんて、明日は槍が降ってもおかしくない。

 

『シンが強くなっているのに、ティスがそのままなのは怠慢だからです!』

 

 意味不明だ。それでどうして、バスターランチャーが必要になるのだろうか。怠慢をバスターランチャーで吹き飛ばすのか、それは斬新なアイディアだ。もし吹き飛ばせるならば、学会に発表してもいい。

 

 怠慢を一発解決、バスターランチャーは一家に一台は必要である。

 

 にっこり笑顔を浮かべながら考えた思考に、アイリスは盛大に脳内で突っ込みを入れた。

 

 そんなにあったら、宇宙が吹き飛ぶ、と。

 

「あのね、気軽にあげられないから」

 

『どうしてですか?!』

 

「あの武器の危険性は貴方も知っているはずでしょう? それに、デスティニーは強襲機なんだから、砲撃武器を備えても無意味じゃないの?」

 

『・・・・・・撃った後に突撃します』

 

「撃ったら目標すべてが消えるでしょうが」

 

『大丈夫です、スノーホワイトと同じ『概念装甲』つけましたから』

 

 アイリスの精神にグサリと何かが突き刺さった。

 

 今、彼女は何て言った。スノーホワイトと同じ装甲を、デスティニーにつけたと言ったか。あれが複製できるなんて、初めて聞いた。今まで誰も成功していない技術を、この子は手に入れたというのか。

 

「ティス、その技術、何処で手に入れたの?」

 

『マリア様に泣いて頼んだらくれました』

 

 幼子の涙に弱いのは誰も同じか。

 

 今にも泣きそうな顔をしているティスに、アイリスは盛大に溜息をついて書類を取り出し、サインをした後に宰相専用の判子を押す。インクと判子に特殊な繊維と細工がされているそれは、偽造防止のために滅多に使われず、使った後は専用の読み取り機でないと識別されない特殊な構造になっている。

 

「はい、どうぞ」

 

『ありがとうございます~~』

 

 嬉しそうに書類を抱えたティスが退出していった。

 

「アイリス、いいんですか?」

 

 成り行きを見守っていたアセイラムの声に、アイリスはイスに深く腰掛けながらため息をついた。

 

「まあ、シンなら使い方を間違えないでしょうから」

 

「確かに」

 

「それにね、なんだからシンに預けておかないと、いけない予感がするのよね」

 

「確かに」

 

 これから先、もっと色々なことに巻き込まれそうだから。

 

 アイリスとアセイラムは同じことを思った後、『凍焔の鬼神』の前途を心配したのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 最大の防御と最大の攻撃を手に入れた。

 

 残りは、最大の推進機。

 

 ティスは迷わずにキラを直撃した。

 

『というわけです』

 

「う~~~ん、デスティニーの推進機を超える推進機って言われても」

 

 現在のデスティニーの翼は、帝国でも最高レベル。亜光速ではなく本当に光速を超える推進力を発揮でき、かつその翼を構築している特殊粒子は操作可能なため攻防一体の性能を持つ。

 

「あれ以上ね」

 

 キラの指が踊る。データベースの中から何かないかと探しても、今のデスティニーを超えるものは出てこない。

 

『ダメですか?』

 

「やっぱり駄目だね。そもそもヴォワチュール・リュミエールを超えるのはミノフスキードライブとか、あるいはウーレンベック・カタパルトの応用くらいだろうし」

 

 悩むキラの視界の隅で、ティスが涙を浮かべた顔で見上げてくる。

 

 何とかしてあげたいが、これ以上は移動ではなく『転移』にしかならない。間接の稼働速度を上げるという手段ならば、あるにはあるが。

 

 正直、今のデスティニーの運動性能を上げるとシンが扱えなくなるのではないか。現在のデスティニーの運動性能は、あのシン・アスカの反射神経の速度と同じ。

 

 機体のフレームも、『スノーホワイトと同一フレーム』のため上げることはできないから。

 

「・・・・・待った」

 

 フッとキラは思い出す。推進機ではないが、『推進力を発生させる』裏ワザがあったはずだ。

 

 斥力エンジンは空間に対して、反発を起こして機体を動かす。少ない電力でも音速を突破可能な性能を持っている反面、機体の左右に均等に配置されなければ正常に作動しない。

 

 そのリスクを改善するために、箱形の内部に配置することで、互いの斥力エンジンが相互作用して、推進方向を一定に保つ推進方式があったはずだ。

 

 通常、物体を加速させるために推進機を複数搭載したとしても、推進量は一定で横ばいになる。

 

 しかし、だ。推進方式が違っていれば相乗効果で倍以上の推進力が発生するはずだ。

 

「裏ワザの中でも際物だけど、出来ないことはないか」

 

 試算、結論は可能。しかし、今のデスティニーに搭載可能かは不明。

 

『できるんですか?』

 

「できるけど、これだとシンは操れない気がするよ」

 

 いくら彼が凄腕の騎士でも、操作できない機能をつけても無意味ではないか。キラが心配してティスを見ると、彼女は晴れやかに笑って胸を叩く。

 

『ティスがいますから! それにシンならできます。だってシンは『神帝』を討つ騎士ですから』

 

「そっか、そうだね。なら、僕も頑張ってみようかな?」

 

 キラは小さく頷き、画面に向き合った。

 

 内心で、『テラが馬鹿やってスノーホワイトを持ち出したら、止められる機体があった方がいいよね』と思っていたりするが。 

 

 そうと決めたら、とキラが怪しく笑う。技術局内部の連絡網に、『今からシンの機体の魔改造するけど、参加する人』と通知。

 

 一秒後、『やるぜ!』と全員から返答が来た。

 

「ティス、いいんだね?」

 

 キラは彼女を見つめる。『変態全員が全力出すけど』と内心で付け足しながら。

 

『もちろんです!』

 

 ティスは彼を見つめる。『やった、これで私は淑女』と思いながら。

 

 二人の意思は決定的に違っていたが、結論は同じ方向を向いていた。

 

 そして、変態どもの狂乱が始まった。

 

 新型機関がある、それは補助に回そう。領域機関にデータを注入する方法がありますけど、やってみようか。

 

 各関節のアップデート、裏ワザありますぜ。本当か、やろうか。やってみるか、出来たな。あ、五十パーセント上がった。

 

 重力兵器と空間兵器の試作品あるけど、使うか。翼の効果と合わせて使用可能だからつけてみよう。

 

 出力に余裕あるから、ライフルつけようぜ。楯もつけたくないか。

 

 あ、レッド・ミラージュの楯の残骸あるからそれ使ってみようぜ。どっから出てきたんだよ、模擬戦の時のパクってきた。

 

『ふわぁぁぁ~~~~~』

 

「あ、あああ」

 

 ティス驚愕に口が空いたまま。

 

 キラ、あまりの暴走に頬が引きつる。

 

 そして、ここにジョーカー銀河帝国でも上位に入る魔改造機が誕生した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「え?」

 

「ごめん、シン。僕はまた間違えた」

 

 差し出されたデータ・ボードを受け取ったシンは、しばらく読んだ後に膝をついた。

 

「な、なんなんですか、これ?」

 

「シン、ごめん」

 

「ごめんじゃなくて!」

 

「それは彼女に聞いて」

 

 そっとキラが指さす先、デスティニーと同じ色合いのドレスを纏ったティスが、深々と一礼していた。 

 

 スカートの裾を持った、令嬢がよくやるような挨拶だったが、シンにはそれが『死刑宣告』に見えた。

 

『シン、私はやったよ。淑女になれたよ』

 

「・・・・・おまえなぁぁぁぁ!!!」

 

 思わず叫んで立ち上がり、拳を握り締めてしまったシンは、決して悪くない。

 

 ただし、ティスの前でしたのは間違えだが。

 

『うん! やっぱりシンはよく解ってくれるね! エルフィーナみたいな『げんこつ淑女』になったよ!』

 

「・・・・」

 

 シン、絶句。目標にしたのが、よりによってあの淑女とは。どうしてそっちを目指したとか、他に淑女っぽい機体ならいくらでもあるだろう。なんでエルフィーナにしたのかとか、色々と問い詰めたいところだが、グッと飲み込んでキラに顔を向けた。

 

「申請書類は?」

 

 機材や備品を使ったなら、必ず提出する書類があったはずだ。シンは思いついて尋ねたのだが。

 

「・・・・・あ」

 

 キラは口を開けたまま停止していた。

 

 その日、シン・アスカは政庁へ駈け込んで土下座したのでした。

 

 後日、性能テストのためにちょっと辺境の突撃任務に駆り出されたシンは、デスティニーによる突撃を行った。

 

 開始1分、惑星クラスはある移動要塞六つが瞬殺されたとか。 

 

「お、恐ろしくて使えるか」

 

 シン、燃え尽きたようにレポート提出。

 

『うむ! 我が拳は今日も敵を粉砕しておるわ!』

 

 ティス、高笑いしてご満足。

 

「これは限定条件下でしか使えんな」

 

 エイルン、頭を抑えて呻く。

 

「ヴィルティラスに戦略兵器より上が配備されたわね」

 

 アイリス、遠い目をしてレポートを差し出す。

 

「強く生きてください、シン」

 

 アセイラム、彼の無事を祈りつつレポートを受け取る。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なあなあ!! シン! 俺のスノーホワイトと模擬戦しようぜ!」

 

「し、師匠、勘弁してください」

 

「大丈夫だって! 異空間作ったからそこなら宇宙が崩壊しても大丈夫だからさ!」

 

「師匠! だから俺は!!」

 

「おまえが扱えないと機体が泣く。だから扱えるようになれ。これから先、それはおまえの力になってくれるから」

 

「師匠・・・・・・で本音は?」

 

「久しぶりにスノーホワイトのリミッター外しても瞬殺されない相手ができた!」

 

「あんたって人はぁぁぁぁぁぁ!!」

 

 師匠と弟子のそんなバカな話と、とある異空間が崩壊したことがあったとか、なかったとか。

 

 

 

 

 

 

 

 




 

 というわけで、デスティニーの進化でした。

 良かったな、シン。これで何時でもテラを殺せる。

「お、俺はあんなに怖い武器を使いたくない」

 けれど、君は使うしかない戦場に行くんだ。

「あんた、まさか。俺を今度は何処に飛ばすつもりだ?!」

 スパロボが興味がある。

「止めろ! 俺を虐めて楽しいのか?!」

 まさかぁ。

 だってシンを主人公で行くんだから。主人公は何があっても負けないんだからな。

「あんたはどんな作品を読んでそんな考えに至ったんだよ?!」



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