どうやら俺は、この眼を持って生きていかねばならないらしい 作:けし
センター試験なう。
明日が山場ですぅ。怖いですぅ!
更新できなかったのは許してください。センター試験の大詰めなんです!
あと拙いのもお許しを。
「遅かったな」
「まあ、準備に手間取ったんスよ」
「あ、そう」
相変わらず、胡散臭い言動だ。
浦原の斬魄刀『紅姫』は、いっそ羨ましいくらいの万能性を持つ斬魄刀。その鋭い刃は何者をも斬り裂き、顕現する真紅の盾は全てを弾く。
誇張ではなく、事実、放たれた
俺の『唯式』は、そこまで万能ではない。
まあ、関係ない。俺に出来るのは、ただ殺すだけだ。
「で、
「ふん。俺たちの役目はあくまでも調査だ。まあ、その必要も無かった様だがな」
そう言って破面は、背後で治療を受ける黒崎一護を見た。いや、正確には、その治療を行なっている女を。視線を辿れば分かったことだ。
しかし、確かにこの女の能力には驚くべきものがある。時間回帰とでも言うべき、摩訶不思議な現象だった。確かに、狙われるかも知れないな。
不意に、破面が虚空に手を伸ばす。畳まれた指が、軽く擦れて音を鳴らした。
同時に、空間が裂ける。それは、藍染惣右介が消えていったあの穴と同じものだった。
「藍染様に報告しておこう。『黒崎一護は、殺す価値もない屑でした』とな」
黒崎一護は、悔しいのか、恨めしいのか。そんなごちゃごちゃした感情を目に映して破面を睨む。その目に意志はあるが、力がない。
破面からすれば、もはや興味の対象ですら無いのだろう。
「穂積織」
破面がその穴に足を踏み入れた時、不意に、俺の名を口にした。俺はゆっくりと目を向けた。
「貴様は俺が手ずから始末しよう。その力、並大抵の破面では歯が立たないだろうからな」
「へぇ、奇遇だな。俺もそう思っていたところだ。首を洗って待ってろ、破面」
「ふん、貴様が生きていればの話だがな。行くぞヤミー」
「あ"?わーったよ。おいカス共!テメェらいつかぶっ殺してやるからな!」
その言葉を最後に、裂けた口は勢いよく閉じた。
「あらら、敵サン帰っちゃいましたね。折角この携帯義骸準備したのに」
「良かったじゃないか。使わずに済んで。ただの身代わりだろ?」
「遊んでみたかったんスけどねぇ。ま、何も無いならそれで良いっス」
俺はさっきまで口が裂けていた虚空を見つめていた。真一文字に走る線を、俺の眼は捉えていた。
「いやぁ、流石穂積サンっスねえ」
「全くじゃ。あのヤミーとかいう
「夜一サンもそう言うんスか?というか、穂積サン、昔よりかなり強くなってませんか?」
「ああ。スピードでは、ともすれば儂をも超えかねんぞ」
辛うじて移動できる黒崎さん以外の、チャドサン達を抱えて、アタシ達は家へと向かった。
幸いにも、一般の人間にはこれといった被害がなかったから、抉れた地形の隠蔽だけ施してその場を離れた。
しかし、穂積サンも破面も、恐ろしいっスねぇ。
「あの人達、互いに本気出してなかったっスね」
「そうじゃな。して喜助。お主の切り札、どこまで進んどるんじゃ?」
「アレは奥の手っスよ。まあ、そう遠くないうちに出番は来るでしょう。黒崎サンの力も、彼らに強化してもらいます。あと未知数なのは…」
「藍染側の戦力と、穂積織…か。そういえば、穂積はどうしたんじゃ」
「彼にはそのまま帰ってもらいました。明日、ウチに来るように言ってあります」
現在、霊体であるアタシ達は、常人には見えない。時折佇む地縛霊達も、ただアタシ達を認識するだけで、干渉はしてこない。
「さ、着いたっス。全員、部屋に寝かしといて下さい。井上サンの治療で、怪我自体は殆ど回復してますから、あとは目を覚ますのを待つだけっス」
「分かった」
卓袱台のある居間から、さらに襖を隔てた奥に、布団を敷いて寝かせる。あまり広くはないから、少々窮屈になるけども、まあ問題はないっスね。
夜一サンは猫になって寝てるし、鉄裁サンはジン太や雨と
じゃあアタシも、自分のやる事をやることにしましょう。
そう思って、アタシは襖を閉じた。
その日、あっさり戦闘は終わった。案外味気ないファーストコンタクトだった。俺にとっては、非常に興味深いものだったが。
細っこい方の破面は、何となく俺と似てると思った。
人並み外れたという意味ではなく。それは、伽藍堂という意味。まるで感情の浮かばない能面は、多分そういう意味だ。
家に帰り、義骸に入った。霊体が本体のはずだが、元の鞘に収まったと感じたことに、少しため息を漏らした。
その日の昼も半ばを過ぎていて、現世でいうおやつの時間に近い頃合いだった。
橙子から幾ばくかの金を受け取っていた俺は、取り敢えず昼食を適当に見繕うことにした。家にいてもただ暇を持て余すだけだから、こうして外に出るのは、丁度いい暇つぶしだったと言える。
近くのコンビニで、目に入った弁当を手に取り、それを買った。ついでに水を何本か。
流石に外で食べるのは憚られたから、家に帰ろうとしたところで、ふと思い出した。
「そういえば橙子のヤツ、この辺りにいるって…」
住所を貰ったが、尸魂界住まいの俺に、現世の住所など分かるわけもなく。ただ、あの廃ビル群の中に居を構えているという話だったから、適当な廃ビルに足を踏み入れた。
底抜けの青空とは真反対の、どんよりとした廃ビル。暗く、重い雰囲気は、そのビルをより朽ちた物に見せていた。
二階、三階と階段を登り、丁度人の気配がしたところで、その扉を開いた。薄っすらと錆が浮いていたが、それほどボロくはなっていないらしく、思ったよりスムーズに蝶番は回った。
「ん?あら、織じゃない。なに、寂しくなったの?」
「いや。ただ近くに来たからな。暇だったから来ただけだ。飯、食っていいか?」
「別にいいわよ。なーんだ、私の分も買ってきてくれれば良かったのに」
「何で俺がそんなことしなくちゃいけないんだよ。買うなら自分で買ってくれ」
「つれないわね」
書類や本が山のように積まれた中、人一人が通れるくらいの動線は確保されていた。黒革張りのソファーに身を委ね、応接出来るくらいの体を成している机に、温めてもらった弁当を置いた。
「そういえば橙子。オマエ、何の仕事してるんだっけ?」
「あら、言ってなかったかしら」
俺がふと思った疑問を口にすると、態とらしく一息入れて、橙子は言った。
「ここは『伽藍の堂』。建築デザインなら何でもござれ。そんな所よ」
「へぇ。そういえば浦原商店設計したって言ってたっけか。つーかオマエ魔術師なんじゃなかったのか?」
「人前じゃ名乗らないわよ。普通の魔術師なら、こんな事もしないだろうけどね」
へぇ、と唸った。奥の台所……の体を繕った水道で沸かしたコーヒーが、妙な現実味を誘った。
穂積様ロックオン()