どうやら俺は、この眼を持って生きていかねばならないらしい   作:けし

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ブリーチ3話記念に初投稿です。

原作復習せねば。まったく覚えてないぞよ。
誤字報告、感想、ありがとうございます。返信はできてませんがちゃんと読んで、ヨシと心のネコが叫んでます()


#2 Blue On The Red

 

 事の委細と所感は、まあ仕事だしと書類上で報告した。そして面倒ながら当然、戦闘した当事者として隊首会議にも呼ばれた。多くの下級隊士が亡くなったという初っ端の報告のせいか、暗く澱んだ雰囲気になった隊首会議だが、その中心となった議題は言うまでもない。

 

「それで、穂積織。キミの意見を聞こうか」

 

 今や瀞霊廷のあちこちで話題となっている旅禍の件だ。直接戦って生きているのが俺と雀部しか居らず、後者は未だベッドの上であるから、こうして俺は仕方なくここにいるわけだ。

 嫌に耳に響く声は、ここ最近かぶり物とメイクの変遷が多い涅マユリのもの。現世で突如起きた虚の急速且つ一方的な殲滅と流魂街住民の突然の消失、そしてそれと時を同じくして起きた今回の襲撃。何者なのか、という問いに対して、恐らくアイツの中ではとっくに結論は出てるんだろうが、そそるようなものはなかったのだろう。涅は至極つまらなさそうな表情だった。

 

「意見も何もないぞ。あるのは結論だけだ」

「構わんヨ。話したまえ」

 

 やっぱり。しかし、どうせ俺の結論を補完するために総隊長の爺さんから白羽の矢を打たれるんだ。遅いか早いかだ。

 深く息を零して、直感任せで納得のいく言葉を押し出していく。

 

「結論。奴は滅却師(クインシー)だ」

「その根拠は」

 

 俺の言葉に涅以外の各隊長が少なからず驚きを見せる中、総隊長の爺さんが湛然と問いかける。

 

「直感だが、敢えて言うなら奴が持ってた武器と戦い方だ。恐らく技術開発局が解析してるとは思うけど、アレの武器には星の意匠があった。黒崎の仲間の滅却師と同じやつ」

 

 そう言うと、大体のヤツはイメージができるだろうか。……多分無理か。主に更木剣八。

 

「あと、霊子を集めて圧縮、それを武器として使う、撃ち出すって戦い方も同じ。科学者サマには短絡的に聞こえるだろうけどな」

 

 軽い気持ちで科学者サマをなじって、それで話は終わりだ。後は魂魄消失の件やら何やらの話が交わされたが、それほど間をおかずにやたら重苦しい話から俺は退けられた。仕方ないのでその足で隊舎に戻って、そのままふらりと歩き回っていた。

 そういえば会議の途中、雀部から聞いたのか、卍解を奪われるという話を総隊長が切り出した時の驚き様と言ったら、一周回って面白いくらいの代物だった。涅はそれについても調査をしているらしいが、悪いけどこれは浦原喜助の領分な気もする。

 どんよりした空気が立ちこめる外へ出れば、空は雲量8程度の、曇りみの晴れみたいな模様。申し訳程度の青も、すぐに隠れてしまった。まあ、内から外、そんな感じで空気が変わるだけでも気分は変わるものだ。

 肩と首を軽くポキ、と鳴らして、肺から勢いよく嫌な空気を吐き出していると、会議が終わったその足で、後ろから浮竹隊長がやってきた。

 

「災難だったな穂積。よく生きていてくれた」

「土産渡しに行っただけなのに、って話ですけど」

 

 全くもってその通りである。形を気にするような土産でなかったから良かったというものだ。

 すると、そういえばと思いついたように浮竹隊長が手を叩いた。

 

「行木と斑目も、現世で虚と交戦して大怪我をしたらしいぞ」

「なんでアンタが先に知ってるんだ」

「いや、君が伝令神機を部屋に置き忘れてたんだが」

 

 通知に律儀に反応したのかこの人。いや、置き忘れてた俺にも非はあるんだろうけども。置き忘れに関しては素直に謝って、その2人の話を聞くことにする。そういえば帰ってきたんだっけか。四番隊にいるらしいが、まだ報告も聞いてないなとそこまで聞いて思い至った。

 

「2人とも重傷だったそうだが、一護君たちが助けてくれたそうだ。揃って無事らしいぞ」

「面倒なタイプの借り作っちまったかなぁ。礼くらいはしとかなきゃか」

「そうだな、いくつか土産も見繕っておこう」

「次はこっち(尸魂界)の土産か……」

 

 気分は運び屋、あるいは小間使いか。これだから借りは作りたくないんだ。相手が黒崎一護だからまだマシなのだろうが、これが浦原や涅だったら目も当てられない。

 現世に行く機会を作るか、あるいは黒崎一護たちがコチラに来るか。何にしてもタイミングが合えば渡すくらいの感じで行こう。どうせ向こうもそれほど重く考えちゃいないんだろうし。

 

「しかし、滅却師か……」

 

 また浮竹隊長が暗い顔で暗いことを話し出す。現隊長格でも古参で、身体こそ弱いものの、霊圧に関しては割とえげつないものを持っているウチの隊長は、憂うときの雰囲気が絵になる。──という俺の現実逃避。

 死にやすそうで死ななさそうな、そんなこの人の不思議な(赤と黒の)景色は、初めて見た時から今でも忘れられない。

 そしてその感覚とは似て非なるけれども、あの滅却師の中にもそんな線があった。

 

「殺せば殺すだけ上がる霊圧……ってのは、流石に滅却師のデフォルト能力とは思いたくないけど」

「なんでそれを言わなかったんだ?」

 

 独り言のような呟きに、叱るでも責めるでもなく、純粋な疑問としてそう問うた浮竹隊長に、俺は確証がないからとしか答えられなかった。あれがそういう能力なのか、それとも暖気運転の代わりの殺戮なのか、という話である。

 

 ──まあ、終わった話ではあるが。それは始まりでもある。

 

「何にせよ、俺らは宣戦布告された側です。どうせすぐに来ますよ」

 

 ドンとほら、世界の死に際。青く塗りつぶされて目に痛い、赤い世界だ。

 

 

 

 

 

 

 

 青く立ち上がる柱は、間近で見れば最果ての柱にすら見えてしまう。世界を支えるには不甲斐ない脆さだが、その威容は滅却師の面子を見せつけるには十分だったんだろう。

 

「ぐあっ!」

「あ“あ"ぁ」

「数が多いし、普通に強いぞコイツら」

 

 早速かと舌打ちして浮竹隊長は別の場所に駆けていった。お陰で自由なのはいいが、如何せん数の多さが鬱陶しいことこの上ない。

 それにコイツら、分かってはいたけど手数も多い。近距離から遠距離まで、武器の揃いもいい。……死神にも言えることかコレ。

 

「ちっ、『破道の三十三・蒼火墜』」

 

 一対一を繰り返すのは悪手。疲れるから。だから纏めて吹き飛ばしたいと思うが、コイツら破面かそれ以上に硬いんだが。少なくとも蒼火墜程度ではかすり傷くらいにしかならない。

 

「なぜ静血装(ブルート・ヴェーネ)が効かないのだ!?」

「この、死神風情が!!」

「この男、まさか!?」

「はいはい」

 

 空っぽの義務感──要するに仕事だから。ポリシーはあるけどそれはそれ、これは穂積織という人間のやるべきことである。

 便利なものがあれば手を伸ばしてしまうのは(さが)というものだから、このくらいなら許して欲しいものだ。式は多分つまらなさそうにしてるんだろうし。

 線を斬って点を刺す。硬さ自慢の盾も、死ねば土くれ同然。鍛えたであろう腕を、俺の刀があっさりと切り捨てていく。

 積み重なる死体の山を見れば、この前の滅却師のことを言えないなと自嘲の声が溢れてくる。

 

「うお、霊圧が荒れ狂ってるぞ……」

 

 隊長格も参戦して、瀞霊廷は混沌としていた。こんな中では下級席次の隊士は肉人形も同然だろう。

 面倒なんだろうなぁ、と当たり前のことを考える。

 歩けば即座に殺気の筵。過剰殺意の海を渡りながら、波間から跳ねてくる矢を叩き落として、またも山を高くしていく。

 どうにもヘイト集まりすぎな気がするけど、探す手間が省けるので妥協だ。

 

「さて、どこから行こうか」

 

 歩を進めれば、血の海の中。それでも隠せない脆い世界の感覚も、もう慣れたものだった。

 

 





辻褄合わせに苦労する、そんなガバガバ具合です。許して。

・『唯式』
穂積織の斬魄刀。刀身を振るった軌道上に、不可侵の境界を作り出す鬼道系の斬魄刀。権限が高い、とでも言うべきか作られた境界は絶対不可侵に等しい。
なお、パッシブ能力として、一定範囲の空間に対する外部からの干渉を拒否するという力があるが、穂積織本人はあまり気にしていないし死に能力とか謎ですらあると思っている。

『???』<役に立つわよ?きっと、ね?
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