どうやら俺は、この眼を持って生きていかねばならないらしい   作:けし

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資料の用意、資格試験、……時間なくね?

というわけで#4です。この人が生きてると獄頤鳴鳴篇は始まりそうにありませんし、何もかも変わりますねぇ(白目)

初代護廷十三隊とかいうワクワク要素に更に不老不死ちゃん(くん)とか抜雲斎とかいう巨乳眼鏡とか、やっぱり四楓院は四楓院だったとか、やっぱりBLEACHってすげーっすね〜。
(その同刊でさらに斜め上をいくネーミングを見せる西尾維新様にはもう頭が上がらぬという笑笑)



#4 Re.play is not to do most

 

 

 虚圏(ウェコムンド)。濃密な霊子密度が原因してか、開闢以来不毛の大地が広がる世界だ。

 

「何故だ、貴様、虚圏がどうなってもいいというのか!?」

「彼女がどうなろうと、僕は興味が湧かないね」

「ハリベル様が、ハリベル様がいなくなれば、お前だって──」

 

 破面の女はそこで悟ったように言葉を切った。無意味だと感じたのだ。

 相手は稀代の変人だ。真っ当な話で説き伏せるなど不可能なのだ。

 だが、あるいは。求める環境が保障されなくなればと。一片にも満たない糸に縋りたい。今は、ただそれだけだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「霊子を、吸収してる……!?」

 

 虚圏は尸魂界と同じく、万物が霊子で構成された世界である。滅却師完聖体とキルゲ・オピーなる男が呼んだ力は、虚はおろか、人も、能力すらも、問答無用で徴収し続けた。

 

「ぐ……」

「茶渡くん!」

 

 アヨンなる怪物を吸収したせいか、その姿は神聖さとかけ離れた異形と化していた。霊子の徴収は止まることなく、井上織姫と茶渡泰虎は死をも覚悟した。

 

「っ!?」

 

 徴収が止まる。突然の攻撃に、キルゲの強奪の手が止まった。まるで銃声のような音に、井上と茶渡は首を傾げた。このような場所にそんな武器は存在するはずはないのだ。

 だが、そんなものを考え得る存在がここにはいるのだ。

 

「──全く、先程から五月蝿い奴らだね。静かにしてくれたまえよ」

 

 遠くから来たはずの声は、やけにはっきり耳に届いた。

 

「ティア・ハリベルももう少し王らしく守ってくれれば良かったんだけど、それは過ぎた話だね。──さて、滅却師」

 

 毒々しさを感じさせるピンク色の髪。ねっとりとした声。破面を除けばこの場の全員が初対面のはずなのに、この男がどういう人間かは、皆一瞬で理解した。

 

「研究の邪魔をしてくれたんだ。サンプルになるくらいの償いはしてもらおうか」

 

 滅却師は貴重だからね、と言葉と裏腹に愉しげに笑う男に、キルゲは苛立ちを込めながら努めて丁寧に言葉を選んでいく。

 

「……貴方は何者ですか」

「……そこからかい? 僕の名前を告げることに、メリットは感じないが……。それより僕は君の名前の方が知りたいね」

「質問に答えなさい」

「急かすなよ滅却師。ただでさえ美しくないその姿が、さらに目も当てられなくなるぞ?」

 

 そこで男は辺りを見回して、やっと自身への視線を感じ取った。なるほどと、意味もわからないままにくつくつと笑って。

 

「僕はザエルアポロ・グランツ。科学者さ」

 

 しん、と鎮まりかえる空間に興味もなく、スタスタとザエルアポロは歩を進める。

 

「再現性はまずまずか……。やはり僕が直接この目で見なければ、これ以上の正確さは出力不可というわけかな……?」

「……何をしているのです」

 

 あるはずのない銃声が、不毛の大地を穿った痕──銃痕を指で撫でながら、そこにキルゲの不快な苛立ちを含む声が投げかけられた。

 ザエルアポロは口角が上がった笑みの顔のまま、大層上機嫌に、まるで自慢話を友に語るかのごとく、大袈裟なジェスチャーを加えて語る。

 

「穴蔵から拝借してきたものの試運転と確認だよ。最近やっと出来上がったものでね」

「……意味が分かりかねますが、まあいいでしょう。あなたもここで死になさい」

「死──か」

 

 その言葉にピタリと、ザエルアポロは手を止めた。そして徐に立ち上がり、ここで初めて滅却師の姿に焦点が合った。

 

「死を克服する。僕の至上命題さ。循環の中の一プロセスにしてしまおうとした結果が、我が帰刃(レスレクシオン)の奥の手だがね。しかしまあそれでは足りないんだよ」

 

 不満と愉快さを同時に含む声音に、募るのはキルゲの苛立ちとキルゲ以外の困惑だ。

 

「穴蔵の禁忌、直死の死神。こんなものがあると、殺されることによる死が克服できないんだ。僕の命が他人の天秤の上、などというのは我慢ならない。だからまずは、手始めに禁忌を解こうかとね」

 

 ザエルアポロが掌大の()を持つ左手を掲げると、途端その周りに霊子が集まり、今度は何と滅却師の矢が弾幕を張り始めた。

 

「なぜ破面如きが、我らが神聖滅矢(ハイリッヒ・プファイル)を!」

「生きていたら、是非とも感想を聞かせてくれたまえよ。滅却師」

 

 ザエルアポロの霊圧で作られた弾幕の矢に飲まれ、キルゲの断末魔は轟音に掻き消されるのみだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふむ、結果は上々といったところか」

「あれはアタシも知らないモノでしたが、何なんスか?」

「さてね。現象の解析はお手のものだろう? 浦原喜助」

 

 ザエルアポロはやはり機嫌良く、浦原喜助は未知の現象に疑問が絶えない。

 

「なんというか、妙な既視感を覚えますが……。穴蔵の禁忌っスか、あとで聞いとこ」

 

 その宛てが誰かは言うまでもないだろう。

 

「それで、結局アレは何なんスか?」

「答えが欲しいのか? 僕はどうやら君を過大評価していたようだな」

「それは結構。……所有者の意思を反映する、まるで崩玉のような力。アテにするつもりは有りませんが、害の有無くらいは判断しておきたいんス」

 

 そう言って浦原喜助が目を向けたのは、ザエルアポロの手にある()()()()()だった。掌サイズのそれは何の紋様もなく、無機的な存在感を見せる。

 

「君が創った崩玉は意志を持ってしまった。それはそれで面白いが、未知数の可能性であると同時に、未知数の欠陥でもあった」

 

 かつての己が創り上げた、全ての始まり。破壊すら儘ならなかったはずのそれは、藍染惣右介と共に消え去った。だが、あってはならないものと分かっていても、それをこういう形で指摘されるとムッとくるものがあった。

 しかし押し留めたつもりの不満は、どうやらザエルアポロには分かってしまったらしい。

 

「そんな顔をするな、不満に思うのは分からんでもないよ。だが、この手のモノに意志が宿れば、我々の手を易々と超えていくのは明らかだ」

「それはそうスね。ですが」

「未知を明かしたいなどという探究心故ならば、それでも構わんさ。だけど僕にとって、あれらは道具に過ぎないのさ。道具に意志など不要だろう?」

「ならソレは、意志の無い崩玉だとでも?」

 

 そう思えば、のっぺらな箱の存在感が重くなる。分からないことの不気味さが、ズシリと音を立てるような。そんな存在感だった。

 しかしザエルアポロは、それに否という。

 

「これは私の意思や心を取り込むことはない。ただただ無機的に値を取り込み『値』を吐くだけさ」

 

 ──ただの『値』では、ないのだがね。

 

 その一言に、深い意味があることは分かった。それだけだ。

 

「……分かりました。アナタが無造作に使うことはないでしょう。それに恐らくその箱が影響する範囲は、そこまで大きくないはずですし」

「はは、やはり先ほどの言葉は撤回しようか。……君は恐ろしい科学者だよ」

 

 してやったり、と目元に少しだけ喜色が滲む浦原喜助はそれを隠した。本心を悟らせない飄々さはいつも通りだ。

 

「瀞霊廷が侵攻されているのだろう? 涅マユリから知らせは受けていたんだ。奴に死なれては困る」

 

 そうそう死なないだろうが──、という台詞は、涅マユリへの理解が成せる発言か。浦原喜助は意外な繋がりに少し驚きを覚えつつも、これ幸いとザエルアポロの手を借りることに成功したのだった。

 

「ついでだ。暇してるあの男の手も借りておけ。ちょうどネコ科だ」

「アハハ、そんな可愛いものでもないでしょう。虚ですし」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 星十字騎士団(シュテルンリッター)は護廷十三隊に対し、戦力で圧倒していた。卍解を使うことが出来ず、隊長格すらもその凶刃に防戦するしかない状況で、辛うじて致命的に至っていないだけだった。しかしそれも、最早時間の問題である。

 

「やれやれ、大変なことになったねぇ」

 

 京楽春水は、生来の軽薄さをこの期に及んでも変えない。いつも通りでいられることが、彼の強みだ。

 

「思った以上に()()な、貴様らは」

「そりゃどうも。アンタこそ強いねぇ」

 

 解放した京楽の斬魄刀『花天狂骨』は、児戯のルールで戦う斬魄刀。影や色を始めとする鬼事が多いが、どうも興が乗らないらしい。京楽のリズムが作れない。

 

「どうしてボクの相手には銃使いが多いんだろうね」

 

 破面の戦いでもそうだったことを思い出しながら、間合いの不利をどうするべきか、京楽は思考を止めない。

 今のところ相手の滅却師──英国紳士風の男は、あまり動きを見せていない。瞬歩1つで潰せる間合いを、京楽相手にさせない技量は賞賛に値するだろう。

 

「他もそれなりに苦戦しているな。あと少し脆ければ、既に終わっていたものを」

「護るのが本業だから、簡単にはやられてあげられないんだ」

 

 刀と銃身が火花を上げる。ギアを上げた京楽は、より間合い詰めていく。銃床で殴る方が──とすら思える間合いにあって滅却師は銃身で鍔迫り合いながら、銃の間合いを維持すべく銃口を走らせる。

 

「卍解は使わんのかね」

「奪いたいんでしょ、知ってるんだよこっちは」

「使わねば勝てぬというのにか」

「使ったら負けちゃうからさ」

 

 それに、と京楽は1つ息を入れた。我が師の霊圧が、その腰を上げたのが分かった。

 

「やぁっと、動いたみたいだしね」

 

 京楽が口角を上げて笑うと同時。絶望の青い柱から、希望を見出す赤い柱が噴き上がる。炎熱系最強最古の斬魄刀を手に、最強最古の死神が動いた。

 

『賊軍は全て、儂がこの手で叩っ切る』

 

 激しい憤怒に、久しく己が本気を振る舞える歓喜が一雫(ひとしずく)。千年前の因果を清算すべく()え上がるのは、殺伐たる殺気を湛えた剣の鬼である。

 

 

 

 




オリ主以外の乖離要素
・藍染惣右介の死亡
・朽木白哉が勝っちゃった
・ザエルアポロとかいうmad科学者 ←New!
・山爺の本気モード ←New!
・キルゲが何もせずに退場 ←New!!

黒崎一護が間に合っちゃいますし、にしたってうちのオリ主がぶっ飛んるんだよなぁ()


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