どうやら俺は、この眼を持って生きていかねばならないらしい   作:けし

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何気にランキング入ってた!すげー嬉しかったです。
それにしても、過去編長えな。偏に、作者の文才の無さよな。
まあ、目処は立ってるから。お付き合い下さい。


6

 その後、俺は海燕の墓参り──というよりもあそこは志波家全員の墓だけど──を済ませて、そこを離れようと踵を返した。

 さっきも言ったが、ここは西流魂街の外れで、滅多に人は立ち寄らない。と言うわけで、誰もいない内に戻ろうとしたのだけれど。

 

「なんで死神ごときがこんなトコに居やがんだよ!」

「……誰だよ、オマエ」

 

 唐突に絡まれた。

 見た目が、いかにも不良ですって奴がやってきた。いや、それだけなら良いんだが、どうにもそいつの目的が、俺とダブってるらしい。手にしていたおはぎを見て、ああ、アイツ(海燕)の好物だっけ、と気づいたから。何でもかんでも、食べるのが大好きな奴だったらしいから。

 

「あ"あ"!?テメェから名乗りやがれゴラ」

「…はぁ。オマエ、面倒くさいな。まあいいや。俺は穂積織。で、オマエは?」

「オレぁ志波岩鷲、西流魂街一の死神嫌いたぁオレの事よ!って聞けぇ!!?」

 

 うるさい。こういう犬みたいに吠える奴は、ほったらかすのが一番ってよく言うが、極論殺した方が早い。そうしないのは、ただそいつを殺す理由がないだけで。

 

(あれ?「絡まれた」だけで殺す理由になるか?)

 

 思わず背中のナイフに手を伸ばしかけたが、それを辛うじて押し留めた。押し留めたのは、志波家と事を構えるのが面倒だというのと、海燕の墓参りが出来なくなることへの危惧のみという、人間として有り得ない認識だったが、俺は特に何も違和感は感じなかった。

 と言うかそれよりも気になった事がある。

 今こいつ、「志波」って言ったか?

 

「『志波』…?ああ、オマエ海燕の親戚か何かか?」

「!テメェ、アニキを知ってんのか」

「そりゃあ、霊術院の同期だしな。酒も飲んでた」

 

 アニキって…。弟いたのか。似てなさすぎるだろ、コレ。一周回って面白いな。そう思っていると、対面の男は、思い出したかの様に言った。

 

「ん?『穂積』つったか?オイ」

「は?何言ったかと思えば…。馬鹿なのか?……ああそうだよ」

「反射で罵倒すんじゃねえ!チッ、じゃあ、テメェがアニキの親友だったっていう…」

「…もし海燕が言ってたなら、多分俺なのかもな」

 

 確信はない。なぜなら、海燕との記憶は全て、記録としてしか認識できないから。第三者としてそれを、映画の様に見るわけだから、実質他人事だ。

 目の前で何やら唸っている男が、正直ウザく感じてきた。芯の強さがあるのは分かるが、今の俺にとっては、毛ほどの価値もない。下を向いて唸ってるなら、帰ってしまおう。

 

「オイ、オマエ面倒くさいから帰るぞ」

 

 一応一言残して行く。どうやら俺もコイツもそこそこな頻度でここに来るらしいから、また会うかも分からない。その時に絡まれたら面倒だ。

 俺はそのまま、僅かに回復したなけなしの筋肉を動かして、瞬歩を使う。元々敏捷特化だから、それだけで十分に移動できる。

 シュッ、という瞬歩特有の地を蹴る()()()()()()、俺はその場を去った。

 

「んあ!?アイツどこ行きやがった!!?」

 

 その一瞬後、お間抜けな男の喚き声だけが、山びこのように俺の耳に届いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後、無事瀞霊廷内の隊舎に戻って来た。西流魂街は、元五大貴族の志波家のテリトリーだからだろうけど、死神に対する風当たりが強い。元々アイツらも死神のはずだが、多分海燕が死んだからだろう。

 人の感情は複雑怪奇だ。分かっていても、止まらない。理性ではなく、本能の領域下だ。故に、制御が効かない。仮に感情を制御できるのなら、ソイツは恐らく、俺以上に空っぽなんだろう。

 

「ああ、穂積殿。帰って来たのですか」

「朽木か。どうしたんだよ」

 

 建物の縁側で日向ぼっこをしていた俺を見つけた朽木は、すこし言いづらそうな事を言いたいのか、口籠ってしまった。

 遠慮されるのは嫌いだ。だけど、親友が死んだショックを引きずってると思われているらしく、十三番隊の隊士達は皆、話しかけるのを遠慮してる節がある。それに関しては、一々訂正するのも面倒なので、諦めた。

 しかし。

 実際、当の俺がその事に対し、ショックをほとんど受けていないと知ったら、コイツらはどう思うのだろうか。軽蔑か、畏怖か。どちらにしろ悪感情を抱くのは間違いないだろう。しかしそれは、俺にとっては、別にどうでもいい事だ。今の俺は、コイツらとは根本でズレている。だから、いつまでも同じ所には居られないだろう。

 まあ、今は余計なことは考えなくていい。波風は立たないに越したことはない。

 

「それで、何の用だよ」

「はい。…私に、修行をつけて貰えないでしょうか」

「修行?オマエ確か、海燕につけて貰ってたんじゃなかったか?」

「その通りです。しかし、海燕殿が居なくなって、私はまた、道を見失いそうで…」

「それで、俺を?」

 

 こくこく、朽木は首を縦に振った。コイツの斬魄刀は確か、氷雪系だったか?一回始解を見たけど、普通に刀だったはず。槍使いのアイツ(海燕)は、コイツに何を教えたんだ?

 でも、俺もリハビリしなくちゃいけないから、丁度良いのかもしれない。

 

「浮竹隊長、この事に何か言ってたか?」

「『アイツのリハビリがてら、一緒にやって来い』との事です」

 

 お見通しか。たしかに分かりやすいけれども。人に考えを読まれるのは、苛立たしい。だけど、それが的を射てるのも事実。気は乗らないが、やった方がいいのだろう。

 俺は、嫌そうな顔をしながら、腰を上げた。

 

 

 




実は穂積くん、斬魄刀の能力はほぼ決まってます。
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