Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義 作:ヨツバ
いやあ、今回も魅力的なキャラばかりでした。
卑弥呼…良いですね。そして敵キャラの芹沢さんも良かったです。
特に戦闘BGMが良かった。
さて、それよりも本編をどうぞ!!
そろそろ4章も佳境です。
502
変身した益州の劉備を見て某、ニチアサヒーローを思い出さずにはいられないが今はそれどころではない。
素人でも分かるくらい『強さ』を感じ取る事が出来るのだ。
「どうだ劉備。この力を知っていたか?」
桃香は宝剣『靖王伝家』にあのような力があるなんて知らなかった。ただ中山靖王の末裔を証明する1つくらいしかなかったのだ。
「覚悟ある者にしか発現できない。この宝剣に認められたからこその姿だ。これがどういう事が分かるか劉備?」
「ど、どういう事ですか」
「私が貴様よりも本物の劉備だという事だよ!!」
跳躍した益州の劉備が宝剣を振るう。生身だった時よりも動きが速い。
「桃香!?」
「させません!!」
今度は蘭陵王が桃香を守るために受け止めた。
剣の重みが違うが実感できる。宝剣開放により身体強化が成されている。
「桃香に手を出すな。相手は俺らだろうが!!」
益州の劉備に向けて剣を振るうが避けられる。
「天の御使いはそこで倒れていろ!!」
「うわっ!?」
薙ぎ払いの衝撃で吹き飛ばされるが何とか受け身を取って立ち直す。
「行くぞ!!」
宝剣を縦横無尽に振るって蘭陵王を狙うが全ての斬撃に対応する。
「せいっ、はあっ、どうだ。これが宝剣の力だ!!」
「確かに凄い力のようですね。しかし斬られるつもりはありません」
激しい剣戟が繰り広げられる。
一太刀、一太刀が速く重い。十字に斬りつけてきたりと容赦のない斬撃。
「はあああああ!!」
連続の刺突。横一閃に薙ぎ払う。
「どうだ!!」
益州の劉備は宝剣の力を開放して想像以上に強くなっている。その強さを桃香に見せ付けているのだ。
「どうだ劉備。この宝剣の力は!!」
その証拠として彼は蘭陵王と戦いながら桃香に話しかけているからだ。
「宝剣の力は凄いだろう!!」
宝剣『靖王伝家』に変身機能があることが相当な驚きであるが変身後の身体強化も驚きだ。
彼、本来の実力は分からないが変身後は愛紗や翠をも匹敵しているかもしれない。もしくはそれ以上の実力だ。
「解放する事でこれだけの力を得られるのだ。この力を知っていればもっと上手くやれたはずだ。もっと多くの誰かを救えたかもしれなかったぞ劉備!!」
力があればもっと多くの人を救えたかもしれない。確かに力が大きければ大きいほど比例して救える範囲も広げられる。
結局のところ『力』があれば何でも出来るということだ。現代でも武力や財力などがあれば何でも出来る。
道徳だけでは救えないものもある。特に乱世の時代こそ武力と財力があれば救えたものは多い。
「戦いは嫌だと言うが貴様は結局のところ力を求めているはずだ!!」
似たような事を曹操にも言われたのを思い出す。曹操との会談も言われっぱなしであった。
「さっきから黙りっぱなしか劉備。何とか言ったらどうなんだ!!」
「わ、わたしは…」
桃香の心内。彼女が何を考えているのか。
夢想家と言われているが本当に現実と理想の区別がついていないのか。
「自分の本心を言うのが怖いか。それで仲間が消えると思っているのか。だからこそ覚悟が足りないと言っているのだ。だから『靖王伝家』は貴様を認めていないのだ!!」
「さっきから言いたい放題言うな!!」
北郷一刀の怒りの一振りが益州の劉備を襲うが簡単に避けられる。
「貴様の剣など当たらん」
瞬時に首を切断しようとするが蘭陵王の殺気と剣で邪魔された。
「うおおおおおおおおお!!」
気合の込めた一撃を振るうが回避されたり、打ち返される。
祖父から剣術を習っていた。更に愛紗たちからも護身のために鍛錬してもらってもいた。しかしそれでも益州の劉備には敵わない。
自分はこれほどまでに弱いのかと実感してしまう。それでも剣を振るうのを止めるわけにはいかない。
(チッ…天の御使いはいつでも殺せるがこの仮面の男が邪魔をする)
北郷一刀の実力は自分以下だと理解しているが蘭陵王のせいで殺せないのだ。
意識を北郷一刀に向けた瞬間に蘭陵王が鋭い殺気を放ってきてすぐ意識を蘭陵王へと強制的に戻される。
流石に蘭陵王を簡単に斬り殺せるとは思っていない。宝剣の力が強力とはいえ、油断をしたら逆に切り伏せられる。
(これは…出し惜しみをしているわけにはいかないな)
宝剣を力強く床に叩きつけて衝撃波を生む。
「うわっ!?」
「北郷殿!!」
衝撃波によって飛ばされる前に蘭陵王は北郷一刀を受け止める。
「ありがとう蘭陵王」
「いえ、それよりも警戒は解いてはなりません」
「あ、ああ」
視線をすぐに戻す。
「おい!!」
「なんだ天の御使い」
「さっきの続きだが…言いたい放題だよなお前」
「正論を言っているだけだが?」
「何が正論だ。その剣は桃香のだろうが…人の剣を奪っておきながら何が正論だ!!」
正論を言っておきながら手に持っているのは人から奪った物。冷静に考えると色々と反論したいものだ。
「それが何か?」
「何だと!!」
「奪った物を使って何が悪いんだ?」
「な…!?」
益州の劉備は特に気にしていない。その返しに唖然としてしまう。
「奪った物を使う…この乱世では当たり前だろう天の御使い。貴様も何処か甘いな」
現代で盗んだ物を使って正論を言うというのはおかしいと思うはずだ。誰もが「何を言っているんだこいつ?」や「正論を言っているけどやっている事は犯罪だろ」と思うかもしれない。
この外史世界でも盗むという行為は現代と同じで罪になる。しかし戦争が加わると考えが急に変わる。
戦争に悪や正義があるかもしれないし、ないかもしれない。それでも絶対に分かっている事はある。それは勝った方が絶対の正義になり、敗者は何も言い返せない悪となる事だ。
それこそ『勝てば官軍。負ければ賊軍』という言葉。
卑怯な事をしようが道徳的に納得できない事を利用したとしても勝った方が全て。盗んだ物を利用して正論を言ったとしても勝利さえすれば誰も反論はできなくなるのだ。
「奪った物を利用するなんて誰もがやっているだろう天の御使い。それこそ大きく見れば領地を奪って勢力を大きくしている奴らと何が違う!!」
「っ…」
言い返せなくてとても悔しく感じてしまう。北郷一刀は益州の劉備の言葉に納得してしまったからだ。
気持ち的には反論したいが意味は理解は出来てしまう。もしも日露戦争や第一次世界大戦などで北郷一刀が日本兵として戦っていたら益州の劉備の言葉を普通に肯定していたはずだ。
「……確かに勝った方が正義かもしれない」
ポツリと桃香が呟いた。
「人を騙したりしたとしても勝てば救われる人もいるよ」
「ほう…今のは意外な台詞だな」
意外な台詞が桃香から出た。北郷一刀も少し意外だと思ったほどだ。
「でもね…それでも人を騙したり、盗むのはダメなんだよ!!」
その言葉はまるで自分にも言い聞かせているようにも聞こえた。
「悪いことは悪いんだよ!!」
悪い事は結局どんなに繕ってても正当化しても悪い事。それは変わらない事実。
「…少しだけ君の本心が見えた気がする」
益州の劉備もポツリと呟いた。
「しかし利用できる物は利用するべきだ。この世の正義も悪も飲み込んでこそ大陸の平和に繋がるのだ!!」
大陸の平和を実現するには綺麗な部分だけ足りない。良くないものも飲み込まなければならないのだ。
国をより良くするために皇帝や王たちは綺麗なものと汚いものを両方飲み込まなければならないのだ。綺麗ごとだけでは国は回らないし、平和にもつながらない。
綺麗なものだけを残せば平和になるというのはまた違う。時には悪いものを利用する時もある。昔からそう続いてきた。
「劉備よ。覚悟が足らないとそういうことだ。貴様は平和のために綺麗なものだけでなく、汚いものも飲み込むことができるか。目をそらさずにいられるか!!」
「目を逸らさない……。そう、目を逸らしちゃいけない」
桃香は何か思い出すかのように呟いた。その姿を見て本当に少しだけ益州の劉備は笑う。その笑みは兜によって隠されているので分からない。
「私が言う『覚悟』とは益州を攻めると決めた時のものじゃない。大陸の平和を本気で実現すると決めた時の事を言っているのだ!!」
「本気で…」
「貴様にその本気の覚悟を決められるか!!」
宝剣『靖王伝家』を天にかざす。
「私は覚悟している。だからこそ宝剣は私に応えてくれた。私は貴様を殺してこの戦に勝利する!!」
ギラリと宝剣が輝く。
「貴様はどうする劉備。このまま私に殺されるだけか!!」
このまま殺されるわけにはいかない。
「とっておきを見せてやろう!!」
益州の劉備の背後に光り輝く4枚の翼の魔法陣が展開された。
「宝剣の光よ。遍く世を照らせ!!」
天から雷が周囲に降り注いだ。
「まずい!?」
北郷一刀と桃香を落雷から庇おうと蘭陵王は駆け出すが落雷によって3人ごと飲み込まれた。
「これが宝剣のとっておきだ」
『靖王伝家』は特別な剣。まだ他にも強い力が宿っている。
「さて…死んだか?」
落雷によって飲み込まれた3人を確かめるために足を歩める。
「これで死ねば劉備もそこまでの人間だったという事だ」
特別な人間は何かしら持っている。ここでは絶対に死なないという力が働いているのではないかと言いたくなる場面があったりするのだ。
そういう存在が偉人だったり、英雄だったりする。
「貴様はどうだ劉備?」
益州の劉備はピタリと歩みを止めた。
「ふむ、やはり貴様は特別のようだ」
彼の目には無事の姿の桃香及び北郷一刀、蘭陵王が映った。服が焼き焦げた跡や火傷の跡はあるが重症ではない。
「とっておきだったんだがな。そこまで傷を受けていないと少しへこむ」
宝剣の力は本物だ。確かに宝剣の雷は3人を飲み込んだはずなのに軽傷なのが気になる。
(あの仮面の奴が何かしたか?)
宝剣の雷を防ぐ対処法を桃香と北郷一刀が持っていたとは考えられない。そうなると蘭陵王が守ったのではないかと予想する。
(それでも劉備は助かった。やはり彼女は持っているな)
特別な何かを桃香は持っている。平凡な者だったら宝剣の雷で死んでいてもおかしくないが彼女は生き残った。
自分の力でなくとも、生き残るように『流れ』に乗ったのかもしれない。天運とも言うべき何かを持っている。
「無事ですか北郷殿、桃香殿」
「う、うん。だ、大丈夫」
「俺も平気だ。正直死ぬかと思ったけど」
落雷に飲み込まれた時は本気で死ぬかと思ったが3人は生き残った。
蘭陵王はスキルを使って落雷から2人を守ろうとしたのは確かだ。スキル『隠美の仮面A』を使用して自分を無敵状態にした。
マシュ・キリエライトのように『守る』を主軸にした能力ではなく、蘭陵王の『隠美の仮面A』というスキルはまた系統が違うが『対魔力(C)』も合わさって耐えた。
耐えたのだが宝剣の雷の威力は凶悪であったのも確かだ。しかし予想と違って軽傷なのに蘭陵王は驚いたのである。
(正直、スキルによって抵抗力を向上させても雷を受けたら一時的に動けなくなると思いましたが…動ける。何故でしょう?)
被害が想像したものより最小限であった謎を解明したかったが、考える時間は無さそうだ。
「まずは仮面の奴から斬るしかないか」
益州の劉備が剣を振りかぶって来たからである。
「させません。はああああ!!」
ガキィンっと宝剣を受け止める。
「さっさと斬られるがいい!!」
「負けるわけにはいきません!!」
剣戟をまた打ち合い始める。
益州の劉備の剣は力強く振るわれ、蘭陵王の剣は勇ましくも優雅な舞のようであった。
「蘭陵王!!」
2人の剣戟をただ見るだけしか出来ないなんて北郷一刀はそんなことはしたくなかった。
少しでも蘭陵王の助けになればと剣を振るう。
「また天の御使いか。貴様は鬱陶しいだけだ!!」
助太刀しに近づいた瞬間に益州の劉備は回転斬りで北郷一刀と蘭陵王を吹き飛ばす。
「北郷殿、大丈夫ですか?」
「あ、ああ。また助けてくれてありがとう。それよりも蘭陵王こそ大丈夫なのか?」
「ええ。私は大丈夫です」
安心させるために仮面越しでも笑顔を作ってくれる。確かに少しだけ安心するが、それによりも自分が足手まといだと気付いてしまう。気付くという表現はおかしいかもしれない。
助太刀に向かったが逆に蘭陵王に負担を増やしていると心の奥で最初から分かっているのだ。敵に立ち向かうと聞こえは良いかもしれないが実際は足を引っ張ていればとても不甲斐なく感じる。
(俺に出来る事は……)
自分に出来る事を考える。剣を振っても益州の劉備には勝てない。参戦しても蘭陵王の足手まといになる。
桃香の盾になることは出来るが、そんな事をしたら彼女を悲しませる事になってしまうのでそれは最終手段。
(考えろ。考えろ!!)
北郷一刀は考える。反董卓連合の異変では観察し、気付く力を使った。ならば今回も益州の劉備に勝つために何かに気付かなければならないのだ。
戦いとは何か流れを見つけるだけでも大きく変わる。
(考えろ。観察しろ。気付くんだ。俺に出来る事をするんだ!!)
剣を構えたまま北郷一刀は蘭陵王と益州の劉備の剣戟を観察する。
「ご主人様…」
「大丈夫だ桃香。俺が何とかする」
本当は心の中で焦っているが彼女を不安にさせるような言葉は口にしない。男ならば自分を好きと言ってくれた女を絶対に守ってみせるものだ。
何とかしないといけないという使命感から心はより焦る。それでは良い案も浮かばないし、視野が狭まるために何かに気付く事も出来ない。
「ご主人様」
桃香は何となく北郷一刀が焦っていると気付いた。彼女も自分でも何か出来ないかと思っている。しかし彼女は戦えない。そもそも戦ったところで足手まといになるだけだと最初から分かっているのだ。
戦えず、益州の劉備に舌戦でも勝てなかった。そんな自分に出来ることなんてあるのかと酷く落ち込むが、落ち込んではいられない。何かしないときっと彼女は先に進めない。
「桃香?」
彼女が出来た事は北郷一刀の手を握る事だけだった。手を繋いであげる事だった。それだけで北郷一刀は助かったのだ。
手を繋ぐという行為は不安な気持ちを軽減させたり、安心感を得られたりすることがあるらしい。
「…ありがとう」
冷静になった瞬間にすぐにある事に気付いた。彼の目は蘭陵王と益州の劉備の剣戟でなく桃香の腰に携えた剣を見ていた。
(もしかして…)
視線をすぐに2人の剣戟に戻す。
丁度、剣の打ち合いの反動によって蘭陵王が後退してきた。
「蘭陵王ちょうど良かった」
「どうしました北郷殿?」
「一か八か何だけど…俺の策に乗ってほしい」
「説明は手短にお願いします」
北郷一刀の目は曇りは無かった。ならばと思い蘭陵王は彼の策を聞く。
503
兵馬妖。
異世界(外史)の始皇帝が造り上げた無敵の兵士。
食料も睡眠も要らず、痛みも恐怖も感じない。壊れたら修復すれば良し。完全に破壊されても造り直せば良し。最凶の兵士である。
「さて、兵馬妖に関してですが、実は種類があるんですよね」
何処かの部屋で于吉は語る。
「今まで使っていた兵馬妖なんですけど実は名称がありまして、兵士妖と言うんです」
兵士妖が兵馬妖の種類があるうちの1つ。
今まで藤丸立香たちが戦ってきた兵馬妖だ。
「土の馬に乗った兵馬妖は騎兵妖。兵士だけでなく馬もあるのです」
兵士もとい歩兵がいるのならば騎兵もいる。
「で、黄祖と孫呉の戦いで一体だけ大きな兵馬妖…巨大兵馬妖と言われているのが将軍妖と言います。大剣を持った兵馬妖もいますがソレも将軍妖ですね」
兵士がいれば将軍もいるのは不思議な事ではない。
「兵士妖は普通に動かせましたが、他の兵馬妖は調整が必要だったのです。やはり出来が違うようなので」
黄祖と孫呉の戦いに一体だけ将軍妖を投入したのは調整が成功したどうかを確かめるためと、どれほどの力があるかを確かめる為だ。
カルデアの呂布奉先に負けてしまったが、それでも十分に戦える事が分かっただけでも戦場に投入したのは正解だった。
「呂布奉先と戦えたのです。将軍妖が相当な強さというのが分かるはずですよ。ならば外史にいる彼女たちでは太刀打ちできないでしょう」
『将軍』と名を付けられているのだから出来が普通の兵士と異なり、機能性も違う。
「まだ戦場で投入してないですが他にも立射妖、跪射妖という弓を使う兵馬妖もいます。更には百戯妖や軍吏妖というのもいるんですよ」
兵馬妖は種類によって持っている能力は違うのだ。
「ある外史で私は兵馬妖を使って洛陽に侵攻しましたがその時はほぼ兵士妖くらいしか使いませんでした。その外史では負けましたが…兵士妖だけで劉備や孫策、曹操たちにその他をもう少しというところまで追いつめたのです。なら他の役割を持つ兵馬妖も使っていればまた結果は違っていたかもしれませんね」
兵馬妖とは兵士妖や将軍妖といった様々な階級の土人形をまとめた総称なのである。
「新しい兵馬妖…」
藤丸立香の目の前には土の馬に乗った兵馬妖が騎兵妖。鎧を纏い、大剣を持った兵馬妖は将軍妖と同じく鎧を纏い、大きな身体に大きな槌を持った兵馬妖は巨大兵馬妖。
今まで戦った兵馬妖は軽装で槍を装備したものだったが別物の兵馬妖が出てきたのである。今までの兵馬妖よりも何処か出来が違うと感じる。纏っている鎧や武器からして違う。
「巨大な兵馬妖は確か呂布奉先が戦ったと聞いている。油断していたらしいけど呂布奉先をぶっ飛ばしたらしい」
あの呂布奉先をぶっ飛ばした。それだけでどれ程の脅威か嫌でも分かるものだ。
「みんな気を付けて。特にあの大きいのには」
「ならオレがあの大きいのをやる」
「いや、儂がやる」
「炎蓮さんに李書文ぇ…」
戦闘狂の気持ち。取り合えず一番強い奴と戦いたい。
「炎蓮。儂に譲れ」
「何言ってやがる。オレがぶった斬る」
「儂がやる」
「オレがやる」
「「あ?」」
「止めてください2人とも」
まず李書文と炎蓮の戦いが始まりそうだ。流石に見過ごせないので秦良玉が注意する。
「いや、だってよぉ。李書文の野郎が…」
「はっ!!」
炎蓮の視線が秦良玉に向いた瞬間に李書文は巨大兵馬妖に突撃した。
「あっ、てめぇ!!」
槍を巨大兵馬妖に向かって真っすぐに突く。
「む、堅いな」
巨大兵馬妖を貫かれなかった。槍から伝わる反動から相当な堅さだと判断。
「なら砕けるまで突くのみだ!!」
堅いならば砕けるまで、貫けるまで攻撃するのみ。
「奮破!!」
槍で突く。拳で突く。
「ぬう!?」
巨大な槌が振り下ろされた。
スキル『圏境B』を発動し、回避に成功。
振り下ろされた巨大な槌は地面を砕く。威力から見て一撃でも喰らえば全身骨折、複雑骨折は確実だ。
「やるな。それに動作により精密さがある」
李書文の感想は藤丸立香も同じく思った。今まで戦った兵馬妖は何処か機械的でぎこちない感じであったが巨大兵馬妖の動きは人間のように自然であったのだ。
「本当に出来が違うってやつか」
巨大兵馬妖だけでなく、土の馬に乗った兵馬妖と大剣を持った兵馬妖も強い。
「うらあああああ!!」
剣を振るう炎蓮。剣の向かう先は将軍妖。
ギイィンっと金属音が響く。それは剣同士がぶつかり合ったからだ。
「こいつ!!」
大剣を持った将軍妖は勢いよく大剣を振るう。もはや斬るというよりかは叩き壊すといった振るい方だ。
やはり動きが人間のように自然で何処かの国の将軍といっても良いくらいの強さだ。
「このやろおおおお!!」
連続で斬りつけるが対応してくる。
「ちっ。この剣じゃあいつを斬れそうにない」
炎蓮が持っている剣はそこらの安物の剣よりかは良い剣だ。しかし将軍妖と斬り合って、いま持っている剣では斬れないと感覚で分かった。
南海覇王ならば斬れたはずだが今は手に無い。何故なら南海覇王は娘の雪蓮に託しているからだ。
「どうにか手を打たねえとな」
巨大兵馬妖も大剣を持った将軍妖も強い。そして土の馬に乗った兵馬妖である騎兵妖も強い。
土の馬はまるで本物のように動いている。上にいる兵馬妖は槍を振るう。
「あの兵馬妖の槍捌きもなかなかですが、それよりも脅威なのは馬を操る上手さですね傾殿」
「全くだ。あの動きはそこらの騎兵よりも上手いぞ」
騎兵の強さは機動力だ。馬の速さは現代の車と同じくらい走る。
軍馬は鎧を纏った人間を乗せて走らせるので速度は落ちるかもしれない。しかし兵馬妖と同じで作り出された土の馬は重さや疲れを感じない。
妖力を燃料にして動いているのならば最悪、車よりも速い可能性がある。そんなものに轢かれたら終わりだ。
槍なんかよりも土の馬を動かす方が驚異である。
「一筋縄じゃいかないってか」
出来の良い兵馬妖をどう攻略するか。藤丸立香は攻略するために思考する。
これくらいの脅威は今までも攻略してきた。これ以上の脅威も攻略してきた。
弱気になるな、強気でいるべきだ。どんな戦いも最初から勝つつもりでいろ。負ける戦いなんてあり得ないのだから。
「すう…はぁ」
深呼吸をして精神を落ち着かせる。目を見開き、戦闘状況を見逃さない。
藤丸立香は魔術礼装を起動させ、概念礼装も展開させる。
「行くよ」
読んでくれてありがとうございました。
次回の更新は2週間後予定です。早く更新出来たらします。
4章も佳境です。
『益州攻略』編で区切ろうかな。前にもう一つ挟もうかと書きましたけど、やっぱここで区切った方がちょうど良いかもしれません。
502
仮面ラ〇ダーリュウビの実力は本物です。
てか宝剣の力が凄いんですよね。天下統一伝でも宝剣開放した桃香はめっちゃ強かったですし。
宝剣の雷は天下統一伝の桃香の技です。
今回は桃香も頑張って言い返しました。
悪い事は正当化しても結局は悪い事。救うため、救われるためにやっても悪いことは悪い。それについて桃香は思う事がある。いずれ本編でも語られます。
蘭陵王の活躍が少し足りないかなー…。
北郷一刀は考える。自分に何ができるかを考える。
そして思いつきました。どんな作戦を実行するかはゆっくりとお待ちください。
次あたりで決着かな。
503
兵馬妖にも種類があることにしました。
元ネタになった兵馬俑には様々な種類がありますから。
兵馬妖との戦いにもバリエーションを増やしていこうと思います。
李書文と炎蓮は戦闘狂のイメージです。
藤丸立香は李書文、炎蓮、秦良玉、傾のパーティを上手くまとめられるか。
頑張ってまとめます。
藤丸立香も思考します。何が出来るか思考します。
魔術礼装、概念礼装を使って仲間たちのサポート。そして勝利への攻略法を見つけ出す。
北郷一刀も藤丸立香も観察し、気付き、攻略法を探す。
自分の出来る事をしていきます。
それにしても今回は藤丸立香や蘭陵王よりも北郷一刀や桃香の方がスポットがあてられます。