Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

150 / 297
こんにちは。
FGO2部4.5章『虚数大海戦イマジナリスクランブル』面白かったですね。
ネモもカッコカワイイし、楊貴妃も可愛くてまさかのキャラクターでした。
ゴッホちゃんも良いキャラでしたね。
満足のイベントでしたぁ!!

さて、今回から5章:『三国怪異乱戦編』が始まります。
物語も後半に突入し、決着へとどんどん進んでいきます。

今回は敵SIDEのお話。てか敵SIDEのみ。
一気に新キャラがたくさん出てきます。新キャラたちはちゃんと恋姫シリーズの登場人物たちです。




5:三国怪異乱戦 編
会合


527

 

 

ここは五胡。五胡に建てられた神殿にて。

 

「お、集まってますね」

 

于吉は神殿に集まったメンバーを見て頷く。錚々たる顔ぶれである。

 

「いやあ、これだけのメンバーを集めたのは大変でした」

 

ふうっと言いながら片手で額の汗を拭う動作をする。この神殿にいる者たち于吉によって集められた同士たちだ。

于吉の率いる戦力と言っても過言ではない。

左慈は周囲をくるりと視線を向ける。この神殿内には于吉と左慈を除くと合計で17人。

 

「…けっこう集めたな」

「頑張りました。褒めてください左慈」

「はいはい」

 

面倒くさそうに于吉を褒める。第3者から見ればどう見ても褒めてるのではなく、あしらってるようにしか見えない。

 

「で、こいつらは役に立つのか?」

 

左慈にとって大事なのは計画のために役に立つかどうかだ。

 

「もちろんですよ。彼らは全員が手練れです。それに私の手によって強化されてますので」

「せいぜい使えれば良いがな」

 

左慈にとって于吉が集めたメンバーは計画のために役立てば良いとしか考えていない。

 

「言ってくれるじゃねえか」

「なに?」

「てめえのような小僧にナメられるのは癪だな。于吉さんのお気に入りじゃなきゃ殺してたところだ」

 

自身よりも大きな金棒を肩で支えている巨漢が左慈を睨む。

 

「言うじゃないかただのデクの棒が。この俺を本当に殺せると思ってるのか?」

「てめえ…」

 

ギロリと眼光が強くなるが左慈は気にもしない。

 

「なんなら試してみるか。俺を殺せるかどうか?」

 

巨漢は大きな金棒を握る。

 

「言ったのはてめえだからな」

 

神殿内に殺気が充満する。

 

(こいつ小物だな。あんな挑発に乗るとは)

 

左慈は冷ややかな目で巨漢を見るのであった。

巨漢が大きな金棒を振り上げた瞬間に低い言葉が場に短く響いた。

 

「静まれ」

 

たった短い言葉であったがとても重く力強い。恐怖さえも感じるほどのもの。

 

「ここは神殿だ。争う事は許されない」

 

身の丈が九尺もあり、筋肉が異常に発達し、更には黒い髪が獅子のように長く伸びている。隣には巨大な斬馬刀が横たわっていた。

顔には豹の仮面を被っている。

 

「これはこれは我らの王よ」

 

于吉は彼の事を『王』と呼んだ。

 

「もう一度言う…ここは神殿だ。女神の御前である」

 

『王』は左慈と巨漢に視線を向けずに言葉だけを放つ。

 

「わ、わかりました…王」

 

巨漢はビクつきながら大きな金棒を下ろして座った。

 

(あの男…なかなか出来るな。そしてアレでよく正気を保ってられると感心する)

 

左慈も仕方なく座る。

 

(あの王はなかなかの出来でしょう左慈)

(やっぱりか。どれだけの妖魔をあの男に埋め込んだ? もうあれは人間じゃないぞ)

(確か…)

 

于吉が質問を答えようとしたが止まる。神殿内に圧倒的な力が支配したからである。

全員が頭を下げる。

 

(おもて)を挙げよ」

 

全員が顔を上げて視線を集中させる。視線の先には『女神』がいた。

赤い瞳が美しく光り、地面にまで付きそうな黒髪を靡かせている。真紅の羽織に眼球を模した青や緑の宝石飾りが付けられ、その羽織の下は豊満な身体。

惜しげなく晒した魅惑の肌は白く、全身に燃える色の刺青が刻まれている。更に鬼の黄金髑髏を三つ束ねたような冠を被り、耳元にも黄金細工に青い宝石の大きな飾りをしていた。

見る者は彼女を女神としか言えない。

 

「女カ様」

 

誰かが彼女の事を「女カ」と呼んだ。

 

「女カ様。ご機嫌麗しゅうございます」

 

呼んだのは于吉であった。

 

「于吉か」

「于吉でございます。並びに左慈もいます」

「ふむ」

 

女カは視線を逸らして別の方を見る。

 

「…劉豹。御身の前に」

「うむ」

 

視線を移動させる。

 

「暗影隊3人ここに」

 

関羽(暗影)に骸骨仮面の怪人、虎仮面の怪人の3人が女カの目に映る。

 

「曹操、孫権。わたくしの前ではその仮面を外しなさい」

「「はっ」」

 

2人は仮面を外すと曹操と孫権にうり二つであった。違うのは肌の色くらいのものだ。

そもそも女カは2人の事を曹操と孫権と呼んだのだ。彼女たちの正体を女カは知っている。

彼女たちは関羽(暗影)と同じような存在で曹操(暗影)と孫権(暗影)だ。

 

「それでいいわ」

 

次に視線を移す。

 

「白波三鬼衆及びに頭目の楊奉、ここに」

 

何処か個性的な4人組。

 

「ふむ」

 

また視線を移す。

 

「尊治ここに」

「武田信虎ここに」

 

公家の格好をした中性的な印象を持つ少年と女鬼武者。

またも視線を移す。

 

「八傑衆ここに」

「八傑衆とか言ってますけど、もう2人やられちゃって6人しかいないですけどね」

「それを言わないでください于吉殿」

 

八傑衆ならば8人いるはずだが女カの目には6人しかいない。

 

「そうか」

 

8人だろうが6人だろうが特に気にしないといった顔だ。

 

「これより会合を始めましょう。于吉、貴方が仕切りなさい」

「はっ。では、この于吉が仕切らせていただきます」

 

指をパチンと鳴らすと神殿内にモニターのようなものが現れる。

 

「まずは報告ですね。官渡の戦い、孫呉独立、益州攻略にかけて色々と策を仕掛けましたが見事、打ち破られました」

 

ニッコリと笑顔で失敗報告をする于吉。

 

「ですけど本来の目的は達成しているのでしょう?」

「はい。曹操、孫策、劉備を殺せていれば儲けものでしたが…本来の目的である『ズレ』を作る事は成功しています」

「ならばよろしい。わたくしはこの外史に縛られている。本来ならば、わたくしはこの外史に存在する事ができないのですから」

「女カ様の存在を確立させるために外史の流れを変化させる必要がありましたからね。その為にズレが必要でした…本来の流れにないモノの介入が」

 

女カという存在は本来この外史に存在しない。もしかしたら存在はしていたかもしれないが普通は蜀ルートだろうが魏ルートだろうが呉ルートだろうが女カは表舞台には出てこないのだ。

だからこそ本来の流れになかったモノが必要であった。

官渡の戦いでは袁紹が『龍の力』を使った事。孫呉独立では袁術が『玉璽の力』を使った事。益州攻略では『偽物の劉備』が襲撃した事。

どれも本来の流れに無かった出来事だ。結果的に曹操達が勝利し、軌道修正されたかに思えるが実際は少し違う。

 

「普通に見ればズレが無かった事に見えるでしょう。ですが違うのです。戦に勝った負けたではなく、その戦で妖術関連があった事。そう、『幻想』や『神秘』が認識された事です」

 

この外史世界には『幻想』や『神秘』が存在する。存在するが神話時代のように神秘が身近にあるような時代ではない。

正確には徐々に神秘が忘れ去られつつある時代である。だからこそ、この外史世界に生きている人間たちは妖魔や神といった存在を否定している。

 

兵馬妖や妖魔を埋め込まれた人間を見た時は誰もがあり得ないものを見た反応をしていたものだ。そして、その存在を容認しつつある。

戦争では多くの人間たちが集まる。ならばそんな場所で『神秘』や『幻想』が露見すれば誰だって現実だと理解するのだ。なればこの外史世界に神話時代のような神秘が戻りつつある。

 

官渡の戦い、孫呉独立、益州攻略には兵馬妖や妖術関連の道具が使用された。使用するように于吉は仕込んだのである。

そもそもその前から仕込んでいた。太平妖術の書を使って張譲を利用したり、孫呉では黄祖を利用したり、反董卓連合では怨霊になった張譲をまた利用した。どれも『神秘』や『幻想』を活用していたのである。

 

「私の作った『ズレ』とはこの外史に『神秘』と『幻想』を濃く現すというものなのです」

 

于吉が狙っているのは蜀ルートから神秘が濃く存在する蜀ルートにしようとしているのだ。

 

「最低でも神秘が濃く存在する蜀ルートにするのが目的です。理想は魏でも蜀でも呉でもないルートにしたいところです」

「わたくしもそれが理想です」

「安心してください順調です。今この外史は神秘が色濃く出ており、更に蜀と呉ルートの2つが混ざり合っているような状態です」

「それは良い兆候です。実際にわたくしの身体もこの外史に馴染みつつあります」

 

女カは自分の手を見ていた。まるで手が透けてないのを確認するように見ている。

 

「于吉。そして左慈。わたくしのためにこの外史にズレを作り続けなさい」

「はい。そろそろズレを大きくしようと思います。その為に八傑衆を放ちます」

 

于吉は6人しかいない八傑衆を見る。

 

「我ら八傑衆にお任せを」

「ところで何で6人しかいないのです?」

 

当然の疑問。

6人しかいないのならば八傑衆でなく、六傑衆だ。

 

「最初の方にも言いましたが2人やられちゃってるんですよね」

「誰に?」

「カルデアにです」

 

カルデアと聞いて女カは一瞬だけ考える素振りをしたがすぐに閃いた顔をした。

 

「異界人たちの事ですね」

「はい。そのカルデアの者はカルデアのマスターたちに合流する前に仕留めようと八傑衆のうち2人を仕向けたのですが…返り討ちにされました」

「そう…ですが敗北した情報はいりません。これからの事を話しなさい」

「失礼しました。八傑衆ですが魏、蜀、呉に刺客として放ちます」

 

三国に刺客を放つ。目的は三国を滅ぼす為にだ。

 

「一国でもこの段階で滅ぼせば外史の流れは大きくズレます」

「この者たちに三国を滅ぼせるのですか?」

「はい。彼らは1人で国を滅ぼす力を持っています」

「そのような力を宿している感じはしませんが」

 

女カは八傑衆全員を見て理解している。彼らの内に何か妖魔が埋め込まれていると。

 

「それは能力の使い方です。それに国を滅ぼす方法はいくつも方法がありますので」

「そうですか。なら八傑衆の活躍に期待しましょう」

 

八傑衆全員が頭を短く下げた。

 

「八傑衆の頭目は飛燕、貴方にします。どのように三国を崩すかは任せますよ」

「はっ!!」

「次の段階として信虎殿に動いてもらいます」

 

静かに座っている女鬼武者もとい武田信虎を見る。

 

「彼女には大きな力を育ててもらってますからね。育ちはどうですか?」

「順調だ。最近はより食欲が増して手が付けられなくなっているくらいだぞ。そもそも大きくなりすぎて隠すのも大変だ…それと良いエサが何処にいないか知らないか于吉。前に若い龍を逃がしてしまってな」

「そうですねぇ。南蛮の方に活きの良い龍がいるらしいですよ」

 

大きな力。龍を餌とするほどの生物。

 

「五胡の山に巻き付いてるあの蟲ですね。アレは確かに大きな力です。わたくしの時代に遜色無い存在です」

「ええ。あれが完全生体になれば国1つ簡単に潰せます。それともう1つ信虎殿には準備してもらってる計画がありますがどうですか?」

「あの儀式用の建造物なら完成している」

「それは良かったです。貴女の出番も近いですよ」

 

武田信虎は静かに頭は下げた。

 

「最後に我らが王、劉豹殿には五胡の全軍を率いて攻めてもらいます」

「……承った」

 

劉豹は静かに返事をした。

 

「その戦には白波三鬼衆も加えます……ところで楊奉、何か報告があるでしょう?」

「はい。五胡を嗅ぎまわる輩がいましたので捕えようとしましたが逃げられました」

「失態ね」

 

曹操(暗影)と軽く呟いた。

 

「曹操(暗影)殿。その輩は我ら4人がまとめて戦っても捕まえる事が出来なかったのです。それほどの実力者という事を分かって頂きたい」

「あっそ」

 

興味が無さそうに楊奉の言い訳を右から左と聞き流す曹操(暗影)。

 

「楊奉。その輩とはどのような人物ですか?」

「筋肉が異様に発達しており、白髪を左右にまとめた…」

「あ、分かりましたのでもういいです」

 

脳裏に筋肉モリモリの漢女を思い浮かべてしまう。

 

(そうですか…そうですよね。いずれは五胡を調べようと思うのは当然です。そして今回の件で五胡に我らがいると感づいたでしょう)

 

五胡の者が卑弥呼を捕まえようとしたならば于吉の存在を予想しなかったかもしれない。しかし五胡の者でなく、その内に妖魔を埋め込まれていたらすぐに于吉の存在を思い浮かべるはずだ。

 

(まあ、そろそろ隠れる必要はありませんから感づかれても全然構いませんけど)

 

この外史はもう後半へと進んでいる。ならば于吉は左慈の願いのために本腰を入れていく。

いずれは卑弥呼たちと決着をつけねばならない。そして五胡の存在もいずれは遅かれ早かれ情報が流れる。しかし今の段階で于吉たちが五胡にいる事が分かったとしても特に問題はない。

 

「女カ様。探し出して消しますか?」

「どうでもよいです。寧ろわたくしの存在を認知してもらった方が良かったかもしれませんね。それよりも、わたくしは暗影たちに聞きたい事があのですが」

 

チラリと暗影たちを見る。女カにとって最優先事項は己の存在を外史に確立させる事だ。

彼女は外史に完全に降臨さえできれば己の目的が叶う。そのために『宝珠』が必要である。

 

「宝珠は?」

「7つ中4つを回収しました。お納めください」

 

関羽(暗影)は4つの宝珠を女カを献上すると宝珠は輝きだした。

 

「おお、ついに宝珠がわたくしの元に……残りは3つ。必ず見つけ出してわたくしの元に献上なさい」

「「「はっ」」」

 

4つの宝珠は女カの周りでフヨフヨと浮いた。

 

「では、わたくしの可愛い影たちよ。宝珠を探しなさい。そして八傑衆たちよ。三国を攻めなさい」

 

三国に五胡の魔の手が迫る。

 

 

528

 

 

八傑衆。正確に言うは于吉によって妖魔を埋め込まれた強化人間なので怪異八傑衆と言うべきかもしれない。

構成メンバーは飛燕を筆頭に青牛角、雷公、浮雲、于毒、張白騎の6人だ。本当ならばあと2人いるのだが既にあるカルデアの者に敗北している。

 

元々、彼らは黄巾の乱に便乗して暴れまわった盗賊たちだ。本当ならば黄巾党並みか、それ以上の盗賊団に膨れ上がるはずだったが于吉によって勧誘されて五胡に所属しているのだ。

 

「俺と張白騎は魏に。雷公と浮雲は呉へ。青牛角と于毒は蜀を潰しにかかれ」

 

八傑衆のリーダーとして任命された飛燕は三国をどう攻めるかを話していた。

 

「どう攻めるか…それは各々の力を使え。自分がどんな力を于吉殿に貰ったかは分かっているはずだ」

「分かってる。俺様なら簡単に蜀を、劉備を殺してやるよ」

 

ニヤリと自信満々に笑ったのは青牛角。

 

「確かに青牛角なら簡単に蜀を潰せるだろう。もしかしたら3組の中で一番に仕事が終わるかもな」

「楽勝だ。更に于毒もいるなら蜀を中心に呉や魏にも影響を及ぼせるぜ」

「蜀だけじゃなくて魏や呉までになると時間はかかるよ」

「構わねえ。俺様が蜀で暴れまわってるから、てめえは準備しとけ。成功すれば蜀は完全に滅ぼせるからな」

 

蜀を完全に滅ぼせると言った。それほどまでに自身の力を信じきっているのだ。

 

「そうだね。国を亡ぼすのに武力は要らないからね」

 

クツクツと小さく笑う于毒。彼の指をよく見ると何か小さく蠢いている何かがいた。

 

「ソレ、俺様たちに近づけんなよ」

「ガハハハハハハハ。青牛角の言う通りだ!!」

「「「五月蠅い雷公。喋るな」」」

「ひでえな!!」

「「「だから五月蠅い」」」

 

耳を塞ぎたくなる程の声量だ。

 

「元々、声が大きいのと貰った力も相まって五月蠅すぎるんだよ」

「そこまで五月蠅くねえだろ。がははははは!!」

「五月蠅い…鼓膜が破れそうだ。ボクはこいつと一緒に呉に行くのか」

 

耳の中に指を入れて耳栓代わりにする浮雲。その顔はうんざりとしていた。

 

「誰か代わってくれない?」

「「「「断る」」」」

 

即答で断った他4名。

 

「我慢しろ浮雲」

 

大きくため息を吐くのであった。

 

「張白騎。さっきも言ったがあんたは俺と魏に来てもらう。あんたの力で魏と戦ってもらう。あの夏侯惇とも戦うから覚悟しておけ」

「…分かっている。夏侯惇を仕留めてみせよう」

「魏は蜀や呉よりも難易度が高い…色々と策を仕込んでおかないとな」

「この中で頭の良いお前なら大丈夫だろ飛燕」

 

于吉から八傑衆のリーダーを任されたのだ。それだけの評価をされているという事。

 

「俺としては頭目は青牛角で良かったと思うがな」

「嬉しいこと言ってくれるじゃねえか。ま、でも頭の良いお前がやった方がいいんだよ」

 

本来だったらこの外史で彼らは表舞台に出る事は無かった。元々この世界に生きていても曹操や孫策、劉備たちの物語に出てこない。

ただ物語の影に埋もれていただけかもしれない。そんな人物たちを于吉は引き上げて刺客として放ったのだ。

 

 

529

 

 

于吉が優雅にお茶を淹れて左慈に振舞う。

 

「……変なものを入れてないだろな?」

「流石に傷付きますよ?」

 

ちょっとだけショックを受け、少しだけ顔をしかめていた。だが于吉の左慈に対する愛情はこの程度では覆らない。

于吉は懲りずに左慈に愛を向け続ける。

 

「もうそこまで疑われるなら媚薬でも惚れ薬でも混入させますか」

「止めろ」

 

今の発言に本気で恐怖した左慈であった。

 

「で、まずはあの八傑衆だかを三国に仕向けると」

「はい。彼らには妖魔を埋め込みました。会合の時にも言いましたが使い様によっては国を落とせます」

 

所詮はただの盗賊であった者たちだが妖魔の力を埋め込まれればいくらでも使い用はある。于吉が八傑衆にどのような妖魔を埋め込んだか知らないが国を滅ぼせると豪語しているのならば少しは期待できるかもしれない。

 

「…そうだ、思い出した。あいつらはあの外史で見た奴らだ」

 

急に左慈はふと思い出したように口を開いた。

 

「あの外史ではすぐに趙雲に敗北していた気がするな」

「あの外史とこの外史の彼らは違いますよ」

「それと彼らの性格が少し違う気もするが…それはあの妖術の副作用か?」

「ええ、李寉と言う者が組み上げた妖術です。外史にも異端な天才はいるものですね。あの術式は面白いですよ…もしかしたら李寉は外史を、我ら管理者の存在に気付いていたのかもしれません」

 

三国志を元によって生まれた異世界であるこの外史には別次元の人間が生まれる時がある。それは北郷一刀や藤丸立香の世界でも当てはまる。

極たまに人間だけど人間にしては異才を放つ存在が生まれる時がある。そういう人間が英雄や偉人と呼ばれるのかもしれない。

 

「確か…世界や人格に影響を及ぼす並行世界同士を繋げる術式だったか?」

「はい。本当に驚きましたね…並行世界を、外史を繋げる術式なんて。でも私はそれを上手く活用させてもらってます」

 

上手く活用した結果が于吉の集めたメンバーたちだ。

 

「偽劉備も人格に影響が出てあのような行動したくらいですからねえ。まあ、彼のあの行動なんてどうでもいいですけど」

「人格に影響が出て俺らの計画を邪魔する事は?」

「それはないですよ。八傑衆には別の外史を繋げて未来を見せました。彼らの未来を…なれば未来を変える為に私たちの手足になるでしょう」

 

メンバーを集める至って于吉は李寉の術を利用して各々の未来を、並行世界を視せた。その未来が悪いものならば誰だって悪い未来を変えたくなるものだ。

于吉はその弱さを狙って口八丁で丸め込んだと言っても良い。更に人知を超える妖魔の力を与える事や女神の存在を教えれば曹操や孫策陣営よりも于吉側の陣営につく。

 

「八傑衆は我らの陣営にいれば大陸を手に入れられると思ってますよ」

「ま、神の力が現実にあるのなら曹操なんか目じゃないと思ってるわけか」

 

『人の力』より『神の力』の方が上だと思うのは誰だって思うはずだ。

 

「あの白波三鬼衆とかいう個性の塊集団もか?」

「はい。彼らも別外史の自分たちを視て未来を変えようと…欲のままに此方の陣営に入りました」

「欲?」

「この乱世に生まれた者なら誰もが望む夢…大陸の覇権ですよ」

「ああ、覇権ね」

 

左慈は興味がくだらななさそうに呟いた。

 

「こんな世界の覇権なんて意味なんて無いのにな」

「それは我々が管理者だからでしょうね」

「お前は興味があるのか?」

「いいえ、まったく」

 

于吉も覇権を手に入れる事に興味は無い。興味があるのは左慈だけである。

 

「そう言えばあの2人は完全にこの外史の人間じゃないだろ」

「尊治と武田信虎の事ですね」

 

あの会合にて場違い感の服を着ていた2人がいた。その2人が于吉が口にした名前である。

この大陸は中国だ。尊治と武田信虎という名前は中国内の名前ではなく、日本の名前。場違いの服というのは中国風の服ではなく、日本の服なのである。

もしかしなくても2人の出身は日本だ。

 

「彼らはある外史から呼んだのですよ。恩を作るのと同時に力を貸してもらうように交渉もしました」

「あの2人がこの外史にいるだけで大きなズレになるな」

「それも含めてこの外史に呼んだのですよ。更にカルデアとも因縁がありますし」

 

カルデアと因縁があると聞いて左慈は「は?」と呟いた。

 

「意外ですよね。時系列が複雑なので説明は省きますが…カルデアの連中は2人が元々いた外史にも訪れていたそうですよ」

「そうなのか。それはまた面白いな」

「これも縁なのか…それとも仕組まれた事なのか。それは分かりません。まあ、今回に関しては此方が仕組んだのですがね」

 

この外史ではなく、別の外史から呼んだ2人。更に時代もかけ離れている。

ある意味、藤丸立香や北郷一刀たちと同じように転移者とも言うべき存在である。

 

「聞きそびれた事があった…あの人間に何体の妖魔を埋め込んだ?」

「劉豹の事ですね。10体埋め込んだ先は覚えてないです」

 

劉豹という名の五胡の王。

 

「彼には別に外史を視せてないんですよ。ただ彼の望みをかなえる為に力を貸しただけです。それだけで我々に力を貸してくれました…ギブアンドテイクですね」

「視て分かったが…あれでよく正気を保っていられる」

「彼が正気でいられるのは復讐心ゆえにですよ。ま、ちょっとは手を加えましたが」

 

于吉の陣営もとい五胡の陣営。

貂蝉や卑弥呼、于吉や左慈でさえ知らない外史の物語が始まる。




読んでくれてありがとうございました。
次回は1週間後予定です。


ついに敵SIDEの全貌が…!!
はい、敵の新キャラがいっぱい登場回でした。全貌が…なんて書いちゃいましたけどまだまだ謎な部分はたくさんあります。更に今回で登場してない敵側のキャラもいますので、それはゆっくりとお待ちください。
5章からどんどんと敵の目的も分かっていきます。


527
敵キャラがいっぱい。そして敵の首領(表の)が登場。
女神である『女カ』です。
彼女は『天下統一伝』で登場するキャラです。未だに原作でも謎の存在ですが、この物語を書いている間に新たな情報が公式から出る事を願います。
もしもこの物語が完結する方が早ければオリジナル設定で書いていきます。
早速、この話では彼女を外史に降臨させるために于吉がズレを作ったりと書かせていただきました。

暗影三人衆。
関羽、孫権、曹操です。まあ、FGOでいうところのオルタですね。
彼女たちも『天下統一伝』のキャラです。この3人もまだ謎な部分が多いんですよね。
なのでオリジナル設定で書いてきます。公式から新たな情報が出れば加えていきます。

劉豹。
五胡の王です。獣の王とか豹頭王という呼び名もあるらしいですね。
恋姫シリーズの『蜀書・外史』で登場するキャラです。
確か小説版では男性、コミカライズ版では女性と性別が変わってるキャラなんですよね。この物語では男性です。

尊治(吉野の御方)と武田信虎。
2人は恋姫シリーズのキャラですが、『恋姫†無双』ではなく、『戦国†恋姫』なんですよね。まあ、ゲストキャラクターみたいなものだと思ってください。
鬼こと武田信虎がカルデアの事を知っている風に喋っているのが物語の何処かにありましたが、それはカルデアが『戦国†恋姫』の世界にも訪れているという裏設定があるからです。
実はこの『三国次元演義』を書く前に『戦国†恋姫』とFGOのクロス作品も考えていたんですよね。裏設定と言うのが、『戦国†恋姫』と『FGO』のクロス作品です。
何で俵藤太は中華鯖じゃないのにいる理由もコレに当てはまります。
これについては2人が活躍する時くらいにまた説明します。
藤太だけが呼ばれた理由は他にもあります。それはまた別の何処かに書いていく予定です。
裏設定についてもポカンとしてしまうので、それも本編の何処かで書いていこうと思います。



白波三鬼衆及びに頭目の楊奉。
彼ら4人は『紫電一閃!華蝶仮面』に登場するキャラですね。
結構個性的なキャラだと思ってます。これから書いていくにあたって恐らくオリジナル要素も含んでいくかな…。
彼らには面白い能力があったりするんですよね。

八傑衆。
彼らも『紫電一閃!華蝶仮面』に登場するキャラになります。
確か原作では出オチキャラだったような気がします。
この物語では出オチにしないでオリジナル設定を含みますのでオリキャラっぽくなるかもしれませんね。


528
八傑衆。
上記にも書きましたが『紫電一閃!華蝶仮面』に登場するキャラたち。
メンバーは飛燕に青牛角、雷公、浮雲、于毒、張白騎の6人。
残り2人は既に敗北したという設定にしました。確か原作では残り2人が出てなかったような気がしたので…出オチだったので。
史実だと確か彼らって黒山賊(黒山軍)だっかたな。
彼らは于吉によって妖魔の力を与えられた妖魔人間です。どんな妖魔を埋め込まられたかはゆっくりとお待ちください。


529
于吉の会話で出た李寉。
彼は登場しません。ただ彼が編み出した術は于吉によって使われてます。
それが世界や人格に影響を及ぼす並行世界同士を繋げる術式。
はっきり言って凄いです。
于吉によって偽劉備が見せられた並行世界、未来はこの術式によるものです。
李寉も『紫電一閃!華蝶仮面』の登場人物です。でもたしかそっちも名前だけの登場だったような…。






529

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。