Fate/Grand Order 幻想創造大陸 『外史』 三国次元演義   作:ヨツバ

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現在sideに戻りました。
第2章も決着に近づいていきます!!


作戦決行

194

 

頭痛が響く。

その影響で頭を抑えたのは于吉である。脳に多大な情報が流れ込み、その膨大さに一瞬だけ混乱しそうになった。

 

「ふむ…納得しました。私が過去に跳んだようにカルデアも過去の呉に跳んだのですね」

 

深呼吸して落ち着かせる。今の于吉には様々な情報が頭に入りこんできているのだ。

于吉は策によって滅びを辿った孫呉のルートと藤丸立香たちによって修正されたルートを外史の管理者として得た。

 

「頭の中に私の策によって滅んだ呉とカルデアによって修正された呉の情報が流れましたよ」

 

藤丸立香たちが貂蝉の手によって過去に跳ばなければ于吉の策によって孫呉が滅んでいたのだ。

 

「太平道ではカルデアがいなくとも孫呉は勝っていました。このルートの場合は儀式が不十分だったようですね。しかし被害は甚大でした…ある将の片足を失ったり」

 

于吉はポツリポツリと言葉を呟いて2つのルートの相違点を確かめる。

 

「狗頭鰻での戦いはカルデアがいなかったからなのか撤退戦となったようですね。これも被害は甚大で錦帆賊と孫呉水軍も痛手だったようです」

 

最後に于吉の本来の策について。

 

「兵馬妖の将となった孫堅…カルデアの邪魔さえなければその時点で孫呉を滅ぼせたのに」

 

その部分が孫呉が滅んだ一番の理由である。そこをカルデアたちに修正させられたのだ。

だが于吉の頭には孫呉が滅んだルートには無視できない情報があった。

 

「孫呉が滅んだというのは正確じゃないですね。7割がた滅ぼしたというのが正確な言い方です」

 

藤丸立香たちがいなければ兵馬妖の将となった孫堅は孫策たちを自らの手で殺していた。その段階で孫呉の主要な生き残りは孫権たちであった。上手くいけばそのまま更に程普たちを殺した後は援軍に来ていた孫権と孫尚香を討ち取って建業へ攻め込んで張昭を殺せば于吉の思い描いた孫呉の滅びであったのだ。

しかし孫呉が滅んだルートにはある邪魔が入ったのだ。

 

「まさかな登場ですね。いずれは追加で来るのではないかと予想していましたが」

 

孫呉が滅んだルートで操られた孫堅は程普達を殺そうとした時にある2人の人物たちが助けに入ったのだ。

その2人によって程普たちは助けられて孫権は甘寧と合流。孫尚香は周泰と合流。程普と陸遜は命からがら撤退したということだ。

 

「更にその2人に孫堅が破られた。いえ、あとちょっとで倒せたんですが…」

 

修正ルートで孫堅を倒したのが藤丸立香たちならば修正前のルートで孫堅を倒したのが突如現れた2人組である。

 

「どっちにしろどちらもカルデアの者ではあるんですがね」

 

于吉の頭には仮面をつけた剣士とトネリコの槍を持った槍兵が記憶に残る。

 

「修正される前は長江の近くにいたようですが…今だと2人がどこにいるか調べないといけませんね」

 

ともかく于吉の策は打ち破られた。しかしまだ終わっていないのだ。

 

「メインの策は打ち破られましたがスペアの方が動き出しているので…残りはそっちに期待しますか」

 

未来は修正された。于吉の手によって進んだ間違った歴史は正しい歴史へと上書き修正されたのである。

 

「スペアとして改造した黄祖に頑張ってもらいましょう」

 

 

195

 

 

諸葛孔明は孫権や程普から聞いた話を考えまとめていた。藤丸立香たちが過去で何をしていたかについてだ。

過去の呉では于吉の策がいくつかあったようだが全て打ち破った事が彼女たちの話から分かった。

 

「ウフフ。立香ちゃんたちは見事に過去の呉で于吉ちゃんの策を破ったようねん」

「そのようだ。それに天に帰ったと言うことは…この時代に戻っているということだな」

「ええ。まあ、どの辺りに戻っているかまではアタシも分からないけどぉ」

 

恐らく藤丸立香たちは現在に戻っている。だが今この時代のどこにいるかまでは分からない。

 

「未来は変わったか…あまり実感が無いが」

「彼女たちが無事という事が未来が変わったという証拠よん」

 

最初は孫家が滅んだという情報を手に入れた。しかし諸葛孔明たちは孫権や孫尚香たちと出会っている。

ならば孫家が滅んだという情報は全く異なっているのだ。そこが于吉によって間違った未来から修正された証拠になる。

 

「マスターたちは于吉の策を破って修正した。次は私たちが後始末をする番か」

「ええ。程普ちゃんの話だと黄祖は孫堅の手によって相打ちになったはずなんだけど蘇ったと言っていた。普通はそんな事はありえないわん。絶対に于吉ちゃんが何かしたのでしょう」

 

孫堅も黄祖も助からない傷を負った。しかし2人とも無事な姿で彼女たちの現れたというのだ。

黄祖の件は分からないが孫堅は于吉によって治療されたと聞けば、黄祖の方も同じく治療されて延命させられたと考えられる。

 

「蘇った黄祖か…」

「間違いなくこの外史で特異な存在になるでしょうねえ。部下に妖魔を持って勢力を拡大しようとしているしねん」

 

貂蝉が手に入れた情報によると黄祖は徐々に勢力を拡大しているらしい。このまま勢力が拡大されていけば本来の外史とは別の未来を辿る事になる。

 

「せっかく立香ちゃんが修正してくれたのにまた間違った未来を作るわけにはいかないわん」

 

于吉によって黄祖軍は特異な存在になっている。これが黄祖自身の力だけならここはそういう外史と判断できたが、この外史は既に于吉の手によって様々な変化を起こされているのだ。

このまま黄祖を野放しにしていたらこの外史は特異点になってしまうのだ。

 

「そればかりは外史の管理者として見逃せないわ」

「…確か次元接触現象から空間併合事象は既に起きているんだったな」

「ええ。だからこそ間違った未来が修正されて今があるのよん。でも于吉は特異点となり得る黄祖を作った…そこが完全に修正されていない穴ね」

 

過去修正によって残ってしまった穴が蘇った黄祖だ。その穴を消さないとどんどんと広がってしまうのだ。

 

「先ほども言ったけど立香ちゃんは過去での役目は果たしたわん。なら今度はアタシたちの番ね」

「ああ」

 

諸葛孔明たちは黄祖を討伐するために江夏に向かっている。

メンバーは諸葛孔明に程普、武則天、哪吒、貂蝉、卑弥呼。少数精鋭で暗殺作戦に動いているのだ。

 

「ちょっと、そこ2人。もうすぐ着くわよ」

「分かってるわよん程普ちゃん!!」

 

彼女たちの視線の先には黄祖の根城が見えていた。

 

「これから忍び込む。少し偵察を頼む武則天」

「仕方ないの」

 

この中で侵入、偵察が出来るのはアサシンクラスの武則天だ。

自分しかいないから渋々、偵察に向かう。

 

「さて、今の内に作戦を確認するぞ」

「黄祖 暗殺 終わり」

「哪吒。それは簡潔にしすぎだ」

 

哪吒が言った事は間違っていない。大事なのはそこまでの過程である。

 

「まず黄祖がどこにいるかだ」

「玉座だと思うわ」

「そうだろうな。しかし必ずしも玉座にいるとは限らない」

 

もしかしたら黄祖は孫権たちを討ち取りに出ている可能性もある。

 

「いなければ拠点を落とす作戦とする。そこは袁術を頼るしかない」

 

袁術軍は既に江夏に向かっている。孫呉軍と袁術軍の挟撃作戦が準備されているのだ。

 

「近くまで来ている。後は此方が合図すれば江夏を攻められる」

 

打倒黄祖軍の作戦は準備している。

 

「まずはここで暗殺が実行できるかだ」

「帰ったぞ」

「早かったな」

 

気が付けば武則天が戻っていた。

 

「城は兵馬妖や兵士たちで警備されておったが少ない。やはり孫権を討ち取りに出払っているようじゃ」

「やはりか」

「黄祖は居たか?」

「いたぞ。しかし奴1人だけではないようじゃ。厄介な護衛がいる」

 

厄介な護衛と言うのが于吉の手によって生み出された妖魔たちだ。

 

「…ここはワシらが気張るか。なあ貂蝉よ」

「そうねん」

「何する気だ卑弥呼、貂蝉」

「囮役を買ってやると言うのだ。ワシらで暴れまわってやる。その隙に頼むぞ」

「危険」

「危険なぞ百も承知だ哪吒よ。それにワシらは強いのでな」

 

ムクリと立ち上がる卑弥呼と貂蝉。

 

「分かった 頑張れ」

「うむ」

 

黄祖暗殺作戦が実行される。

一方その頃、孫権率いる孫呉軍団は黄祖軍と長江で対峙していた。

 

「やはり兵馬妖を用意しているか。それに屈強な黄祖軍の兵士たち」

「俵殿」

「どうした孫権よ」

「気を付けろ。あの兵馬妖とやらは強い。それに黄祖の兵士たちもな」

「分かってる。だが強いと分かっていても退くわけにはいかんのだろう?」

「ああ。これは孫呉の命運をかけた戦いだ。絶対に負けるわけにはいかない」

 

これは孫呉の命運をかけた戦いだ。ここで黄祖軍を倒さなければ孫呉は滅ぼされる。

 

「負けるわけにはいかないのよ」

「あ、孫権ちゃーん!!」

「何かしら三蔵殿?」

「これ渡しておくわね」

 

そう言って玄奘三蔵が孫権に渡したのは木剣であった。

 

「これは…木剣?」

「桃木剣よ。相手は妖魔を率いているからお守りに使って!!」

「そうか…ありがたく使わせてもらおう」

 

江夏で暗殺作戦が実行されたと同時に長江でも孫呉軍と黄祖軍の戦いが始まった。

 

「しかし…黄祖は此方に来ていたか」

 

俵藤太の目には遠くの船に乗っている黄祖を発見していた。

 

 

196

 

 

黄祖の根城では大騒ぎしていた。その原因は貂蝉と卑弥呼。

2人が大暴れしているために城の警備は全て集中している。

 

「いっぱい集まって来たな貂蝉よ」

「ええ。もうアタシたちったら人気を独り占めねん!!」

 

2人の周りには黄祖の兵士たちと兵馬妖が囲んでいる。

 

「何だこの怪物は!?」

「気を付けろ。強いぞ!?」

「こいつらも妖魔の類か!!」

 

黄祖の兵士たちは貂蝉たちの強さに慄いている。

 

「だぁれが見ただけで吐き気を催す邪悪な筋肉怪物ですってぇ!?」

 

貂蝉が脈動する筋肉で兵馬妖もろとも黄祖の兵士たちをぶち破る。

 

「そ、そこまで言ってな…ぐわらっ!?」

「ぐあああああ!?」

 

黄祖の兵士たちが吹き飛んでいく。

 

「こんな良い漢女はこの大陸にはそうそうおらんというのに…お主らの目は節穴かああああ!!」

「何を…ぐおわあああああ!?」

 

卑弥呼は拳を連打して敵をぶち倒していく。

 

「ふぅ~~~~~~!!」

「ちょわ!!」

 

貂蝉と卑弥呼は無双していた。

 

「む!!」

「どうしたの卑弥呼?」

「どうやら次が来たようだぞ」

 

奥から禍々しい妖気が滲んできたのを感知した卑弥呼。

 

「妖魔だな」

「そのようねん…もうここは本当に魑魅魍魎の巣になっているのね」

 

貂蝉たちは見た事があるような妖魔や、見た事も無い妖魔がウジャウジャと出て来たのだ。

これらも全て于吉が用意した妖魔たちだ。戦力にしたり、実験に使ったりとしている存在。

 

「いやん。妖魔たちがアタシたちの魅力的な肉体を舐めるように見ているわん」

「うぬぬ…ワシらの初めては既に予約済み。こんな奴らにやらん!!」

 

黄祖の兵士たちは「こいつら何を言っているんだ?」という顔をしたのであった。

 

「ええ。アタシたちの初めてはあんたらにあげないわん」

 

一匹の妖魔が貂蝉に突撃した。

 

「うっふぅぅん!!」

 

貂蝉は突撃してきたその妖魔を一撃で潰す。

 

「その程度でアタシらを倒せると思わないでよん!!」

 

貂蝉たちが囮になっているおかげで諸葛孔明たちは最短ルートで黄祖の元へと向かう。貂蝉たちのおかげで城内の警備は手薄になっている隙を逃さない。

 

「あの筋肉共の野太い声がここまで聞こえてくるのじゃが」

「おかげで敵を全て引き付けてくれるから助かる」

「玉座はこっちじゃ」

 

既に潜入している武則天が先頭を走って案内する。目の前に玉座へと繋がる扉が見えてきた。

 

「武則天はここから気配を消せ。暗殺に専念しろ」

「分かっておるわ」

 

このまま諸葛孔明、程普、哪吒は玉座の間へ突入。武則天は気配を消して覚られないように玉座の間に侵入した。

 

「黄祖!!」

 

程普は黄祖の姿を見て叫んだ。

 

「来たか」

 

黄祖は襲撃があると予想していたのか兵馬妖に妖魔を護衛として用意していた。

 

「程普に哪吒。行くぞ」

「了解」

「いつでもいいわよ!!」

 

一方、玉座の間の天井には武則天が気配を消して待機していた。

彼女は黄祖をいつでも狙い撃ち出来るようにしているのだ。この作戦は全ての敵を倒す必要は無く、ターゲットは黄祖ただ1人。

 

「むむ、あそこにいるのは…」

 

武則天はある人物たちを天井から発見したが詳しく確認は出来なかった。

 

「こんなところに餓鬼がいるな」

「なぁっ!?」

 

武則天はすぐさま回避するために跳んだ。

 

「避けられたか」

「掠った。よくも妾の玉体に………えっ」

 

いきなり襲ってきた敵を見た瞬間に武則天は固まった。

 

「指示で天井から狙えと言われてたが…そっちも同じような事を考えていたとはな」

「………ね」

「俺は人虎だ。餓鬼だろうが侵入者は殺す」

 

于吉によって妖魔を植え込まれた黄祖の将が天井に隠れていた。

 

「猫ぉおおおおおおおお!?」

「虎だよ」




読んでくれてありがとうございました。
次回は1週間後予定です。

現在sideも決戦に入りました。
次回は玉座の間で天井にいる武則天と人虎の戦い。そして玉座の間に孔明たちと黄祖の戦いになる予定です。

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